愚行録(ぐこうろく)の紹介:2016年日本映画。妹が逮捕されまだ気持ちの整理がつかない田中は自身の仕事に打ち込むことでなんとか気持ちを紛らわせようとしていた。来月でちょうど1年になる未解決事件の調査。週刊誌の記者として働く田中はその事件を再度調べるため被害者の近辺を探り始める。そして調査を続けるうちに次第に被害者の素顔が浮き彫りにされていく。石川慶監督の長編デビュー作。原作は直木賞の候補にもなった貫井徳郎「愚行録」。
監督:石川慶 出演:妻夫木聡(田中武志)、満島ひかり(田中光子)、小出恵介(田向浩樹)、臼田あさ美(宮村淳子)、市川由衣(稲村恵美)、松本若菜(夏原友季恵)、中村倫也(尾形孝之)、ほか
映画「愚行録」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「愚行録」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
愚行録の予告編 動画
映画「愚行録」解説
この解説記事には映画「愚行録」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愚行録のネタバレあらすじ:1.再調査
半年ぶりに妹に面会した田中武志(妻夫木聡)。その表情は暗く口数も少なかった。自分の子供を虐待したとして逮捕された妹光子(満島ひかり)は兄とはうって変わってよく話した。兄との再会を喜んでいるのか田中には分からなかった。そんな状況をくんでか田中の上司は彼の強引な提案を半ば諦めたかのように承諾した。週刊誌の記者として働く田中が提案したのは来月でちょうど1年となる未解決事件の再調査。仕事に打ち込むことで気持ちを紛らわそうとしたのか田中は掲載されるかも分からないそんな記事の調査を始めた。まず向かったのは今もなお空き家となっている被害者の家。当時幼い娘と3人で暮らしていた田向家は何者かの手により3人とも殺されてしまう。その事件のせいでこの家の周辺に住んでいた住人は次々に越していった。田中はある人物と接触した。かつての田向家の夫の同僚だった。
愚行録のネタバレあらすじ:2.嫉妬
その男と酒を飲みながら田向の話を詳しく聞いた。男の口から聞く田向はとてもいい奴、それが男の中の田向の姿だった。そして店を出た後男は「何故あんないい奴が」そう言いながら涙を流した。田中は次に田向の妻を知っている女性に話を聞いた。洒落たカフェでオーナーとして働くその女性はかつて田向の妻がまだ夏原と名乗り学生をしている時出会った大学の同期だった。誰からも羨ましがられる美貌と人望を備えた完璧な女性、それが夏原だった。しかし完璧が故彼女を好む人間もいれば嫌う人間もいた。カフェオーナー宮村もその一人であった。もちろん始めは皆その人柄に惹かれた、しかし次第にそれが嫌悪に変わる。それは学生当時宮村と付き合っていた尾形も証言していた。彼は当時の宮村を彼女に対する嫉妬心の塊と言っていた。そして宮村から夏原へと乗り換えたのだ。
愚行録のネタバレあらすじ:3.掲載
結局犯人の特定に至らないままその記事は連載された。そしてすぐ別の取材の仕事が入った。しかしその夜会社に一本の電話が入る。女性の声で語られるその内容を田中は静かに聞き入った。「田向さんはそんな人じゃない、私は犯人を知っている」。待ち合わせ場所は都市部から遠く離れた田舎町。そこにいたのは稲村という小さな赤ん坊を連れた女性だった。彼女は田向と大学時代に付き合っていた。しかしその当時の話に田中は驚きを隠せなかった。田向が彼女に近づいたのは彼女の父親が社長を務める会社に入るためだった。さらに同じ大学の別の女性にも同じ目的で近づいた。田向は利用していたのだ。そして結局二人の父親の会社には入らず自らの力で当時の会社に入社したという。私達は一体なんなのか、稲村はそう言っていた。彼には殺される理由も人間もしっかり存在していた。
愚行録のネタバレあらすじ:4.過去
ある日田中は妹の弁護士に呼び出された。彼女は確認したいといい田中と妹の過去を話し始めた。その上でまだ知らない過去の事実を知りたがった。それが妹を救うことに繋がると信じ。田中兄妹は物心ついた頃に家を出た。母は再婚し子供を授かり暮らしている。実の父親は今でもその行方を知らなかった。その父親に妹は性的暴行を受けていた。それが何年か続いたある日の夜、妹の叫び声が聞こえてきた。そして気付いた時田中は父親に馬乗りになり殴りかかっていた。その翌日彼は家から姿を消した。分からないのは妹が虐待していたという子供の父親だった。それは兄である田中にも教えてくれないのだという。弁護士と話しをしている最中田中の携帯が鳴った。電話の相手はあのカフェオーナー宮村だった。田中はすぐに彼女と合流、宮村は犯人に心当たりがあると言った。
愚行録のネタバレあらすじ:5.怒り
宮村は当時の様子を語り始めた。当時夏原と仲良くしていた一人の女の子。その子は家柄こそ普通だったが夏原の目に留まり頻繁に誘われるようになっていた。しかし次第にエスカレートしついには男に遊ばれるだけの存在となっていたという。そしていつしか誰からも見向きもされなくなり大学から姿を消した。その女性はつい最近自分の子供を虐待したとして逮捕されたという。宮村は夏原を嫌いながらもその女性に対しても冷たかった。そして田中は店にあった置物で宮村を殴り殺した。
愚行録のネタバレあらすじ:6.独り言
精神鑑定をされているのか田中光子は真っ白な部屋で座っていた。そして当時の事を思い出していた。憧れの大学に入り新しい人生を歩もう、これまでの過去を忘れ良い人生を送るのだ。光子はその大学で運命的な出会いをする。夏原という美人で聡明で誰もがうらやむ一人の女性、光子もまたこの女性に憧れていた。いつしか憧れは現実になり夏原に誘われることが多くなった。いつも周りにはたくさんの人がいた。皆光子とは違う家柄なのだと最初から分かっていたが夏原は家柄で人を選ばないのかいつも光子に声を掛けた。しかしいつかし光子は男に呼ばれることが多くなっていることに気付いた。そして大学には行かなくなった。それから何年か経ったある日光子はデパートで娘を連れた夏原を見かけた。変わらず綺麗なその容姿に見とれながらすれ違いざまに彼女に微笑みかけた。しかし気付いていたのかいないのか夏原は光子を無視した。そして光子は彼女を追った。辿り着いた立派な家でハンサムな夫と娘、3人で暮らす幸せそうな夏原。光子は裏口から入り包丁を手に取り一家を刺殺した。
愚行録のネタバレあらすじ:7.父
部屋に医者が戻ってきた。突然の電話で席を立っていたその医者は光子の独り言が聞こえたようだ。内容までは分からなかったらしいすぐに先ほどの電話の話になった。光子の子供がつい先ほど息を引き取ったという。それを聞いた光子は笑うしかできなかった。光子の弁護士はその事実を光子の実の母親に知らせにいった。そこで聞いたのは光子の兄から聞いたものとは違っていた。当初光子の子供の父親は光子の実の父親だと思っていた。しかし母親の証言でそれは覆された。光子は兄とも関係を持っていた。
愚行録の結末:秘密
光子と面会に来た兄武志は子供の事を酷く悔やんでいた。しかしそんな兄を前に光子はどこか楽しそうだ。そして兄にこう言った。私は秘密が大好きだと、二人だけの秘密だと。
以上、映画「愚行録」のあらすじと結末でした。
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