東京公園の紹介:2011年日本映画。「東京公園」は小路幸也の小説を原作として映画化。カメラマンを志望する青年と周囲の立場の違う女性3人との関係を映し出す。最初からいろんな謎が提示されており、それをゆっくり紐解いていくことで、最後までとても気になる作りになっています。最初の疑問は、ゆっくりながらも全て丁寧に解決してくれます。公園という景色ので中で、ゆったりと人々の心情が写真のように動いていきます。第64回ロカルノ映画祭で特別賞を受賞しています。
監督:青山真治 出演者:三浦春馬(志田光司)、榮倉奈々(富永美優)、小西真奈美(志田美咲)、井川遥(初島 百合香)、染谷将太(高井ヒロ)、高橋洋(初島隆史)ほか
映画「東京公園」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「東京公園」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
東京公園の予告編 動画
映画「東京公園」解説
この解説記事には映画「東京公園」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
東京公園のネタバレあらすじ:起
大学生の志田光司(三浦春馬)は、写真家になるために毎日公園へ通って、楽しそうにくつろぐ人々を写真に収めていました。
ある日、ベビーカーを押す美しい女性が散歩をしている様子を撮影していた光司は、背後からある男・初島隆史(高橋洋)に呼び止められます。怪しい人物に疑われた光司は、初島にこれまで撮りためた写真と名刺を見せ、誤解を解きました。
その日の夜、光司は初島から連絡を受けます。てっきり自分の才能が見込まれたと思った光司でしたが、初島から思わぬ依頼を受けました。
それは、彼の妻・百合香(井川遥)と娘が公園に遊びに行った時に必ず写真を撮影して、データを自分の携帯に送ってほしいというものでした。おかしな依頼に戸惑う光司ですが、割の良いアルバイトのため引き受けることにします。
光司は、撮影のためのカメラを、同居している幼馴染の高井ヒロ(染谷将太)に借りることにしました。いつも家にいて本を読んだりゲームをしたりしているヒロは、「カメラなら自分の物をもってるだろ?」と尋ねます。光司は「依頼を受けて、ささっと撮ってささっと隠せる小さいデジカメがいいんだ」と説明します。
夜になり、光司はバイト先のバーへ向かいます。バーには9歳離れた姉の美咲(小西真奈美)がよく顔を出していました。そこへ、小学校時代からの知り合いである富永美優(榮倉奈々)もやってきます。毎晩のように光司がバイトしているバーにやって来る美優は、ヒロの元恋人です。
翌日、初島からメールが来ます。そこには、百合香が散歩に出かける公園の名前が書かれていました。海の見える公園についた光司は、初島から依頼された通りに百合香の写真をデジカメで撮影します。
それからも、初島からメールで指示が来る光司は、指示通りに撮影をして初島にデータを送るのでした。
東京公園のネタバレあらすじ:承
そんなある日、美優が肉まんとケーキ、赤ワインを持って家に遊びに来ます。深夜のビル掃除の仕事を辞めた彼女は、少しやけになっている様子です。
どんどんワインを飲みすすめ、一通りの愚痴をしゃべった美優は「で、居るの?」と切り出します。光司は「居るよ」と言い、美優は「何でそんなオバケみたいなことするの?ゾンビでいいから出てきなさいよ!」と怒り口調でヒロに話かけました。
実はヒロは亡くなっており、光司だけに見える存在です。美優は、光司にはヒロが見えるのに、自分は見えないことで苛立ちを感じています。どうして光司にだけ見えて、しかも光司の家にヒロがいるのか、納得がいかない美優。しかしそれは、ヒロ自身にもよくわかっていません。
「あんたには大切な人が突然いなくなったことがないから…」と、光司に不満をぶつける美優でしたが突然謝罪。実は光司の母親は、彼が小学2年生の時に亡くなっていました。しかしそんなことはとっくの昔のことで、まったく気にしていない様子の光司。酔っ払って寝てしまった美優に毛布をかけてやります。
その後も、百合香が昼間公園へ娘と遊びに来ている様子を撮影する光司。そんな時に田舎の母親が倒れたと連絡を受けた光司は、美咲と共に見舞いに帰ることにします。
久しぶりに会った母親は元気そうで安心する光司と美咲。病室を出た光司は、父親と二人で話をします。「お前は大丈夫か?」と問われた光司は、「何とかやってるよ」と笑顔で返しました。
