攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争の紹介:2021年日本映画。士郎正宗のコミックを原作とする『攻殻機動隊』は、劇場版やテレビアニメ、ハリウッドでの実写映画など様々な形で映像化されている。本作は、2020年4月からNetflixで独占配信された全12話の『攻殻機動隊SAC_2045』シーズン1を、1本の映画として再構成したもの。監督に指名されたのは、『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した藤井道人。アニメの監督初挑戦だが、単なるダイジェストではなく、ダイナミックに展開する新作として本作を仕上げている。
総監督: 神山健治、荒牧伸志 監督: 藤井道人 原作: 士郎正宗 キャスト:田中敦子(草薙素子)、大塚明夫(バトー)、山寺宏一(トグサ)、阪脩(荒巻大輔)、仲野裕(イシカワ)、大川透(サイトー)、小野塚貴志(パズ)、山口太郎(ボーマ)、玉川砂記子(タチコマ)、潘めぐみ(江崎プリン)、津田健次郎(スタンダード)、曽世海司(ジョン・スミス)、喜山茂雄(久利須・大友・帝都)、林原めぐみ(シマムラタカシ)ほか
映画「攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争の予告編 動画
映画「攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争」解説
この解説記事には映画「攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争のネタバレあらすじ:起
2045年、世界は「全世界同時デフォルト」と呼ばれる経済危機によって財政破綻し、計画的に戦争をし続ける「サスティナブル・ウォー」の時代に突入していました。草薙素子“少佐”をリーダーとする元公安9課のメンバーたちは、カリフォルニアで傭兵として活動しており、「GHOST」と名乗っています。
一方、チームを離れ、日本で民間企業に勤めていたトグサは、元公安9課トップ・荒巻に呼び出されます。
ある日、作戦終了後にアメリカ政府のエージェント、ジョン・スミスに拉致された少佐たちは、あるミッションを課せられます。それは、高級住宅地に住むロボット産業企業のCEO、パトリック・ヒュージを保護するというもの。しかし、屋敷の外には妻の死体が放置され、中では会社の全資産の売却が進められていました。
バスローブ姿のヒュージは人間とは思えない身のこなしで抵抗し、メイドロボや手強い番犬ロボが行く手を阻みます。自室に逃げ込んだヒュージは、頑強なアームスーツで反撃してきます。攻撃を事前に予測して避けるヒュージでしたが、サイトーの狙撃でようやくダメージを与えることに成功します。
しかし次の狙撃はかわされ、絶体絶命の危機。そこに現れたのは、身を隠していたタチコマ(AIで自立行動する多脚思考戦車)たちと、日本からやってきたトグサでした。アームスーツからヒュージを引きずり出し、その電脳内に潜る少佐。しかし、あっという間に侵食が始まり、身の危険を感じた少佐はサイトーに命じてヒュージの頭部を破壊させます。
ミッション失敗にスミスは不満顔ですが、あんな化け物だとは聞いていなかったと少佐たちも怒り心頭です。スミスは、当初の予定どおり少佐たちを抹殺しようとしますが、それを阻止したのは大統領命令を取り付けた荒巻でした。
攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争のネタバレあらすじ:承
日本に戻った少佐たちには、タチコマたちのメンテナンスを行う新メンバー・江崎プリンが加わりました。アメリカ政府の要請で公安9課の再編を任された荒巻は、元アメリカ国籍の総理、久利須・大友・帝都と面会します。
アメリカの目的は、ヒュージのような新たな存在“ポスト・ヒューマン”の捕獲。そのため、アドバイザーとして再びジョン・スミスが少佐たちの前に現れます。
仕事を請け負った少佐たちは、日本にいると思われるポスト・ヒューマンのひとり、元ボクサーの矢口による撲殺事件を調べ始めます。そこには、総理の義父・大友左千夫が会長を務める「東京復興委員会」と、そこに安価な労働力として不正移民を斡旋する犯罪まがいの行為が絡んでいました。
矢口の事件とは別に、プリンが気になる事件を見つけてきました。空港で、ひとりの男が電脳を焼かれて殺害された事件です。ログによると、300万人ものハッカーの攻撃を瞬時に束ねて被害者に向かわせた形跡がありました。そんなことはポスト・ヒューマンにしかできないことです。他にも教師や暴力団関係者の男が、同じように殺されていました。
