映画「夢売るふたり」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
夢売るふたりの紹介：2012年日本映画。主人公の貫也と里子夫婦は小さな小料理屋を営んでいます。ある日、調理場からの失火が原因で、店を全焼させてしまう二人。このことがきっかけで、二人の運命が大きく動き出すことに…。「人間最大の謎は、男と女。心と性を揺さぶる衝撃のラブストーリー」というキャッチコピーで、火事で全てを失った夫婦が再起を図るため、結婚詐欺を繰り返していくという物語です。この作品はその劇中で、切なくも危うい男と女の“愛憎”をきめ細やかに描いたヒューマン・ラブストーリー映画となっています。
監督：西川美和 出演：松たか子（市澤里子）、阿部サダヲ（市澤貫也）、田中麗奈（棚橋咲月）、鈴木砂羽（睦島玲子）、安藤玉恵（太田紀代）、香川照之（外ノ池俊作／外ノ池明浩）、笑福亭鶴瓶（堂島哲治）、ほか
この解説記事には映画「夢売るふたり」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
小料理屋「いちざわ」を営む、店主の市澤貫也(阿部サダヲ)と妻の里子(松たか子)。店には開店5周年を祝う胡蝶蘭が飾られ、常連客でにぎわっています。そんなある日、調理場から失火してしまい店は全焼。貫也も里子も、店が焼け落ちるのをただ茫然と見守るしかできませんでした。火事のせいで仲の良かった常連客の一人が入院することとなり、貫也は深く心を痛めます。
すべてを失った二人ですが、それでももう一度店を再建するために、それぞれ別の場所で働くことにしました。里子はラーメン店で、貫也は料理人として働き始めますが、従業員と口論となり貫也はすぐに仕事を辞めてしまいます。
それからの貫也はろくに働きもせず、里子に愚痴をこぼしてばかり。里子が働くラーメン店を訪れて、「よくお前はこんな適当な店で働いていられるな！」と嫌味を言います。しかも店長と里子ができているのではないかと疑いの目を向ける貫也。
酒に溺れる日々を過ごしていた貫也は、ある日、駅のホームで店の常連客だった睦島玲子(鈴木砂羽)に再会します。彼女もかなりひどく酔っ払っていて、二人は終電を逃してしまいました。部長と不倫関係にあった玲子ですが、この日部長が亡くなり、ショックで一人で飲んでいました。
べろんべろんに酔った玲子を貫也は介抱し、彼女の家まで連れて帰ります。そして勢いに任せて一夜を共にする貫也と玲子。酔いがさめた玲子は、貫也に大金を渡します。その金は、不倫相手だった部長から何かあった時のための手切れ金として受け取ったものでした。貫也は断りますが、「またお店頑張って！」と言われ、受け取ることにします。
金を手にした貫也は急いで家に帰り、「これでまた店を再建できる！」とうれしそうに里子に話します。しかし貫也の行動から、浮気に気がつく里子。猛烈に腹を立てた彼女は、金を燃やしてしまいました。このことがきっかけで、里子は貫也を使ったある詐欺を思いつきます。
昼間はラーメン店で働く里子は、夜は貫也と同じ料亭で働き始めます。そんなある日、実家暮らしをしているOLの棚橋咲月(田中麗奈)が妹と料亭にやってきました。まだ嫁いでいない咲月に、妹は厳しい言葉をぶつけてきます。一人になった咲月は涙を流し、そんな彼女にハンカチを差し出すよう里子が貫也に指示を出します。貫也にやさしくされたのをきっかけに、頻繁に店に顔を出すようになる咲月。彼女と貫也は親しい関係になり、ついには男女の関係になっていくのでした。
しかし貫也が関係を持っているのは、咲月だけではありません。他にも多数の女性と関係を持ち、女性達から金を貢いでもらう貫也。里子が考えた詐欺の手口はこうです。まずは心の隙のある女性に貫也が近づきます。そして「店を再建したいが、金がない…」とちらつかせ、女たちから金をせしめるのです。しかし貫也は金を受け取る時には、必ず返す約束をしていました。もし店が再建できたあかつきには、倍にして返そうと考える貫也と里子。
