屍者の帝国(ししゃのていこく)の紹介:2015年日本映画。かつて、屍者を蘇らせ、日常のあらゆる仕事を屍者に行わせるという技術が流行した。ジョン・ワトソンも、その技術を持つ一人だった。しかしある日を境に、屍者達が暴走を始める。その裏に隠された、恐ろしい陰謀とは・・?
監督:牧原亮太郎 声優:細谷佳正(ジョン・ワトソン)、村瀬歩(フライデー)、楠大典(バーナビー)、大塚明夫(M)、三木眞一郎(アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ)、花澤香菜(ハダリー)、菅生隆之(ザ・ワン)ほか
映画「屍者の帝国」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「屍者の帝国」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
屍者の帝国の予告編 動画
映画「屍者の帝国」解説
この解説記事には映画「屍者の帝国」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「屍者の帝国」について
この作品は、伊藤計劃・円城塔の同名長編SF小説を原作としたアニメ映画です。原作小説は第33回日本SF大賞特別賞、第44回星雲賞日本長編部門を受賞した名作で、フランケンシュタインによる屍体蘇生術が普及した19世紀の世界を舞台とした劇場版スチームパンクSFアニメです。キャッチコピーは「君を取り戻す、禁忌の技術」「求めたのは、21グラムの魂と君の言葉」で、人間という生物、生と死、魂について考えさせるシリアスな内容を描いた作品です。監督は『サマーウォーズ』(2009年)、『カラフル』(2010年)などで原画を務めた牧原亮太郎が、脚本は『ハチミツとクローバー』(2005年)、『のだめカンタービレ』(2007年)などを手がけた山本幸治らが、キャラクター原案はredjuiceが、アニメーション制作は『ハル』(2013年)や『進撃の巨人』(2013年)などを手掛けてきたWIT STUDIOが担当しています。
「屍者の帝国」詳細あらすじ解説
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:1.プロローグ:21グラムの魂
1879年、ロンドン、「まず、私の仕事から説明せねばなるまい。必要なのはまず屍体だ。人間は死亡すると、21グラム程体重が減少されていることが確認されている。…それが魂の重さだ。我々は魂の抜けた肉体に、疑似連想をインストールすることによって、屍者を蘇らせる。だが、それは偽物の魂だ」とある1人の青年は語り始めました。その青年は、ある1体の青年の屍体の後頭部を切開すると、そこへドリルのような機器を差し込みました。そして、その青年は部屋の解析機関を作動させました。この青年の名はジョン・H・ワトソン、ロンドン大学の天才的医学生でした。そして、その屍体はワトソンの無二の親友であったフライデーでした。ワトソンがフライデーに施そうとしていることは、19世紀末、天才科学者ヴィクター・フランケンシュタインによって確立された屍者蘇生技術でした。ワトソンもその技術に魅了された研究者の1人でした。ただ、ワトソンは、かつてヴィクターが確立した21グラムの魂をもった屍者蘇生を研究していました。「空っぽの肉体に再び21グラムの魂を戻せるのなら、失われた人も還ってくるのだろうか」と思いながら…。疑似霊素のインストールを終えたワトソンは屍者フライデーに、声をかけました。フライデーの目が開き、ワトソンの指示通り、立ち上がり、歩きました。魂のないフライデーにワトソンは、彼がかつて愛用していた万年筆を渡し、「すべての言葉で行動を書き記せ。それが君の魂となることを願う」と言いました。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:2.屍者帝国
