猫なんかよんでもこない。の紹介:2015年日本映画。杉作の実話をもとにした、通称「猫よん」と呼ばれている人気同名漫画を原作とした実写映画です。「いつからかコイツらとオレは家族になった。」というキャッチコピーで、ひょんなことで2匹の捨て猫を飼うことになった猫嫌いの不器用なプロボクサーと、その2匹の猫たちとの日常をユーモラスな台詞回しとソフトなタッチで描いた、感動のアニマル映画です。主演はNHK連続テレビ小説『純と愛』(2012年)や『映画・鈴木先生』(2013年)などの演技派若手俳優の風間俊介で、原作者の杉作が食堂のおやじ役でカメオ出演しています。
監督:山本透 出演:風間俊介(杉田ミツオ)、つるの剛士(兄貴)、松岡茉優(ウメさん)、内田淳子(兄貴の奥さん)、矢柴俊博(医者)、市川実和子(大家さん)、
映画「猫なんかよんでもこない。」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「猫なんかよんでもこない。」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
猫なんかよんでもこない。の予告編 動画
映画「猫なんかよんでもこない。」解説
この解説記事には映画「猫なんかよんでもこない。」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
猫なんかよんでもこない。のネタバレあらすじ:1.プロローグ:2匹の捨て猫
ある晴れた早朝、20代後半のB級プロボクサー・杉田ミツオは、日課のロードワークをしていると、家の近くでふと猫の鳴き声を聞きました。見ると電柱の下に「きょうだいの子猫です。どなたか拾ってください」と書き込まれた段ボールがあり、その中には生後間もない子猫が2匹いました。2匹の可愛い子猫は、しきりに鳴いていました。ミツオは気にはなりましたが、その捨て猫を見捨て、家に帰りました。家に帰ると、遅れてミツオの兄貴が帰ってきました。兄貴はあの捨てられた2匹の子猫を、抱いて帰って来ました。猫嫌いのミツオは驚き、唖然としました。そんなミツオを尻目に、兄貴は勝手にその2匹の猫に名前をつけました。1匹は黒猫で雄だったので「クロ」と、もう1匹は白と黒の毛並みで小さく雌だったので「チン」と名付けました。マンガ家の兄貴はミツオに「後は頼んだ」と言い、仕事に入りました。そのマンガ家の兄貴に、ミツオは文句を言いました。すると、兄貴はミツオに「払うか?家賃」と言ってきました。ミツオは返す言葉がありませんでした。ミツオはボクシングに真面目に取り組んでいました。ミツオはあと1勝でA級ライセンスを取れるところまで来ていました。ミツオは今までバイトをしながら、ボクシングの試合に出場していましたが、A級ライセンスと勝ち取るため、ボクシングに専念するため、バイトを辞めて兄貴のアパートに居候していました。兄貴に頭が上がらないミツオは、こうして、この2匹の猫のお世話係をすることとなりました。
猫なんかよんでもこない。のネタバレあらすじ:2.勝利を招く猫
猫嫌いのミツオは仕方なく、クロとチンの世話をしますが、ミツオが呼んでも猫は来ません。そのくせ、ミツオが来てほしくない時に限って、クロとチンはまつわりついてきました。しかも、猫たちはキッチンの床に大小便をして汚し、ミツオが寝ようとすると布団の中に勝手に入ってきたり、枕元でじゃれ合ったりし、ミツオの睡眠妨害をし、大いに悩ませました。ミツオは猫の心理が分からず、2匹の猫を鬱陶しく思い、戸惑いながら、世話をしました。そんなある日、ミツオがロードワークに出ようとしたとき、偶然、アパートの中年女性の大家さんに、猫を飼っていることがばれてしまいました。大家さんは2階の住人からから「猫の鳴き声がする」と言われて、探したのでした。猫好きの大家さんは、猫の飼い方を知らないミツオたちに、トイレの設置方法から、猫の仕草などから分かる猫の心理が教えました。かつて、自宅で犬を飼っていたミツオにとっては、とてもありがたい情報でした。ミツオの手の中で、チンが前足を交互に踏むような仕草を、大家さんは子猫が母猫のお乳が出るように揉む仕草だと説明しました。大家さんは幼い頃に母猫から引き離された子猫には、この癖が残ることを教えました。それを聞いていた兄貴は「こいつらも重いモノしょったんだな。こいつらお前のこと、母親と思ってるんじゃねえ?」とミツオに言いました。翌朝、ミツオが朝、ロードワークに出ようとすると、猫たちは一緒について出てきました。ミツオは全力疾走して何とかして猫たちを振り切りました。しかし、道路に出て車の多さに気がついたミツオは、猫たちが心配になり、ロードワークを途中で切り上げ、家に帰りました。家には猫たちがじゃれ合っていました。ミツオの心配は徒労に終わりました。