リップヴァンウィンクルの花嫁の紹介:2016年日本映画。「花とアリス」で有名な岩井修二が手掛けた、現代女性の結婚と自立を描いた作品。二人の女性が運命的出逢いを果たし、心を通い合わせてゆくがラストが切なくも温かい。
監督:岩井俊二 出演:黒木華(皆川七海)、Cocco(里中真白)、綾野剛(安室行舛)、金田明夫(皆川博徳)、毬谷友子(皆川晴海)、地曳豪(鶴岡鉄也)、原日出子(鶴岡カヤ子)、リリィ(里中珠代)、夏目ナナ(恒吉冴子)、和田聰宏(高嶋優人)、ほか
映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
リップヴァンウィンクルの花嫁の予告編 動画
映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」解説
この解説記事には映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
リップヴァンウィンクルの花嫁のネタバレあらすじ:起
派遣先から紹介された中学校で臨時教師をしている皆川七海(黒木華)。彼女は声が小さい事で教え子たちから馬鹿にされる気弱なところがあります。教員の正式採用を目指してコンビニでバイトをし、家ではネットを介して登校拒否をしている女子児童との授業も行っている七海。
七海はネットで知り合った鉄也(地曳豪)とたいした交際を重ねることなく結婚を決め、結納を交わしました。そして結婚式へ向けて準備をすすめる中で、七海の招待客が極端に少ないことに驚く鉄也。この時に七海は、思い切って教師を辞めることを伝えました。
実は生徒たちの悪ふざけがきっかけで仕事をクビになったのですが、結納の時に鉄也の母親から仕事を辞めるよう促されたことで教師を辞めると嘘を付く七海。鉄也は、「何で相談してくれなかったんだよ…」と不機嫌になり、結婚に対して七海はだんだんと憂鬱に感じ始めます。
七海は結婚式の参列者を代理で引き受けてくれる、何でも屋の安室(綾野剛)に疑似親戚の依頼を頼むことにしました。結婚式には安室を含めた疑似の参加者が多数参加し、2人は無事結婚式を挙げることができました。
表向きは寿退社ということで会社を辞めた七海は、これからは平穏な結婚生活を送れると思っていましたが、そんな矢先、部屋に自分のものではないイヤリングが落ちていることに気が付きます。困った七海は再び安室に浮気調査を依頼し、家に帰ってくるとそこへインターホンが鳴ります。見知らぬ男から「あなたの旦那は自分の恋人と浮気をしている」と言われ、男を家にあげて詳しく話を聞く七海。
男の彼女は鉄也の元教え子で、同窓会で再会して男女の関係となったと説明します。動揺する七海は、仕事から帰った鉄也に浮気の話を切り出すことはできず、その後、男にホテルに呼び出されることとなった七海。男は「彼女とは別れた」と言い、鉄也へ償わせるために七海を無理やり抱こうとします。怖くなった七海はシャワーを浴びるふりをして、安室に助けを求めました。
リップヴァンウィンクルの花嫁のネタバレあらすじ:承
ホテルへやってきた安室を迎え入れる男。「もうアドリブだけでは限界。帰っていい?」と言って、男はそそくさと部屋を出て行きます。その後、安室は部屋に仕掛けられていた隠しカメラを回収し、七海を助けたフリをしました。
後日、鉄也の母から結婚式の代理出席について問い詰められる七海。七海の両親が離婚しているのことを秘密にしていたことも咎められ、七海は悪気はなかったと謝ります。しかし男とホテルにいた隠しカメラの映像を見せられて、浮気をしていると疑いの目を向けられる七海。「浮気をしているのは鉄也さんです!」と言いますが、義母は話を聞こうともせず、離婚するよう言い渡します。
翌日、七海は鉄也から電話で、家からも出て行くよう命令され、たくさんの荷物を抱えて家を出た七海は、古びたホテルに泊まることにしました。そこでベットメイキングの仕事をしながら滞在することとなった七海。
浮気調査をしていた安室は、義理の母が雇った「別れさせ屋」にはめられたのだろうと七海に話します。鉄也は典型的なマザコンで、母親と豪華なホテルで食事をしたり、七海がいない時には勝手に母親が部屋に入っていたのだろうと推測する安室。安室はホテルを出てアパートに引っ越すよう促し、結婚式の代理出席のバイトを紹介してくれました。
後日、結婚式に出席した七海は、そこで売れない女優の里中真白(Cocco)と出会います。意気投合した二人はSNSを交換し、その後飲みに行きました。しかしその帰り道、七海は真白を見失います。七海は交換したSNSにメールをしますが、真白から返事はありませんでした。
