ヒメアノ~ルの紹介:2015年日本映画。古谷実の同名漫画をV6の森田剛主演で映画化した衝撃の問題作。元いじめられっ子が次々と殺人やストーカー行為に手を染める姿を描いています。タイトルの「ヒメアノ~ル」とは体長10cmほどのヒメトカゲのことで、強者の餌となる弱者を意味しています。
監督:吉田恵輔 出演者:森田剛(森田正一)、濱田岳(岡田進)、佐津川愛美(阿部ユカ)、ムロツヨシ(安藤勇次)、駒木根隆介(和草浩介)ほか
映画「ヒメアノ~ル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ヒメアノ~ル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ヒメアノ~ルの予告編 動画
映画「ヒメアノ~ル」解説
この解説記事には映画「ヒメアノ~ル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ヒメアノ~ルのネタバレあらすじ:起
清掃会社で働く平凡な男、岡田進(濱田岳)は、代わり映えのない毎日に不安と不満を覚えていました。そんなある日、岡田は、職場の先輩で冴えない男の安藤勇次(ムロツヨシ)に自分の恋のキューピッド役を頼まれます。安藤は憧れの女性・阿部ユカ(佐津川愛美)が働くカフェへ岡田を連れていきます。そこにいたのは、岡田の高校時代の同級生でいじめられっ子だった森田正一(森田剛)でした。森田は昔とはかなり雰囲気が変わっていました。安藤は森田がユカにストーカー行為をしていると忠告します。岡田は勘違いだと思っていましたが、ユカ本人もストーカー被害を訴えていたのです。岡田は安藤に頼まれ、ユカに安藤の想いを代わりに伝えることになりますが、ユカが好きだったのは何と岡田でした。
ヒメアノ~ルのネタバレあらすじ:承
岡田は安藤に隠れてこっそりユカと付き合い始め、人生で初めて彼女ができたことを喜んでいましたが、二人の交際を知った森田は岡田を殺そうと決意し、元同級生の和草浩介(駒木根隆介)に協力を依頼します。和草はかつて森田と共にいじめっ子の主犯格を殺害しており、これを機に森田から金をタカられ、やむを得ず会社から横領を繰り返して金を工面してきたのです。和草の婚約者・久美子(山田真歩)は森田を亡き者にしようと提案し、和草は久美子と共に森田を殺害しようとしますが逆に返り討ちに遭い殺害されます。森田は二人の死体に灯油をかけ、自分のアパートともども焼き払って逃走します。
ヒメアノ~ルのネタバレあらすじ:転
住み処を失った森田の行動はエスカレートしていき、本能の赴くままに犯罪を重ねていきます。女性宅に暴行目的で浸入しては殺害、その後も次々と無関係な人間を殺害していき、警察官までも殺して拳銃を手に入れます。森田はユカのアパートに押し入りますがそこにはユカの姿はなく、森田はユカの部屋の隣人を射殺します。さらに森田は岡田の勤務先にまで押し掛け、その場にいた安藤に発砲します。
ヒメアノ~ルの結末
辛うじて一命を取り留めた安藤は、岡田とユカの見舞いを受けます。自分のせいでこんなことになってしまったと責任を感じる岡田は、自身の高校時代の出来事を語り始めます。岡田が入学して初めに友達になったのが森田だとうこと、やがて森田が壮絶ないじめを受けるようになってから距離を置き、そしていじめっ子に森田を売ったことを告白します。その直後、岡田の住所を調べあげた森田は岡田のアパートに浸入し、居合わせたユカに襲いかかりますが、間一髪で岡田が駆け付けて揉み合いとなり、やがて森田を追っていた警察が到着します。森田は岡田を人質に取って車で逃走しますが、目の前にいた散歩中の白い犬を避けようとして電柱に激突してしまいます。血まみれで記憶を失った森田はもはや殺気はなく、かつて岡田と出会った時の無邪気さを取り戻していました。森田は岡田に「また遊びに来てよ」と言い残して逮捕されました。
「ヒメアノ~ル」感想・レビュー
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噂には聞いていましたが、衝撃でした!最後の最後まで映像が独特の気持ち悪さで、ちょっとトラウマです。完全に甘く見てました。暴行、殺人の画が怖いのではなく、そこに至るまでの森田正一(森田剛)が出す空気がなんともいえなかったです。森田の過去を多くは見せないところも、高校時代に森田がいじめられていたシーンを剛君がやっちゃうところも、現在の森田がよりリアルに感じられて余計に怖かったです。
映画前半の社会の底辺でくすぶっている若者たちを捉えたコメディーから、中盤以降の劇的に加速していく展開がスリリングでした。森田剛が好青年のイメージを脱ぎ捨てて、あっさりと他者の生命を奪い無計画に罪を重ねていくシリアルキラーに扮しているので驚かされました。クライマックスシーンで映し出されていく少年時代の大切な思い出と、僅かな救いにはホロリとさせられました。