デトロイトの紹介:2017年アメリカ映画。1950年代、自動車産業の中心の街として栄えたデトロイト市。日本車やドイツ車に押されるアメリカ自動車産業の低落、いまは繁栄はありません。そのデトロイト市で1967年7月に黒人による暴動が起こります。『デトロイト』は、暴動のさなか、小さなモーテルで起こった白人警官による、黒人を殺害したアルジェ・モーテル事件を描いた映画です。デトロイト市は当時90%以上は白人警官であり、人口の40%を占める黒人に敵意を抱いていたと言われます。たとえ、暴動のさなかでも許されない人権侵害、そして、その後の裁判のゆくえが映画で描かれます。
監督:キャスリン・ビグロー 出演:ジョン・ボイエガ(ディスミュークス)、ウィル・ポールター(クラウス)、アルジー・スミス(ラリー)、ジェイソン・ミッチェル(カール)、ジャック・レイナー(デメンズ)、ベン・オトゥール(フリン)、オースティン・エベール(ロバーツ准尉)、ほか
映画「デトロイト」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「デトロイト」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
デトロイトの予告編 動画
映画「デトロイト」解説
この解説記事には映画「デトロイト」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
デトロイトのネタバレあらすじ:起・黒人暴動の開始、白人警官の暴走
1920年代、自動車産業の繁栄とともに栄えるデトロイト。仕事を求めて、多くの黒人がこの町に移住しますが、黒人の多くは差別されていました。しかし、白人に支配されたデトロイトに変化が訪れるのは時間の問題でした。1967年、ベトナム戦争と黒人の権利拡大を目指した公民権運動の激しい時代、デトロイトのバーで黒人ベトナム帰還兵の歓迎会が開かれていました。デトロイト警察は、バーの経営者(黒人)を非合法な酒場の経営者として逮捕します。さらに、歓迎会参加者(黒人)までもが逮捕され、路上に連行され見世物にされます。怒った黒人は12番街で暴動を起こします。黒人政治家は事態の沈静化を呼びかけますが、暴動は拡大します。州知事は警察だけでは対処できず、州兵(アメリカの各州の軍)を動員します。窓から戦車を見る黒人少女は狙撃兵と間違えられ、狙撃されてしまいます。白人警官のクラウス(ウィル・ポールター)とフリン(ベン・オトゥール)は、パトロール中、黒人が物を盗むのを目撃、狙撃します。黒人はなんとか自宅までたどり着きますが、死亡します。クラウスの上司は激しくクラウスを非難しますが、クラウスは銃撃を正当化します。黒人警備員のディスミュークス(ジョン・ボイエガ)は、黒人少年が白人警官に暴行されているのを見て助けますが、黒人少年から、アンクルトム(白人の言いなりの黒人)と逆に非難されてしまいます。
デトロイトのネタバレあらすじ:承・暴動に遭遇するドラマティックス
ラリー(アルジー・スミス)は、地元の人気黒人歌手グループ、ザ・ドラマティックスのメンバー。デトロイトでライブパフォーマンスの準備をします。しかし、グループは暴動によるコンサート中止を警察より要求されます。彼らは不満ながらも警察に従います。アルジェ・モーテルに向かう、ラリーと友人フレド(ジェイコブ・ラティモア)は途中、暴動に遭遇し、危うくモーテルへ逃れます。ラリーとフレドはアルジェ・モーテルに宿泊します。ラリーは白人の2人の女性、ジュリー(ハンナ・マリー)とカレン(ケイトリン・ディーヴァー)に出会います。ラリーは2人をナンパし、部屋に連れ込みます。部屋では3人の黒人男性、カール(ジェイソン・ミッチェル)、リー(ペイトン・アレックス・スミス)、オーブリー(ネイサン・デイヴィス・Jr)に出会います。3人は白人警官がいかに差別的に黒人を扱うかを実演します。カールは銃でリーを撃ちます。驚く周囲の者、しかし、それはおもちゃの銃(陸上競技のスタートに使う物)による悪ふざけでした。カールは部屋に戻り、白人警官がパトロールしているのを見て、面白半分におもちゃの銃を乱射します。本物の暴徒が狙撃と判断したデトロイト市警のフリンとクラウスはモーテルに向かいます。ディスミュークスは、ボランティアで暴動の警備をしていましたが、モーテルへ向かいます。
デトロイトのネタバレあらすじ:転・アルジェ・モーテル事件の発生
モーテルに駆けつけたクラウスはカールを狙撃、死亡させます。クラウスとフリンは、ラリーとフレド、カレンとジュリー、他の宿泊客を壁に並べ、銃で脅し「だれが拳銃を撃ったのだ?銃はどこだ?」と、自白を強要します。ディスミュークスは銃を探しますが、見つかりません。警官達はカレンとジュリーを連れ出し、「売春婦か?」と尋問しますが、2名は否定します。グリーンはベトナム戦争帰還兵、ホテルに宿泊していたため、事件に巻き込まれ、銃でおどされます。フリンはもう一人の警官にオーブリーを尋問するように命令、警官はオーブリーを殺害します。クラウスは警官にオーブリーが銃撃しようとしたため殺したと言えと命じます。フリンとクラウスは、彼らは銃撃事件を知らないと判断、ラリーとフレドに、この件は誰にも言うなと口止めし、釈放します。フレドは反抗的な態度のため殺されます。ラリーは逃走中、別の警官にみつかり、病院へ行きます。オーブリーの家族は彼の死を知らされます。暴動とモーテル事件終結後、ディスミュークスは仕事中に警官に呼び出されます。モーテル事件の容疑者の一人として、尋問されますが、彼は否定します。クラウスは、デトロイト警察から事件の関与を疑われ、認めます。フリン、クラウスは逮捕され、裁判が始まります。
デトロイトの結末:白人警官への無罪判決、当事者のその後
裁判では、証人はいずれも警官の関与を証言します。しかし、白人弁護士の挑発的な質問に黒人証人は激怒、裁判から退席させられます。黒人傍聴人は彼に拍手をおくります。最終的にすべて白人の陪審団は正当防衛として無罪判決を下します。ディスミュークスは判決に気分が悪くなり嘔吐します。ドラマティックスはレコード契約の知らせを受けます。ラリーはレコーディング中、メンバーを脱退します。その後、ラリーは黒人の小さな教会のコーラスの仕事に応募します。人気グループの元メンバーには向いてないと断られますが、ラリーは粘り、教会のコーラスの仕事につきます。ドラマティックスは1970年代に全国区の人気グループになります。ディスミュークスはその後も、警備員の仕事をします。無罪の警官は、デトロイト市警を去り、後に、オーブリーの家族に$5000の賠償金を払う判決が下されます。ジュリーは美容師になり、4人の子供を生みます。ラリーは芸能界から身を引き、キリスト教徒として、教会で生涯を捧げるのでした。
以上、映画デトロイトのあらすじと結末でした。
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