真夏の方程式の紹介:2013年日本作品。東野圭吾原作ガリレオシリーズは、天才物理学者湯川学が、物理学の知識を通じて事件を解決するストーリーです。福山雅治が湯川役を演じたドラマ「ガリレオ」は人気があり、映画化もされました。「真夏の方程式」は、「Xの献身」に続く映画第2弾。今作では、湯川准教授が十歳の少年、柄崎恭平を中心に起こる事件と、過去の事件の関りを紐解き真実を導き出します。
監督:西谷 弘 原作:東野 圭吾「真夏の方程式」 真夏の方程式の出演者:福山雅治(湯川学)、吉高由里子(岸谷美砂)、北村一輝(草薙俊平)、杏(川畑成実)、山崎光(柄崎恭平)、西田尚美(三宅伸子)、 田中哲司(柄崎敬一)、塩見三省(塚原正次)、白竜(仙波英俊)、風吹ジュン(川畑節子)、前田吟(川畑重治)、ほか
映画「真夏の方程式」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「真夏の方程式」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
真夏の方程式の予告編 動画
映画「真夏の方程式」解説
この解説記事には映画「真夏の方程式」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
真夏の方程式(ガリレオ映画)のネタバレあらすじ:起
夏のある日、帝都大学理工学部の准教授、湯川学(福山雅治)は、玻璃ヶ浦で進められている海底鉱物資源開発の説明会に行くことになりました。この計画では地元住民の間で意見が二つに分かれています。賛成派と反対派の中立の立場として、湯川は説明会に参加し意見を述べます。アドバイザーとして玻璃ヶ浦へ向かう電車の中、携帯電話を巡ってもめていた柄崎恭平(山崎光)を助けます。
湯川は説明会の後、参加していた川畑重治(前田吟)・節子(風吹ジュン)夫妻が経営する旅館、緑岩荘に宿泊しました。川畑夫妻には成美という娘が一人いますが、環境保護活動家でもあります。ここで恭平と再会し、川畑重治の甥であることや、夏休みの間滞在しているのだと知ります。
翌日、同じ緑岩荘の宿泊客、元刑事でもある塚原正次(塩見三省)の遺体が玻璃ヶ浦で見つかります。足を滑らせたことによる転落死とされました。
理科が嫌いだと話す恭平に、湯川はペットボトルを飛ばして科学の面白さを伝えようと知恵を絞ります。普段は蕁麻疹が出るほど子供が苦手で近づくことができません。そんな湯川が恭平と接し心を通わせるようになります。どこにでもいる普通の少年ですが、恭平はこの物語の重要な鍵を握る存在でもあります。
真夏の方程式(ガリレオ映画)のネタバレあらすじ:承
最初は塚原の死を事故として、地元の警察が処理しようとしていました。東京から来た捜査一課の刑事、岸谷美沙(吉高由里子)は塚原の死に疑問を持ち、湯川に捜査協力を頼みます。捜査協力に乗り気ではなかった湯川ですが、自分なりに捜査に関わり一つ一つ疑問点に向き合っていきます。
さらに恭平と関わる内に、この事件に隠された真実に気づくようになっていきました。捜査を進める内にただの転落による事故死ではなく、事件として認識され始めました。
まず、塚原の死因は一酸化炭素中毒死で、足を滑らせ転落したことで死に至ったわけではありませんでした。転落したように見せかけるため、誰かが塚原の遺体を運んだことになります。本来の現場は緑岩荘の一室、塚原の宿泊していた部屋です。塚原の宿泊した部屋のボイラーが故障し、漏れた煙が部屋に充満したという話が発覚します。このため塚原は一酸化炭素中毒で命を落としました。
故障による不運な事故だったとはいえ、塚原の死に川畑夫妻を動揺し、自分たちの経営する旅館の評判が落ちるのではないかと考えます。川畑夫婦は塚原を転落による転落死に見せて、緑岩荘とは関係のない事故を装うとしましたが失敗し、逮捕されます。川畑夫妻と塚原との間に、宿泊客以上の関りがはっきりしなかったため、このままで事件が終わるかのように見えました。
真夏の方程式(ガリレオ映画)のネタバレあらすじ:転
川畑夫婦が逮捕されて一件落着ではありませんでした。ボイラーの故障による一酸化炭素中毒死、その死体を見て動揺し、死体を事故に装い遺棄したという話は、彼らが仕組んだものでした。
川畑夫妻には塚原を殺す理由があります。十六年前にホステスの西田尚美(西田尚美)が殺され、常連客の仙波(白竜)が自分が犯人だと自首した事件がありました。この時の取り調べを行ったのが塚原正治。彼は自首してきた仙波が冤罪だということに気づき、真相を探るため玻璃ヶ浦へ手がかりを探しに来ていました。塚原が睨んだ通り仙波は冤罪で、伸子を殺してはいません。殺したのは当時十四歳だった川畑成美でした。