19世紀末、屍者蘇生技術は、国の命運をも握っていました。この屍者蘇生技術をヴィクター博士は、約100年前に確立しましたが、当時の民衆は忌み嫌い、この技術を決して受け入れようとしませんでした。そんな中、最初に屍者を受け入れたのは、女性たちでした。屍者たちを兵として戦場に送れば、自分たちの夫や息子たちを失わずに済むからでした。屍者技術の軍事利用に気づいた世界は、屍者技術の軍事技術化に邁進しました。産み出されたこの軍事技術は、民間に転用され、人々の暮らしを一変させました。繰り返し解析機関でシュミレーションされ、パンチカードに記された疑似霊素は「ネクロウェア」と呼ばれ、馭者や執事、工場労働者として彼らを最適化し、適応させました。ついに地上には屍者が溢れ、世界経済は屍者によって支えられていると言っても過言ではないほどになっていました。まさに、世界は「屍者の帝国」でした。かつての恐怖の城・ロンドン塔では、蘇生技術者たちがネクロウェアを日々改良し、ネクロウェアの中身を更新し続けました。そこには卓越した演算能力をもった「チャールズバベッジ」と呼ばれる巨大な解析機関がありました。そのロンドン塔はかつて、ヴィクター博士が魂をもった屍者「ザ・ワン」を産み出した場所でした。そこには一つの棺がありました。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:3、謎の男「M」
フライデーに蘇生技術を施した翌朝、ワトソンが目を覚ますと、フライデーはワトソンの部屋にあった書物を片っ端から、書き留めていました。そこにある男が警官を連れ、踏み込んできました。当時、蘇生技術は国家機密とされ、一個人の判断で行うことは違法行為として禁止されていました。ワトソンは逮捕されれば、重罪でした。覚悟を決めて蘇生技術を行ったワトソンに、その男は「これだけの情熱と才能を穴倉で朽ちさせるほど、我が女王陛下は不明ではない。女王陛下のために働いてもらおう」と言い、取り引きを求めてきました。その男は自身を「M」と名乗りました。そして、その取り引きとは「ヴィクターの手記」を手に入れることでした。ワトソンは「M」との取り引きに乗りました。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:4.屍者兵士
ワトソンは、英国領インド帝国のボンベイへと、フライデーと共に向かいました。その港には前米国大統領が兵士を連れて来ていました。前米国大統領は南北戦争を勝利に導いた屍者兵士たちを、売り込みに来ているようでした。すると突如、爆発が起きました。驚くワトソンに、背後からインド人の屍者が飛びかかってきました。間一髪のところ、見知らぬ巨漢の男がその屍者を殴り飛ばしました。その屍者は海に落ちると爆発しました。その男はワトソンとフライデーを助けに来たのでした。その男に導かれ、ワトソンとフライデーは馬車で逃げました。その後をロシア人たちが追いかけて来ました。また、インド人の屍者たちが次々とワトソンに襲い掛かってきました。その屍者たちはロシア軍が開発した新型屍者兵士「屍者爆弾」でした。その巨漢の男はフレデリック・バーナビーという男で、ワトソンたちの護衛として派遣された者でした。バーナビーのお蔭で、ワトソンたちはロシア人たちの追っ手から逃げ出すことができました。ワトソンたちはロシアから派遣された諜報員ニコライ・クラソートキンの案内で、最初の目的地アフガニスタンのカイバル峠に行きました。そこでは、英国軍とカラマーゾフ軍とが戦争を起こしていました。戦っている兵士たちは屍者兵士たちでした。ワトソンはその様子を眺め、悲嘆しました。ワトソンたち4人が峻険な山道を歩いていると、カラマーゾフ軍の屍者兵士たちと遭遇してしまいました。その屍者兵士はまるで人間のような俊敏な動きをし、相手の動きを先読みし、殺意という感情を持って、襲ってきました。ワトソンはその新たな技術に驚き、関心を持ちました。ワトソンたちは、奮戦しますが、カラマーゾフ軍の屍者兵士たちに取り囲まれ、危機状態に陥りました。その時でした。1台の馬車が現れました。その馬車には、真っ白なドレスを着た1人の美しいうら若き女性が乗っていました。その女性は火炎放射器で、カラマーゾフ軍の屍者兵士たちを炎で焼き払い、颯爽と立ち去っていきました。かくして、ワトソンたちはその女性の働きで、九死に一生を得ました。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:5.狂気
