冷たい熱帯魚の紹介:2010年日本映画。埼玉愛犬家連続殺人事件をモチーフにした娯楽映画。崩壊した家庭の中で虚しい日々を送る熱帯魚店経営者の男が、同じく熱帯魚店を営む狂った殺人鬼と出会い、自らの内に秘めた狂気を覚醒させていく話。
監督:園子温 出演:吹越満(社本信行)、でんでん(村田幸雄)、黒沢あすか(村田愛子)、神楽坂恵(社本妙子)、梶原ひかり(社本美津子)、渡辺哲(筒井高康)ほか
映画「冷たい熱帯魚」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「冷たい熱帯魚」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
冷たい熱帯魚の予告編 動画
映画「冷たい熱帯魚」解説
この解説記事には映画「冷たい熱帯魚」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
冷たい熱帯魚のネタバレあらすじ1
メインキャラクターは主人公の娘1人を除いて全員死にます。主人公の社本は零細の熱帯魚店を営むしょぼくれた男。妻が1人(後妻)と娘が1人、3人で共に暮らしていますが食卓に笑顔はなく、家庭は崩壊しています。ある日、娘の万引きをきっかけに村田という同じく熱帯魚店を経営する男と出会います。彼は明るく剽軽で、常に前向き。エネルギッシュで、社本とは正反対の男に見えます。
冷たい熱帯魚のネタバレあらすじ2
2人はこれをきっかけに知り合い、連絡を取り合うようになります。それからしばらくして、「仕事を手伝ってほしい」と村田に呼び出された社本は衝撃的な現場に立ち会います。村田が自分の顧客に儲け話を持ち掛け金をだまし取ったうえ毒を飲ませて殺害してしまうのです。うろたえる社本に、村田は「死」と自らが人の死を操れるということについての大演説をぶちかまします。
冷たい熱帯魚のネタバレあらすじ3
その後社本は近くの村で死体の解体と証拠隠滅に立ち会い、晴れて村田の「共犯者」となります。最初は紳士的だった村田も暴力的な本性をあらわにします。社本をこづいたり蹴ったりしながら自らに歯向かったりたてつく奴を「透明に」していきます。(村田は人を殺す時、「ボデーを透明にする」という表現を使っています)。村田の身近な人物を透明にした後、村田は社本を挑発します。それに加え、社本の妻を寝取ったことを社本本人に告げます。
冷たい熱帯魚の結末
この時、社本本人の潜在的な狂気が覚醒したかのように社本は村田に致命傷を与え、同行していた村田の妻に後始末をさせ、村田の妻も殺します。そして最後は自らの妻も呼び出した後に刺殺し、娘に「人生ってのはなぁ、痛いんだよ」と悲痛な叫びを残して首をかききり自殺します。一人残された娘は、社本に「立ち上がってみろよ」と笑いながら蹴りを入れ、狂ったようにいつまでも踊り続けるのでした。
「冷たい熱帯魚」感想・レビュー
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テーマ、内容からすると賛否両論あり、かつ否が多くなるであろうことは容易に想像できます。
グロ表現もあるため、苦手な方もいるでしょう。
ただ、多くの方が、でんでん演じる村田の、元気ハツラツとした狂気に徐々に引き込まれていくはずです。
いつしか、気弱で善人に見える吹越演じる主人公ではなく、圧倒的「悪」であるはずの村田に、主人公の妻も、そして視聴者自身も惹きつけられていくのです。
村田は善悪の尺度を持たず、ただ「今」を生きているように思え、
むしろ話が進むにつれ社本の偽善が際立ち、共感できない存在になった。
後半で村田と社本が殴り合うシーンは、
まる父と息子のようで、村田の愛情すら感じた。
社本が「父」を超えるため村田を殺して克服するが時すでに遅し
ラストシーンに続く…
娘に蹴られながら息絶えようとしている社本を見ながら
この世界は誰が望んだのだろうと思った。
つくづく後味の悪い映画でした。