バブルの紹介:2022年日本映画。謎の泡に包まれた東京を舞台に、孤独な少年と不思議な少女の心の交流を描くアニメーション作品。ある日、世界中に重力を操る謎の泡が降り注いだ。泡は東京中心部で原因不明の大爆発を起こし、巨大なドームで東京を包み込んでしまう。重力が壊れ、首都機能を失った東京には行き場を失った若者達が住み着くようになった。彼らはチームを組み、東京バトルクールというパルクールの試合を行っている。チーム「ブルーブレイズ(BB)」のエースである少年ヒビキは、特殊な聴力を持つ故に他人と上手くコミュニケーションを取れずにいた。そんなある夜、パルクールの練習中に海に転落し溺れかけたヒビキは、不思議な少女ウタに助けられる。2人の出会いは、やがて世界を大きく変えることになるのだった。
監督:荒木哲郎 声優:志尊淳(ヒビキ)、りりあ。(ウタ)、宮野真守(シン)、梶裕貴(カイ)、畠中祐(電気ニンジャリーダー)ほか
映画「バブル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バブル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「バブル」解説
この解説記事には映画「バブル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バブルのネタバレあらすじ:泡に閉ざされた都市
舞台は現代日本、東京。廃墟と化したビル群を駆け抜ける若者達の姿がありました。
5年前、世界中に謎の泡が降り注ぐ“降泡現象”が発生しました。重力を操る力を持った正体不明の泡は、世界に大きな混乱を生み出します。そして東京中心部にて原因不明の大爆発が発生。爆心地である東京は、ドーム状の巨大な泡に包まれました。
各地で泡が降り止んだ後もドームの中では現象が続き、降り積もった泡は潰れて水になります。重力が壊れ、水位が次第に上がっていく東京は首都機能を完全に失いました。世界中の科学者が降泡現象の謎を解き明かすべく東京にやって来ましたが、結局誰一人成し遂げられず、やがて東京は捨てられ孤立します。
ところがそんな状況にあって、東京に不法に住み着く若者達が現れました。彼らは降泡現象で家や家族を失い、居場所を求めてやって来たのです。若者達は度重なる退去命令を無視し、無重力という特殊な環境下で行われる危険なゲームに興じています。それがビル群を縦横無尽に駆け巡るパルクールの試合“東京バトルクール”でした。
5対5のチーム戦で、海に落ちた時点で失格、フラッグを先に取った方が勝者です。勝利チームは互いが出した生活必需品を手に入れることが出来るというルールでした。バトルクールの強豪チーム“ブルーブレイズ(通称BB)”のエースであるヒビキは、卓越した身体能力とセンスでチームに勝利を呼び込んでいます。
しかし過敏な聴覚を持つ故に常にヘッドフォンをしており、他人とのコミュニケーションも上手く取れずにいました。ヒビキは5年前大爆発に巻き込まれた時からずっと、自分にだけ聞こえる歌に惹かれています。
ある夜、ヒビキは赤く光る東京タワーの展望台を目指して駆け抜けていました。しかしタワーを覆う雲には複雑な重力場があり、ヒビキは何度挑戦しても途中で振り落とされています。この夜もヒビキは鉄骨に叩きつけられ、海に落ちてしまいました。海に沈む電車内で溺れてしまうヒビキ。
そこへ1個の泡が慌てたように近づいて来ます。泡とヒビキが吐き出した気泡が触れると、ふたつは融合して大きな泡の塊になり、それが弾けた瞬間中から少女が現れました。ヒビキは朦朧とする意識の中、まるで人魚のようだと思います。
ヒビキを救出した少女は、気絶した彼に恐る恐る触れました。すると触れた指が泡になってしまいます。少女が驚いていると、ヒビキも目を覚ましました。
バブルのネタバレあらすじ:少女との生活
ヒビキは謎の少女と共に、若者達の生活支援をしている男性シンに保護されます。そしてBBが根城にしている巡視船に帰りました。少女は戸惑うBBのメンバーを尻目に、猫のようにすばしっこく船を駆け巡ります。他の人間に触っても体は泡になりませんでした。シンから恩返ししろと言われたヒビキは、渋々少女の面倒を見ることになります。
