モヒカン故郷に帰るの紹介:2015年日本映画。バンド活動に行き詰った永吉は恋人との結婚を報告するために故郷の島へ帰る。七年の不在を埋め合わせるべく始めたモヒカンの親孝行はうまく行くのか?
監督:沖田修一 出演者:松田龍平(田村永吉)、柄本明(田村治)、前田敦子(会沢由佳)、もたいまさこ(田村春子)、千葉雄大(田村浩二)、木場勝己(竹原和夫)、美保純(会沢苑子)、小柴亮太(野呂清人)、富田望生(清水さん)、ほか
映画「モヒカン故郷に帰る」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「モヒカン故郷に帰る」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「モヒカン故郷に帰る」解説
この解説記事には映画「モヒカン故郷に帰る」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
モヒカン故郷に帰るのネタバレあらすじ:起・モヒカン、彼女をつれて帰郷
永吉(松田龍平)は東京で断末魔というインディーズバンドのボーカルをしていた。仲間はそろそろ堅実な道をそれぞれに歩もうとしていた。永吉も恋人の由佳(前田敦子)に結婚をせっつかれて、その報告のため久々に故郷の小さな島に帰った。父は吹奏楽部のコーチをしていて、生徒からは矢沢永吉の曲は渋すぎると文句を言われるが、それでも演奏させようとする生粋の矢沢ファンだった。
父(柄本明)、母(もたいまさこ)、弟(千葉雄大)が彼女を連れて帰って来た永吉を迎えるも、なかなか会話が弾まない。父は永吉が東京でなにがしか大物になって帰ってくることを望んでいたが叶わず、由佳の収入で食べている事を知ると怒った。しかし今は由佳も妊娠し、仕事をやめていた。
今回の帰郷は二人の結婚報告だった。はじめこそ怒っていた父だが、息子の帰郷をネタに、近所の島から仲間を呼び集め、その晩は大いに盛り上がった。ところが、夜半、父が板の間で苦しんでいるのを永吉が見つけて病院に運び込まれた。
モヒカン故郷に帰るのネタバレあらすじ:承・父、倒れる
父は末期のガンで、手の施しようがなかった。家族は父にはガンを悟らせまいと振舞うが、病院に父を残して帰宅した母は、台所でアジを捌きながら泣き出し、料理下手な由佳が代わりに動画を見ながら捌くのだった。
自分の病状を知らされない父は、屋上で永吉と煙草を吸いながら「東京に帰れ」と言う始末。そして、吹奏楽部のコーチを続けるべく、病院の屋上から目と鼻の先にある中学校の部員を屋上に出して練習させた。そして、その中でもトランペットの少年が見舞いに来た時に稽古をつけるも、逃げ出された。永吉は逃げ出した彼を乗せて送っていく道中、なかなか素直になれない事に対して『一緒にいるだけでいいんじゃないのか』と言われた。そして一度は由佳と東京に帰ろうとするも、実家に戻って改めて親孝行をしようと決心した。
モヒカン故郷に帰るのネタバレあらすじ:転・矢沢永吉に会いたい
自宅療養になった父のやりたい事をかなえようと、永吉は奮闘する。本土からピザを運び、吹奏楽の部員にはロック調になってしまった矢沢永吉の曲をスマホ越しに聞かせた。しかしなかなか親孝行はうまく行かない。父を車椅子に乗せ、母、由佳とともに海を訪れた永吉が、父と話していると、どうやら記憶がおぼろげになってきたのか、永吉にまだ中学生だったの永吉の事を話し始める。父は、トランペットをやっていた永吉が東京へ行き、ビッグになって帰ってくることを望んでいた。
その夜、父の「永ちゃん(矢沢永吉)に会いたい」という願いを叶えるべく、永吉は白いスーツに白いハットを被り、眠る父親の枕元に立って話しかけた。矢沢がやって来たと信じた父は、感激して叫んだ。
モヒカン故郷に帰るの結末:父、結婚式に参列
翌日、父は「結婚式が見たい」と頼んだ。おそらく最後の願いになるだろうそれを叶えようと、島総出で結婚式の準備が進められた。会場は医師がいつでも対処できるように病院を会場とした。飾りつけは折り紙。演奏は父がコーチをしていた吹奏楽部。
しかし、結婚式当日は大雨でフェリーが欠航し、神父さんが来れなくなってしまう。そこで、入院していたシスターに急遽、式の進行を頼んで始まった。父は正装をしてベッドに横たわったまま結婚式に参列。しかし父は式を見届けることなく、亡くなってしまった。
数日後、永吉は東京に帰ることにする。母はたくさんの土産を持たせ、弟はお父さんが入っているからと缶を渡した。揺れるフェリーの中で永吉は由佳の大きくなったお腹に耳を当てる。エンドロール、そして、島の風景が映し出されるのだった。
以上、映画「モヒカン故郷に帰る」のあらすじと結末でした。
モヒカン故郷に帰るのレビュー・感想:モヒカンの再出発の仕方
この作品のタイトルは文字通り「モヒカン故郷へ帰る」。冒頭を見ると、東京で一旗あげようとしていた若者が夢破れて故郷へ帰る、まさにタイトルどおり。映画なのだから再出発するだろうと言う観客の期待は、父が代弁し、東京へ戻ることを促す。それを見事に裏切るのが当の本人永吉による親孝行。彼はひとつひとつ父親が望むことを不器用ながら彼なりの方法で叶えて行く。それは親孝行をやりきるまでは戻らないという彼なりの意地では無いだろうか。さらに、父が永吉に言った「東京に帰れ」という言葉も気になってくる。父親にとって、永吉のいるべき場所は生まれ育った島ではなく、ビッグになる夢を持って出て行った東京なのではないだろうか。だからこそ、行けでも戻れでもなく「帰れ」と言う言葉を使ったのではと思える。
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