こうして咲月からも大金を受け取った貫也は、里子と一緒に料亭を辞めて、早速店の物件を探すことにします。しかしそんなこととは知らない咲月は、急に貫也が姿を消したことでショックを受けるのでした。
貫也のお目当ての物件は高く、その後も貫也と里子は詐欺を働くことにします。里子は、婚活パーティーに参加していたウエイトリフティングをしている女性・ひとみをターゲットにして、貫也と引き合わせました。(この時里子は、貫也の妹のふりをしています。) 二人はすぐに恋仲になり、深い関係になったところで、里子が自分は癌だとひとみに嘘をつきます。これでひとみが大金を用意するだろうと考えた里子ですが、ひとみはお見舞いとして少額しか用意しませんでした。
それを知った里子は、「お見舞いなんかをもらうために、長い時間と労力をかけているわけではない！」と貫也に辛く当たります。貫也は、「癌だとか病気だとか、洒落にならないようなことを言うからだよ…」と言い返しますが、里子は「自分たちは洒落にならないようなことをしなければ、店を再建することはできない」と、二人は口論となりました。しかし実際のところ里子は、浮気をした夫や夫と関係を持った女から金をとることで、憂さ晴らしをしているだけです。
この時貫也は、風俗嬢の女性・紀代と出会い関係を持っていました。彼女にも妹が病気で金が必要だと言って金をとろうとする貫也。すると紀子がありったけの貯金通帳を用意して、笑顔で「全額をあげる。」と言ってきます。すぐ男に貢ぐ癖があるのだろうと、紀子をかわいそうに思っていると、そこへ紀子の元夫(伊勢谷友介)が殴りこんできました。
借金だらけの元夫から逃げて暮らしていた紀子。元夫は貫也に「紀子を幸せにできるのか？」と尋ねます。すると紀子が、「私は誰にも幸せにしてほしいと思っていない。自立している今の自分が好きです。だからもう解放してください。」と、元夫に告げるのでした。
ある日、練習中に足を怪我したひとみが病院に運ばれたことを知って、貫也が駆けつけます。彼女は大金を用意していました。金で自分をつなぎとめておこうとするひとみの姿に、貫也はやるせなくなり泣き出してしまいます。そのまま病室を後にした貫也は、男性が救急で運ばれてくるのを目にします。近くには小さな男の子がいて、しばらく一緒に遊んでやる貫也。すると男の子の母親が病院に駆け込んできました。男の子の母親は木下滝子(木村多江)で、息子の名は恵太と言います。
彼女の実家は製本工場を営んでおり、貫也は恵太と仲良くなり、滝子とも親しくなっていきました。滝子と一緒に暮らし工場を手伝いながら、詐欺をはたらくつもりだと言って、貫也が家を出て行きます。そんな夫を止めることもできず、里子はただ見送るのでした。
新しい店の立地も決まり、建築もはじまっていましたが、貫也がいない里子はたまらなく寂しくなります。里子は貫也がいる工場を訪れ中を覗くと、そこにはうれしそうに作業をする貫也がいて、腹が立った里子は刺し殺そうと包丁を持ちました。すると恵太が目の前にいて、ビックリした里子は持っていた包丁を落とし、階段から滑り落ちてしまいます。
そんな中、私立探偵に依頼していた咲月は、貫也と里子が詐欺師だと知りショックを受けます。これまでにもたくさんの女性を欺いてきた貫也たちが許せない咲月は、探偵の堂島(笑福亭鶴瓶)と共に貫也のいる工場を現れることにしました。
咲月を見て慌てふためく貫也。そんな彼のことを咲月は思い切り殴りつけます。その様子を見ていた恵太が、探偵の堂島を後ろから包丁で刺しました。貫也は、恵太をかばって自分が刺したと駆けつけた警察に自供。その後ラーメン店の店主から言い寄られていた里子の元に、警察がやってきますが、里子は急いで逃げるのでした。
罪をかぶり服役する貫也。里子は、漁港で真面目に働いています。そして玲子のもとには、「いちざわ」の判が押された封筒が届き、中には大金が入っているのでした。
以上、映画「夢売るふたり」のあらすじと結末でした。
続いて、より詳細なネタバレあらすじを解説します。
この映画の感想を投稿する