花束みたいな恋をしたの紹介:2020年日本映画。何かがはじまる予感がして、心臓が鳴った――。『東京ラブストーリー』『Mother』などを手がけた脚本家・坂元裕二のオリジナル脚本を映画したラブストーリーです。菅田将暉と有村架純がダブル主演を務め、偶然な出会いから始まったごく普通の男女の5年間の恋の物語を描きます。
監督:土井裕泰 出演者:菅田将暉(山音麦)、有村架純(八谷絹)、清原果耶(羽田凜)、細田佳央太(水埜亘)、韓英恵(川岸菜那)、中崎敏(青木海人)、八木アリサ(卯内日菜子)、オダギリジョー(加持航平)、佐藤寛太(富小路翔真)、戸田恵子(八谷早智子)、岩松了(八谷芳明)、小林薫(山音広太郎)ほか
映画「花束みたいな恋をした」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「花束みたいな恋をした」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
花束みたいな恋をしたの予告編 動画
映画「花束みたいな恋をした」解説
この解説記事には映画「花束みたいな恋をした」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
花束みたいな恋をしたのネタバレあらすじ:起
2020年。都会のとあるカフェで、1組のカップルがひとつのイヤフォンの左右を分け合って音楽を聴こうとしていました。女と一緒にこのカフェに来ていた山音麦(菅田将輝)はこれでは“本当の音楽”を聴くことはできないと感じました。
一方、別のテーブルに男と共に座っていた八谷絹(有村架純)も麦と同じことを思っていました。麦と絹はそれぞれ、このカップルに指摘すべく席を立ちました…。
…2015年初旬。
絹は映画や小説が好きで、ラーメンの食べ歩きを記したブログをアップするのが趣味の大学生でした。冬のある日、絹は大好きなお笑いコンビ「天竺鼠」のライブに行こうとしたところ、大学の同級生・富小路翔真(佐藤寛太)とばったり出くわして一緒に飯を食いに行くことになりました。
ところが、翔真は別の女と待ち合わせをしており、絹を誘ったのは単なる時間潰しでした。結局絹はライブに行き損ね、終電にも乗り遅れたので仕方なくネットカフェで一夜を明かすことにしました。
時を同じくして、大学生だった麦は道端で交通調査のアルバイトをしていました。麦は3ヶ月前、偶然にもGoogleストリートビューに自分が写っているのを発見して大いに喜んでいたのですが、今ではすっかりその熱も冷め、燃え尽きたかのようにぼんやりと日々を過ごしていました。この夜、麦はチケットを買っていた「天竺鼠」のライブがあることさえ忘れてしまっていました。
花束みたいな恋をしたのネタバレあらすじ:承
ある夜、絹は付き合いで西麻布のカラオケ店に行きました。その後、いつものようにラーメン屋に行った絹は母・早智子(戸田恵子)から電話でお使いを頼まれ、帰りの電車に乗るべく京王線・明大前駅に向かいました。
同じころ、麦は別のカラオケ店にいましたが、かねてから想いを寄せている卯内日菜子(八木アリサ)が来ないことから帰ることにし、明大前駅へと向かいましたが終電に乗り遅れてしまいました。麦は同じように終電に乗り遅れた絹、サラリーマンの男、OL風の女と共にカフェで時間を潰すことにしました。
麦はたまたまこのカフェに来ていた映画監督・押井守(本人)を発見し、そのことを絹ら三人に伝えましたが、サラリーマンとOLは全くノリが合わず、そのままタクシーに乗って帰っていきました。ところが、絹は麦が押井守を知っていることに喜び、意気投合した麦と絹は居酒屋に行くことにしました。
そこで二人は履いているスニーカーのブランド、好きな小説、好きな映画、好きな音楽、そして先日行きそびれた「天竺鼠」のライブなど共通点が多いことに気付きました。麦はガスタンクが好きで、そればかりを撮影して3時間21分ものの長編動画に仕上げたものがあると言うと、絹は興味を示してぜひ見てみたいと言い出しました。麦はそこで偶然にも日菜子に遭遇しましたが、麦の興味は既に絹に移っていました。
