思い出のマーニーの紹介:2014年日本映画。スタジオジブリ作品。第38回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞。ある理由から母や周りの人とも距離を置き、杏奈は暗い学生生活を送っていた。そんな事もあり喘息の療養として親戚の家へとやって来た杏奈は、そこでマーニーと一人の少女と出会い不思議な体験をする。しかし、そこには想像も出来ない深い意味があった。
監督:米林宏昌 声の出演:佐々木杏奈(声)高月彩良、マーニー(声)有村架純、佐々木頼子(声)松嶋菜々子、久子(声)黒木瞳、晩年のマーニー(声)森山良子、彩香(声) 杉咲花 ほか
映画「思い出のマーニー(詳解)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「思い出のマーニー(詳解)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
思い出のマーニーの予告編 動画
映画「思い出のマーニー(詳解)」解説
この解説記事には映画「思い出のマーニー(詳解)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:1【杏奈の性格の理由】
幼い頃に杏奈(声:高月彩良)は両親と祖母を亡くし、その葬儀の最中杏奈の引き取りで揉める親戚を見て、自分は要らない人間なんだと子供ながらに思い、また親戚が誰も引き取らなかった為に施設に入っていた所を今の両親に引き取られたが、その父も亡くなり今は母と二人暮らしをしていた。その母(声:松嶋菜々子)が役所から児童手当を貰っている事を知り、自分の事はお金を貰えるから育ててくれているのだと勝手に思い込み、引き取ってくれた母の事も信じられずにわざと「おばさん」と呼び他人行儀に振る舞う。子供の頃の悲しい記憶や喘息の事、母への不信感から杏奈は人を信じる事が出来ずに、誰とも深く付き合おうとせず、またそんな自分の事も許せずに嫌いであった為、表情が無く暗い少女へと育ってしまっていた。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:2【喘息の療養で大岩の家へ】
母との不仲もあり医者の進めで、田舎の親戚(大岩)の家で喘息の治療の為に療養をする事になった。小さな駅に着くと親戚の叔父さんと叔母さんが迎えに来ていた。「もう、覚えてないよね」と言う叔母さんに「おばさんから聞いてます」と母(頼子)の事を「おばさん」と呼ぶが、叔母さんは何も聞かずに杏奈を受け入れてくれた。叔母さんは杏奈の母である頼子から全てを聞いており、親子関係が上手く行っていない事も分かっていた。家に行くまでに丘の上にある棟を見て気になり聞いてみると、それはサイロという動物の飼料などを貯蓄する建物である事が分かったが、また今ではもう使ってないとの事だった。大岩の家に着き荷物をバッグから出すと、何枚かのハガキと「何か変わった事が在ったら手紙を下さい」と書かれた頼子からの手紙が入っていた。「頼子は心配性だから書いてやりなさい」と言う叔母さんに言われ、仕方なく当たり障りの無い文章をハガキに書いた。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:3【海の向こうの屋敷】
ハガキをポストに入れる為に郵便局へとやって来た杏奈は、地元の人が近づいて来るのを見て逃げる様にその場を離れた。足を滑らせ丘を転げ落ちると浜辺へと出た、そこで一軒の屋敷を見つけると何故か知っている屋敷の様な気がして気になる。潮が引いていたので歩いて屋敷まで行く事が出来た。屋敷の周りを見て回るが草は生え荒れ果て、家の中も何も無く誰も住んでいる様子は無かった。2階の窓が気になり見上げると、そのまま眠ってしまった。目を覚ますと浅瀬だった海に潮が満ちて帰る事が出来なくなり途方に暮れていると、無口で無愛想な十一が手漕ぎボートでやって来て杏奈を乗せてくれる。そのボートに乗りながら屋敷の方を振り返ると、一瞬明かりが点いた様な気がしたがすぐに消えてしまった。家に帰り屋敷の話をすると、昔は外国人が別荘として使用していたらしく、もうずっと空き家で誰も住んで居ない事を教えてくれた。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:4【祭りの夜】
