キャタピラーの紹介:2010年日本映画。戦争で四肢を失い帰還した夫とその妻の暮らしを通して、戦争の悲惨さを描き出した人間ドラマです。作品は海外でも高く評価され、2010年ベルリン国際映画祭において妻のシゲ子役を演じた寺島しのぶが最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞しました。
監督:若松孝二 出演者:寺島しのぶ(黒川シゲ子)、大西信満(黒川久蔵)、吉澤健(黒川健蔵)、河原さぶ(村長)、篠原勝之(クマ)、ほか
映画「キャタピラー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「キャタピラー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
キャタピラーの予告編 動画
映画「キャタピラー」解説
この解説記事には映画「キャタピラー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キャタピラーのネタバレあらすじ:起
戦時中のとある村、少尉黒川久蔵は家族も直視できないほど変わり果てた姿になって帰還します。久蔵の妻シゲ子は顔は無残に焼けただれ、両手両足を失った状態で戻ってきた夫を受け入れることができません。しかし親戚達からは久蔵の世話を押し付けされてしまいます。シゲ子は言葉も発せず寝たきりの久蔵を殺して心中しようとしますが、久蔵の生命力の強さに触れ、思い留まります。久蔵は生きる軍神として村人達から英雄視され、シゲ子は国への奉公だと考えて久蔵を介護することを決意するのでした。寝たきりの久蔵は性欲を持て余し、夜な夜なシゲ子の身体を求めはじめます。シゲ子は夫の果てない性欲と食欲にうんざりとしてしまうのでした。
キャタピラーのネタバレあらすじ:承
シゲ子は夫を敢えて外に連れ出すことで妻としての貞操さをアピールし、村の皆に尊敬のまなざしで見られることに快感を覚えるようになります。しかし久蔵と二人きりになると先行きの見えない生活に苛立ちを感じ、反抗的な態度の夫につい暴力を働いてしまうのでした。この頃から久蔵は戦地で女性を暴行した過去を思い出すようになり、自責の念に駆られるようになります。
キャタピラーのネタバレあらすじ:転
1945年3月東京では大規模な空襲がありましたが、村人たちは依然として日本が勝つと信じています。しかしシゲ子は戦地に発つ前の勇ましかった夫の姿を思い出し、人間の運命を変えてしまう戦争に疑問を感じずにはいられないのでした。過去には夫に毎晩のように暴力を振るわれていたシゲ子は、今は自分がいなければ何一つ満足にできない夫を支配することに奇妙な生きがいを感じるようになります。しかし久蔵は戦地で犯した罪の数々を思い出し、精神状態がますます悪化していきます。何かに怯え、苦しみにのたうち回る夫をシゲ子はまるで芋虫のようだと嘲るのでした。
キャタピラーの結末
シゲ子が頼りにしていた久蔵の弟健蔵も招集されていきます。8月になり日本は敗戦しますが、シゲ子は変わらず野良仕事に精を出しています。這いずりながら家の外へと出てきた久蔵は、池の水面に映し出された自分の無残な顔をじっと見つめています。村人のクマとともに終戦に歓喜するシゲ子でしたが、久蔵は池の中で自ら死を選んだのでした。
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