ハード・コアの紹介:2018年日本映画。狩撫麻礼といましろたかしの共作によるコミック『ハード・コア 平成地獄ブラザーズ』を、山田孝之のプロデュース兼主演、『映画 山田孝之 3D』でタッグを組んだ山下敦弘監督のコンビで映画化したカルトムービーです。世間に馴染めないチンピラな主人公(山田孝之)と対照的にエリート街道を進む弟(佐藤健)、主人公の親友(荒川良々)が古びた1体のロボットを発見したことから人生を狂わせていく様を描きます。
監督:山下敦弘 出演者:山田孝之(権藤右近)、佐藤健(権藤左近)、荒川良々(牛山)、石橋けい(水沼多恵子)、首くくり栲象(金城銀次郎)、康すおん(水沼)、松たか子(バーの女)ほか
映画「ハード・コア」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハード・コア」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハード・コアの予告編 動画
映画「ハード・コア」解説
この解説記事には映画「ハード・コア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハードコアのネタバレあらすじ:起
背中に“KATANA 刃”と書かれたTシャツを着たチンピラ風の男・権藤右近(山田孝之)は東京の片隅の行きつけのバーで飲んでいました。折しも時期はハロウィンの季節、はしゃぐ若者たちのニュースを見ながら右近は一言「クソっ」と吐き捨て、同じくハロウィン騒ぎを疎ましく思っていた客の女(松たか子)と意気投合しました。ところが、ハロウィンパーティー帰りの若者数人組がバーに入ってくるや、女は若者たちと一緒にカラオケで大盛り上がりとなり、カッとなった右近は女に頭突きをかまし、その場は騒然となりました。
その後、酔い潰れた右近を、弟でエリート商社マンの左近(佐藤健)が迎えにきました。左近はバーの店主(宇野祥平)から右近を出入り禁止にすると告げられ、だらしない右近を冷たく突き放すとタクシーを拾い、ミャンマーへの出張へと向かっていきました。その後、右近は所属する右翼団体の街宣で道行く人にビラを配っていました。
ハードコアのネタバレあらすじ:承
8ヶ月後。右近は団体仲間で唯一心を許せる親友の牛山(荒川良々)と共に団体のバンに乗り込み、群馬の山奥で週に一度、月収7万円の報酬で“埋蔵金”採掘に従事していました。休憩中、牛山が風俗嬢のチラシを持っていることをからかった同僚に右近が殴り掛かり、右近は童貞の牛山のために自分のアパートを提供して風俗嬢(広岡由里子)を手配しました。右近は押し入れに隠れて様子を見守っていましたが、牛山の挙動不審ぶりに痺れを切らした風俗嬢は、牛山が一生懸命貯めた金だけ取ってプレイもせず逃げようとしたので、飛び出した右近は金を取り返して女を追い払いました。
ある日、右近は団体幹部の水沼(康すおん)に呼び出され、牛山に公安のスパイとの疑いがかけられているので調べるよう命じられました。そこで右近は密かに牛山のバッグの中身を調べましたが、中には何の変哲もない物理の教科書があるのみでした。バカらしくなった右近は自らのアパートに戻ってみると、いつの間にか牛山が上がり込んでおり、しかもなぜか女性用のSM用下着を身に着けていました。右近は牛山を連れて団体のリーダーである金城銀次郎(首くくり栲象)の元を訪れ、仲間同士で疑い合うことに耐えられないと直訴すると、金城は右近と牛山を正式な構成員にすると告げ、「この腐れ切った世の中を一緒に世直ししようではないか」と呼びかけました。
埋蔵金採掘作業の休憩中、右近と牛山は水沼から、水沼が囲っている愛人のシルビア(フランシス・カララング)が浮気をしていないか探るよう命じられました。右近と牛山はシルビアが働くバーに向かって彼女に接触、一旦牛山を帰らせると「誰とでも寝るのか?」とシルビアに問いかけ、彼女を牛山の元へ連れて行って「コイツと寝てくれ」と頼みましたが、シルビアは牛山を一目見るなりその場から逃げていきました。後日、右近は水沼にはシルビアは浮気をしていないと報告しておきました。その頃、左近はオフィスで女性社員との情事に耽っていました。
