サバイバルファミリーの紹介:2017年日本映画。ある朝家中の電気が止まっていることに気付いた鈴木義之。ただの停電だと思い込んでいたがそれから一週間その状態が続いた。水も食料も尽きかけた頃鈴木はある決意をする。妻の実家のある鹿児島へと家族で向かうことにしたのだ。しかし車も電車も飛行機でさえも止まっているこの現状、鈴木一家は自転車で東京から鹿児島への長い道のりを行くことになる。「ウォーターボーイズ」の矢口史靖監督最新作。
監督:矢口史靖 出演:小日向文世(鈴木義之)、深津絵里(鈴木光恵)、泉澤祐希(鈴木賢司)、葵わかな(鈴木結衣)、時任三郎(斎藤敏夫)、藤原紀香(斎藤静子)、志尊淳(斎藤翔平)、ほか
映画「サバイバルファミリー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サバイバルファミリー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サバイバルファミリーの予告編 動画
映画「サバイバルファミリー」解説
この解説記事には映画「サバイバルファミリー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サバイバルファミリーのネタバレあらすじ:停電
また妻の実家から誰もさばけない魚が送られてきた。子供達も好きではなく息子にかぎってはまたファストフードを食べている。妻は仕方なくその魚を冷蔵庫にしまった。翌朝、目が覚めると妻が慌ただしく動いていた。目覚ましだけでなく家中の時計が止まり時間が分からない。どうやら停電らしかったがとにかく仕事に行かなくてはならない。昨日の魚は冷蔵庫の中で腐ってしまったらしい。ゴミ箱に捨てられてしまった。マンションのエレベーターも止まっていた、仕方なく下まで階段で降りるもあろうことか電車まで止まっている。車も動かないのか道の至る所に車が止まっている。駅から二駅の所だが仕事場まで歩いていかなくてはならない。しかし着いた所でビルのドアが開かなかった。なんとか扉を破壊して中に入ったが電気もパソコンもつかない。そんな状況で仕事にならないとその日は引き上げることになった。
サバイバルファミリーのネタバレあらすじ:一週間
その日の夜には戻ると思っていた停電は結局一週間経っても戻らなかった。電気もガスも水道も止まり町の人は限界を迎えていた。水も食料も尽きかけその日その時の食料を確保するだけで精一杯、中には町を出て安全に住める場所を探す人もいた。鈴木一家もまたこの街を出ることを考えていた。父親の考えは妻の実家がある鹿児島への移住。反対していた子供達を半ば無理やりなだめすかした。東京から鹿児島へは飛行機で向かうことになった。それは父親の考え、しかし車も電車も止まっているこの町での移動手段は徒歩か自転車に限られた。4人は自転車に乗り空港まで向かった。道中ではまだ水や食料を販売している人を見かけた。しかしどれも高額で売りつけておりぼったくりといってもいい金額だった。一家が向かったある店では500mlの水一本を2500円で売っていた。この状況では仕方ないもののそれを正直に買うのは気が引ける。その場を離れようとした、その時妻が前に出た。
サバイバルファミリーのネタバレあらすじ:飛行機
機転を利かせた妻は水を一本600円で購入した。いつも呑気でおっとりしていると思っていたがやるときはやるようだ。しかし運もここまでか、空港に辿り着いた一家に突きつけられたのは動かない飛行機とそこに集まる多くの人間の姿だった。そして一家が呆然と見守る中それは次第に暴動と化していく。一家は静にその場を離れた。その夜、一人一泊数万円というぼったくりホテルに泊まった4人は翌日からの事を話した。そして家に戻るのではなくここから自転車で鹿児島へと向かうことを決意する。翌朝、父親を先頭にまた一家は走り出した。長い道のりになるであろう鹿児島へ向けて。しかし何の根拠もない父親の自信で走り出した一家はすぐに道に迷ってしまう。そこでまた妻の一言が道を示した。あそこを使おう、そう妻が指さした先には東名高速があった。
サバイバルファミリーのネタバレあらすじ:トンネル
考える事は同じなのか一家が上った高速には多くの人の姿があった。そして皆同じ方向へ歩いている。道中で聞いた情報によると大阪では停電は起こっていないらしい。皆それに望みを託し歩いているのだ。そこからさらに進み高速を降りた一家は川で休んでいた。その頃には水も食料も尽き父親はとうとう川の水に手を出してしまう。その後突然降り出した大雨から避難するように大きな橋の下に潜り込んだ4人。強風で自転車は荷物ごと吹き飛び、そんな中腹を壊した父親は草むらにかがみ込んでいた。翌日パンクした自転車を引きずる一家はホームセンターを見つけた。中に食料らしいものは見つからなかったが代わりに辛うじて飲める車のバッテリー液と猫缶を見つける。それで難を凌ぐしかなかった。そんな一家の前にこんな状況をものともしないたくまし家族と遭遇する。その家族はスポーツ一家なのかまるで楽しんでいるかのように自給自足生活をしていた。その一家は4人にアドバイスを伝える。そして最後に4人の写真を撮り彼等と別れた。
サバイバルファミリーのネタバレあらすじ:豚
