ハナレイ・ベイの紹介:2018年日本映画。村上春樹の短編小説集『東京奇譚集』の中の1編を吉田羊主演で映画化した作品です。ハワイ・カウアイ島のハナレイ湾を舞台に、サーファーだった一人息子を失った女性が希望を見出していく過程を描いた喪失と再生の物語です。
監督:松永大司 出演者:吉田羊(サチ)、佐野玲於(タカシ)、村上虹郎(高橋)、佐藤魁(三宅)、栗原類(尾崎亮)ほか
映画「ハナレイ・ベイ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハナレイ・ベイ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハナレイ・ベイの予告編 動画
映画「ハナレイ・ベイ」解説
この解説記事には映画「ハナレイ・ベイ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハナレイベイのネタバレあらすじ:起
2007年、ハワイ・カウアイ島にある自然豊かな湾“ハナレイ・ベイ”。若きサーファーのタカシ(佐野玲於)は夜が明ける直前からこの湾岸に一人やってきました。そして、タカシは朝一番の波を求め、サーフボードに乗って海へと繰り出していきました…。
それから間もなく、タカシの母でピアノバーを営むサチ(吉田羊)はまさかの知らせを受け取り、ハナレイ・ベイの遺体安置所を訪れました。そこにはサメに右足を食いちぎられて死亡したタカシの変わり果てた姿がありました。サチは特に感情を露にすることなく遺体と対面を果たし、当局に遺体を火葬にしてもらうよう要請しました。その際にサチは当局の女性職員からタカシの手形を残してはどうかと打診され、断ろうとしましたが、職員は手形がいつか大きな助けになってくれると説明、結局手形は必要になる時まで預かってもらうことになりました。その後、タカシの遺品を淡々と確認するサチは、男性職員から島の自然の脅威について説明を受け、決して島を憎まないでほしいと懇願されました。
ハナレイベイのネタバレあらすじ:承
サチはタカシの骨壺を買い、その足でタカシの宿泊先を訪れ、サメに食いちぎられたサーフボードを見せてもらいました。タカシの友人の話ではサメは普段サーファーを襲うことはないというのですが、この日は偶然にもカメの大群がハナレイ・ベイに来ており、サメはカメを狙っているうちに誤ってタカシを噛み殺してしまったということでした。
サチは帰国の日を送らせてハナレイ・ベイに留まり、海が見渡せる位置に折り畳みチェアを置き、ミネラルウォーターを口にしながら静かに息子が死んだ海を見つめていました。やがて帰国したサチはタカシの葬儀を行い、その後タカシの遺品を全て段ボール箱に詰め込み、ガムテープで固く封印しました。
ハナレイベイのネタバレあらすじ:転
10年後。サチは毎年、タカシが死んだ時期にハナレイ・ベイを訪れ、海を見渡せる木陰で過ごしていましたが、それでもサチは決して海には近づきませんでした。そんなある時、サチはたまたま通りがかったヒッチハイク中の日本人サーファーの高橋(村上虹郎)や三宅(佐藤魁)を車に乗せてあげたことがきっかけで知り合い、あの時の息子と同じぐらいの年齢の二人と交流を持つうちに、サチは自然と笑顔がこぼ出してきました。そんな時、サチは二人から耳を疑うような話を耳にしました。それは、タカシが愛用していたものと全く同じ赤いサーフボードを持った、片脚の日本人サーファーを何度も見たというものでした。その日からサチはハナレイ・ベイ周辺を歩き回り、近付くこともなかった海に近づいてまで必死で片脚のサーファーを探しましたが、結局見つけることはできませんでした。
タカシにもう一度会いたいという想いが込み上げてきたサチは、タカシが死の直前に宿泊していたホテルからタカシの写真を譲り受け、そして預かってもらっていた手形を目の当たりにしました。そしてサチは実はタカシのことが好きではなかったことを打ち明けました。
ハナレイベイの結末
サチはかつて尾崎亮(栗原類)という男と結婚していましたが、亮はタカシが生まれてからもドラッグに手を出すなど堕落した生活を送っており、ドラッグを止めるよう注意したサチに激しいDVを加えていた過去がありました。やがて愛人を作った亮はドラッグが元で早死にし、サチは女手ひとつでタカシを育て上げましたが、自由奔放なタカシを憎みつつ、実は心の片隅で愛していたことに気付きました。
サチは段ボールからタカシの遺品を取り出し、その中からタカシが生前よく聴いていたイギー・ポップのカセットテープを見つけました。サチはカセットを聴いていると、何だか今でもタカシが生きているかのような感覚が込み上げてきました。
全てを受け入れたサチは東京で彼女を連れた高橋と会い、大学に合格、高橋を祝福すると彼の恋がうまくいくようアドバイスを送りました。そして11年目のハナレイ・ベイ。サチは今でもこの場所にタカシがいるような気持ちになっていました。
以上、映画「ハナレイ・ベイ」のあらすじと結末でした。
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