碁盤斬りの紹介:2024年日本映画。古典落語『柳田格之進』をベースに、本作が時代劇初挑戦となる白石和彌監督と本作が4年ぶりの主演映画にして15年ぶりの時代劇映画出演となる草彅剛がタッグを組んだ時代劇作品です。冤罪によって全てを失い、娘と引き裂かれた侍の男の誇りをかけた復讐の旅路を、主人公の生きがいである「囲碁」を絡めて描きます。
監督:白石和彌 出演者:草彅剛(柳田格之進)、清原果耶(お絹)、中川大志(弥吉)、奥野瑛太(梶木左門)、音尾琢真(徳次郎)、市村正親(長兵衛)、立川談慶(八兵衛)、中村優子(志乃)、斎藤工(柴田兵庫)、小泉今日子(お庚)、國村隼(萬屋源兵衛)ほか
映画「碁盤斬り」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「碁盤斬り」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「碁盤斬り」解説
この解説記事には映画「碁盤斬り」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
碁盤斬りのネタバレあらすじ:起
江戸。浪人の柳田格之進は一人娘のお絹と貧乏長屋で貧しい暮らしをしていました。格之進は篆刻の仕事で細々と生活費を稼いでいましたが、家賃の支払いも半年間分滞納するほどの困窮ぶりでした。
ある日、格之進は吉原の遊郭「半蔵松葉」の女将・お庚に完成した篆刻を渡しました。囲碁の達人である格之進はお庚と囲碁を打って勝ち、お庚は篆刻の報酬に碁の稽古料を上乗せして1両を渡しました。帰り道、不忍池の碁会場に顔を出した格之進は、汚い手で次々と常連たちを打ち負かせている質屋「萬屋」の主人・萬屋源兵衛と出くわしました。源兵衛に勝負を持ちかけられた格之進は普段しない賭け囲碁に挑み、途中まで源兵衛を苦戦させるも途中で勝負を打ち切り、1両を置いて立ち去りました。
お絹は大家に家賃支払いの延期を願い出、格之進は篆刻の注文を得るために外に出ました。その折、萬屋の前を通りがかった格之進は、一人の旗本が質に出していた家宝の高麗由来の大井戸茶碗が割れていたと言いがかりをつけ、大金で弁償するよう迫っていました。格之進は自分は書画や骨董品の目利きが得意だと仲裁を申し出、この茶碗が安物の偽物であることを見破りました。
旗本と格之進が帰った後、番頭の徳次郎は格之進が裏で旗本と一芝居売って大金をせしめようと目論んでいるのではないかとと進言し、源兵衛は格之進に仲裁の礼として10両を渡すことで手を打とうとしました。しかし、格之進はいわれのないものは受け取れないとして断りました。源兵衛はなぜ賭け囲碁で勝ちを譲ったのか尋ねると、格之進はかつて相手といさかいになって嫌な思いをしたことを振り返り、正々堂々と勝負したかったのだと明かしました。
源兵衛は自分が勝ったら10両を受け取れと勝負を持ちかけ、格之進は真剣勝負を挑んで勝利しました。源兵衛は嘘偽りのない碁を打てたことに感心し、それからというもの格之進と源兵衛は度々碁を打つなどして交流を持つようになりました。
碁盤斬りのネタバレあらすじ:承
格之進はかつて江州彦根藩で進物番をしていた過去があり、江戸に来たのは約10年前でした。しかし、格之進は自分が浪人になった経緯については話したがりませんでした。
以前はケチで傲慢だった源兵衛も格之進との交流で考えを改め、商売においても嘘偽りなく正々堂々と営むようになりました。その結果、萬屋は以前よりも商売が繁盛していきました。源兵衛は店の手代・弥吉にも囲碁を学ぶよう勧め、お絹に想いを寄せる弥吉は格之進に碁を教えてもらうようになり、格之進も弥吉の腕を認めるようになっていきました。弥吉は源兵衛の遠い親戚でかつて武士だった過去があり、源兵衛はいずれ弥吉に跡を継がせたいと考えていました。
源兵衛は十五夜の月見の宴に格之進とお絹を招待しました。お絹はお庚に亡き母・志乃の形見の着付けをしてもらいました。その時、お庚の店から足抜けしようとした遊女が捕らえられてきました。お庚は下人に遊女を“仕置き”するよう命じました。
宴に招かれた格之進は源兵衛と碁を打ちました。その最中、顧客の伊勢屋が源兵衛に用立ててもらった50両を返済に訪れ、受け取った弥吉は勝負中の源兵衛に届けました。さらに勝負の最中、格之進のかつての部下だった彦根藩藩士・梶木左門が訪れ、藩から紛失した狩野探幽の掛け軸は藩士・柴田兵庫が盗んだことが判明したことを告げました。格之進の脳裏には過去の思い出が蘇っていました―――。
―――彦根藩の進物番だった格之進は決して藩士の不正を見逃さず、藩主に報告していました。囲碁の達人で“星”という珍しい手を得意とする兵庫は格之進と碁を打ち、劣勢になった腹立たしさから格之進を襲撃しました。その後、兵庫は掛け軸を盗んでその罪を格之進に擦り付け、さらには格之進の妻・志乃に夫の身の潔白を証明すると持ちかけて手籠めにしてしまったのです。その後、志乃は自殺してしまったのです―――。