成美は川畑夫妻の本当の子供ではなく、川畑節子と不倫相手の仙波の娘でした。真実を知った伸子が脅してお金をとろうとやってきましたが、家にいたのは十四歳の成美だけ。伸子と口論になり、成美は伸子を刺してしまいます。実の娘をかばって仙波が自主し、実の娘としてかわいがっていた重治は同じように娘を守ろうとしました。川畑夫妻は成美が伸子を殺した事実を、塚原に暴かれることを恐れ、計画を立てて犯行に及びました。
ボイラー室の故障ではなく、部屋に煙が充満するように濡れた段ボールで煙突を塞ぎ、さらには睡眠薬を飲ませて必ず死亡するようにしました。その死体を海岸に移し、転落死に見せかけようとしたのも、ボイラーの故障に見せかけた一酸化炭素中毒死も、殺害から目をそらせるため、さらには過去の成美の犯罪を明るみにしないための計画でした。
真夏の方程式(ガリレオ映画)の結末
湯川は真実を全て見抜き、取調室で川畑重治と向き合います。湯川の話の中に十歳の少年、恭平のことがでてきます。一見、事件とは何の関りもないように思えますが、重治は足を悪くしていたため、犯行のための準備が一人ではできませんでした。
遊びに来ていた恭平に、ロケット花火が煙突の中に入り込まないように、濡れた段ボールでフタをして欲しいと頼みました。恭平は重治の頼みを聞いて、言われた通りにしました。塚原を殺すために、何も知らない恭平を利用したのです。恭平は賢い子供でした。湯川と一緒に過ごし、時折話すことに耳を傾けて自分なりに考えていました。恭平は最初は何も分からなかったものの、最後には自分がやってしまったことに気づき怯えます。
何も知らなかったとはいえ、自分のやったことが人を死に追いやったことに思い至り、罪の意識に苛まされるのではないかと湯川は恭平を心配しました。このことは川畑親子にも話し、成美にも恭平のことを気にかけるように言います。滞在中に心を通わせた湯川は恭平に、問題と向き合い続けること、自分も一緒に考え続けること、一人ではないことを伝えて玻璃ヶ浦を後にするのでした。
以上、映画「真夏の方程式」のあらすじと結末でした。
「真夏の方程式」感想・レビュー
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ガリレオシリーズの映画版。すっかりドラマ福山雅治のイメージで出来上がった湯川が、これまでのドラマ・映画内のキャラクターとは違った側面を見せてくれるのが本作の大きな特徴の一つでしょう。理屈っぽさの権化とも言える彼と、彼が本作以前まで無条件に避けてきた「少年」という生き物との間に、ここまでハートフルな関係が出来上がるとは予想だにできません。他方、メインの事件に関しても、単純な殺人事件というわけではなく、そこにはしっかりと感動に導く動機が用意されており、鑑賞者を唸らせるものがあります。シリーズ物だから、と単純に毛嫌いするのでは勿体ない作品になっているのではないでしょうか。
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東田圭吾のガリレオ・シリーズ「真夏の方程式」の映画化。子供が嫌いな湯川と少年、恭平の心の交流が良いです。特に、二人でペットボトルロケットの実験をするところは良いです。玻璃が浦のきれいな海も、夏休み感が出て雰囲気出してました。映画「真夏の方程式」では原作を上手くまとめてますが、もう少し東京側のシーンに時間を掛けていたら川畑親子と仙波、それぞれの思いが、深く伝わったと思います。それでも、終盤の湯川と川畑との留置場での面会シーンでは、川畑役の前田吟が上手くてウルウルとなりました。個人的には湯川と仙波の面会シーンが、「砂の器」のような展開となって泣かせ所かと思っていたのですが、ちょっとすかされました。でも、こちらはこちらで良かったかな。役者では、やはり前田吟が良かったです。風吹ジュンも良かったけど、さすがに前田吟の留置場シーンは頭一つ抜けてました。杏は決して美人と言う訳ではないですが、可愛かったです。「真夏の方程式」おすすめです。
天才科学者ガリレオといわれる湯川学が、美しい海の波璃ヶ浦を舞台に起こる殺人事件を、夏休みを利用して来ていた少年との交流を通して解明していく物語です。この殺人事件の発端は29年前にさかのぼって行くのですが、この事件の起た経緯の展開には驚きを感じます。今回波璃ヶ浦で起きた事件の真相に気付く少年とその少年をやさしくロケットの実験を通して理科の世界に導いて行く湯川との心温まるシーンには感動の涙が止まりません。心の癒される波璃ヶ浦の美しい海を堪能しながら、ぜひこの映画で人間として成長して行く少年の姿を通して明日の希望を見つけて行けるおすすめの作品だと思います。