デイアンドナイトの紹介:2018年日本映画。小さな田舎の町で父は大企業の不正を知り、内部告発をした。小さな自動車工場を営む父はそのあと自殺。父が内部告発したことは正しかったのか、それで誰が得をしたのか?東北の風力発電のある小さな田舎町。父が内部告発することで村八分にされたり、仕事を回してもらえなくなったり、あげくのはては借金を抱え込むことに。どんどん住みにくい状況に追い込まれていく。幸次の父は本当に正しかったのか、何が善で何が悪か、人として家族を守るために悪い行いをしてもいいのか、正義のために人を死にまで追い詰めていいものかを考えさせられる。究極のヒューマンドラマです。
監督:藤井道人 出演:阿部進之介(明石幸次)、安藤政信(北村健一)、清原果耶(大野奈々)、小西真奈美(トモコ)、佐津川愛美(友梨佳)、渡辺裕之(明石和幸)、室井滋(明石京子)、田中哲司(三宅良平)、ほか
映画「デイアンドナイト」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「デイアンドナイト」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
デイアンドナイトの予告編 動画
映画「デイアンドナイト」解説
この解説記事には映画「デイアンドナイト」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
デイアンドナイトのネタバレあらすじ:起
父が大手自動車メーカーを内部告発し、その後、自殺。それを聞き、息子の幸次が東京から戻ってくる。東北の風力発電のある小さな田舎町では大きな噂となっていた。実家にはマスコミが何回も来たり、母や妹に嫌がらせの電話がかかってきていた。父の後を継ぐこともできず仕事は廃業となり、多額の借金も抱えていた。途方にくれた母親は小さな自動車整備業をたたんでどこかに逃げようとも言うのだが幸次はどうしたらいいのかわからず、色々考えていた。
小さな町の中では内部告発をした父に対して周りの目は冷たく父親は仕事にも支障をきたし仕事を回してもらえなくなり、地域でも孤立した状況に追い込まれていた。他人の目が気になる妹にとってはとても住みにくく、さらに幸次が帰ってきたことで家で仕事にも就かずうろうろしているのがなにかと気にさわっていた。
葬儀の後、北村が生前に父親に世話になったといってやってくる。仕事もなく途方に暮れている幸次を見て風の家という児童施設のオーナーをしている北村は仕事の世話をしてくれることになった。昼間は施設の子どもたちに食事を作る仕事を任せた。そして北村は夜は車の盗難や水商売の元締めをしていることを告げる。そして、夜の町に幸次を連れ出す。犯罪集団を引き巻いて麻薬の取引の妨害をする仕事もあった。児童施設に預けられる子どもの親は麻薬の常習者だったり、親に虐待されてくる子どももいるので退治すると言っては北村は犯罪行為を正当化していた。父親もしていたらしいが盗難ではなく、車の解体や子どもたちにおもちゃや食事を作っていたようだった。
北村は子どもたちを守って育てて行くためにはどんな手段も選ばないという信念のもと、40人あまりの子どもたちの面倒を見ていた。幸次は驚きながらもいつの間にか自分も昼間は子どもたちの食事の世話、夜には犯罪集団の一員となっていた。そして、父親の残した日記やスクラップを見ながら復讐することを誓うようになる。どこの児童施設も18歳までの面倒は見るがそのあとは出ていかなければならない。ここにいる子どもたちのほとんどが親の顔を知らずに育ったが「いつかは親が迎えにくる」という希望を持っていたのでみんなイキイキしていた。日曜日には教会に行き、寝食を共にし、家族のように暮らすのだった。
デイアンドナイトのネタバレあらすじ:承
そんな中で、高校3年生の奈々というちょっと生意気な女の子が幸次に興味を持つようになる。時々奈々が厨房に来ては話をしていた。お互いに気になる存在となっていく。奈々は絵が上手く、厨房の絵や子供たち、施設の様子や風景画をよく描いていた。奈々は親が東京にいると北村から聞いていたのだが、連絡がとれないため、進学は諦めて就職を考えていた。幸次は奈々の誕生日には奈々の好きな肉料理を作った。みんなで部屋の飾りつけをしてケーキでお祝いをしようと奈々の帰りを待ち、部屋を真っ暗にして驚かせようとしていた。ところが奈々にとっては驚きながらも戸惑い、部屋に戻ってしまう。奈々は「見せかけだ」と言って本当の家族って何?と幸次に聞く。幸次は戸惑いながらも大切な人を守ることだと伝える。