リップヴァンウィンクルの花嫁のネタバレあらすじ:転
ホテルに滞在していた七海は、安室から100万円稼げる住み込みのメイドのバイトを紹介されます。半ば強引に大きな屋敷に連れて行かれる七海は、誰も住んでいない豪邸の掃除をしながら生活することとなりました。
オーナーは海外で生活しており、もう一人屋敷には住み込みで働いているメイドがいると言われる七海。家の中は物が溢れており、衣装もたくさんあって、七海はこれからこの屋敷で暮らすことにワクワクしています。
その日はベッドで眠ってしまった七海が目を覚ますると、目の前には真白がいました。もう一人のメイドとは真白のことで、久しぶりの再会を喜ぶ二人。クラゲやサソリ等、毒のあるペットの世話をしながら、家の掃除などをする七海。一方の真白は、女優の仕事で外出することが多く、夜は遅くに帰ってきます。真白との穏やかな生活を送り、七海は楽しく時を過ごしていました。
そんな時、真白が熱を出して寝込んでしまいます。そこへ真白の電話が鳴りました。七海が代わりに電話に出ると、ツネヨシと名乗る女性が「現場はもう始まってるよ!」と怒っています。七海は真白に熱があることを伝えると、家へツネヨシがやってきて、高熱にうなされる真白を病院へ連れて行くことになりました。
その時に、七海が真白をおんぶするのですが、あまりの軽さに七海は驚きます。病院へ連れて行く車中で「現場へ行く!」と騒ぎ出す真白。しかたなく現場へと向かいました。真白がAV女優であること、そして実は真白こそが屋敷の主人だと知り、ショックをうける七海。
安室に電話で真相を確かめると、「友達が欲しい」と真白から依頼を受けたと安室は告白し、七海は事の真相を知るのでした。
リップヴァンウィンクルの花嫁の結末
夜になり、点滴を打った真白が帰っています。ぐったりしている真白は、そのままソファーで寝てしまい、七海も付き添ってその場で寝てしまいました。目を覚ますとクラゲを眺める真白が酒を飲みながら薬を飲んでいます。七海は「この仕事を辞める」と言い出し、高価な家賃を払ってまで自分を雇わず、もっと自分を大切にしてほしいと伝えました。安い部屋を借りて2人で暮らそうと提案し、後日七海は真白と住むための部屋を内見してまわります。
その後、ウエディングドレスのお店にふらっと立ち寄った二人は、ウェディングドレスを試着して記念写真も撮ってもらいました。そしてその恰好のまま家に帰り、パーティーを楽しむ二人。真白は「幸せだらけの世界は耐えられない…」と泣きながら言います。戸惑う七海に、真白は「幸せはお金で買うほうが楽だ!」と言い、そんな真白を七海は優しく抱きしめるのでした。そのままベットで寝てしまう二人。
その翌朝、安室が屋敷にやって来ると、真白から依頼された葬儀屋が家の前で待っていました。二人で家に入ると、ベッドに横たわる冷たくなった真白の姿がありました。実は末期癌に侵されていた真白は、一人で死ぬのが怖いと安室に依頼し、七海を雇っていました。
安室は、七海も真白と一緒に毒のある貝を触って自殺したと思っていたのですが、急に起き上がった七海を見てビックリします。何も知らない七海は真白が死んでいると知って驚き、取り乱します。そんな七海に安室は、「真白から自殺するというメッセージを受け取って、自分は急いで駆け付けたのだ」と嘘をつき、何とか落ち着かせようとするのでした。
葬儀がとり行われ、落ち込む七海。一年前から胸にしこりがあると真白はわかっていたにもかかわらず、手術を受けませんでした。AV女優として人生を全うした真白の覚悟を知った七海は、真白のいなくなった屋敷に戻ります。
後日、安室と共に10年前から絶縁状態の真白の母のもとを訪れる七海。遺骨を受け取ることを拒否する母親は、真白の残した財産を受け取り、淡々と書類に判を押していきます。その後、真白との思い出を語り出す母親は、服を脱ぎだし「やっぱり人前で、裸なんて恥ずかしいだけだ…」と泣き出します。すると安室も同じように泣きながら裸になり、七海も涙を流しながら三人で酒を酌み交わし、真白を偲ぶのでした。
屋敷を出てアパートを借りた七海。粗大ゴミから家具を調達してきた安室から使えそうな家具をもらい、「最後の給料です」と言って茶封筒を受け取ります。新たな生活を始める七海は、前を向いて生きていくのでした。
以上、『リップヴァンウィンクルの花嫁』のネタバレあらすじと結末でした。
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