シネマの天使の紹介:2015年日本映画。1892年に芝居小屋からスタートした広島県福山市の映画館・シネフク大黒座の実際の閉館をテーマにし、その映画館を使って撮影された、閉館する映画館にまつわる人間ドラマを、新入社員の女性と幼馴染の映画好きの青年を中心に描いた作品です。阿藤快さんの遺作となりました。
監督:壷井濯 出演者:藤原令子(明日香)、本郷奏多(アキラ)、ミッキー・カーチス(天使と名乗る老人)、石田えり(藤本)、阿藤快(大久保)、岡崎二朗(豊下)、安井順平(新見)、及川奈央(仙人のアシスタント)、横山雄二(仙人)、佳村さちか(谷村)ほか
映画「シネマの天使」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シネマの天使」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シネマの天使の予告編 動画
映画「シネマの天使」解説
この解説記事には映画「シネマの天使」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シネマの天使のネタバレあらすじ:起
122年の歴史を持つ、広島県の映画館『大黒座』の閉館が決まりました。新入社員の明日香は大黒座で休憩中に居眠りをしていると、仙人の池の夢を見ます。アシスタントの女性が「何でも答えるから知りたいことを聞いて?」と言います。
大黒座に常連のアキラがやってきました。週に1回はここに来るアキラは明日香の幼馴染で、フロントの谷村は明日香に「彼氏?」と聞きます。明日香は「昔、オレの映画に主演してくれと告白されたけど彼氏じゃない」と言います。
明日香は3代目の女社長の藤本支配人から、テレビ局の新見ディレクターを紹介され「取材をするそうだから案内してやって」と言われます。迷路のような館内を案内し、資料室で昔の写真を見せます。すると新見が「この老人、全部の写真に写っている、時代が違うからおかしい。大黒座の幽霊かもしれない」と言います。怖い話が嫌いな明日香は「やめてください」と言い返します。
そのころ、映画の終わった館内でアキラが居眠りをして、仙人の池の夢を見ていました。アキラは「映画を撮りたい」と質問すると「撮ればいいんだよ」と言われます。アキラは自分の働くスナック『カサブランカ』で、映画の脚本を考えていました。常連客にストーリーを少し話すと「それ聞いたことがあるぞ、パクリだな」と言われてしまいます。
シネマの天使のネタバレあらすじ:承
大黒座には閉館に唯一反対する竹井や、閉館と共に定年退職する映写技師の大久保がいます。それぞれ映画が好きで、更に見に来てくれるお客が好きでした。
ある日、上映中の館内に、写真に写っていた老人がいました。明日香は思い切って声をかけます。「昔の大黒座の写真に写っている人ですよね、幽霊じゃないですよね」と言うと、老人は「天使ですよ、映画館にはどこでもいるんですよ、あなたは恋人と一緒にここの下見に来ていましたね」と言います。明日香が「恋人じゃないです」と言うと、老人は「このことは誰にも言わないように」と言って出て行きます。
スナック『カサブランカ』で映画作りの本を読んでいると、ヤクザの豊下が入って来ます。豊下は「映画を撮りたいのか?」と聞くと、アキラは「そうですけど脚本が書けない」と言います。豊下は「夢を映画にすればいい、夢を自分の中で夢を見ているんだと理解すれば、夢の中では何でもできる、これは夢だというモザイクのサインを見つければいい」と言います。
豊下は藤本とは昔からの知り合いで、藤本を喫茶店に呼び出し「金はいくらでも貸すから、大黒座を潰すな」と言います。しかし藤本は「あなたに金を借りるのが一番怖い」と言って断ります。
『カサブランカ』で常連客が騒いでいます。壁にかかったモザイクを見て夢だと理解したアキラは、街に飛び出し、女性のスカートをめくったり、高級レストランでつまみ食いしたりとやりたい放題をします。
そこへサイボーグになった明日香が出てきます。アキラの考えているストーリーでした。明日香はアキラの首に刀をあて、「私のストーリーはどこ?」と聞きます。そこで目覚めたアキラはノートにストーリーを書こうとしますがダメでした。
シネマの天使のネタバレあらすじ:転
藤本が食事をしていると、酒に酔った豊下がやって来ます。豊下は藤本に下心があるわけでなく、本心から大黒座を存続してほしいと頼みこみます。
夜の見回りで、壁の寄せ書きを見ていた明日香の元に老人が現れます。老人は寄せ書きを書いた人のエピソードを順番に話し始めます。話を聞いた明日香は「大黒座が無くなったらあなたはどうなるの」と聞きます。老人は「暗闇から放り出され、次の居場所を探して、放浪の旅を続けるんだよ」と言います。
事務所で居眠りをしていた藤本が仙人の池の夢を見ます。藤本は「映画館とは何ですか?」と聞きます。仙人は「映画館で映画を見ると観客の心に映画が入り込む、そして映画は観客の心で果てしなく広がって行く」と言います。
いよいよ大黒座の閉館日を迎えました。大黒座に向かう豊下は、途中で銀行員を見つけて車に乗せます。豊下は銀行員に「組員だった若い頃は、つらい毎日が続いた。そんな時、大黒座に行くと暗闇の中ですべてを忘れ、映画の世界に入り込み、笑ったり悲しんだりした。ワシにとって大黒座は教会と同じだ」と話します。
大黒座は満員になっています。藤本が壇上であいさつをします。「映画は皆さまの心で生き続けます。この大黒座は今日で閉館しますが、皆様の心の中で生き続けてほしい。最後の上映は、シネマの天使です」と締めくくります。
そして映画が始まりました。ストーリーは老人の話と同じでした。明日香は最後の仕事をしながら客席を見ると、あの老人が出て行こうとしています。
シネマの天使の結末
老人を見つけた新見が追いかけますが、通路でいなくなっていました。明日香は新見に「あの老人は大黒座の天使です」と伝えます。新見が「そんなバカな話はない」といって、藤本以下社員達を集めます。
すると大久保が「大黒座の合鍵を全部持っている浮浪者だ」と言うと、藤本が「居なくなったと思ったのに、また出てきたのね」と言います。「なぜ鍵を変えないの」と明日香が言うと「先代から変えるな!と言われてるの」と藤本が答えます。
閉館後、老人を探すことにします。老人の通った通路を見つけて外に出ると『開かずの間』がありました。「その部屋だけ鍵が無い」という藤本は「先代があそこに住まわせていたのかもしれない」と言います。そこで、扉を壊して中に入ることにします。
部屋の中の壁には大黒座で上映された映画のポスターとポストカードが張り巡らされていました。また、上映されたフィルムも置かれていました。奥には椅子があり、老人の帽子があります。大久保は「天使だったんだ」と言います。藤本は祖父の銅像に、閉館の事を謝ります。よく見ると銅像の肩には大黒座の全部の鍵がありました。
『カサブランカ』でアキラが脚本を書いています。そこへ竹井が入って来て「大黒座の閉館は中止になった」と喜んでいます。「僕の映画が大黒座で上映できる」と言って壁を見たアキラは、モザイクを見て夢だと知ります。
取り壊される大黒座を撮影するアキラの元へ明日香がやって来ます。アキラは「大黒座をテーマにした映画を撮る。お前主演女優をやれ」と言います。明日香が「それ告白?」というと「そうだよ、悪いか」と言います。明日香は「いいよ」と言うのでした。
以上、映画「シネマの天使」のあらすじと結末でした。
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