麦の家を訪れた絹は、麦の本棚がほぼ自分の本棚と同じであることに気付きました。本棚にはスケッチブックがあり、麦の描いたイラストがありました。絹は麦のイラストを大変気に入り、麦は将来イラストレーターになるという夢を明かしました。それから麦は雨で濡れた絹の髪をドライヤーで乾かしてあげ、二人で麦が編集した「劇場版ガスタンク」を観ました。
それから麦と絹は何度かデートを重ねましたが、互いに自分の気持ちを打ち明けられずにいました。三度目のデートの日、麦と絹はイヤホンの左右を分け合って一緒に音楽を聴いていたところ、居合わせた男に「お前ら音楽が好きじゃないな」と説教されました。その後、終電間際に麦は絹に告白をし、二人は初めて手をつないで歩き、キスをしました。
花束みたいな恋をしたのネタバレあらすじ:転
麦と絹は交際を順調に進め、麦の先輩である駆け出しのカメラマン・青木海人(中崎敏)やその恋人・川岸菜那(韓英恵)との交流も深めていきました。麦は夢に向かってイラスト描きに情熱を注いでいましたが、絹は就職活動で苦戦を強いられていました。絹の父・芳明(岩松了)と早智子は新卒で就職しない者は決して認めないという頑固な考えの持ち主であり、絹は連日の圧迫面接もあって精神的に参っていました。
絹を励ました麦は一緒に暮らそうと提案し、二人は多摩川沿いのマンションを借りて同棲生活を始めました。麦は知人の紹介でイラスト描きのバイトを見つけ、絹はアイスクリーム屋でバイトをすることにしました。二人はクリスマスプレゼントとして互いにイヤホンを贈り合い、大晦日も実家には戻らず二人だけの時間を過ごしました。
2016年の正月。麦と絹は初詣で訪れた近所の神社で捨てられていた黒猫を拾いました。二人は猫に“バロン”と名付け、一緒に飼うことにしました。やがて大学を卒業した麦と絹は定職に就かずフリーター暮らしを続けていましたが、絹の両親は相変わらず娘に就職を進め、麦は父・広太郎(小林薫)から故郷の新潟へ帰らないなら仕送りを止めると告げてきました。
それでも麦は故郷には戻らず絹との同棲を続けていましたが、やがてバイトのイラスト描きの単価を下げられて行き、仕事しながらも絵を描けると考えた麦は絹との生活のために定職に就く決心を固めました。やがて絹は歯科医院の受付の仕事が決まりましたが、麦は仕事が決まらないまま年末を迎えました。
2017年。麦はネット通販会社の物流関連の仕事に就きました。営業担当になった麦は毎日夜遅くまで仕事に追われる日々が続き、いつしかイラストを描く時間も、そして絹と一緒に過ごす時間をも奪われていきました。そんなある日、菜那は海人からのDVが原因で別れることにしました。絹は菜那らとの交流を続け、働きながらも趣味の映画や読書などを楽しんでいましたが、麦にはそのようや余裕すらありませんでした。麦は絹のことをいつまで学生気分でいるのかと批判的な目で見るようになり、その頃から麦と絹との間にすれ違いが生じ始めていました。
花束みたいな恋をしたの結末
2018年。絹は知り合ったイベント会社社長・加持航平(オダギリジョー)にスカウトされ、転職することにしました。給料は歯科医院よりも下がりますが、絹は自分のやりたいことを優先させることを決めました。
その頃、麦はニュースで、配送会社の運転手が荷物を載せたトラックを東京湾に捨て、逃亡した故郷の新潟で逮捕されたという事件を知りました。犯人の年齢は麦と同じく25歳であり、麦は年齢も故郷も同じ犯人に自分との境遇を重ね合わせていました。
絹から転職話を聞かされた麦は、たまらず「仕事は遊びじゃない」と批判しました。二人は口論となり、その勢いで麦は「結婚しよう」と言い出しました。麦は生活費は自分が稼ぐから絹は仕事を辞めて好きなことをすればいいという考えでしたが、絹は落胆してしまい、結局結婚の話も流れてしまいました。
