オーバー・フェンスの紹介:2016年日本映画。佐藤泰志の小説「黄金の服」に収録された短編の映画化。今作は、「海炭市叙景」(2010)、「そこのみにて光輝く」(2014)に続く「函館3部作」の最終章となる。函館の港町。人生につまずいた中年男と、愛を渇望する風変りな若い女が出会う。惹かれ合いながらも、互いの心を傷つけることでしか解り合えない。そんなやるせない関係を描いたラブストーリー。佐藤の実体験をもとに書かれたとも言われている。
監督:山下敦弘 出演者:オダギリジョー(白岩義男)、蒼井優(田村聡)、松田翔太(代島和久)、満島真之介(森由人)、北村有起哉(原浩一郎)、優香(尾形洋子)ほか
映画「オーバー・フェンス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「オーバー・フェンス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
オーバー・フェンスの予告編 動画
映画「オーバー・フェンス」解説
この解説記事には映画「オーバー・フェンス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
オーバーフェンスのネタバレあらすじ:起
東京にいる妻子と離れ、生まれ故郷の函館で独り暮らしをする白岩義男(オダギリジョー)。失業保険で生活しながら、職業訓練校で大工になるための勉強をしています。共に学ぶ仲間達は年齢も異なり、さまざまな人生を抱えています。
ある日、白岩は道端で痴話げんかしている若い女性と中年男性を見かけます。何やら腹を立てている女性は、ダチョウの愛情表現だと言って両腕を広げ、いきなり大袈裟に回り始めます。白岩は呆気にとられてその場を去ります。
白岩の両親や妹夫婦は、故郷に戻った彼のことを気にかけています。しかし白岩は身内を遠ざけ、学校を往復するだけの単調な日々に敢えて身を置いているようです。ある晩、訓練校で一緒の代島(松田翔太)に誘われた白岩は、雑居ビルにあるクラブへ入ります。店内には、客を放ったらかして奇妙に踊るホステスが1人。よく見るとダチョウの真似をしていたあの女性です。彼女は代島の知り合いで、名前を田村聡(蒼井優)といいました。
オーバーフェンスのネタバレあらすじ:承
店を出た白岩に聡が声をかけ、強引に車で家まで送り届けて去って行きます。真っ暗な部屋に戻った白岩は、妻の父親から届いた手紙を読み返します。義父は、娘と孫を白岩のもとに返す気はないと書いていました。白岩が手紙を燃やして外へ出ると、帰ったはずの聡が戻って来ています。
2人はコンビニにビールを買いに行きますが、会話しているうちになぜかいきなり腹を立てた聡は、白岩を置いてさっさと帰ってしまいます。代島は、聡は変わり者で誰とでも寝る女だと言います。
白岩は聡のことが気になり出し、バイト先だという遊園地へ会いに行きます。やる気なさそうにアトラクションを操作している聡でしたが、白岩を動物エリアへ連れて行くと鳥の求愛を真似てみせます。不思議な聡に白岩は心惹かれます。聡は白岩を自分の家に誘います。
しかし彼女は白岩に隠れて何かの薬を飲み、いきなり全裸になって台所で体を洗い出すのです。こうしないと体が腐る気がすると言う聡に、白岩は驚きを隠せません。聡は白岩に抱きつくと唇を重ね、2人はそのまま結ばれます。
オーバーフェンスのネタバレあらすじ:転
真夜中に起きた聡は、白岩が結婚指輪をしていることに腹を立てます。仕方なく白岩は過去を語ります。子供が生まれた半年後、会社から帰ると、妻が子供の顔に枕を押し付けていた。仕事人間の自分は妻の苦しみに気づかなかったと。それを聞いた聡は、奥さんがおかしくなったのはあんたのせいよとやみくもに責め立てます。カッとなった白岩も言い返し、聡に部屋から追い出されます。
そんな中、白岩は訓練校の仲間達のさまざまな人生も垣間見ます。妻子と平穏に暮らす人当りのいい原(北村有起哉)は元ヤクザですし、物静かな青年の森(満島真之介)は不器用で授業について行くのがつらそうです。校内ソフトボール大会の選抜メンバーからも外された森は、体育館で暴れ出し、皆に取り押さえられ、その後、学校を去って行きます。
ある晩、白岩の部屋の前に聡がしゃがみこんでいました。店に同伴してほしいと言う聡に、白岩は微笑み、日曜日にやるソフトボール大会を見に来ないかと誘います。
オーバーフェンスの結末
白岩の妻、洋子(優香)が函館にやって来ました。フェリーの上で久々の再会を果たす2人。洋子は、子供のために今後も連絡を取り合いたいと言いますが、復縁する気はなく、白岩に結婚指輪を返します。白岩は思わず泣き出してしまいます。その姿を離れた場所から聡が見つめていました。
その日から聡は白岩を避け、バイト先に来た白岩に向かって奥さんに謝れと叫びます。そして次々と檻を開けると、動物達を外へ逃がそうとします。白岩は聡に電話し、正直な気持ちをぽつぽつと伝えます。お前は自分のことをぶっ壊れていると言ったけれど、俺はぶっ壊すほうだからお前よりひどい…。
白岩の中で何かが変わったのか、様子を見に来た義弟に、父親と会うことにするよと言います。そしてソフトボール大会の日。中盤を過ぎても聡の姿はなく、彼女のためにホームランを打つつもりでいた白岩の心は曇ります。ツーストライクを取られて沈んだ気持ちの白岩に、車から降りてくる聡が見えました。聡は大きな笑顔で手を振っています。白岩が力いっぱいバットを振り、ホームランを打ちました。
以上、映画「オーバー・フェンス」のあらすじと結末でした。
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