聖の青春(さとしのせいしゅん)の紹介:2016年日本映画。原作は大崎善生さんの「聖(さとし)の青春」。18年まで実在した天才棋士・・村上聖(1969~1998年:享年29歳)のフィクションを交えた、最後の4年間を映画化。幼少期からの難病と闘いながら棋士の道へと進んだ村山の壮絶な人生を描く。羽生善治など同世代の棋士との闘いや、周りの人たちの愛を通して描かれる。
監督:森義隆 出演:松山ケンイチ(村山聖)、東出昌大(羽生善治)、染谷将太(江川貢)、安田顕(橘正一郎)、竹下景子(村山トミコ)、リリー・フランキー(森信雄)、ほか
映画「聖の青春」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「聖の青春」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
聖の青春の予告編 動画
映画「聖の青春」解説
この解説記事には映画「聖の青春」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
聖の青春について
原作は大崎善生さんの「聖(さとし)の青春」。18年まで実在した棋士・村上聖(1969~1998年:享年29歳)のフィクションを交えた、最後の4年間を映画化しています。聖役を演じた松山ケンイチさんは、役作りのために20kg増量し、聖の師匠であった森信雄さんが「本人かと思った」ほどの演技をされていたそうです。(憑依型と言われる松山ケンイチさんらしいエピソードです。)
そして、最後の一局は聖役の松山さんと、羽生名人役の東出さんが、棋譜を完全に覚えて、ノーカットで3時間カメラを回して撮影されたそうです。東出さんは、「デスノートLNW」の演技では賛否両論ありましたが、羽生さんの癖をよく研究してて、これまた本人のような演技をされています。
実は2001年にTBS系でテレビドラマ化されていて、その時の聖役は藤原竜也さんでした。つまり、ドラマでは元祖キラ、元祖Lが映画の聖役をやり、そして新デスノートの三島が羽生名人役をしている…と言えなくもありません。
原作では、広島にいた少年時代から、プロ棋士になるために大阪に出る話を経て、映画は、最後の4年間だけが描かれています。なので、聖が目指していたのは、実は谷川浩司9段でした。(現在はB級1組へ陥落して無冠になっていますが、当時は現在の羽生名人のように、聖のような将棋少年の憧れだったのです。)
村山聖さんご本人の普段の表情は、切れ長目の松山ケンイチさんより、柔和な顔をされていました。現在NHKでアニメが放送され、実写映画も制作進行中の、羽海野チカ先生原作の「3月のライオン」に登場する「二階堂」、また漫画「月下の棋士」に登場する「村森聖」のどちらも、村上聖、その人がモデルであります。
聖の青春のネタバレあらすじ:詳細解説
・さらば大阪
桜咲く季節。三谷工業のおじさんがシャッターを開け、仕事に出かけようとした時でした。ゴミ収集所に、背広を着た小太りの若者が倒れていました。酔っ払いかと思って、起こそうとしますが、返事がありません。慌てて、救急車を呼ぼうとして振り返った時、足を掴まれました。三谷さんはこけます。実は、自宅を出たものの、体調が悪くて動けず、路上に座りこんでいた村山聖(24)でした。そして彼は言います。「将棋会館に連れて行ってください。」
関西将棋会館で対局の時間が迫っていました。三谷さんは聖を軽トラの助手席にに乗せて、肩を担ぎ、聖の道案内で、対局室まで入っていき、到着して聖が座ると、すぐに王将戦…田中6段との対局が始まるのでした。聖が4三歩を指した時、三谷さんが呆然と見つめていると、係員に障子を閉められました。下に降りると奨励会生が将棋を指して、しのぎを削っていました。三谷「何者なんじゃ、あの兄(あん)ちゃん」 (でも、原作では、何度か三谷さんのおかげで、聖が不戦敗を逃れるシーンがあります。)