ニコライの案内で、ワトソンたちはその夜、アレクセイ・カラマーゾフの家に泊まることになりました。アレクセイもかつては「ザ・ワン」の再現を目指し、屍者蘇生技術を探求していた科学者でした。アレクセイは自らの兄を蘇生技術で屍者として蘇らせ、兄を執事として共に暮らしていました。アレクセイはワトソンになぜ「ヴィクターの手記」を求めるのか尋ねました。ワトソンは「屍者技術の向上。ザ・ワンの再現。」と答えました。アレクセイは、それは禁忌に手を触れることになると批判しましたが、ワトソンは「禁忌の技も、いずれ当たり前の技術になるはずです。」と反論しました。固い意思のワトソンに、アレクセイは「一度産まれた技術は、誰かのために停止させることはできない。」と言い、ワトソンに「手記の破棄」を求めました。翌朝、ワトソンは異様な空気で目が覚めました。ワトソンがフライデーを連れて、その空気のする部屋に入ると、屍者蘇生解析機関の椅子に生者ニコライが座っていました。部屋はアヘンの煙が立ち込め、オルゴールの音がかすかに響いていました。アレクセイはニコライに疑似霊素をインストールしました。ニコライは叫び苦しみながらも、最期に遺言のような言葉を残し屍者となりました。生者に疑似霊素を入れることは不可能と考えていたワトソンは、驚きました。また、このような狂気の実験をするアレクセイを非難しました。アレクセイはニコライを犠牲にワトソンに「手記の先にある現実」見せ、「この技術の愚かしさ」を説きました。アレクセイは、屍者となったニコライに自らを解析機関とつながせ、屍者の兄に解析機関を作動させました。アレクセイは最期にワトソンに手記が日本にあることを教えると、再度「手記の破棄」を求め、屍者となってしまいました。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:6.ヴィクターの手記
ワトソンたちは日本へと行きました。日本で待っていたのは外務省から派遣された山澤静吾という軍人でした。ワトソンたちはその山澤の案内で、手記があると思われる大里化学の研究所へと潜入しました。その中では多くの屍者たちがホルマリン漬けになっていました。ワトソンたちは、奥へと手記を目指して入っていきました。
するとある扉の前に2人の巨漢の鎧武者が待ち構えていました。その鎧武者は刀を抜き、ワトソンたちを襲ってきました。バーナビーと山澤がその武者と格闘し、ワトソンとフライデーをその奥へと行かせました。ワトソンはその奥の部屋で、ついに「ヴィクターの手記」を発見しました。ワトソンの脳裏にフライデー、ニコライ、アレクセイの言葉がよぎりました。ワトソンはフライデーに「手記」の解析を命じました。フライデーは、高速でキーボードをたたき、解析を始めました。すると、ホルマリン漬けになっていた屍者たちが、動き出し、バーナビーと山澤らを襲い始めました。ワトソンは高速で出てくるパンチカードを読み、21グラムの魂の謎を得ようとしましたが、わかりませんでした。すると突如、解析機関が停止し、フライデーやそこにいた屍者たちの動きを止め、苦しめました。フライデーは必死でワトソンに何かを伝えようと苦しみ始めました。ワトソンがフライデーに魂が戻ったのかもしれないと思ったとき、研究所内に火の手が回り、ワトソンたちはその炎で焼け落ちる研究所の中で、意識を失ってしまいました。ワトソンが微かに意識を戻したとき、そこに現れたのはヴィクターが創造した「ザ・ワン」でした。ザ・ワンもヴィクターの手記を狙っていました。ザ・ワンは手記を手にすると、ワトソンに「君はヴィクターに似ている」と言い残し、屍者たちを連れて立ち去っていきました。戦闘の中で負傷を負ったバーナビーと山澤も、そのザ・ワンの姿を見送るしかありませんでした。ワトソンは再び意識を失ってしまいました。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:7.脱出
ワトソンは悪夢を見て、目を覚ましました。するとそこは綺麗なベッドの上でした。そして、傍らには、カイバル峠でワトソンたちを救ってくれたあの美しい女性がいました。その女性はハダリー・リリスという名で、そこはアメリカのリッチモンド号という船の一室でした。その船はアメリカに向かっていました。ワトソンたちはまた、ハダリーに命を助けてもらったのでした。そして、ハダリーも手記を探し求めていた1人でした。