叔母さんの紹介で近所の家の「のぶ子」達と、いやいや祭りに行かされることになった杏奈はそこで願いを書くようにと短冊を渡される。「毎日が普通に過ごせます様に」と杏奈の書いた短冊を見て、のぶ子が「普通ってなに」と騒ぎ立てる。また杏奈の目を見て「よく見ると外国人みたいで綺麗」と皆を呼び寄せる。その無神経さに腹を立てた杏奈は「黙れ、太っちょブタ」と感情のままに叫んでしまう。我に返った杏奈はその場から走って逃げ出してしまった。海までやって来ると、鳴きながらこんな自分の事が「大っ嫌い」と大声で叫んだ。家に帰ろうとすると、一隻のボートがある事に気づき、対岸にある屋敷を目指して漕ぎ始めた。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:5【マーニーとの出会い】
途中でオールが動かなくなり屋敷の船着き場に正面から追突する寸前に、中から金髪の少女が出てきて「ロープを投げて」と言った。杏奈が急いでロープを投げると、船が正面からぶつからない様に上手く誘導してくれた。その子は杏奈の夢に出てきた、2階の窓辺でおばあさんに髪を梳かれていた少女であった。空き家のはずの屋敷には電気が点いており、中からマーニーの母が出て来た為、木の陰に隠れた。すると少女が杏奈の為にボートを置いておいたと言い、またこの事は誰にも言わないで二人の秘密にしようと言う。次の日も海へ行くと少女がボートで迎えに来ていて、これからピクニックをしようと杏奈をボートに乗せた。杏奈が「名前を知らない」と言うと少女は「知っているかと思った、マーニーよ」と名乗った。二人は小さな小屋の前に辿り着くと、「杏奈の事をもっと知りたい、でも少しずつ知りたいから一晩に3つずつ質問をし合おう」と提案する。お互いに3つずつ質問をし合ったが、最後の質問でマーニー(声:有村架純)と杏奈は不思議な体験をする。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:6【屋敷のパーティー】
質問も終わり帰ろうとすると、突然マーニーが自分の家のパーティーに杏奈を誘った。無理だと答える杏奈に「面白いアイデアがある」と言うと、杏奈の髪に自分の髪に刺さっていた花の飾りを付けた。屋敷では盛大なパーティーが開かれており、大勢の人々が集まっていた。外で待っていたアンなの元へ、ピンクのドレスに着替えたマーニーがやって来て、ばあやのショールを杏奈に被せると屋敷の中へと招き入れた。ばあやに見つかり「その人は誰ですか?私のショールを着けて」と怒って追いかけてくる。二階のマーニーの部屋へとやって来た二人は、ばあやに布団を被せその隙に逃げ出す、落ちていた部屋の鍵を見つけばあやを部屋へと閉じ込めた。マーニーの父が「可愛い花売り娘が来ています」と杏奈の事を紹介した、すると拍手が沸き起こりマーニーの母が「その花を貰えるかしら」と言うと「誰か花代を払ってくれないかしら」と皆に言った。すると客人達が杏奈の周りに集まりお金を大量のお金を出す。その輪の中から逃げ出し暖炉の前に居ると、人混みの奥にマーニーが差出した手を一人の男性がキスをしダンスを踊る様子が見えた。杏奈は渡されたお酒を飲んで気を失ってしまった、気が付くとテラスで寝かされていて、そこへマーニーがやって来た。杏奈は少し怒った様子で「一緒に踊っていたのは誰?」と聞くと、「和彦?幼馴染よ」と言った。不機嫌な杏奈をマーニーがエスコートし踊り始めるが、ダンスに慣れていない杏奈はよろめいてしまう。笑い出すマーニーにつられ杏奈も笑い出す、心から笑う杏奈を抱きしめると「また私を見つけてね」と意味深な事を言うのだ。一台の車が郵便局の前で倒れている杏奈を見つけ、大岩の家まで送り届けてくれた。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:7【おばさんの事】
朝目を覚ますと杏奈は元気に朝食を食べ、失くした片一方の靴を探しに行くと浜辺の木の上に靴が置いてあり、マーニーの仕業だと思い屋敷に行ってみるが、屋敷は蛻の殻だった。帰って来た杏奈は叔母さんと収穫したトマトを器用に包丁で切っていると、叔母さんが頼子の話を始める。「あなたの所に行けると分かった時は、それは喜んで会えなかった5年を埋めるんだって言ってた。杏奈ちゃんが包丁を上手に使えるのはそのせいね」と叔母さんが言った。心配性の頼子は事ある事に大岩の家に電話をしてきては、メソメソ泣いていたという事も教えてくれた。そして頼子から杏奈の写真が沢山送られてきてるから、見せてあげると言うが杏奈は浮かない顔をする。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:8【会えない日々】
