グシャノビンヅメの紹介:2003年日本映画。近未来の階層都市を舞台に、高速エレベーター・移動機筒内に、刑を執行される囚人らと共に閉じ込められた、特殊能力を持つ女子高生ルキノを中心とした惨劇を描いたSFバイオレンスムービーです。わかりにくい邦題ですが『愚者の瓶詰め』という意味です。インディーズムービー・フェスティバルでグランプリを受賞した作品です。
監督:山口洋輝 出演者:桐野ゆき(藤崎ルキノ)、辻岡正人(宇都宮ノコッシュ)、税所伊久磨(澤津久森ビブリオ)、南加絵(中路アラモッチャ)、財田ゆう子(望月ニナラーダ)、小柴亮介(御手洗カルスケモフ)、横川康次(寺ノ内カルピコ)、漆崎敬介(帯谷ジタコック)、上野央(沖田ドルイド)、河田義市(伊那垣イクマボン)ほか
映画「グシャノビンヅメ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「グシャノビンヅメ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「グシャノビンヅメ」解説
この解説記事には映画「グシャノビンヅメ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
グシャノビンヅメのネタバレあらすじ:起
100層以上からなる階層都市で爆発事故が起ります。100人以上が死亡し、15基のエレベーター・移動機筒が行方不明となります。監視局の監理官は事故の調査を始めます。そして目をつけたのが女子高生のルキノでした。
あの日ルキノは学校へ行くため露天販売街を歩いていました。いつものように薬をこっそり買って、煙草に火をつけます。階層都市では煙草が重犯罪で、丁度通りかかった伊那垣先生がルキノを見つけ「煙草を吸うな、監視員に見つかると大変だ」と注意します。しかしセンサーに引っ掛かり監視員がルキノを見つけ近寄って来ます。
伊那垣は「逃げろ」と言います。走って逃げるルキノに監視員が発砲すると、側にいた人に命中してしまいます。更に薬品のタンクにも当たり薬品が流れ出します。ルキノは移動機筒に乗りこみます。移動機筒ガールの望月の案内で、街を紹介しながら順番に止り、人が入れ替わります。
途中緊急電話が入り、99階層で緊急停止すると、二人の刑事が刑の執行を受ける二人の男を連れて乗りこみます。大柄な男は爆弾男・寺ノ内、小柄な男は婦女暴行専門の帯谷でした。そして移動機筒には他に、ヘッドフォン男、アタッシュケースを持った学者男、乳母車を持った主婦が乗っていました。
グシャノビンヅメのネタバレあらすじ:承
二人の囚人が騒ぎはじめます。若い刑事が帯谷に暴行を始め、中年刑事が止めます。「安心してください、処理局へすぐ着きますから」と中年刑事が説明します。帯谷がルキノの前に立ち顔を見はじめます。ルキノには特殊な能力があり、帯谷のやってきたことが見えます。帯谷は夜道で女性を襲い最後は喰ってしまっていたのです。
中年の刑事に別の事件発生の連絡が入り、途中で降りることになります。中年刑事は若い刑事に注射器を渡し、「後は任せた」と言って降りました。囚人二人が手すりにロックされた鎖をわめきながらこすりはじめます。そして若い刑事に挑発を繰り返し、鎖の音も反響し異様な雰囲気に包まれます。銃を構えた若い刑事でしたが、帯谷が「撃てるもんなら撃ってみろ」と激しく迫ります。
やがて、大きな爆発音とともに移動機筒は急停止してしまいます。そして寺ノ内の鎖が外れてしまいます。寺ノ内は若い刑事を暴行し、鍵を奪うと帯谷の鎖を外します。帯谷は若い刑事の首にかぶりつき肉を喰いはじめたのです。