徐々に生気を取り戻したワトソンは、船内でフライデーに対して、21グラムの魂を求め、いろいろな処置を施しました。しかし、フライデーは苦しむばかりでした。ワトソンは自分のしていることに疑念を抱き、当惑し始めました。その頃、手記を手に入れたザ・ワンは、「ポールバニアン」という世界8大解析機関の一つを使って、屍者たちを人間であったことの理から、解放しようとしていました。その塔からは異様な緑色の光が放たれ、それを感じたフライデーは苦しみ始めました。その光はある音波を含んでおり、屍者たちを狂わせ、人間たちを襲うようにさせるようでした。屍者船員も狂い始め、船内は混乱の渦となっていました。ちょうどワトソンの治療をしていたハダリーは、いち早くその異変に気づき、フライデーに鎮静剤をうち、彼を眠らせました。ハダリーは襲ってくる屍者たちを、手をふれることなく、ある音波を発することで倒す力を持っていました。ハダリーはワトソンに「私は魂がほしい。涙を流すための、悲しみや苦しみを感じるための魂がほしい。」と訴えました。ハダリーは船が港に近づくと、ワトソンとフライデー、バーナビーを車に乗せて、船から脱出しました。そこはサンフランシスコでした。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:8.葛藤
船から脱出したハダリーは、ザ・ワンの動きを制するため、いったん自分のセルフハウスで体制を立て直そうと、ワトソンたちに言いました。ハダリー、ワトソンたちは、サンフランシスコの街を車で駆け抜けました。街は狂った屍者が人間たちを襲い、大混乱に陥っていました。混乱の中、ハダリーは強引に突破しようとし、車を横転させてしまいました。しばし、意識を失ったワトソンが目を覚ましたとき、フライデーが人間の女性に襲いかかっていました。そんなフライデーをハダリーは強引に引き離し、ワトソンと共に、地下水路を使ってセルフハウスまで行くように指示しました。ワトソンはハダリーを心配しましたが、ふとハダリーの腕を見て驚きました。ハダリーは精巧に作られた機械人形だったのです。ハダリーはワトソンに「ザ・ワンを追って。私に魂の秘密を教えて。」と言うと、扉を閉めて、屍者たちに立ち向かっていきました。暗い地下水路の中、ワトソンはフライデーに必死で「君の魂はどこにある?君は今、何を見ている?」と問いかけ、フライデーの魂に呼びかけました。ワトソンの目から涙がこぼれると、フライデーは万年筆でワトソンの鼻の頭をおさえる仕草をしました。ワトソンは驚きました。その仕草は生前フライデーがワトソンへの魂が蘇ったときの合図だったからでした。しかし、ワトソンの喜びもつかの間、フライデーは再びワトソンを襲い始めましたが、フライデーの目から涙が流れ、葛藤するかのように狂い始めました。フライデーは銃で自殺を図ろうとしましたが、ワトソンは持っていた鎮静剤で食い止め、セルフハウスに連れていきました。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:9.突入
翌朝、ザ・ワンはMの手によって捕らわれ、Mは「手記」を手に入れました。「手記」を手に入れたMは、ザ・ワンに「人類を完成へと。争いのない世界へと導く」と言うと、ザ・ワンは「その傲慢さは身を滅ぼすぞ」と言い放ちました。一方、セルフハウスに無事、集まったワトソンたちは、ザ・ワンからフライデーに直接送ってきた案内状を手にしました。それにはMに捕らわれたザ・ワンが、ロンドン塔へ移送中であることが記されていました。Mが手記とザ・ワンを使って何か企んでいると推察したワトソンたちは、急遽、「チャールズバベッジ」のあるロンドン塔へ向かうことにしました。ワトソンたちは、ハダリーの父トーマス・エジソンが改造したUSSノーチラス号を借り、一路、ロンドンへ向かいました。ハダリーはノーチラス号を操縦しながら、ワトソンに「父(エジソン)は意思の重さであるノイズを認めない。」と吐露しました。ワトソンは「それは君が悲しむ姿をみたくないからでは」とハダリーに言うと、ハダリーは「でも私が知りたいのはそれなの。…だから、私は失敗作なんだわ」と悲しそうに呟きました。英国近海に入ったノーチラス号は、英国軍に捕捉され、手荒い歓迎を受けました。ハダリーは、一刻も早く乗り込むため、最短距離でノーチラス号を進行させ、急浮上させて、英国に乗り込みました。ワトソンたちはMの計画を止めるため、ロンドン塔へ急行しました。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:10.暴挙