写真を見ながら寝てしまった杏奈は、目を覚ますと胸に抱いていたスケッチブックに描かれた少女を見て「マーニー?」と口に出して言った。すると頭の中で「私の事、探してね」と言ったマーニーの言葉が頭に浮かび、ハッと時計を見ると5時を過ぎていた。急いで海へと行くと潮が満ちていて、マーニーの姿は何処にもなかった。マーニーの事を忘れるなんてと落ち込む杏奈は、ボートを漕いで屋敷に行ってみるがやはり屋敷は蛻の殻だった。それから1週間もの間マーニーに会えないでいた杏奈は、丘の上で屋敷の方を見ながら絵を描いていた。此処へ来て2日目にこの丘で絵を描いていた女性が、「此処いいかしら?」と隣へやって来た。杏奈の絵を見て「その子、私の知っている子に似ている、とてもいい子だった」とマーニーの似顔絵を見て言った。杏奈が「そう良い子、でも1週間も会ってない。私が忘れたから怒っているのかな」と言うと、女性は「ちゃんと話せば、友達なら大丈夫」と励ましてくれた。女性が「ちょっと見て貰える」と、自分の書いている絵を杏奈に見せる。そこにはマーニーの屋敷が描かれており「あの屋敷の事が好きなの、でも早く描き上げないと人が入るみたいよ、改修工事も進んでる」と女性が言った。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:9【家の工事と少女との出会い】
驚いた杏奈はマーニーの屋敷に行ってみると、確かに工事の人が来ていて修理が進んでいた。杏奈が2階の窓を見上げると、眼鏡をかけた知らない少女が窓を開けたので慌ててその場を立ち去ろうとする杏奈に、少女が「あなたマーニー?」と尋ねる。杏奈は驚いた様子で少女の方を振り返る、少女は屋敷の表側に案内してくれ玄関から中へと入れてくれた。中に入ると修理はまだ進んでおらず、杏奈が見たままの姿をとどめていた。少女が自分の部屋だと通してくれたのは、マーニーの部屋だった。すると少女が杏奈に「前はあなたの部屋だったんでしょ?あなたいつもあそこから、私の部屋を見ているじゃない」と杏奈を窓際まで連れて行くのだ。杏奈は「この屋敷が好きなだけ」と、とっさに嘘をつくと「嘘、さっきマーニーって呼んだらあなた驚いたじゃない」と、少女に確信を着かれてしまった。観念した杏奈は「どうしてマーニーを知っているの」と聞き返すと、少女は引き出しから一冊の日記を出してきて杏奈に渡す。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:10【マーニーの日記】
その日記はマーニーの物で、日記には杏奈と過ごした日々の事が書かれていたが、「杏奈」という名前は何処にも書かれていなかったのだ。そして最後に書かれた日記には「夕べのパーティーの事で、ばあやが怒り部屋に閉じ込められてしまったから、しばらくはボート乗りは出来ない」と記されていた。日記はそこまで書かれて、その後のページはまるで誰かに破られたように無くなっていた。杏奈の事をまだマーニーだと疑って止まない少女に杏奈は、「マーニーは私が作り上げた空想の中の女の子、でもこれはマーニーの日記だわ、まるで本当にここに住んで居たみたい」と杏奈ですら現実とも空想ともつかないといった感じがしていた。それを聞いて少女はガッカリする、何故ならマーニーが日記を取りにやって来たのだと思っていたからである。すると杏奈は自分は札幌から療養の為に此処へやって来た事を説明すると、少女は自分は東京から引っ越しして来た「彩香」だと名乗った。納得のいかない彩香は杏奈に「空想の世界の女の子と日記の女の子の名前が一緒なのはどうして?きっと、マーニーは居るのよ。探してみる」と言った。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:11【夢の中のマーニー】