結局、絹は加持の会社に転職しました。その後、海人が酒を飲んで風呂場で溺れ死に、麦と絹は葬式に参列しました。しかし、もはや二人には話し合う気力も、喧嘩する気力すらも失われていました。
2019年。麦と絹はまだ同棲を続けていましたが、二人の生活は完全にすれ違ったものとなっていました。麦はますます多忙になる一方、絹は安い給料ながらも充実した日々を送っていました。二人はもはや言葉を交わすことすらなく、この頃から互いに別れを意識し始めていました。
そんなある日、麦と絹は大学時代からの友人の結婚式に出席しました。二人はこの日を最後に、せめて幸せな気持ちのまま別れる決心を固め、かつて麦が絹に告白したファミレスに入りました。そこにはまだ初々しいカップルの羽田凜(清原果耶(羽田凜)と水埜亘(細田佳央太)がおり、その光景を見た麦と絹は二人で過ごした幸せな日々を振り返りながらももう後戻りはできないことに気付きました。麦は別れたくないと言い出し、恋愛感情がなくても結婚して家族になれば上手くいくと言い出しましたが、絹にはその気はありませんでした。
やがていたたまれなくなった絹は店を飛び出し、追いかけた麦は泣き出した絹を抱きしめました。それから3ヶ月の間、麦は絹の引っ越し先が見つかるまでは一緒に暮らすことにしました。皮肉にも二人はまるで付き合い始めた頃に戻ったかのように楽し気に会話を交わすようになっていました。猫のバロンは麦が引き取ることにしました。
そして2020年現在。映画は冒頭の場面に戻ります。イヤホンを分け合うカップルに指摘しようとした麦と絹は席を立ちましたが、互いに顔を合わせると何事もなかったかのように席に戻りました。麦と絹は互いに新たな恋人ができていました。やがて麦と絹は言葉を交わすことなく、振り返ることなく店を後にしましたが、二人は背を向けたまま手を振っていました。
数日後、麦は自宅でGoogleストリートビューを見ていました。そして麦は“二度目の奇跡”に遭遇しました。そこに写っていたのは、多摩川沿いを仲睦まじく歩いている麦と絹の姿でした。絹の手には花束が握られていました…。
以上、映画「花束みたいな恋をした」のあらすじと結末でした。
「花束みたいな恋をした」感想・レビュー
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2016年~2020年くらいに流行したいろんな映画や漫画やゲームが、有名なものからマニアックなものを含めて、映画の小道具として、あるいは重要なキーとして作中に登場します。それらを個人的にプレイしたり見たり、読んだりした経験のあるものには、つい最近のことにもかかわらずノスタルジックさを感じます。映画のテンポや演出、主演のお二人のリアリティのある演技が光っており、切なくもまた見たくなる映画です。
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誰もが経験した恋愛の1ページを切り取ったような作品で、特別な出来事は起きないものの、心にじんわり残りました。
坂本裕二さんらしく、感情の揺れ動きを的確にとらえた台詞は秀逸でした。
観る者の心にすっと入ってくる、普通のカップルを演じた菅田将暉さんと有村架純さんが素敵でした。 -
大人から見ると痛い若者と見えますが、しかしながら憧れてしまう、青春とはまさにこれだよなと思える映画です。甘酸っぱい青春映画好きに強くおすすめしたいところです。美化された内容なのに心にグッと来るシナリオ・演技力が特に見どころです。
脚本家が坂元裕二さんが担当されているので観に行きました。言葉のひとつひとつの選び方が丁寧で心に残るセリフが沢山ありました。菅田将暉と有村架純の自然な演技に惹きこまれました。懐かしいサブカルが沢山出てきて当時の恋愛を思い出して泣いてしまいました。別れが訪れても前向きな終わり方だったのでとてもよかったです。