一家が岡山に着いた頃もう限界を迎えていた。自転車をこぐ力もなくとうとう田んぼの脇に座り込んでしまう。その時目の前にあるものを目撃する。一匹の豚だ。それを見つけた一家は死にもの狂いで捕まえた。しかしいざさばこうという瞬間に一人の男性が現れた。その豚の持ち主だった。彼は4人と死んだ豚を家に連れて行った。そこには水も食料もありその男性はある条件と引き換えに4人にそれを与えることにした。その条件とは逃げた豚の捕獲。およそ一週間その家で世話になった4人だったがやはり鹿児島の実家が気になった。一家は世話になった男性に別れを告げさらに食料をもらい再び自転車に乗り込んだ。バッグにはたくさんの豚の燻製入れてもらった。これでしばらくは大丈夫だ。そう思っていた。数日進んだ所で大きな川に出くわした。それは地図を見ていたので承知だったが問題は橋の存在だった。地図にあるはずの橋が見つからない。
サバイバルファミリーのネタバレあらすじ:父
一家はいかだを作り川を渡ることにした。しかし途中で突然の大雨が降り自転車と共に父が流されてしまう。なんとか岸までたどり着いた3人は父親を追いかけるように川を下るも見つかったのは父親の着けていたかつらだけ。もう身体も心も限界を迎えようとしていた。見つからない父親を置いて3人は歩いた。見つけた線路を辿るように歩いていたが母と娘が泣き出してしまう。そこに犬が現れる。母のリュックに入っている豚の燻製の匂いを嗅ぎ付けたのか突然襲い掛かり、その反動で母は転んでしまう。そしてその左足を強く傷つけてしまった。それでも犬はまだそこにいた、絶体絶命のピンチに陥った3人だったがそこに音が鳴り響く。聞こえてきたのは蒸気機関車の音だった。助けられた3人は機関車に乗り込んだ。しかしそこに父の姿がなく3人の気持ちが晴れることはない。呆然と外を眺める母、その目の先に赤い光が見えた。煙を上げ赤く光るそれは発煙筒。それを強く握りしめる姿は見覚えのあるものだった。
サバイバルファミリーのネタバレあらすじ:鹿児島
発煙筒を握りしめるのはまさしく父親の姿だった。彼は生きていた。機関車を止め父と再会した3人、それは旅の終わりを示していた。機関車から降りた一家はある浜辺へとたどり着く。妻と父には見覚えのある真っ白な浜辺、そこに一人の男性が釣りをしていた。妻の父親だった。東京を出て数か月、ついにここまでたどり着いたのだ。
サバイバルファミリーの結末:電気
それから2年の月日が経った。父と息子は漁に娘は織物に母は菜園をしながらまだ電気のない鹿児島の実家で過ごしていた。ある朝父は何かの気配で目を覚ます。家の中ではない、外へ出てその気配のするほうへ歩く。それは音だ、聞き覚えのあるおと。物置から聞こえるその音はさらに段ボールの中から響いていた。出てきたのは目覚まし時計。今までうんともすんとも言わなかった目覚まし時計。それはこの世界に電気が戻った瞬間だった。それからすぐ町の明かりが灯り世界は再び光に包まれた。東京の家に戻った一家はそれまでの生活とはガラッと様子を変えた。弁当を持ち自転車を使い裁縫をする。そんな一家に郵便が届く。一通の封筒だった。中から出てきたのはいつかどこかの家族が撮ったくたびれた自分達の姿が写った一枚の写真だった。
「サバイバルファミリー」感想・レビュー
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ただの娯楽映画ではなく、近い未来、自分も同じ目に遭うのかも知れないと思って見てしまいました。ちょうど台風が直撃して停電生活を送った時、この映画のコトを思い出しました・・・電気が無いと人間ってそりゃ無力なんだなぁ~っと、毎日食べれる事がどんなに有難いかを、この4人家族のちょっと笑えて涙しながらの道中で教えられます!コレ見たら何日かはすべてに感謝できるんじゃないかな?
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最初は新作邦画ということで見ていたのですが、どんどん内容に引き込まれ、見終わる頃には感動し、生き抜く術を勉強したような気分になって、とても満足しました。
近年、東日本大震災を始め、豪雨災害や、大規模台風の襲来など、私たちの生活でも忘れた頃に停電や断水などのトラブルがやってきます。
そんな時に自分にはこんなふうに工夫を凝らして生き抜く力があるんだろうかと、真剣に考えました。
便利な物で溢れている今の日本ですが、それらは全て無くなっても生きていけるような強さやアイディアが欲しいと、真剣に考えさせられました。
少し大げさかもしれないですが、日本国民全員が見ておくべき映画だと思います。 -
いわゆる家族再生ものの系譜に属する映画です。
電気が無くなった世界における非日常的要素は、単なる動機付けのギミックとしての”外敵”に過ぎません。
外敵は、戦争や津波、パンデミックなどに置き換えて見ることもできるでしょう。
エンタメ作品のため多少大げさに描かれているものの、どこにでもありそうな希薄な家族関係が、”外敵”に晒された時に起こす化学反応を愉しむ作品となっています。
この映画を観て思ったことはとにかく電気の重要性がよく解り、電気が無くなるとどの様な悲惨な目に合うかがよく解り主人公の家族の行く末を面白く描いた映画だと感じました。部屋の明りだけならロウソクでなんとかなるのだが、冷蔵庫にテレビ、電話関係、何故かバッテリーまで上がってしまった車に電車、飛行機など全ての交通に連絡経路がシャットアウトされて回復の見通しも解らず途方に暮れる家族を観てこの先一体どうなるんだろう?って思ったり、家族皆がボロボロになり飢えていく中でも出会いと別れ、野犬に襲われハラハラドキドキしたり、死んだと思っていたら生き残っていた父、義之の生還など感動的なシーンもありとても面白かったです。