一方、病室で母親と二人きりになった美咲は、母親から「光司と仲良くしてくれて嬉しい」と言われ、複雑な気持ちになっていました。実は光司と美咲は連れ子同士の再婚で、血が繋がっでいないのです。美咲は密かに弟の光司に恋心を抱いていました。そしてそれは光司も同じで、姉のことを密かに想っていました。
東京公園のネタバレあらすじ:転
よく分からないバイトを頼まれ、いつしか人妻の虜となって撮影している自分自身に疑問を持つ光司は、美咲に相談することにします。
美咲はどうして初島が妻の写真を撮らせているのか、そして百合香が毎日のように別の公園を訪れる理由がわかったようですが、「自分で考えなさい!」と言って教えてくれません。
翌日、光司と美咲と父親の三人で海の見える、見晴らしのいい場所に行きました。海を見つめて静かに涙を流す美咲の肩に、そっと父親が手を乗せます。その様子をそばで見守る光司。
こうして家に戻った光司の元に、美優が遊びに来ました。彼女は、光司と美咲がお互いに思い合っていることを知っています。自分の想いを告白するようけしかけられた光司は、「どうして俺と姉さんのことをお前が心配してくれるの?」と尋ねます。美優は、「ヒロがいなくなって気付いたの。幸せを逃すととんでもないことになる。だから応援するの」と告げました。
美咲が光司に好意をよせていることは、光司が働くバーの店主も知っていました。弟のことをまるで恋人のことを話すように、バーの店主に話して聞かせていた美咲。光司が店主の店で働き出したのも、美咲の紹介です。カウンタ―越しに話す美咲と光司を見て、店主は特別なことが起こるのを祈っていました。そうでなければ二人は結ばれないと思ったからです。
店主はゲイですが、アケミという妻がいました。しかし彼女は亡くなっています。美優も店主も大事な人を失っており、そんな二人に説得された光司ですが、なかなか踏ん切りがつかずにいます。
その後も、百合香の現れる公園で待ち伏せして写真を撮り続けていた光司を、美優が偶然見かけます。事情を知った美優は、東京の地図があるかと光司に尋ね、今まで訪れた公園を地図上で結んでみることにしました。
すると、渦巻きの形になることが判明します。「ただのゲームだよ」と言う美優に首を傾げる光司。百合香の写真を見た美優は、彼女が光司の亡くなった母親にそっくりだと告げます。光司は百合香を撮影することで、母親への想いを満たしていたのです。
そして話は美咲のことになり、またしても美咲に自分の気持ちをぶつけるよう光司は諭されます。
東京公園の結末
その翌日、ついに光司は行動に移すことにします。カメラを手に、美咲の家を訪ねる光司。光司は美優に言われた通り、美咲を真正面から見てカメラで撮り続けます。その後二人はキスを交わしますが、既に二人の気持ちは恋愛感情よりも、姉弟の気持ちの方が強いことに気づきました。
キスをしたことにより、今の本当の気持ちに気付けた二人。美咲は母親と一緒にいるために仕事を辞めて田舎に帰ることにします。一方光司は、人妻の写真を撮影する仕事は辞めようと決意。初島に隠し撮りを辞めたいと告げました。
すると初島は必死で光司を引留めます。光司に「自信がないんですか?」と言われた初島は逆上し、光司に殴りかかります。妻があまりに美しいため、彼女が娘と公園へ昼間出かけるのも、誰かと浮気しているのではという想いに囚われていた初島。そんな彼に光司は「奥さんが昼間行っている公園を地図上で結ぶと、渦巻きの形になる」と教えます。
それを聞いて初島はびっくりした表情を浮かべました。彼が彼女に最初にプレゼントしたのは、渦巻状のアンモナイトの化石だったからです。それは妻からの「私を信じて。」というメッセージでした。
初島は妻の昼間の行動を追うことをやめます。そんな彼に光司は「今度はあなたがこれで、奥さんをまっすぐ撮ってあげてください。」とデジカメを渡しました。その後、カメラを手に妻と娘の写真を撮る初島の姿がありました。
その後、美優が光司の家に転がり込んできます。それを見たヒロは「これがけじめなのかな…」と言って姿を消してしまいます。美優はヒロが亡くなった今、頼るのは光司だけでした。ヒロが亡くなって心細かったことや、素直になれない自分がいたことを打ち明けます。
その後、新しい家具を買うために買い物に出かけた光司は、そこで初島夫婦を見かけます。それぞれが少しずつ自分の気持ちに踏ん切りをつけ、新しい出発をするのでした。
以上、映画「東京公園」のあらすじと結末でした。
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