―――碁を打つ気分ではなくなった格之進は勝負を持ち越しにし、お絹と共に引き上げました。ところが、格之進が帰った後に弥吉が源兵衛に渡したはずの50両が紛失してしまっていました。源兵衛と弥吉はその場には源兵衛以外には格之進しかいなかったことから疑いをかけましたが、格之進は憤慨しながら否定しました。
お絹は腹を切ろうとしていた格之進を止め、母の仇も討たず金を盗んだという濡れ衣を着せられたままでいいのかとなじりました。その後、お絹は独断でお庚に相談し、自らの身を遊郭に売ることことで50両を工面しました。お庚は大晦日までに50両を戻せばお絹を無傷で返すが、期限を過ぎたら遊女として店に出すという条件を格之進に提示しました。
格之進は弥吉に50両を渡し、もし自分が盗んだはずのない50両が出てきたら源兵衛と弥吉の首をもらうと迫りました。弥吉はやむなく受け入れましたが、源兵衛は格之進は決して金を盗む人ではないとして徳次郎と共に格之進の長屋へと向かいました。しかし、格之進は既に長屋を引き払って旅立っていました。
碁盤斬りのネタバレあらすじ:転
藩を出奔した兵庫は賭け碁をしながら中山道を進んでいるらしいと聞いた格之進は、中山道の各地の宿場を探し回りましたが手がかりは掴めませんでした。兵庫はかつて格之進を襲撃した際に返り討ちに遭い、足に怪我を負い杖をついていました。
冬が近づいた頃。左門は藩から格之進の兵庫への仇討ちを許可する仇討赦免状をもらい、格之進と塩尻宿で合流しました。左門は藩主が格之進に戻ってきてほしいと言っていると伝えましたが、格之進は固辞しました。
その頃、吉原を訪れた弥吉は偶然にもお絹と再会しました。お絹は弥吉のせいで今の状況に追いやられたことに怒り、二度と自分の前に現れるなと告げてしまいました。一方、格之進と左門はとある宿場の碁会場で数日前に“星”を打つ男が現れ、両国の賭け碁の会に出るため3日前に江戸に向かったという情報を得ました。格之進と左門は急いで江戸に向かいました。
格之進と左門が江戸に到着したのは期日である大晦日でした。格之進と左門は賭け碁を取り仕切る親分の長兵衛に掛け合い、どうしても会わねばならぬ人物がいるので会わせてほしいと願い出ました。長兵衛は今日の会は紹介のある者だけしか入れないと最初は断りましたが、刀を預かるという条件で二人を中に案内しました。
兵庫は確かにその場にいました。掛け軸の行方を問われた兵庫は悪びれもせず「売った」と答え、格之進が不正を告発したせいで多くの者たちが藩を追われたことを批判しました。格之進は碁で勝負をつけると持ちかけ、自分が勝ったら兵庫の首をもらい、兵庫が勝ったら自分の首を差し出すと言い出しました。格之進と兵庫は長兵衛の立ち合いのもと碁を打ち始め、ほぼ互角の勝負を展開していきました。
勝負は夜になっても決着がつかず、兵庫は杖に仕込んだ刀を抜いて格之進に斬りかかりました。格之進は負傷しながらも長兵衛から刀を受け取り、兵庫の腕を斬り落としました。敗北を認めた兵庫は格之進に介錯を頼み、了承した格之進は兵庫の首を落としました。左門は見事に本懐を遂げたと格之進を讃えました。
碁盤斬りの結末
長兵衛は兵庫から預かっていた狩野探幽の掛け軸を格之進と左門に見せました。折しも除夜の鐘が鳴り始め、格之進と左門はせめて本懐を遂げたことだけでもお絹に報告しようと吉原へ急ぎました。
一方、萬屋では徳次郎が居間の額の裏に50両があるのを発見しました。源兵衛は格之進と碁を打っている最中に厠に行きたくなり、50両を額の裏に置き忘れていたのです。弥吉は源兵衛に事情を説明すると、50両を持って吉原に急ぎました。
格之進と左門は吉原に辿り着きましたが、既に門は閉められてしまっていました。そこに弥吉が現れて格之進に謝罪し、格之進は先日の約束を果たしてもらうとして左門や弥吉と共に萬屋に向かいました。弥吉は自分が勝手に約束したことだとして自分の首を刎ねるよう言い、源兵衛も弥吉をかばって自分の首を取るよう申し出ました。格之進は二人の首をもらうと言い、刀を振り下ろしましたが、格之進が斬ったのは二人ではなく、源兵衛の愛用の碁盤でした。
翌朝、格之進と左門は吉原を訪れ、お絹とお庚に本懐を遂げたこと、約束に間に合わなかったものの50両は用意したことを伝えました。お庚はお絹を格之進のもとへ戻すことにしました。
左門は兵庫から取り戻した掛け軸を手に彦根に戻ることにしました。格之進は、兵庫は掛け軸を売った金を藩を追われた者たちの救済にあてたと言ったときは嘘であっても嬉しかったと語り、自分がこの掛け軸を売ってそうしたいと左門に頼み、左門は掛け軸は見なかったことにすると言って彦根へ戻っていきました。
春になり、お絹と弥吉は祝言を挙げました。源兵衛はこれを機に家督を弥吉に譲って隠居することにしました。格之進は先日碁盤を斬ったことを源兵衛に謝罪し、二人はまだ決着がついていなかった碁の続きをすることにしました。しかし、源兵衛が目を離している間に格之進は姿を消し、ひとり江戸を離れて旅路につきました。
以上、映画「碁盤斬り」のあらすじと結末でした。
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