夜、少女は重力異常の調査員マコトから手袋を貰いました。皆が寝静まった頃少女はこっそりヒビキの部屋に入り、寝ている彼の唇に触れます。するとやはり指先が泡になってしまいました。
翌日から、少女もパルクールの練習に参加します。元の身体能力が高いのか、彼女はヒビキの技を見ただけでコピーしました。少女は遠くのタワーを見て歌い始めます。それはヒビキが惹かれ続けていた歌でした。言葉を発しない少女は、自分の名前も分からない様子です。ヒビキが彼女を「ウタ」と名付けると、とても嬉しそうな顔をしました。
ウタはパルクールの他にも、本を読んで貪欲に知識を吸収します。彼女が最初に興味を示したのは童話『人魚姫』の絵本でした。マコトに絵本を読んで貰ったウタは、たどたどしい声でヒビキを王子様、自分を人魚姫と言います。王子様と人魚姫の恋に憧れるウタでしたが、本で“死”を知り戸惑いました。マコトは破壊と再生について語り、渦は生命の決まったフォームだと教えます。
そんなある日、ウタはヒビキの秘密の場所を見つけました。ヒビキは廃ビルの屋上で、たくさんの花を育てていたのです。美しい花に目を輝かせるウタは、ヒビキの持ち物である巻貝を手に取りました。耳に当てると微かに波の音がします。笑顔を見せるウタに、ヒビキは自分の過去を語って聞かせました。
ヒビキは昔から聴覚過敏症で、いつも耳を塞いで蹲っては母を困らせていました。いくつもの病院にかかりましたが治らず、最終的に疲弊した母はヒビキを施設に預けてしまいます。そして5年前、世界に泡が降り始めたあの日、ヒビキは施設の皆と一緒に東京タワーに行っていました。ヒビキは爆発に巻き込まれ、気付くと救助されていました。
あの日の出来事はあまり覚えていないと話すヒビキ。しかし爆発の前に聞こえた歌だけは今もしっかり覚えています。話を聞いたウタは、ヒビキが探し続けているその歌を歌い出しました。泡が踊るように舞い始めます。パルクールをしながら歌うウタをヒビキも追いかけました。
2人は息ぴったりの動きを見せ、ヒビキは嬉しくなってウタとハイタッチしようとします。しかしウタは悲しそうな顔で、咄嗟にヒビキの手を拒否しました。
バブルのネタバレあらすじ:ウタの初陣と世界の異変
夜。マコトはパソコンに示されたデータを訝しんでいました。最近重力場がずっと不安定なのです。この変化が始まったのは、ウタが巡視船にやって来た日からでした。そのことに気付いた直後、マコトは仮面を被った不気味な集団に拉致されてしまいます。
彼らはバトルクールのチーム“アンダーテイカー”。東京の様子を外部に配信し、金を稼いでいる連中です。アンダーテイカーはマコトと巡視船を賭けたバトルクールを申し込んで来ました。卑怯なやり方に憤ったBBのメンバーは、必ず勝利すると奮起します。そして、曇天の下BBとアンダーテイカーのバトルクールが始まりました。
ウタもチームに入り、マコトの奪還を目指します。アンダーテイカーはスポンサーの金で、水の噴射を利用して長距離を跳ぶ特殊なブーツを着用していました。BBはアンダーテイカーに進路を妨害され、海に発生した強力な渦の近くに誘導されてしまいます。
打つ手なしかと思われた時、ウタが歌い出しました。彼女は障害物と泡を足場にして、渦の近くから脱出します。ヒビキはチームリーダーであるカイの協力を得てウタに追いつきました。2人は邪魔をするアンダーテイカーを上手く躱しながら突き進みます。しかしヒビキがウタに触れたことで、彼女の片腕が泡となり消えてしまいました。
ウタは片腕を失いつつもフラッグを掴み、BBは見事勝利します。その夜、BBは親しい人達を招いて戦勝パーティーを開きました。大騒ぎするカイ達に、ヒビキは思わず笑います。今まで上手くコミュニケーションを取れなかったヒビキでしたが、ウタと出会い共に過ごすことで、少しずつ心を開いていました。
ヒビキが照れながら仲間に感謝を伝えると、船内は騒然となります。ふと、ヒビキはウタがいないことに気付きました。ウタはヒビキの秘密の庭でじっとタワーを見ていました。泡になって消える前に海へ戻るよう勧められた人魚姫のことを思い出しています。