被害者に接点はなく、加害者も特定できません。プリンは、被害者の目に写った映像を調べるうちに、どの現場にもいる太った男を発見し、彼を追い詰めます。彼はピープホールと呼ばれるアプリを利用し、キングと呼ばれる主謀者から殺人現場を教えてもらっていました。現地に行けば、被害者が顔のないたくさんの人々から攻撃されて殺されるところが見られるからです。
キングに接触したプリンは、シンクポルという正しい世界を創造するためのシステムのこと、そしてネット上で最もヘイトを集めている人物をロックオンし、市民の声を攻撃に変換していることなどを聞き出します。
そこへ少佐が介入し、キングはただの男子高校生だったことが判明。彼は、通っていた中学で生活指導の数学教師・山田が殺害された後、学内のサーバーでシンクポルを発見してネット上に放ったと告白します。そんな行動を少佐は「ピュアね」と評するのでした。
攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争のネタバレあらすじ:転
ある中学の授業中、シマムラタカシはこっそりゲームをしています。科目とは関係のない説教ばかりする教師のヤマダに抗議したのは、タカシが密かに思いを寄せるカナミでした。彼女はヤマダに生徒指導室へ呼び出され、タカシが向かったときには下着姿で助けを求めるような目をしていました。
ポスト・ヒューマンと思われるタカシの家を訪れた少佐とトグサは、母親から彼の様子を聞き取ります。半年前に高熱を出し、食欲旺盛になった点などは他の事例と同じです。オンラインゲームもしていたといい、彼の部屋にはその痕跡と、ジョージ・オーウェルの『1984』の本が残されていました。
彼が学校を休んでいる間にカナミは自殺し、その後3日間パソコンに向かい続けていたタカシ。ヤマダが殺害される事件が発生し、タカシは消息を絶ちました。
トグサは、持ち帰ったパソコンをひとりで解析していました。突然様子がおかしくなり卒倒するトグサ。データの中に、深層記憶を呼び覚ますプログラムがあり、それに過剰に反応したようです。タカシが何かを思い出したがっていたと感じたトグサは、彼が9歳のとき、一ヶ月間だけ預けられていたという京都に行きたいと申し出ます。
かくしてトグサとバトーのふたりは、京都の山奥にある廃屋へやってきました。その家にはユズという年下の女の子がおり、タカシを兄のように慕っていました。トグサは、バトーには見えない過去のタカシたちの姿を見ることができ、彼らの後を追って更に山奥へ入っていきます。
そこには“空挺さん”と呼ばれる人殺しが住んでいるから行ってはいけない、とユズは言われていましたが、タカシはその人物の小屋へ無断で入ってしまいます。そこから『1984』を持ち出してしまいますが、タカシを見つけた空挺さんは、その本にはこれから世界で起こることが書かれている、と言ってそれをタカシにくれました。
攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争の結末
ある日、ひとりで山奥へ入っていたタカシは、警官たちが誰かを射殺する場面を目撃してしまいます。折悪しく、タカシを探しにきたユズの声に気づいた警官のひとりが銃を向けてきました。そこへトラックで突入し、警官たちを撃ってくれたのは空挺さんでした。
残り一名と撃ち合いになり、空挺さんは生き残りますが、ユズが流れ弾に当たり倒れてしまいます。タカシは、立ち去ろうとする空挺さんに連れて行ってほしいと頼みます。一度は断られますが、あの本を全部読んだから、と言うと了承してくれました。
ユズの遺体とともに荷台に乗り込むと、数人の兵士らしき人たちが乗っていました。タカシは突然振り向くと、「あなたも乗りますか?」とトグサに話しかけてきます。今まで傍観者として、その場の出来事に介入できなかったトグサでしたが、次の瞬間、彼の姿はバトーの目の前からこつ然と消えていました。
総理の義父・大友が矢口に殺害されました。総理は、大友の不正を荒巻たちに伝えなかったことを詫び、今度は自分が標的になるべく自らニュースを流します。目論見どおり、総理の前に矢口が現れ、総理に目的は何かとたずねてきました。この国を復興させるためならなんだってやる、と総理が答えると、矢口は攻撃するのを止めました。
駆けつけた少佐たちによって矢口は取り押さえられ、スミスによってアメリカへと連れて行かれることになります。矢口は自分の東京復興への思いを確認しにきただけかもしれない、と少佐に話す総理。ポスト・ヒューマンの狙いは何なのか?少佐には疑問が残ります。
トグサが行方不明になってしばらく経ち、バトーのもとにトグサから電話がかかってきました。彼は古めかしい風景の中、赤い公衆電話からかけてきています。そして、話しながらなぜか涙を流しているのでした。
以上、映画「攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争」のあらすじと結末でした。
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