ハードコアのネタバレあらすじ:転
ある夜、右近のアパートに牛山がやってきて、突然「死んだ」と告げてきました。右近は牛山が寝床としている廃屋に行ってみると、そこには1体の壊れた古いロボットがありました。右近が修理してみるとロボットは起動、二人はロボットの存在を隠しておこうとしましたが、ロボットは二人にくっついていき、しまいには埋蔵金採掘現場にまでついてきました。右近は咄嗟にロボットに“済原ロボオ”(声:綿貫正市、スーツアクター:石井モタコ)と名付け、ロボオも作業に従事することになりましたが、ロボオは誰もが驚く勢いとパワーでサクサクと土を掘り進めていきました。
実家に頼まれて渋々右近の様子を見にアパートに上がり込んだ左近はロボオを紹介され、パソコンで解析したところ、ロボオはNASAの技術よりもはるかに優れた最先端技術を結集した超高性能ロボットであることが判明しました。左近は「これで腐ったサラリーマン生活から足を洗える」とロボオを利用することを思いつきましたが、右近は左近を殴りつけると「いいか、アイツは機械なんかじゃない。俺と牛山の仲間なんだ!」と告げました。
ロボオは懸命に発掘作業に勤しみ、その働きぶりを買われて月給10万円も貰うようになりました。右近と牛山はロボオをスナックに連れて行き、楽しいひと時を過ごしましたが、その際にたまたま居合わせたヤクザ数人に絡まれてしまいます。その時、ロボオは突然右近と牛山を抱きかかえると上空へと飛び去っていきました。
ある日、右近は牛山とロボオを尾行していた男(松浦祐也)を見つけ、男を問い質したところ、男は牛山の実家に雇われた探偵で、ただ十数年前に実家から失踪した牛山の生存確認を依頼されていただけでした。右近は「家族なんていらねえ。俺たちは空だって飛べるんだ」と呟きました。
密かにロボオを調べていた左近は、ロボオには金属探知能力があるのではと考え、右近にロボオを使って埋蔵金を掘り当てるよう持ち掛けました。そして右近と左近、牛山は団体に気付かれないよう深夜にロボオを採掘現場に連れて行き、ロボオは期待に応えて大量の金の小判が入った箱を見つけ出しました。左近は右近に、埋蔵金の件は団体に内緒にしておこうと持ち掛け、海外のマフィアと取引して小判を換金することを思いつきました。
ハードコアの結末
水沼の家で飲んでいた右近は、水沼の娘・多恵子(石橋けい)に誘惑され、彼女に思わず惚れ込んでしまいました。右近はロボオに発声機能を与えようとしている左近の元に向かい、多恵子の話を振ってみると、左近は「あの女はやめとけ。澱んだ目をしている。どうせセックス狙いで男をガタガタにする女だ。俺がまともな女を紹介してやるよ」と引き止めました。右近と左近は多恵子の件で喧嘩になってしまい。左近は右近に「モテないのを世の中のせいにするんじゃねえ!」と叫び、「何が世直しだ。間違ってるのが世の中だろうが。それでも要領よく生きてくしかねえんだよ」と呟いて去っていきました。それでも右近は左近の忠告を聞かずに多恵子に誘惑され、彼女とのセックスにのめり込んでいきました。
そんなある日、右近のアパートに水沼が訪れ、金城が人を殺してスーツケースの中に死体を入れたと告げてきました。水沼は牛山の住処の廃屋にスーツケースを置くよう指示、絶対に開けるなと告げて立ち去りました。ところが、スーツケースの中の死体は金城であり、水沼は金城を殺害して罪を右近と牛山に擦り付けようとしていたのです。廃屋にいた右近と牛山は警察に包囲されますが、ロボオは二人を抱きかかえると上空高く飛び立ち、やがて大爆発を起こしました…。
マフィアとの取引を成功させ、大金を手にしてきた左近は右近たちを探しましたが、既に右近たちの姿はそこにはありませんでした。一方、死んだと思われていた右近と牛山は密かに南の島で生き延びており、牛山は島の女との間に子供をもうけていました。右近と牛山の傍らには、力尽きて残骸となったロボオの姿がありました。
以上、映画「ハードコア」のあらすじと結末でした。
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