その夜、夢の中にマーニーが出てきて杏奈が描いていたマーニーの似顔絵を見て、「自分の絵を描いてもらったのは初めて」と喜ぶ。杏奈は突然現れたマーニーを、やっと会えたと抱きしめる。杏奈がマーニーに「今度は私の部屋に来て」と手を取るが、マーニーは屋敷からは離れられないと言う。すると杏奈はマーニーの好きな所へ行くと言い、マーニーの後へと着いて行った。キノコ狩りを楽しむマーニーは自分の家族の事を楽し気に話し出す、そんなマーニーを見て「あなたは恵まれた人、あなたなら良かった」と自分の家庭環境を僻む様に杏奈が言った。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:12【杏奈の気持ち】
「私、貰われっ子なの」と、杏奈は自分の事を話し始めた。本当の両親は子供の時に事故で亡くなった事や育ててくれた祖母も亡くなった事を話した。「わざと死んだんじゃないって分かってるけど、許せないの私を一人ぼっちにした事」と涙を流しながら怒って言った。そんな杏奈を見て「あなたは幸せだと思う。貰い子でもその時引き取ってくれた両親こそ本当に親切な人なんじゃない」と言うマーニーに自分が傷ついた原因でもある事を話しだすのだ。それは引き取ってくれた両親が、役所から自分を育てる為にお金を貰っていた事を知ってしまったと言う事だった。「あの人達は私のおかげでお金を貰っている。その事を隠していつも私にバレるんじゃないかと心配そうな顔をしている」と言うと「こんな事を気にしている自分が嫌いだし、誰も信じられない」と自分を責める。そんな杏奈にマーニーは「お金を貰っている事と、あなたを思っている気持ちは別よ」と慰める言葉を掛けるが、今まで傷ついてきた分マーニーの話に聞く耳を持とうとはしなかった。頑なな杏奈を抱きしめ「泣いていいのよ」とマーニーは優しく言うと「あなたを愛しているわ、今までのどんな子よりもあなたが好き」と愛おしむ様に言った。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:13【マーニーの話】
今度はマーニーの事を聞かせてと言うと「パパとキノコ狩りをしたはずっと昔の話、ママは大抵は旅行をしている」と言うとマーニーは崖から一歩歩み出し落ちて行った。慌てて杏奈が駆け寄るとマーニーは崖下の浅瀬を歩いていた。そして父は仕事で年に2回しか帰って来ない事や、普段屋敷に居るのはばあやと双子の家政婦のねいや達と自分だけだという事、両親が帰って来た時は盛大にパーティーを開き沢山の人が集まり、新しいドレスを着て踊るのその時だけは自分は世界一恵まれた子だと思ったと少し淋しげに言った。そしてお手伝いのばあやや、ねいや達にされていた仕打ちを話す。ねいや達にサイロに連れて行かれた酷い話を聞く、本気で怒る杏奈であった。まさか幸せそうなマーニーがそんな目に合っているとは思わなかった杏奈に、マーニーは「私はあなたなら良かった」と言い今度は立場が逆になってしまった。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:14【サイロに行く】
サイロの話を聞き怖い所ではない事を証明しようと、杏奈はマーニーを連れてサイロに行く事にした。マーニーが誰だって構わない、杏奈はただマーニーを苦しみから助けたいという一心だった。しかしマーニーの事を心配する杏奈「あなたと一緒なら大丈夫、和彦」と「和彦」の名前を口にする。それを聞いて杏奈は足を止めるが、マーニーは先に登っていってしまうのだ。そこへ彩香が通りかかり、杏奈に「日記の切れ端を見つけたの」と言うが、先に登って行ってしまったマーニーが気になり、「また今度」と彩香に告げ杏奈は坂を上り始める、彩香はがっかりして「大発見なのにな」とボソッと言った。サイロに着くと扉が開いており、中へと入りマーニーを探すと上の方に居るマーニーを見つけた。マーニーは見た事のないコートを羽織り、隅っこで蹲っていた。杏奈が近づくと「和彦」と言って杏奈にしがみついてきた、「しっかりして、杏奈よ」とマーニーの目を見て伝えると、マーニーは瘴気に戻り杏奈の事を思い出す。コートを掛け直すと二人は眠ってしまった。夢の中で杏奈はマーニーが迎えに来た和彦と、サイロから出て行く様子を見ていた。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:15【消えたマーニー】