そんなミツオは、猫たちと共に暮らしているうち、徐々にクロとチンを可愛く思えてきました。猫たちは明らかに兄貴よりもミツオになついていました。ある日、大家さんが猫たちに差し入れを持って来ました。そこでミツオは母親だと思い自分の指だけを舐めると思って猫たちが、大家さんの指も舐めるを見て、がっかりしました。大家さんはそんなミツオに、「猫が人間の指を舐めるのは、塩分摂取のためなんだって」と説明しました。猫たちとの奇妙な生活を送りながらミツオは、試合に向けて猛練習をしました。そして、一ノ瀬純とのボクシングの試合でミツオは、顔面をボコボコに殴られながらも勝利を獲得しました。ミツオは晴れて、念願のA級プロボクサーへ仲間入りしました。ミツオはこの勝利はこのクロとチンの御利益だと思いました。
猫なんかよんでもこない。のネタバレあらすじ:3.ミツオの悲劇
ところがボコボコに殴られたミツオは、その後、衝撃的な事を宣告されました。ミツオは医師から「網膜裂孔」との診断を下されました。医師はミツオに「このままボクシングを続けていると、二度と目が見えなくなる」と言われました。ミツオのボクシングを辞め、夢砕かれて、絶望しました。そんなミツオを見た兄貴は、ミツオに小遣いを渡し、「外に出て、腹一杯食って、遊んでこい」と励ましました。目標を失ったミツオは今後の生き方について悩みました。マンガ家の兄貴は「お前さ…マンガ描けば?…子供の頃、俺よか上手かったじゃん」とミツオに言いました。ミツオは、「やっぱ、持つべきものは兄弟だよな~」と言い、兄貴の行為に感謝しました。ミツオはクロとチンに「兄弟にしか分からないことがあるよな~」と話しかけました。その数日後、突然、その兄貴がアパートを出ることになりました。兄貴はマンガ家をあきらめて、結婚し、妻と共に田舎に帰っていきました。何の相談もなく一方的に出て行く兄貴にミツオは憤りましたが、仕方なくアパートにクロとチンと共に残り、暮らしていくことにしました。兄貴が残していった貯金は約20万、家賃は4万円でした。これでは生活できないと思ったミツオは、すぐに職探しを始めました。そんなある日の夜、ミツオは猫用のマグロ缶と、自分ようのサバの水煮を買いました。チンとクロにそのマグロ缶を食べながらも、チンはミツオのサバの水煮を欲しがりました。ミツオはためしに、猫用のマグロ缶を少し食べてみました。それは結構おいしいものでした。その翌日、金欠のミツオはグレードを落とし、安いシラス缶を買って来ました。しかし、猫たちはその臭いを嗅ぎ、ひと嘗めすると見向きもせずにスルーしました。
猫なんかよんでもこない。のネタバレあらすじ:4.成長したクロとチン
成長し大人になったチンとクロは、家から外に出ると、夜まで帰って来ないことが多くなってきました。ある日の夜、ミツオは家に帰ると、猫たちはいませんでした。ついに猫からも見捨てられたかと思いつつミツオが、チンとクロを探していたとき、公園でメガネをかけた若い女性と出会いました。チンとクロを抱いたその女性はミツオに「外飼いはお勧めできません、不衛生ですから。…あと避妊と去勢手術をしてください」と言って去って行きました。チンは気が強く、好奇心旺盛でやんちゃなメス猫と成長していました。逆に、クロは臆病で甘えん坊のオスの黒猫となっていました。チンは近所の猫たちと仲間になり、ちょくちょく一緒に遊びに出かけていきました。一方、クロは家から出ず、ミツオに甘えてばかりいました。ある日、近所のボス猫・バロックを見つけたミツオは、自分がプロボクサーになれなかった夢をクロに託そうと、家の中でトレーニングをしようとしました。しかし、クロは全く応じませんでした。そんなクロにミツオは「厳しくないと強くは成れねえ。俺がお前を鍛えてやる。お前はボスになるんだ」と話しかけ、強引に家から出しました。しかし、クロは家から離れようとしませんでした。ある日、ミツオは神社の境内で、ボス猫のバロックとチンが一緒にいるところを目撃しました。ミツオはチンに避妊手術をしようと考えました。避妊手術は2万2000円と聞いたミツオは実家の兄貴に連絡し、事情を話してお金を借りました。そしてミツオは、川口獣医病院に行き、チンに避妊手術を施しました。避妊手術後、チンは近所のオス猫たちから相手にされなくなりました。チンはほとんど外に出なくなりました。そんな淋しそうなチンを見て、ミツオは人間の身勝手な考えで避妊手術をチンにした罪悪感にとらわれました。その頃からクロが変わり、頻繁に外に出かけるようになりました。家に帰って来たクロは、喧嘩した後なのか、噛み傷や切り傷があり、ミツオは、今度はクロを連れ、川口獣医病院へ駆け込みました。エリザベスカラーをつけて退院したクロに、ミツオは当面外出しないように命じますが、クロはそれを無視し、何度負けても再び戦いに赴きました。