その頃、Mは手に入れた「手記」、捕獲した「ザ・ワン」、そして「ヴィクターの脳」と「チャールズバベッジ」とをつなぎ、人類を争いのない「新たなステージ」へと移行させようとしていました。Mは「チャールズバベッジ」にかつてない息吹を吹き込みました。「チャールズバベッジ」は稼働し、かつてない音波を発生させました。音波を受けた屍者たちは、狂い始め、人間たちを襲い始めました。街は一時、大混乱に陥りましたが、屍者たちや彼らに殺された屍者たちも、Mの思惑通り「絶望」へと導かれ、感情のない屍者へと変貌していきました。ワトソン、フライデー、ハダリーは、Mの暴挙を止めるため、「チャールズバベッジ」へ向かいました。するとそこには、Mを「全能を気取るただの愚かな人間」と言い放つザ・ワンに、刃を向けているMがいました。ワトソンはMに「チャールズバベッジを止めろ!」と叫びましたが、Mは聞き入れませんでした。Mは屍者たちを操り、ワトソンたちを葬ろうとしました。しかし、Mは音波を発しながら屍者をなぎ倒したハダリーの強烈な飛び蹴りをくらい、気を失ってしまいました。次にハダリーは自身の力でザ・ワンの動きを封じました。フライデーはワトソンの指示に従い、「チャールズバベッジ」の音波を止めにかかりました。気を失っていたMは起き上がると、背後からハダリーを撃ちました。ハダリーは倒れ、機能が停止してしまいました。ワトソンはMの左肩を銃で撃ちぬくと、ザ・ワンが拘束を破り、Mの剣でMを抹殺しました。
「屍者の帝国」のネタバレあらすじ:11.屍者の言葉
復活したザ・ワンは、フライデーの中から、ハダリーに魂を吹き込もうとしました。これがザ・ワンの狙いでした。ザ・ワンは解析機関と対話を開始し、かつてヴィクターから創造を拒まれた自らの花嫁を、ハダリーの体を使って実体化させようとしました。ザ・ワンにより「屍者の言葉」を理解した解析機関は、実体化して、全生命を屍者化することを始めました。屍者たちから緑色の発光体が浮かび出て、解析機関へと集まり、ハダリーの体内へと入っていきました。そしてザ・ワンの意識はフライデーの肉体へと入り、魂を得たかのようなハダリーに、近寄りました。その時でした機関室で屍者と格闘していたバーナビーが、機関室を破壊しました。動力源を絶たれた解析機関は一時停止し、ザ・ワンの計画はあと一歩のところで遮断されてしまいました。元に戻ったフライデーにワトソンは「論理迷宮を発動。ザ・ワンの魂を屍者の言葉を手記に閉じ込めろ!」と命じました。フライデーはそれを見事に達成させ、ワトソンはザ・ワンの隙をつき、屍者の魂の結晶体でザ・ワンを刺殺しました。ザ・ワンは手記の中へと消滅していきました。それと同時に「チャールズバベッジ」は崩壊、無数の緑の発光体が、ロンドン中に降り注ぎました。街は元の平安な姿に戻りました。静かな夜明けの街を眺めながら、ハダリーは「私の中にザ・ワンの花嫁の言葉が入ってきた。悲しみ、怒り、そして喜び。…魂がないはずなのに…」とワトソンに呟きました。ワトソンは悲しそうに当惑するハダリーに「君には魂があるんだ。君のそういうところが好きなんだよ」と告白しました。ハダリーはワトソンに「私に魂があるなら、彼(フライデー)にも魂がある。諦めてはダメよ」と言い、手を握りしめました。
「屍者の帝国」の結末:12.エピローグ:封印
戦闘の中、ヴィクターの手記を手に入れたワトソンは、フライデーに指示し、それを自らの体内に封印しました。彼は手記が今後、悪用されないようにしたのでした。しかしそれは、ワトソン自身が屍者となることと同義でした。フライデーはある手記を書きました。そこにはフライデーのワトソンへの感謝の言葉がつづられていました。4年後、屍者となったワトソンは、新しい人間として蘇りました。そして、シャーロック・ホームズという名探偵という新しい相棒と共に、ロンドン中を駆け回っていました。
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