その日の王将戦は勝ちました。対局が無い日は部屋の中で大好きな3千冊の少女マンガに囲まれて、それらを読んで過ごしていました。(どうやら、同じ本を3冊ずつ持っていたようで、オタクの常識である、観賞用、保存用、布教用だったようです)でも、翌日は7段昇段記念パーティでした。朝、迎えに来た同じ森信雄門下の奨励会に所属する江川が、背広を取り出し着るように促しても、「いたずらなKiss」を読み続けるのです。ようやくスーツに着替えて出かける頃には、すっかり遅刻です。
会場では、師匠の森が、「お察しの通り、村山君は遅刻してまして、僕が引き延ばしてるわけです。どっちが師匠か分からないと言われる所以ですな。実際、僕はあんまり教えてませんが、彼に教えたのは麻雀と酒」と言いかけた時、聖が入ってきました。そして、感謝の言葉を言うのです。「僕がここまで来れたのは両親、病院の先生、講演会の皆さま方のおかげです。ありがとうございます。森師匠には、酒と麻雀しか習ってません」で一笑いが起きます。
実際、聖も森に感謝してました。広島の奨励会で、その時、教えていた人物が、聖の大阪に行きたいという希望を1年送らせ、別の師匠につけようとしていたため、話がこじれ、奨励会入りもなくなった時、森が自身のアパートから1分の場所に下宿を借り、8年間世話してきました。聖の部屋の少女漫画も森が買いそろえたのです。しかし、森自身、プロ棋士としての成績が下がり、聖に悪影響を与えるという事で、距離を置くようになったから、三谷さんに助けられることになるのです。そして、聖に言わずに結婚してしまい、聖は披露宴で、「弟子の僕に言わずに新聞に載るまで教えないって、酷ないですか?」と笑いをとったのです。映画は、その後、はじまってますので、分かりにくいです。
さて、一方で、江川は、3段は取りましたが、その上に行けずにあがいてました。講演会の人からも「後3年しかないで、講演会としては、後1人、名人を誕生させたいんや、頑張ってや」と激励され、さらなるプレッシャーがかかります。その晩、森と聖と江川はスナックで飲みます。そして、聖は言いだすのです。「僕には時間がない。そのためには東京へ行くんや。」
同じ頃、最大のライバルである羽生善治は、米長邦雄名人を下して、とうとう名人位を含め5冠を達成していました。
そんな羽生と、王将戦の予選で対局した日。師匠の森信雄が地元の将棋教室で見守る中、対戦がスタートします。その日は126手で聖は羽生に敗北しました。
将棋に負けた翌日は、必ずと行っていいほど疲労と失意から、自宅のアパートで聖は高熱を出して寝込んでしまいます。幼少の頃から患っているネフローゼの影響です。ネフローゼとは、腎機能障害により、タンパク質が尿中に漏れ出す病気です。そのせいで、疲れやすく、顔も体もパンパンに膨れ上がってしまうのです。
聖「先生、僕40度やったら死ぬんです。そうじゃなかったら東京に行きます。羽生さんの近くで名人になるんや」当然、江川は反対します。「そんな身体で何を言ってるんですか? だいたい、誰が世話をするんですか?」 しかし、森は賛成します。「村山君、安心しいや。39.2度や。じきに熱も引く。紹介状は任せておき。東京の橋口君が世話してくれるやろ。」 江川「先生まで、何言ってるんですか?」という江川の意見は無視されました。
森「師匠に引っ越しの準備させるんは、あの子くらいや。お、こんなになるまで頑張っとたんやな。」 母トミ子「ほんまスイマセン。こーゆー物に限って、あの子は大事にしよってからに」 それは、角が欠け、丸くなったプラスチック製の将棋の駒でした。そして、さらにトミ子は、無造作に放りだした中身の入った給料袋を見つけました。「また、あの子は」と給料袋を拾い上げます。
その頃、更科食堂を覗き、行きつけの古本屋に行きます。常連のようで、女性店員とも顔なじみです。そして「いたずらなKiss」7巻の取り置きをキャンセルするのでした。店員「手に入ったんですか?」 聖「いいえ、僕、東京行く事になったんです」店員「そうですか、ええなー。あ、東京なら神保町とかで、すぐ手に入ると思いますよ。また大阪に来たら、お店、寄ってください。」
