アルゼンチンババアの紹介:2007年日本映画。町外れに住む風変わりな女性、通称アルゼンチンババア。一見おかしな彼女の言葉や行動が、壊れかけた父娘の絆を結び直すヒューマンドラマ。愛の偉大さと生命の尊さを描く感動作。
監督:長尾直樹 出演者:鈴木京香(ユリ(アルゼンチンババア))、役所広司(涌井悟)、堀北真希(涌井みつこ)、手塚理美(涌井良子)、森下愛子(滝本早苗)、小林裕吉(滝本信一)ほか
映画「アルゼンチンババア」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アルゼンチンババア」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「アルゼンチンババア」解説
この解説記事には映画「アルゼンチンババア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アルゼンチンババアのネタバレあらすじ:母の死と父の失踪
舞台は小さな田舎町。高校生の涌井みつこは入院中の母涌井良子の病室を訪ねますが、良子は容態が急変し死亡してしまいます。さらに父涌井悟が突然の失踪。叔母の滝本早苗とその息子滝本信一、そして近所の人々に支えられながらみつこは父を待ち続けます。それから半年後。うなぎ屋の店主が町外れの草原に建っている古いビル、通称「アルゼンチンの遺跡」の前を通りかかります。そこには町でアルゼンチンババアと呼ばれている、アルゼンチンからやって来た風変わりな女性が住んでいました。その庭で悟の軽トラックを見つけ、店主はみつこに連絡します。大慌てで訪ねたみつこを、アルゼンチンババアことユリは歓迎してくれました。屋上には懐かしい父の姿。しかし反省も謝罪も無い悟の様子にみつこは言葉を失います。気まずそうな悟と天真爛漫なユリに囲まれ、みつこは逃げるようにビルをあとにしました。
アルゼンチンババアのネタバレあらすじ:拒絶された御影石
その後早苗と信一もビルに足を運びますが、結局悟を連れ戻すことはできません。ある夜、みつこは信一とともに悟奪還のためビルに向かいます。しかし愛し合う悟とユリの姿を目撃し、そのまま逃げ帰ってしまいます。一方、近所の人たちも悟を連れ戻すための案を出し合っていました。悟が熱心な墓石彫り職人だったことから、仕事を与えてみることにします。御影石を運び入れ、これで良子の墓を作るよう説得する早苗たち。その話を聞いたみつこは夕闇が迫る中ビルへ向かいますが、悟は墓を作るどころか石を土に埋めようとしていました。失望したみつこは御影石を台車に乗せ家へ向かいます。その途中でユリが現れました。悟はまだ現実を受け入れられずに逃げている状態なので、もう少し待ってやってほしいと彼女は言います。みつこは素直に頷くこともできず、泣きながら御影石を家に持ち帰るのでした。
アルゼンチンババアのネタバレあらすじ:衝撃の事実
悟の行動に激怒した早苗はビルに乗り込みます。屋上で二人と対峙しますが、そこへ町の子どもたちがいたずらで放った花火が飛び込んできます。植物に火が燃え移りパニックになる屋上。ユリの機転で消火に成功しますが、早苗の怒りは収まらずユリを激しい口調で責めます。駆けつけるみつこと信一。しかし突然ユリが苦しみ始めます。病院で検査した結果、ユリが悟の子どもを身ごもっていると判明。彼女は命がけの高齢出産を決意し、悟には家に戻ってきちんとみつこの父親になるよう諭します。会話をドアの外で聞いていたみつこは、一人で家に戻りました。遅れて悟たちも帰宅しますが、みつこの姿はありません。彼女は良子の遺骨とともに消えていました。
アルゼンチンババアのネタバレあらすじ:父と娘の絆
慌てる早苗に悟は心配するなと言います。そしてあの御影石を使い、一心不乱に良子の墓石を作り始めました。三週間後、ついに完成したそれを軽トラックの荷台に積んで、悟は出発します。行き先は海に近い小さな民宿でした。ここは昔、親子三人でイルカを見た思い出の場所です。みつこはその民宿にいました。宿の外で話し始める父娘。悟は良子の死を受け入れられずにいた自分をユリが救ってくれたと語ります。一方みつこもずっと黙っていたことを口にしました。良子が死亡した日、みつこは弱っていく母の姿に動揺し「早く死んで」と思ってしまったのです。そして本当に良子は死亡してしまい、とてつもない罪悪感がみつこを責め続けていたのでした。父娘は現実を受け入れ許し合います。悟は良子の墓石をみつこに披露しました。イルカ好きだった良子のために作った、イルカの形の墓石でした。最後に三人でまたイルカを見ようと、墓石を乗せたボートで海へ出ます。イルカに興奮した二人がバランスを崩し、ボートは転覆。二人は沈む墓石から手を離し、良子に別れを告げました。
アルゼンチンババアの結末:新たな命
やがてユリは元気な男の子を産みました。しかし体の不調で彼女は死亡してしまいます。赤ん坊は家族や近隣住民皆に愛されて育っています。みつこはビルの屋上でユリの言葉を思い出していました。人と人が愛し合うのは、愛しい時間がずっと続いてほしいと願うからだと彼女は言いました。そこへふいに現れたユリの幻。みつこは誘われるまま彼女とタンゴを踊ります。やがて消えてしまったユリの姿を追うようにみつこが空を見上げ、この物語は終わりを迎えます。
以上、映画アルゼンチンババアのあらすじと結末でした。
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