そこへヒビキがやって来ました。ヒビキは勝利のお祝いだと言って、ペンダントにした巻貝をウタにプレゼントします。喜ぶウタに、ヒビキはウタに出会って初めて自分自身になれたと感謝を伝えました。ヒビキとウタは見つめ合い、光る泡が2人の周囲を彩ります。
すると、突然赤い泡が降り注ぎ始めました。5年前と同じ現象です。デッキに出たマコトは、第二次降泡現象だと口にしました。ウタは涙を零しながら、呼ばれている、止めなければと言い出します。彼女はヒビキを置いて1人タワーに向かいました。
バブルのネタバレあらすじ:5年前の真実
タワーの上部には赤い泡が集まり、竜巻のような渦を作っていました。そこから大量の泡が降り注ぎ、水位が一気に上がります。ウタは歌を口ずさみながら、意を決してタワー内部へ入って行きました。ヒビキはウタを助けるため、タワーに向かうことを決意します。
協力を求められたBBと、何度もタワーに挑戦して来たシンも一緒に挑みます。取り付いて来る赤い泡を回避し、めちゃくちゃな重力に苦戦しながらタワーを駆け上がるヒビキ達。皆の協力で展望台に到着したヒビキは、そこで5年前の光景を目にしました。まだ幼いヒビキが降り注ぐ泡を見上げています。
幼いヒビキの特殊な聴覚は、不思議な歌に気付きました。それは1個の泡が歌っている歌でした。ヒビキはその泡がウタだと気付きます。幼いヒビキと泡のウタは、ガラス越しに触れ合いました。その瞬間、泡の怒りに触れたのか、大爆発が起こります。周囲の人が爆風で吹っ飛ぶ中、幼いヒビキはウタに守られ軽傷で済みました。
全てを思い出したヒビキは、幼い自分に触れます。すると幼いヒビキは無数の泡になって消え去りました。釣られるように上に目を向けると、そこには巨大な闇が発生しています。禍々しいその中心では、ウタが降泡現象を止めようと必死になっていました。ヒビキはウタに近付こうとしますが、赤い泡に囚われてしまいます。
ヒビキの危機に気付いたウタは、体当たりの要領で彼から泡を引き剥がしました。ヒビキに触れたウタの体は少しずつ泡になって消えてしまいます。タワーが倒壊する中、ヒビキは消えゆくウタを抱えて赤い泡から逃げ回りました。ウタの心に恐怖はありません。彼女の胸に去来するのは、自分の命より大切だと思える、ヒビキ達と過ごした幸せな日々。
ウタの体は青い泡となり、花や鳥に姿を変えます。それらに触れた赤い泡は、まるで怒りを鎮めたかのように青い泡へ変化しました。やがて東京を包むドーム状の泡が崩壊します。海に落ちたウタは、ヒビキに優しくキスをしました。
バブルの結末:「また会おう」
ヒビキは必死でウタの体を瓦礫の上に上げます。彼女はもうほとんど泡に戻っていました。行くなと叫ぶヒビキに、ウタは「ヒビキに会えたから私は私になれた」と話します。ヒビキと出会い、過ごした日々の中で、ウタは人の心を持つことが出来ました。寂しいと思う心を、誰かを愛おしいと思う心を。ウタは微笑み、泡となって消えてしまいました。
ヒビキがプレゼントした、巻貝のペンダントだけがその場に残っています。泣き叫ぶヒビキの耳に、またあの歌が聞こえました。渦になって世界中に降り注いでいた赤い泡が、呼応するように青く変わっていきます。
マコトはウタの心を感じながら、いつか体が滅んでも、自分達はまた大きな渦のひとつになると呟きました。その時には、きっとまたウタに会うことが出来るでしょう。マコトは「また会おう」と口にしました。
降泡現象が収まり、ドーム状の泡が消えた東京には整備の手が入りました。しかしバトルクールはまだ続いており、ヒビキはBBのメンバーとして今日も活躍しています。
ヒビキの周りに1個の泡が浮いていました。ウタの笑う声がします。それを聞いたヒビキも微笑み、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「バブル」のあらすじと結末でした。
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