・東京での日々
東京では、聖の世話役となる日本将棋連盟出版部の将棋雑誌ライターである橋口が待っていました。実は原作者の大崎善生さんのことです。そして、出会うなり、聖は預金通帳と印鑑を渡すのです。聖「森師匠が橋口さんに渡しておけって。」橋口「そうか、じゃ、必要な時は、将棋会館に言ってください」その足で、橋口が探していた将棋会館から近い幾つかの下宿先候補をめぐります。
しかし、窓から墓地が見えたり、階段があったり、最後に女性用の監視モニターがある部屋になったのですが、橋口が反対してたので、最終的にどうなったか分かりません。結局、引っ越ししても、3千冊の少女マンガが入ったダンボール箱が部屋に積まれるだけです。
聖が将棋を初めたのは、ネフローゼで入院した6歳の時でした。医者「お母さん、どうして早く連れてこなかったの?この病気は一生付き合っていく病気です。息子さんを大変な目に合わせてしまいましたね。」(この映画に出てくる医者は上から目線で嫌いです。患者や遺族のメンタルケアを全くしない時代だったのかもしれません。)
実は母トミ子も被ばくしていて肝臓を悪くしていたのも影響したのかもしれません。その上、聖は限界まで我慢するのです。でも父、伸一がプラスチックの将棋盤と入門書を買ってきました。負けず嫌いの聖は入院中に何度も友達と対戦しながら上達していきます。(ただ、いじめがあったり、同じ病室の子が亡くなったり、聖を将棋にのめり込ませていくのです。)
さて、引っ越し作業も終わり、(実際は橋口がやったと思われます。)聖は、将棋会館に乗り込んでいきます。奨励会員の中学生たちがいたのですが、誰も話しかけてきません。結局、荒崎や橘が来て、漸く話しかけられます。(この時点で7段の聖に話しかけろというのも無茶な話ですが) そして、名人たちの対局が始まり、荒崎と橘が長期戦になると読んだ時点で聖に意見を聞くのですが、聖は一言「摘みません」というだけです。荒崎は納得がいかず、聖を飲みにつれ出すのです。橘は仲裁役で同行します。ですが、聖は酒癖が悪く、言いたい放題です。「東京者(もん)は冷たい。うどんはまずいし。」橘が「奨励会員の子らも中学生やし、東京のうどんは醤油味で関西の出汁より黒いしな」と注釈をつけます。
聖「羽生さんとの一局は20戦の価値があるけど、荒崎さん。あなたとの対局は一戦の価値しかない。」と言って、荒崎が殴りかかろうとして、橘が押さえてる時でした。奨励会員が飛び込んできました。「あれから17手で摘みです」橘「”終盤は村山に聞け”だな」 聖が立ち上がり、帰ろうとした時、倒れてしまいました。仕方ないので荒崎が聖を運びます。
翌日、荒崎と聖は対戦して、聖が勝ちます。でも、聖は荒崎に眼中はなく、横で対戦している羽生の対局を見入っているのでした。その後も、聖と荒崎、橘は麻雀をしたり、飲んだりを続けます。そして、聖は荒崎の車の中で吐いたりもしますが、それでも荒崎は悪態をつきながら、付き合うのです。一方、羽生はキャリアを積み重ね、とうとう将棋界の全てのタイトルを総なめする7冠へ到達してしまいました。
聖もそれなりに順調でしたが、ある日、突然路上で倒れてしまいました。どうやら癲癇(てんかん)発作の気もあったようです。医者は、進行性の膀胱がんと診断します。膀胱がんも初期なら手術で治る確率もあります。医師は「どうして早く診察しなかったんです。大分前から痛かったはずです。今、そうやってるのも無理してるはず。」と言って責めます。
その日の対局は橘との対局でした。さすがの聖も体調不良と病気のことで頭が一杯で、控室の橋口も「自分の将棋しかしてない。まるで相手がいないみたいだ。」と見抜きます、聖は勝てましたが、感想戦もなしに切り上げて、橘に「つまらない将棋に突き合わせて済まん」とまで言わせて、聖は「いえ」といって、上の空で帰宅するのがやっとでした。