そんな「自分と闘っている」クロの姿を見たミツオは、一念発起し、幼稚園の給食センターで仕事を始めました。ミツオはそこで偶然、夜の公園で出会った女性と再会しました。彼女は管理栄養士の梅沢さんで、通称「ウメさん」と呼ばれていました。ウメさんと親しくなったミツオは、チンとクロの相談をしました。その後、クロは負傷しながらも、近所の猫たちと喧嘩をして、とうとう近所のボス猫となりました。ミツオは嬉しく思いました。ある日、ボスとなったクロは、ミツオに捕らえて殺したトカゲをお土産に持って来ました。ミツオはクロの恩返しだと思いつつ、ウメさんにその意味を聞くと、「自分より下のものに、狩りの仕方を教えているらしい」という答えが返ってきました。クロからいつの間にか、格下に思われるようになったミツオは、落胆しつつも、頑張らねばと思いました。
猫なんかよんでもこない。のネタバレあらすじ:5.クロの死
「ちくしょう~、やってやろうじゃねえか!」と言い、家に帰り一念発起したミツオは、マンガ道具一式を買いそろえ、マンガを描き出しました。ミツオは「クロだってボスに成れた。俺はマンガで世界チャンピオンになる!」と兄貴に宣言し、燃えました。ミツオはバイトと掛け持ちをしながら、一心不乱にマンガを描きました。そして、ついに出来上がった原稿を投稿しました。いくら待っても出版社から連絡は来ませんでした。業を煮やしたミツオは出版社に電話をかけると、「受賞したら、こちらから電話をかけますから」と言われました。結果は落選でした。その頃、クロの様子がおかしくなりました。病院で医師に診てもらうと、クロはいわゆる猫エイズに感染していることが分かりました。感染した猫と喧嘩が原因のようでした。既に免疫不全に陥っていていたクロは、猫エイズを発症していました。クロの余命は幾ばくもありませんでした。ミツオは自分の身勝手な思いでクロを近所のボスにしたいと思い、クロを焚きつけて喧嘩に仕向けていった自分を責め、悔やみ、涙を流しました。ミツオは、昼は給食センターで仕事をしながら、夜はマンガを描き、そしてクロの看病をするという毎日を送りました。「俺も絶対チャンピオンになるからな」と呟き、ミツオはボクシングのマンガを何度も投稿しますが、悉く落選しました。給食センターでの仕事とマンガ、そしてクロの看病に疲れたミツオは、ある日、ついクロを責めてしまいました。我に返ったミツオはクロを抱きしめ、泣きながら謝りました。ミツオは疲れ果て、ノイローゼ気味に陥っていました。そんなある日、クロが久しぶりに外に出ていきました。夕方に戻ってきたクロは、疲れた様子で横たわったまま苦しみ始めました。ミツオはそんなクロを眠ることなく、見守りました。チンは静かにその様子をじっと見つめていました。翌朝、クロは静かに息を引き取りました。クロを亡くして自分を責め、落ち込むミツオを慰めかのように、チンはじゃれついてきました。ミツオはウメさんにクロの死を報告しました。するとウメさんは「猫は飼い主を自分で決めるそうです。…残された人はあれこれ考えちゃうけど、…たぶん猫はもっと自由に生きてますよ。…一緒に過ごした時間、幸せだったでしょ。それでいいんです」ミツオに語り、慰めました。
猫なんかよんでもこない。の結末:6.エピローグ:『猫なんかよんでもこない。』
ミツオとチンだけの生活となったある夜、クロがずっと好んで座っていたテレビの上に、チンが同じポーズで座っていました。その時、ミツオはふと思いつきました。それは猫をモチーフにしたマンガを描くことでした。早速、ミツオはマンガを描き始めました。ミツオはチンとクロとのこれまでの生活を描きました。それは四コママンガでした。ミツオはそのタイトルに『猫なんかよんでもこない。』とつけ、出版社に投稿しました。チンを抱き、ミツオは近所のポストに投函しに行きました。ミツオはなぜか穏やかな気持ちに包まれました。ミツオは公園でウメさんと会い、「ボクシングやマンガも俺のこといらないと言ったけど、あいつらは多分オレのこと必要としてくれた…特別な猫だった…」とミツオはウメさんに告げました。しばらく仕事を休んでいたミツオに、ウメさんは自前の弁当を差し入れてくれました。家に帰り、ミツオは、ウメさんの弁当を食べた後、昼寝をしました。ぶらっと家を出ていったチンは夕方に家に帰ってきました。チンは捕まえた土産のトカゲを床に置き、眠っているミツオの横で丸くなりました。すると、電話が鳴りました。しかし、熟睡していたミツオは起きませんでした。留守電に切り替わった電話に、出版社の編集部の人から「お送りいただいた原稿の件なんですが…」というメッセージが入りました。ついにミツオのマンガが認められたのでした。
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