杉原千畝 スギハラチウネの紹介:2015年日本映画。第二次大戦初期、ユダヤ系亡命者たちに発給された命のビザ。リトアニアを去るその瞬間までビザを書き続けた杉原千畝、その激動の人生を送ったヨーロッパでの日々を描く。
監督:チェリン・グラック 出演:唐沢寿明(杉原千畝)、小雪(杉原幸子)、ボリス・シッツ(ペシュ)、アグニェシュカ・グロホフスカ(イリーナ)、ツェザリ・ウカシェヴィチ(グッジェ)、塚本高史(南川欽吾)、濱田岳(大迫辰雄)、二階堂智(根井三郎)、板尾創路(菊地静男)、滝藤賢一(関満一朗)、石橋凌(大橋忠一)、アンナ・グリチェヴィチ(ユダヤ人母)、ズビグニエフ・ザマホフスキ(ガノール社長)、小日向文世(大島浩)、ほか
映画「杉原千畝 スギハラチウネ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「杉原千畝 スギハラチウネ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
杉原千畝 スギハラチウネの予告編 動画
映画「杉原千畝 スギハラチウネ」解説
この解説記事には映画「杉原千畝 スギハラチウネ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
杉原千畝 スギハラチウネのネタバレあらすじ:起・リトアニア領事として
ある日、ユダヤ系の男性が外務省の杉原千畝(唐沢寿明)を訪ねて来た。しかし、その名は省内の記録には一切残っておらず、途方に暮れるばかりだった。
時は遡り昭和初頭、満州鉄道事件に関わったとして、ソ連からペルソナ・ノン・グラータとして入国拒否をされてしまった杉原千畝は、モスクワへの赴任の件が流れ、リトアニアに領事館を設立し、ソ連の注視をするよう命が下った。
下宿先の娘だった幸子(小雪)と結婚した杉原は、妻を伴い赴任すると、現地でドイツ系リトアニア人のグッジェ(ツェザリ・ウカシェヴィチ)を職員として雇った。アメリカ大使に招かれたパーティーでは、ちょうどヒトラー率いるドイツのポーランド侵攻の停止要求を英国が出したというニュースが流れていた。
リトアニアで、英語もフランス語もロシア語も通じず困っていると、酒場で出会ったペシュと名乗る男が、ポーランドから亡命してきた情報屋として売り込んで来たので、運転手として雇うことにした。
当時イタリア・ドイツと同盟を組もうとしている日本にとって、懸念事項はソ連の動向だった。
杉原千畝 スギハラチウネのネタバレあらすじ:承・狭間の地リトアニア
ポーランドでは既にナチス親衛隊によるユダヤ人の虐殺が始まっており、隣国のリトアニアへ流れ込んでいた。しかし、ソ連がリトアニアに侵攻しようとする中、彼らの行き場はもうなく、オランダ領事館では既に本国がドイツに占領されており、力になれない彼らを送り返した。
ユダヤ難民たちが最後に縋ったのは、ソ連側から退去命令が来ていた日本領事館だった。
しかし、日本からは条件を満たさない者へのビザ発給は認めないという返答しかなかった。ビザを発給すれば杉原自身の外交官の立場が失われ、諜報活動もできなくなり、家族に危険が及ぶかもしれなかったが、彼らに話を聞くことにした。
日本の通過ビザが欲しい言う彼らに最終目的地を聞くと、オランダ領事が事前にアジアにあるオランダ植民地へのビザ無し入国を認める書面を持たせていた。妻の幸子の了解を得て、翌日から通過ビザの発給を開始した。
杉原千畝 スギハラチウネのネタバレあらすじ:転・よきひと、グッジェ
当初ユダヤ系をよく思っていなかったドイツ系のグッジェだったが、手書きのビザを書く杉原を見て、文面をそのまま映したスタンプを作り、強制退去の迫る領事館でのビザ発給を速やかに行えるようにした。
また、発給の合間に杉原は、赴任時から懇意にしていたユダヤ系のガノールにもビザを届け、早く出国するように促した。かつて満州で共に活動していたイリーナと偽装結婚をして亡命しようとする男にもビザを発給した。
領事館の閉鎖後はホテルで、駅で列車を待つ間にも杉原はビザを発給し続けた。そして、汽車の汽笛が鳴ると、杉原はビザのスタンプをグッジェに手渡し、後を頼んだ。彼は、ゲシュタポが接触してきたことを、これからベルリンに向かう杉原に伝えた。
杉原千畝 スギハラチウネの結末:戦禍に飲まれる杉原
ベルリンへ着いた杉原は、ドイツのソ連侵攻の予測と、日本が単独でアメリカと戦う事の無謀さを進言したが、次の赴任地、東プロイセンで引き続きソ連の情報収集の任が下っただけだった。そして、ベルリンを去ろうという時、ゲシュタポにビザ発給について忠告された。
ウラジオストクまでやって来た難民たちは、杉原の同窓の根井(二階堂智)によって、日本へ向かう船に乗せられた。
東プロイセンでペシュと共に諜報活動を続けていた杉原は、ドイツのソ連侵攻に備えて、日本は早く対策を取らないと痛手を被ると言い募ったが、ドイツからも目を付けられてしまい、ルーマニアに赴任し何もしないようにと言われた。ベルリンの空襲が始まり、真珠湾攻撃の臨時ニュースが流れた。
ペシュはルーマニアに戻り、しばらくしてドイツは降伏、ルーマニアのソ連軍捕虜収容所で杉原はポツダム宣言を受け入れ日本が負けたことを知った。イリーナからの手紙には、連れて亡命した男性が科学者で、戦争に利用されたと記されていた。
昭和43年、杉原を探していた男性は、貿易会社に勤めモスクワ赴任中の彼を見つけた。1985年イスラエル政府より、諸国民の中の正義の人賞を贈られた翌年、杉原は永眠。
2000年、外務省は公式に杉原千畝の功績を顕彰。今ではその子孫が世界中4万人以上生きている。
以上、映画「杉原千畝 スギハラチウネ」のあらすじと結末でした。
杉原千畝 スギハラチウネのレビュー・考察:報いを求めず
杉原千畝の功績と共に、ウラジオストクから日本までの乗船を許した根井領事や、日本通過ビザの口実としての最終目的地を提供したオランダ領事、杉原の下で働いていたドイツ系のグッジェなど、ともすると自分に責任が降りかかりかねない中、亡命に助力した人々が支えていた事を覚えておきたい。そして、ビザ発給に際して、このビザによって救われる保証はないけれど、諦めないでほしいと亡命希望者に掛けた言葉が心に残る。
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