団地の紹介:2015年日本映画。一人息子を交通事故で亡くし、店も畳んで団地に引っ越した中年夫婦が、団地で不思議な現象に遭遇する様を描いたSFコメディ作品です。主演の藤山直美は、この作品で上海国際映画祭の金爵賞最優秀女優賞を受賞しています。
監督:阪本順治 出演者:藤山直美(山下ヒナ子)、岸部一徳(山下清治)、大楠道代(行徳君子)、石橋蓮司(行徳正三)、斎藤工(真城)ほか
映画「団地」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「団地」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
団地の予告編 動画
映画「団地」解説
この解説記事には映画「団地」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
団地のネタバレあらすじ:起
老舗の漢方薬店を営んでいた山下ヒナ子(藤山直美)と夫の清治(岸部一徳)は、2年前に最愛の息子・直哉(中山卓也)を交通事故で亡くしたのを機に店を畳み、半年前から団地に引っ越してひっそりと暮らしていました。ヒナ子はスーパーのレジ打ちのアルバイトを始め、清治は何もすることなく近隣の林を散策するのが日課となっていました。そんなある日、漢方薬局の常連客だった真城(斉藤工)という男がヒナ子と清治の元を訪れ、薬を調合してほしいと頼み込んできました。廃業したので無理だという夫婦でしたが、夫婦の薬が最も効能があるというので、特別に薬を調合してあげることにしました。
団地のネタバレあらすじ:承
ある日、清治は同じ団地に住む行徳君子(大楠道代)から次期の自治会長候補に推薦されます。最初は断ろうとした清治も次第にすっかりその気になっていましたが、フタを開けてみれば君子の夫・正三(石橋蓮司)に大差で敗れてしまいます。君子や団地の住民たちが清治の人望のなさを話しているところを偶然にも聞いてしまった清治は失意のあまり、ヒナ子に自分は死んだということにしてほしいと伝えると、台所の床下にある収納庫の中に身を隠してしまいます。それから3ヶ月、清治は一切表に姿を現さず、住民の間では蒸発した説、更にはヒナ子が清治を殺したのではないかという心無い噂まで飛び交うようになっていました。
団地のネタバレあらすじ:転
そんなある日、真城が再びヒナ子夫婦の元を訪ねてきました。今度は、同郷の人たちのために5千人分の漢方薬を2週間以内に用意してほしいという非常に無理難題なものでした。さすがに断ろうとしたヒナ子に、真城は自分の正体を明かし、夫婦に恩返しをすると告げます。実は真城の正体は地球人より遥かに進んだ文明を持つ宇宙人であり、死んだ直哉のへその緒さえ用意すれば、直哉を蘇らせてあげるというのです。真城の言葉を信じることにした夫婦は昼夜を徹して漢方薬の調合に励みます。そして約束の2週間後、真城は妻(堀口ひかる)を伴って夫婦の元を訪れ、約束の薬を受け取ります。
団地の結末
ある日、ヒナ子夫婦の部屋に、清治の生存を確認しに君子と正三が訪れてきました。ヒナ子と清治は二人に事の真相を明かし、君子と正三は夫婦に協力することを誓います。そして団地中の人々が清治の生存に驚愕するなか、ヒナ子と清治は真城らと共に部屋を後にします。その時、上空に巨大な宇宙船が出現しました。ヒナ子らは団地の裏の林に入り、そこを突き抜けると草原に辿り着きます。真城はここは宇宙船の中であり、既に地球から遠く離れたのだというのです。しかし、ヒナ子らは肝心の直哉のへその緒を忘れてしまっていました。そこで真城は時間を戻せることを夫婦に告げ、ヒナ子夫婦は数日前の団地に舞い戻ります。その数日後、部屋のベランダで空を眺めていた清治は、空に光る謎の物体を目撃します。その後、ヒナ子らが夕食の支度をしているところに、死んだはずの直哉がいつもと変わらぬ様子で帰ってきました。
「団地」感想・レビュー
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藤山ナオミさんと岸部一徳さんが最高に良い味出してる夫婦を演じてるこの作品。宇宙人のために漢方を調合するという始まりなんだけど、最初は狭い団地社会の怖さやジメジメ感を出すだけのお話だと思ったら最後は宇宙船まで出てくるという壮大さにびっくりした!役者陣が凄い人ばっかりなので、日常の狭さから最後のええー!!ってなる振り幅も違和感なく見れました。亡くなったはずの息子が最後は存在していたシーンには涙しました、本当にこのご夫婦には「良かったですね!」と言いたくなった。斎藤工さんが大好きになった作品でもありました!
藤山直美さんのファンなので観ました。夫婦役の岸部一徳さんが素晴らしい演技派の俳優さんである、ということもありますが、さらに藤山さんのファン度が上がってしまう作品です。夫婦二人で団地の一室で会話をしているシーンが多いのに、藤山さんの立ち方、目線、表情に、見入って、満足してしまう。彼女の演技にはそんな魅力があるのです。この作品の中で、藤山さんは、スーパーのレジ係のパートをしています。その彼女が、パートの店に走って出勤する場面があります。ファンは、それだけで、この役者さんの奥深さをあらためて知ると思います。
人間への温かな眼差しが、舞台の外の演技でも、彼女の芸を支えていると、わかる、すがすがしく笑顔になれる、コメディです。