帰宅した聖は、医師から何度も手術前の検査を促されるも、留守電を、すぐに消去し、ペットボトルをシビン代わりにして寝て痛みに耐えるのでした。大阪の師匠である森も下宿のファックスに、送られてきた新聞記事を見て、「村山君、何、急いどる。冴えんなー」と呟くのです。将棋会館で将棋を指している聖に荒崎が「調子悪いのか?」と聞いても、聖は「調子がいい時なんて、ないんじゃ」と言うだけです。
聖は、ふらりと一旦住み慣れた大阪の街へ戻ってきました。この世の名残を惜しむかのように、通い慣れた更級食堂を覗いても入らず、女性店員のいる古本屋に入り、再会を喜ぶ店員は温泉で買った、お土産の煎餅を渡そうとするのですが、断り、子供達が遊ぶ公園に座りそれを見守るのでした。そして、最後に関西将棋会館へ向かいました。
・燃え尽きる命
将棋会館では、弟弟子の江川が奨励会の年齢制限ギリギリ(26歳)の崖っぷちに立たされていました。明日の一戦に負けると、プロへの道を絶たれるという江川を勇気づけるために聖は稽古をつけるのです。しかし、翌日の対局で、江川は鼻血を出すほどの死闘でしたが敗れ、奨励会の退会が決定してしまいます。プロは年間4人しかなれない狭き門。そして26歳で閉じられてしまうのです。
その晩、聖は師匠の森、江川の3人で飲み明かします。でも、酔うと酒癖の悪い聖は、店を出ると自暴自棄になって「こんなもの、死んだら何にもならんのじゃ」とお札を破り捨て、ぐずぐず言う江川に「お前は死んだんじゃ。第二の人生?そんなの負け犬の理屈じゃ」と暴言を吐き、江川に殴られます。ゴミ収集所に倒れ込んだ聖は、やっとこさ、起き上がり、「僕には時間がない。名人になるんじゃー」と江川に殴り掛かりますが、ヘロヘロのパンチ一発がやっとで、倒れ込んでしまうのです。森が抱え起こす中、心がズタズタになった江川は、立ちつくしたまま泣くのです。死と直面し、残された時間が少ないことを強く自覚し、やり場のない悔しさだけが3人にのしかかります。
聖は気分転換に北海道旅行に行き、雪の中、座りこんで、将棋を指し続けるのです。それから帰ると、聖はいよいよ羽生とのタイトル戦での対決に臨みます。紋付袴を師匠の森にあつらえてもらい、その大一番は見事に聖の勝利となった。(でも、どうやら、この対局は幻の一戦で、フィクションのようです。映画ラストでも一部フィクションがあると出ます。)
その晩、関係者の打ち上げを抜け出した聖は、羽生を誘い出し、二人だけで2次会へ出かけます。前日に聖が見つけていた居酒屋の店主は、相手が誰だろうと話しかけません。と思っていたのですが、羽生だけは別だったようで、サインをせがまれます。羽生と互いの趣味を語るのですが、聖が、麻雀・競馬をするのに対し、羽生の趣味はチェスと、合いません。結局、共通点は将棋だけ。
村山「僕はね、名人になったら引退をして、結婚するのが夢なんです。ああ、女を抱いてみたいな」(でも、聖自身、それが夢なのは分かっているから、少女マンガを読んでいたのです。だから、残りの名人になる事だけが最後の夢・望みでした。)
村山「僕たちはどうして将棋を選んだのでしょうねぇ」 羽生「ただ、私は今日あなたに負けて死にたいほど悔しい」村山「負けたくない?」 羽生「そう、それが全てだと思います」 村山「羽生さんの見ている海はみんなとは違う」羽生「でも、村山さんとなら一緒にいけるかもしれない。」 村山「そこはどんな景色なんでしょうね。」羽生「いつか、一緒に行きましょう」 将来の再戦とお互いの健闘を誓い合うのだった。
タイトル戦が終わり、病院へ行くと、膀胱がんの状態がステージ3Bまで進行しており、前立腺と膀胱を切除しなければ、余命3ヶ月と宣告されました。ステージ4が末期なので、その一歩手前です。「手術後は最低1年間復帰できない」と聞き、ショックを受けた聖は、麻酔で頭が鈍るので、麻酔なしの手術を希望しますが、「そんなのは人間には無理だ」と、医者に止められ、トミ子は「もうエエです。この子は勝手に生きて勝手に死にます」と飛び出してしまいます。