杏奈が目を覚ますとマーニーは本当に居なくなっていた、マーニーを探しにサイロから飛び出すと雨の中を走り出した。杏奈は置いて行かれた事に「あなたまでも、私を置いて行ってしまった」と自分が子供の頃に一人ぼっちにされた事と重ねる様に言いながらも走り続けたが、木の根に足を取られ転んでしまうとそのまま動けなくなった。その頃彩香は家でマーニーの日記の切れ端を呼んでいた、和彦の事やサイロの事が書いてあり、サイロに向かって歩いていた杏奈の事が心配になり、兄を連れサイロへと向かったのだ。そこで雨に打たれて倒れている杏奈を見つけると、急いで大岩の家まで運んだ。杏奈は高熱を出しうなされていた、夢の中で杏奈は「私に黙って帰るなんて酷い、絶対に許せない」と怒りながら屋敷に向かい歩いていた。屋敷の前まで来ると2階の窓にマーニーが居て、開かない窓を壊し杏奈に向かって「私の大好きな杏奈」と叫んだ。しかし杏奈は「どうして私を裏切って置いて行ったの」と言うと、マーニーは「仕方なかった、あなたはあの時あそこには居なかった」と言った。どう言う事か訳が分からない杏奈に、「私はここから居なくならなければ行けない、あなたにサヨナラしなければいけない、だから杏奈私を許すと言って」と言う。杏奈は全てを悟った様に「もちろん許す、あなたが好きよ、永遠に忘れない」と言うと、マーニーは微笑みながら消えていった。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:16【久子の話】
サイロの事をまったく覚えていない杏奈に、彩香は日記の切れ端と一緒に見つけたという絵を見せてくれた。絵の裏には「to Marnie from Hisako」と文字が書かれていた、久子(声:黒木瞳)とは丘の上で屋敷の絵を描いていた女性だった。久子の元へ行き日記を見せマーニーの事を教えて欲しいと頼むと、「辛い話になるわよ」と久子が言ったが、構わず杏奈は話を聞く事にした。「もう随分昔の事二人共まだ小さかった、よくあの屋敷に遊びに行ったわ」と遠い目をしてゆっくりと話し出した。マーニーがパーティーの事や、両親の事をいつも自慢げに話していた事や、実際は放ったらかしにされていた事、またお手伝いさん達に苛められていた事を話した。その後は札幌に移り住んで幼馴染の和彦と結婚し2年後に絵美里という女の子が生まれた事で、ようやく暖かい家庭を手に入れマーニーは幸せそうだったらしいが、和彦が病気で亡くなり何年かしマーニーも和彦が亡くなったショックで体を壊しサナトリウムに入った事を教えてくれた。彩香が「絵美里ちゃんは、どうなったの?」と聞くと「預ける人が居なくて小学校に上がると時全寮制の学校に入れさせられ、14歳になり戻って来た時には別人の様にわがままで独立心が強くなっていたそうよ」と言った。病気だったとはいえ自分を遠くにやったマーニーの事を恨んでいた事、打解ける間も無くお腹に赤ちゃんが居た絵美里は家を出て男の人の元へ行ってしまった事、その後絵美里夫妻は自動車事故に遭い残された子供はマーニーが引き取った事、マーニーは絵美里が残してくれた子にだけは寂しい思いをさせまいと一生懸命育てていた事、しかし絵美里が亡くなったショックもあり、次の年マーニーも病気で亡くなった事、それは今からもう10年前の事だと話してくれた。「マーニーはあの家が好きだった。彼女は寂しかったけれど前を見つめ笑顔で懸命に生きようとしていた。あなたもマーニーに会ったのね」と久子は杏奈に言った。
思い出のマーニー:ネタバレあらすじ:17【全ての謎が解ける】
頼子は杏奈が居ない間、古いアルバムから一枚の懐かしい写真を見つけていた。それは杏奈が頼子の家に来た時に、握りしめていた写真で施設の人が「杏奈のおばあ様の物」だと言っていたと教えてくれた。写真を見て杏奈は驚く、それは白黒で撮られたあの屋敷の写真だったからだ。写真の裏を見てもっと驚く、そこには「私の大好きな家 マーニー」と書かれていたからだ。杏奈はマーニーの実の孫だった。杏奈がいつもつけているブルーの髪留めは、祖母であるマーニーが自分に付けてくれた物だった。マーニーは自分の話やいろんな事を乗り越えて来た、「だから杏奈も」と言ってつけてくれた髪飾りだった。
思い出のマーニー:結末【母との和解】
