式日-SHIKI-JITSU-の紹介:2000年日本映画。「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズや「シン・ゴジラ(2016年)」等で知られる庵野秀明監督のドラマ作品。映画監督として成功したものの、無力感に襲われ故郷に足を向けた<カントク>。線路に座り込む奇抜なメイクの<彼女>と知り合い、その繊細な精神世界に触れていく。現実に傷ついた<彼女>は自分の妄想へ逃避し、誕生日の前日を繰り返していた。映画監督岩井俊二が初めて俳優として出演した作品。原作は<彼女>役の藤谷文子の小説「逃避夢」である。
監督:庵野秀明 出演者:岩井俊二(男・カントク)、藤谷文子(彼女)、大竹しのぶ(彼女の母親)、村上淳(自転車の男)、松尾スズキ(男の声)、林原めぐみ(女の声)ほか
映画「式日-SHIKI-JITSU-」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「式日-SHIKI-JITSU-」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「式日-SHIKI-JITSU-」解説
この解説記事には映画「式日-SHIKI-JITSU-」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
式日-SHIKI-JITSU-のネタバレあらすじ:「明日は、私の誕生日なの」
舞台は現代日本、とある地方工業都市。1人の男が東京から帰省します。男は線路に座り込む奇抜なメイクの<彼女>と出会いました。赤い靴と赤い傘を持った彼女はその行為について「儀式なの」と教えます。「明日は、私の誕生日なの」と告げる彼女。翌日、男は誕生日プレゼントを持って会いに行きますが、彼女は「明日が私の誕生日なの」と言って受け取りません。出会って4日目、彼女は住処にしている廃ビルへ男を案内します。赤色の物が目立つ部屋で彼女は留守番電話を再生します。録音されていたのは彼女の母親の声で、彼女を罵倒したり、父や姉について悪口を叫んだりしています。彼女は特に気にした風もなく、誕生日だから明日も遊ぼう、と言って男に鍵を渡しました。
式日-SHIKI-JITSU-のネタバレあらすじ:繰り返す日々
6日目、彼女はビルの中を案内します。1階から7階まで楽しそうに紹介する彼女ですが、地下室だけは秘密だと言って見せてくれませんでした。屋上に向かった彼女は手すりを掴んで身を乗り出します。どうやらこれも彼女の「儀式」のようでした。7日目から男はホテルを出て彼女と一緒に暮らすようになります。男は映像の世界で成功を収めたものの、仕事や自分自身に行き詰まりを感じていました。本当は実写映画も撮ってみたいのだとこぼす男を彼女は<カントク>と呼び始めます。翌日からカントクは彼女を被写体にカメラを回しました。奇抜なメイクで奇妙な行動を繰り返しながら、毎日「明日は、私の誕生日なの」と告げる彼女。昨日を今日に戻すだけの日々を彼女は生きていました。
式日-SHIKI-JITSU-のネタバレあらすじ:彼女の世界
雨が降り出した夜、地下室に篭って出て来ない彼女の元へカントクが向かいます。地下には水が溜まり、赤い傘がたくさん浮いていました。祭壇が置かれ、青いギターと赤いろうそくが並べられています。彼女は浴槽に横になってブツブツ呟いていました。12日目、屋上での儀式を終えた彼女はカントクを地下室に案内します。そして赤い傘ではなく、カントクとお揃いのカメラを持って外に出る彼女。いつも通り線路に寝転んでいると、喪服の男が彼女をじっと見つめていました。恐怖を覚えた彼女はその場から逃げ出し、地下室の浴槽に篭って一歩も出て来ません。14日目、彼女は突然猫を拾ってきます。ジャムと名付けた猫をひたすら可愛がる彼女は数日間儀式を中断し、カントクとも話しません。しかし20日目、猫はいなくなってしまいました。恐慌状態に陥った彼女は次の日まで姿を消していたかと思うと、戻って来て突然絶叫し地下室へ走ります。笑ったり泣いたりしながら水に顔を突っ込む彼女。カントクが暴れる彼女を慌てて宥め、ようやく落ち着いた彼女は「もうどこにも行かないでね」と呟きます。22日目から彼女は儀式を再開させました。
式日-SHIKI-JITSU-のネタバレあらすじ:変化
28日目。彼女の依存対象はカントクに移っていました。そんな彼女を、カントクは鬱陶しいと感じるようになります。カントクの苛立ちに気付いた彼女は異常に怯え、電話を叩き壊します。翌日、公園に出かけた彼女は自転車に乗った男に遭遇しました。どうやら知人のようですが、彼女は嫌がって走り去ります。そして30日目、彼女は突然消え、代わりに彼女の姉が現れました。彼女は「彼女でいること」すら拒絶してしまったのです。真っ青な唇に口調まで変え、完全に姉になりきっている彼女。カントクを連れ自転車の男のところへ向かう途中、家族について話し始めました。両親が早くに離婚し、父は浮気相手と火事で死亡したこと。母は電車に轢かれて死亡したこと。それらは彼女の誕生日に起こったこと。自転車の男は姉になりきる彼女に辟易し、怒鳴り合いに発展します。彼女は<彼女>に戻り、「あんたもいなくなれ!」と叫びます。姿を消した彼女をビルで待つカントク。そこへ電話が鳴り響きます。それは彼女の母親からの電話でした。
式日-SHIKI-JITSU-の結末:彼女の現実
夜中、線路に石を置く彼女。カントクは彼女に母親から連絡があったこと、明日ビルを訪ねて来ることを告げます。彼女は激怒してカントクをも拒絶しますが、カントクは現実から逃げてはいけないと諭します。「俺は君のことが好きです」と言いながら、一歩ずつ歩み寄るカントク。手を繋いでビルに戻り、彼女は母親について話します。母は父に対し「いなくなれ」といつも呪っていました。彼女もそう言われないように頑張ったものの、結局言われてしまいました。彼女の誕生日だったそうです。そして翌日、彼女の母親がやって来ました。謝罪し、帰って来て欲しいと願う母親の勝手を彼女は批難します。「待ってるから」と手を握り、泣きながら母は去っていきました。同席していたカントクは、「君の誕生日は君の生まれた日にやってくるんだよ」と呟きます。そして、彼女と出会って32日目。ビルのカーテンを開け、カントクはカメラを回します。彼女はカレンダーに丸をつけ、カメラに向かって「12月7日。私の誕生日です」と微笑みました。「33日目以降 未定」と未来の可能性を示し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画式日-SHIKI-JITSU-のあらすじと結末でした。
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