それから、しばらくすると幸次は犯罪集団で得たお金で父親の多額の借金を返済したり、母に生活費を渡せるようになる。借金の返済をした相手はバーで幸次のことを笑い派手に飲んでいた。帰りには腹が立ったので追いかけたが蹴飛ばされた。そしてかかってくる相手が違うと言われる。ときにバカにされ、さげすまれながらも父が告発したことは間違ってはいないと信じ、資料集めをして誰が父を自殺にまで追い込んだかを調べていく。どんどん調べていくとバーで飲んでいた男が父の資料を盗んで誰かが改竄してマスコミに流したのではないかと気づいていく。
そこで、犯罪集団の仲間と協力して、部屋の鍵を開け資料を取り返すことに成功する。そして、いよいよマスコミに流そうとするがとりあってもらえなかった。
バーで飲んでいた男は家の鍵をかけていたのに開けられて資料が盗まれたことを三宅に報告するが、二人で何万分の1、や何千万分の1程度の事故の可能性があるだけでとるに足らないことだ、と明石の父親や息子の正義のためにということは馬鹿げているとあざ笑うのであった。
デイアンドナイトのネタバレあらすじ:転
奈々は北村から東京に家族がいるが連絡がとれないと聞いていた。18歳で児童施設を出ていかなくてはいけないこともあり、幸次と一緒に市役所に戸籍を取りに行った。市役所には北村自身が子どもの頃同じ児童施設で育ったトモコが市民課でいた。トモコは北村に奈々が戸籍を取りに来たことを話して渡すことを告げた。そこで初めて両親が死んでいたことを知るが幸次には何も言わなかった。
そのあと、奈々は川のほとりに北村を呼び問い詰める。北村と奈々は話しているうちに言い争いになり、北村は自ら川に飛び込み死んでしまう。北村の死んだ後にトモコと幸次が北村の家に行くと奈々の2歳までの可愛い写真が大切にしまってあった。北村にとって奈々は他の児童施設の子どもとは違う特別な存在だった。奈々の父親は北村の家に強盗に入り、北村の妻を殺害する。北村はそのあと帰宅したときに犯人と鉢合わせになり自分も殺されかけたが正当防衛のために奈々の父親を殺してしまう。新聞にも載っていた。
ところが後で犯人には2歳の娘がいることを知る。そして償っても償いきれないほどの大きな罪を背負うことになる。それから、必死で四千万以上の貯金を奈々名義でしていたのである。
幸次の父は正義を貫いて家族を守った。子どもの頃は幸次は父親が嫌いだったが家族のために生活を守るために頑張ってくれていたことに気づく。
北村の死後からこれまでの犯罪集団がどんどん逮捕されていく。車の窃盗、水商売の元締め、麻薬の売買と多くの逮捕者が出てきた。
そんなある日、三宅から資料を戻せと言われる。そして、約束の場所に持って来ないならお前の守っているものを取り上げると脅迫される。幸次は約束の場所に行くが資料は持って行かなかった。そして三宅に殴りかかる。三宅は持ってきてないことを知り、愕然とする。そして殴り倒される。そしてその時に「お前の親父は俺が間違っていた、と言った」と言う。幸次は「嘘だ」というが何度も三宅は「本当に俺が間違ってたと言っていた」と言うのだった。本当の正義が何かわからなくなった幸次は何度も三宅を殴り倒す。そして殺人未遂容疑で逮捕された。こうして幸次の復讐は叶った。
デイアンドナイトの結末
小さな町の高校で卒業式が行われていた。奈々も三宅も三宅の子どもも卒業式に出ていた。
奈々はひとりで東京の大学に行くことを決めた。風の家を離れる時に、幸次にも会いに行ってあげてとスタッフの人に言われていた。奈々は刑務所に幸次に会いに行った。4月から東京の大学に行くことを幸次に告げる。守りたかったものは守れたかと奈々が聞く。正義が何で守るべきものが何か、復讐をして得られたものは何か、復讐をして誰が得したかを考えるのであった。
暗すぎる… 誰もが抱える 心の闇 それでも 希望に向かい 生きてゆく それを テーマにして欲しかったな