TETON 山の声の紹介:2016年日本映画。ライフスタイルプロデューサー浜野安宏の人生哲学を描くドキュメンタリー。浜野自身の告白と、友人達との対談によって構成されている。ワイオミング州の山GRAND TETONの麓にログハウスを建てた浜野は、30年間、夏のひと月以上をこの地で過ごした。山の呼び声を聞き続けた彼は、現代日本人にこれからどう生きるべきかを問いかける。
監督:浜野安宏 出演者:浜野安宏、ふるいちやすし、月尾嘉男、ジム・ドーラン、ドン・ピロットほか
映画「TETON 山の声」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「TETON 山の声」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「TETON 山の声」解説
この解説記事には映画「TETON 山の声」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
TETON 山の声のネタバレあらすじ:起・<感じる>大切さ
舞台は現代アメリカ、ワイオミング州のGRAND TETON。ライフスタイルプロデューサー浜野安宏は、山に登りながら朝日の到来を待っていました。朝日を見るには覚悟が要ると浜野は語ります。朝日ほど<感じさせて>くれるものはなく、<山に入る>ことで<感じる>を得られるそうです。日本人も早くこの感覚を獲得しなければと話す浜野は、山を照らす朝日に笑顔になります。彼は<調べる><知る>という表層のものよりも、<感じる>ことが大切だと考えていました。釣り師としても知られる浜野は、幼い頃山伏だった父親に釣りを教わったそうです。浜野は自然を愛していましたが、ダムの建設や環境汚染が続く日本の河川湖沼に半ば絶望して、日本を離れアメリカへ旅に出ました。家族と共にアメリカへ渡った浜野は、未だ瑞々しさを残すアメリカの自然に感動します。そしてアメリカンロッキーの最も美しい山の麓にログハウスを建て、夏をこの地で過ごすことにしました。
TETON 山の声のネタバレあらすじ:承・家の存在
山に登った浜野は、この場所は元々干潟だったのかも知れないと語ります。蜆などの化石が見つかるためです。浜野はここで地球の呼び声のようなものを感じました。友人ダグラス・トンプキンズや、イヴォン・シュイナードと釣りをしたことを懐かしむ浜野。自然は人間の絆をよりタイトにしてくれます。浜野のログハウスは、立ち枯れの木だけを使用して建てられました。家があるということは安心に繋がります。この場所でひと月は必ず過ごすようにして、30年が経ちました。それが今の浜野のエネルギーになっています。
TETON 山の声のネタバレあらすじ:転・自然と社会の関係
浜野は自身の自然体験を教えるためにネイチャースクールを開いています。自然は一緒に体験することで肉体化されていきます。ビジネス社会よりも、自然の方がよほど優しく安全な場所だと語る浜野。日本の教育制度では、このようなネイチャースクールは難しいのが現状です。浜野は自然が一番の先生であり、それを子に教えていくのが父の仕事だと考えていました。彼は2人の息子にも自然について教えてきました。いつか行き詰まった時、この体験を思い出してくれるのではないかと思っています。東京大学名誉教授月尾嘉男は、地位や名誉を享受している大人は、現状を変えようとしないと語ります。だからこそ変えていくのは若者の仕事なのです。今までの社会は<同じもの>を望み、同じような人間で溢れていました。しかし情報化社会になったことで、<違う>という点が重視されるようになります。その点浜野は昔から<違う>ものだったと月尾は語ります。
TETON 山の声の結末:変化と新たなミッション
浜野はGRAND TETONやそばを流れるスネーク・リバーを愛していました。しかし大きな変化が起こります。湾岸戦争です。これを機にアメリカは金儲けのための戦争をするようになりました。人を殺し、金を使い、それでも当時のアメリカ大統領ジョージ・H・W・ブッシュは「Justice!」と言い放ちました。その瞬間、浜野はアメリカを嫌いになってしまいました。その後浜野は家を売り、この地から離れることにします。沖縄やフィリピン、台湾など、世界の悲惨な状況にある干潟を救うというミッションを見出したからです。街の発展と共に色々な問題が積み重なり、愛した地は少しずつ汚染されています。完全に病んでしまう前に、自分が必要とされている場所で最大限命を捧げたいと語る浜野。旅というより生活だった、山の麓の暮らし。毎日の生活をどう生きるか、その実験をここで行っていた気がします。浜野には山の呼び声が聞こえていました。山は行きなさいと語りかけてくれます。GRAND TETONに向かって、浜野は「本当にありがとう」と呟きました。
GRAND TETONの麓に来たことで、浜野は自分がどんどん若返っていると感じています。そして見出したミッションに向かってこの場所を離れます。浜野は「行ってきます」と車に乗り込み、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画TETON 山の声のあらすじと結末でした。
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