武士の献立の紹介:2013年日本映画。武士の献立は江戸時代を背景にした「包丁侍」にスポットを当てた日本映画です。「包丁侍」とは剣術ではなく、料理の腕で大名や将軍家を支える武士のことです。題名からして男性が主人公と想像しますが、その「包丁侍」を支える妻が主人公の物語です。主人公を演じるのは女優の上戸彩で、映画の主演が8年ぶりということで話題ともなりました。主人公は女性でありながら、大名や将軍家の胃袋を掴むすばらしい料理の腕を持っており、嫁いだ先の「包丁侍」として生きる夫のために料理の指南をします。この夫がいまいち「包丁侍」としての職務に身が入らず、彼女のことも最初のうちは冷たく当たります。あまりにも主人公の女性が献身的に尽くしているにも関わらず、それに応えようとしない夫にかなりの時間いらいらしてしまいますが、最終的には彼女の愛は報われるので、見終わると満足した気持ちになります。厳しい時代を生き抜かなければいけなかった人々の知恵と情熱を感じ取れることができます。
監督:朝原雄三 出演者: 上戸彩(舟木春)、高良健吾(舟木安信)、西田敏行(舟木伝内)、余貴美子(舟木満)、成海璃子(今井佐代)、柄本佑(今井定之進)、夏川結衣(真如院)、緒方直人(大槻伝蔵)、鹿賀丈史(前田直躬)ほか
映画「武士の献立」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「武士の献立」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
武士の献立の予告編 動画
映画「武士の献立」解説
この解説記事には映画「武士の献立」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
武士の献立のネタバレあらすじ:最高の料理の腕を持つ女性
春は、加賀藩6代藩主吉徳の側室のお貞の方に仕える女性です。幼いころに料亭で働いていた両親を失くし、お貞の方のために料理を担当していました。お貞の方が病に伏せるとお粥を作り、そのお粥を食べたお貞の方が元気になるなど、その料理の腕は確かなものでした。
お貞の方はそんな彼女をとてもかわいがっていましたが、年ごろとなり、春は商家に嫁ぎます。しかし気の強さが仇となり1年で離縁されてしまいます。
ある日、藩内の宴で料理の才を舟木伝内から見込まれます。舟木伝内の家は代々藩主の料理を担当する「包丁侍」も家計で、「息子に料理を仕込んでほしい」と請われます。舟木家に嫁ぐことになった春ですが、夫は4歳も年下であり、彼から「古だぬき」と冷たくされます。
武士の献立のネタバレあらすじ:冷たい夫
春の夫である舟木安信は、元々「包丁侍」に興味がなく、男は剣術で主人に仕えるものだという考えを持っていました。父親はそんな息子がなんとか「包丁侍」としても職務を全うできるようになってほしいために、春を息子の嫁に迎えたのでした。
しかし、女性の指南から受けるものかとなかなか春の指導を受けようとしません。また普段の生活も夫としては冷たい態度でした。春は一考を案じ、安信に勝負を挑みます。勝負に負けたら自分の指南を受けるように約束させられた安信は、彼女との勝負に負けて、しぶしぶ料理の指南を受けることになります。
最初は全く料理のできない安信でしたが、彼女の指導により本来親から受け継いだ才能をだんだんと開花させていきます。また春も安信もお互いに接するうちに、物事に対するひたむきさなど相手の良さがだんだんと分かってくるようになります。
武士の献立のネタバレあらすじ:夫の秘密
安信には幼いころから剣術を共学んだ幼馴染である今井定之進がいました。また共に幼馴染であった今井佐代は、定之進の妻でありました。安信はずっと佐代のことが好きでしたが、家の都合で結婚することが叶わなかったのです。
そのことを安信の母である満から聞いた春は複雑な気持ちになります。佐代は美しく夫に尽くす慎ましい女性でした。そして春は夫の大事にしている箱から佐代のかんざしを見つけます。夫の心が未だ別の女性にあるものと感じた春は、心の奥底である決心をします。
武士の献立のネタバレあらすじ:藩の内乱
お貞の方にひっそりと思いを寄せる大槻伝蔵は藩内の実力者でありましたが、その出身から思うように出世がままならない日々に不満を抱いていました。伝蔵は密かに自分と相反する前田直躬を倒そうと企てます。安信の幼馴染の定之進は伝蔵に意を共にし仕えていたため、その企てに参戦します。安信もその企てに参戦しようと密かに思っていました。
そんな夫の様子を察知した春は、その企てに参戦してしまうと夫の命も「包丁侍」としてのお家もとりつぶされることを悟ります。そして命がけで夫を止めなければと、夜中じゅう走り回ります。その結果、夫はその企てに参戦することができなくなります。夫は激高し、春を責めます。
内乱の結果、伝蔵は処刑され定之進も処罰されてしまいます。お貞の方までも島流しにあってしまいます。自分だけ助かってしまったと悔やむ安信は何もやる気が起きなくなってしまいます。
武士の献立のネタバレあらすじ:心を開く夫
安信は自分の殻に閉じこもってしまいましたが、春のぼろぼろになった素足を見て、彼女が必至の想いで自分の命を守ろうとしたことを改めて知ります。彼女の想いに応えるように、除徐に安信は穏やかな心を取り戻していきます。また育ての親であるお貞の方に一目でも会えるように、春に計らいます。
そして時が経ち、安信は前田直躬が主催する食事会一式の料理を任せられます。親友を処罰した男のために料理など作りたくないと言い張る安信に、春は「包丁侍」としての誇りを彼に説きます。春の気持ちに動かされ、安信は職務を全うします。そして前田直躬という男が権力をふるう男ではなく、実は藩の平和を願う男であったことを知ります。
「包丁侍」としての誇りを持った安信は堂々と家に帰ります。すると、家には置き手紙を残し春が家を出ていました。手紙には自分の役目はもう終わったこと、安信の心には自分ではなく佐代がいるため、自分の代わりに彼女を幸せにしてほしいと書いてありました。
武士の献立の結末:夫婦愛
家を出た春は港町で、あまさんたちに食事をふるまう仕事についていました。そこに安信がやってきます。驚く春に、「やっと見つけた。私の妻はおまえだけだ。」と言います。
安信は佐代は別の場所でもう幸せに暮らしていること、またとっくの昔に自分の心の中には佐代ではなく、春がいることを彼女に伝えます。夫の本当の気持ちを知った春は涙を流して、彼の元へと戻っていくのでした。
以上、映画「武士の献立」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する