すっかり元気に明るくなった杏奈に、少し躊躇いながら毎月自治体からお金を貰っていた事を話した。杏奈にこの事を話すか話すまいか迷っていた事を告げると「どうであれ、杏奈を思う気持ちは変わらない」と頼子が言った。杏奈は「知ってた」と言うと、頼子が自分の口から話してくれた事が嬉しいと素直に気持ちを打ち明けた。帰る前に久子の元を訪ねると、晴れやかな表情の杏奈に「何だかとってもいい事が合ったみたいね」と言った。隣に来た頼子が久子にお辞儀すると、「母です」と杏奈は今まで「おばさん」とよそよそしく呼んでいた頼子を紹介した。頼子は驚きながらも嬉しくて涙が溢れる。久子に「手紙書きます、素敵なお知らせがあるので」と約束する。車に乗り駅へと向かう杏奈を、ボートから見送る彩香と十一、杏奈も元気に手を振る。その向こうにマーニーの屋敷が見え、素敵な体験をした夏休みを見送る様にいつまでも眺めていた。
以上、映画 思い出のマーニーのあらすじと結末でした。
思い出のマーニー:声優
杏奈の声:高月彩良、マーニーの声:有村架純、佐々木頼子の声:松嶋菜々子、大岩清正の声:寺島進、大岩セツの声:根岸季衣、老婦人(晩年のマーニー)の声:森山良子、ばあやの声:吉行和子、久子の声:黒木瞳、彩香の声:杉咲花、山下医師の声:大泉洋、十一の声:安田顕
思い出のマーニー:レビュー・感想
「借りぐらしのアリエッティ」でデビューした米林宏昌監督による第二作。 前作では脚本に宮崎駿が携わっていたが、今回「思い出のマーニー」は米林本人が脚本に参画しており、「宮崎・高畑」が全くかかわらない初めてのジブリ作品というフレコミである。 喘息の療養のため、海辺の小村でひと夏を暮らすこととなった杏奈は、入り江の向こう側の奥深くに、どこか懐かしい謎めいた洋館があるのを見つける。 そこには、マーニーと名乗る金髪の少女が暮らしていた。孤独な心を抱えた二人の少女による、現実とも幻想ともつかない不思議な交流が始まる。 「思い出のマーニー」の原作は同名のイギリスの児童文学の古典で、岩波少年文庫に収録されている。ジブリの仕掛人・鈴木敏夫から、「思い出のマーニー」の映画化を勧められたとき、米林は、原作を文学作品として感動したものの、映画にするのは難しそうと感じたという。アニメーションとして描くには、会話と、その微妙な変化で進む物語を描くことが困難なのだ。 しかしながら、舞台をいったん現代の札幌という身近そうな場所に置き換えた上で、いきなり釧路近郊の湿地帯という底知れないほど謎めいた場所に展開すると、アニメーションの魔力/魅力によって、どんな不思議なことが起こっても許せる気分になる。 こっそり洋館を訪れた杏奈が、初めてマーニーと向き合い、言葉を交わした夜、入り江が満潮になって帰れなくなった杏奈を、マーニーは手漕ぎボートで村まで送り届ける。やさしく包み込むように静かな海面を進む小さなボート。月の光に浮かび上がった二人の少女の妖しく、かつ美しいこと。 と、ここまで書いて、おそらくは原作そのままであろう舞台のしつらえが、あからさまなまでに「女性的」であることに気付く。マーニーの洋館が「湿っ地屋敷」と名付けられているのだから、なおさらだ。 そして、物語の後半、二人の少女が秘密の交流を続けた湿地帯の入江を離れ、マーニーのトラウマとなっていた丘の上のサイロを勇気を出して訪れたとなると、もはやサイロは屹立する男性器の象徴としか見えなくなってしまう。サイロを訪れた少女たちに、天は突然に表情を変え、激しい雨を浴びせかけたのも象徴的だ。 かくして、杏奈は、秘密の存在であった「大好きなマーニー」を失う。もしくは、マーニーを思い出の中に返していくことで他者(あるいは、異性)とも暮らしていくことができるようになった自分を見つける。もう、杏奈は、都会でも暮らすことができるようになっているはずだ。 などという飛び道具な感想になってしまったのは、パンフレットに寄せられた三浦しをんの<「いま」を生きるすべてのひとに>があまりにも的確すぎて、それ以上付け加える言葉が見いだせなくなくったのだ。 最後に、三浦しをんの一文を引用して締めくくりたい。映画「思い出のマーニー」は、「大人を慰撫し、郷愁へ誘う作品」では断じてなく「子どもと、かつて子どもだったすべてのひとに、「きみは一人じゃないよ」と囁きかける作品」ではないかと思う。
ジブリの作品ということですが、宮崎監督とはまた違った絵のタッチで女の子が特にかわいい印象でした。私はマーニーが好きです。物語の方と最後まで見るてから振り返ると、とてもほっこりしていた印象です。展開のテンポもちょうどよく、理解しながら観ることができた気がします。ジブリ作品は世界観からしてファンタジー物が多い印象でしたが現代ファンタジーも面白いと思えた作品でした。DVDで定期的に見返したくなる作品です。