怯える望月を見た帯谷が「服を脱げ」と迫ります。断る望月を若い刑事の持っていた拳銃で脅します。望月が脱ぎ始めると、今度は静観していたルキノに「お前も脱げ」と迫ります。相手にしないルキノを見た帯谷は望月をレイプしようと襲いかかります。すると寺ノ内が学者男に暴行を始めます。ルキノは拳銃を拾って寺ノ内に銃弾を撃ちこんだのです。しかし寺ノ内が生き返って襲ってくる幻覚を見て、さらに銃弾を死体に撃ちこみました。
グシャノビンヅメのネタバレあらすじ:転
唖然として見ていた帯谷に、望月が注射を打ち眠らせます。我に返った学者男でしたが、アタッシュケースから札束が撒けて散乱していて、慌てて拾います。その時、帯谷の意識が戻ります。
望月は「私の責任ですから私が始末します」と言って、鎖で絞殺そうと近づきますが、逆に起き上がった望月に襲われてしまいます。すると学者男が、落ちていた器具で、帯谷の頭を滅多打ちにして殺してしまいます。
その時、監視局から内線連絡が入り、望月が応対します。「死者が出ています」と答えると、帯谷を殺した学者男が、電話を取り上げ壊してしまいます。そして札束を出し、「私は澤津久森ビブリオで、大事なプロジェクトをやっている。今捕まるとまずいんだ。オレが殺したんじゃない、自殺したことにしてくれ」と言って金を配りはじめます。
乳母車主婦とヘッドフォン男は金を受け取りますが、望月とルキノは受けとりませんでした。息苦しくなり乳母車主婦が牛乳を、ヘッドフォン男が水を飲み始めます。自分も飲みたい澤津久森でしたが、金を持っている事から「1本100万で売ってやる」とヘッドフォン男に言われてしまいます。
隙を見た望月が乳母車主婦の飲み物を盗もうとして喧嘩になってしまいます。その時、乳母車が倒れてしまいます。乳母車には赤ちゃんではなく、食べ物がいっぱい入っていたのです。ルキノが乳母車主婦を見つめると、彼女はコインロッカーに自分の胎児を捨てていたのでした。わめき散らす乳母車主婦たちに、今まで黙っていたヘッドフォン男が「黙れ」と怒鳴ります。
グシャノビンヅメの結末
静まり返ると、澤津久森が「鎮静剤を飲め」とルキノに渡します。ルキノは薬を振りまいて澤津久森の過去を見ます。澤津久森は胎児をビン詰めにしていました。その時、ヘッドフォン男がテレパシーでルキノに話しかけます。「僕は監視局の捜査官だ。澤津久森は瓶の中に殺人ウィルスを持っているんだ。知らないふりをしろ」と言うのです。
少しすると澤津久森が「来た!」と言って立ち上がります。するとルキノは金属の破片で澤津久森を刺します。倒れた澤津久森に馬乗りになり、かつて自分を虐待した父を殺したように滅多刺しにしたのです。そこへ防護服を着た監視局の人たちが入って来てルキノは爆破事件の容疑者として逮捕されたのです。
監理官の取り調べが始まります。ルキノの取り調べの後、ヘッドフォン男に聞きます。田舎者のヘッドフォン男は方言丸出しで「ルキノは頭がおかしい」と言い、乳母車主婦は、赤ちゃんを抱いた夫と一緒に来て「乳母車で買い物に来て帰る途中だった」と言います。
監理官は「澤津久森が持っていた薬は心臓病の薬だった」と話します。そして伊那垣が呼ばれます。精神病院の医師の伊那垣に「ルキノを退院させた事が原因だ」と監理官が言います。伊那垣は「完治したから退院させたんだ。私に責任はない」と言い張ります。ルキノは父親を殺し、精神病院に入れられていたのでした。
ルキノは記憶を消され手錠を外されます。そして「好きにしろ」と刑事が言って階層都市の外へ通じる通路に連れだします。ルキノが出たところは、東京タワーと階層都市の見える荒れ果てた地でした。
以上、映画「グシャノビンヅメ」のあらすじと結末でした。
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