しかし、対局にも影響し、A級から降格した聖は悩んだ結果、手術を受けて長期休養に入ることになります。手術前にトミ子に謝ります。「ゴメンな。子供出来ん身体になってしもうて」トミ子も謝ります。「ゴメンね。じょうぶな身体に産んであげれんで。」
聖の手術は成功し、人工膀胱をお腹から突き出たビニール袋に尿を溜めるのです。実家の広島で久しぶりに家族団らんを楽しみ、大好きな吉野家の牛丼を食べるのです。つかの間の休息を取った聖は、伸一に、トミ子に内緒で密葬を頼みます。
聖は、それまで不潔と言われても、「生きてるから可哀想や」と伸ばし続けた髪と爪を自分で切り、深夜、将棋を指し始めます。トミ子は止めようとしますが、伸一に止められ、嗚咽します。医師の反対を振り切って棋戦へと復帰していくのでした。将棋会館の橋口相手に、聖からアンケートの回答がありました。今まで興味がないと言っていたのに。最後に、
「神様がいたら何を願う?」の問いに対しての解答は「神様不在」でした。
復帰してはじめての棋戦は、羽生名人との対決でした。羽生に会うなり「金玉切ってきました。もうビデオも見ることもありません」と対局室に乗り込んでいきます。緊急時に備え、ナースが控室に待機しています。特別対局室で深夜まで及んだ熱戦は、誰もが聖の勝ちを予想したのにもかかわらず、聖の痛恨の悪手(68手目7六角)で決着がついてしまいました。映画ではありませんが、笑顔でインタビューに答え、「優勝したはずなんですが、ポカしてしまいました」と冗談をいうのでした。
その後、すぐにガンが肝臓へ転移して再度の入院を余儀なくされ、今度は懸命の治療もむなしく、1998年8月8日に29歳で亡くなりました。いつものように「4三歩」からはじめ「2七銀」と言い残して息を引き取ったのでした。
聖の弔問には師匠の森を始め、羽生も大阪での対局前に広島までかけつけてくれました。聖には追贈9段が贈られています。
聖の死後、橋口は最後の羽生戦後、B級トーナメントの命を削るような5局で、A級昇格を決めた追悼記事をまとめます。江川は橋口の所属する将棋雑誌社へ再就職していました。橋口は江川に原稿を託し、「(入稿)遅れたら、村山君に怒られるぞ」と言います。江川は自転車に乗って将棋会館を出ると、聖が将棋会館を見上げて笑っているように思えました。しかし、誰も居ないので、再び自転車を漕ぎだします。エンディングは秦基博さんの「終わりのない空」です。
「聖の青春」感想・レビュー
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実在する(した)人物を扱ったものだけに、俳優さん達の役作り、寄せ方が大変すばらしかったです。
特に序盤での7段昇段パーティのシーンに於いて、マツケン扮する村山君のスピーチ。
恐らく師匠の森信雄7段の結婚披露宴でのスピーチをモデルにしたと思われるのですが、
よくぞここまで似せたというくらいに、飄々とした仕草や話し方。
羽生君役の東出君も、対局シーンとか若かりし頃の羽生さんそっくりです。
羽生さんこういう仕草、するする!って感じでした。
出演者や製作者の皆さんの、愛を感じる映画でした。
私は、主題歌を歌っている秦基博さんのファンであることがきっかけで、この映画のことを知ったのですが、映画の中で聖が「イタズラなKISS」という漫画を読んでいるシーンがあります。秦さんは過去に、イタズラなKISSのアニメの主題歌を担当したこともあり、何だか運命だなということを思いました。
また、聖役の方を最初に見た時「この俳優さん誰だ?」となり、調べたら松山ケンイチさんだとわかり、「普段と違う!」と、役作りの為にあそこまで体重を増やしたことに凄いなと思いました。
また、対局のシーンは対局を見守っている人々の反応や、棋士の方の表情に引き込まれドキドキしながら観れたので、将棋のルールを知らなくても楽しめる映画だと思います。