必死剣 鳥刺しの紹介:2010年日本映画。壮絶で悲哀と怨念に満ちた殺陣シーンを見逃すな!「たそがれ清兵衛」で知られる藤沢周平の秀作。
監督:平山秀幸 出演:豊川悦司(兼見三左エ門)、池脇千鶴(里尾)、吉川晃司(帯屋隼人正)、戸田菜穂(睦江)、村上淳(右京太夫)、関めぐみ(連子)、小日向文世(保科十内)、岸部一徳(津田民部)、ほか
映画「必死剣 鳥刺し」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「必死剣 鳥刺し」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
必死剣 鳥刺しの予告編 動画
映画「必死剣 鳥刺し」解説
この解説記事には映画「必死剣 鳥刺し」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
必死剣 鳥刺しのネタバレあらすじ:起
3年前に物頭、兼見三左ェ門は能の舞を鑑賞後、藩主の妾である側室の蓮子を唐突に刺し殺してしまいました。直ぐに打ち首処分になるはずだった三左ェ門は1年間と降格を言い渡されます。お家潰しか打ち首を覚悟していましたが、津田が藩主に嘆頼ことで刑罰が軽くなったことを知ります。誰も藩主に文句を言う人はいませんでしたが、家郎の帯屋、隼人正だけは違いました。帯屋は別家と尊称される家柄で、藩主家とは血が繋がっていたのです。里尾は三左ェ門が死に場所を求めていたのではないかと思い込みますが、甲斐甲斐しく叔父である三左ェ門を見守りながら世話を続けます。里尾は一度結婚していましたが、失敗して実家に戻りづらく、三左ェ門の世話を引き受ける事になったのです。左ェ門が軟禁されている間、彼の姪、理尾は三左ェ門がかつて病気の妻を心配する愛妻家であった事を思い出します。
必死剣 鳥刺しのネタバレあらすじ:承
蓮子が生きていた時の回想と共に何故、左ェ門が蓮子を刺してしまったのか理由が徐々に明らかになっていきます。蓮子は右京太夫の籠愛をいいことに財政の立て直しを目的とした倹約令を骨抜きに企てるなど家臣も民も彼女の独裁的行動により、苦しめられていたのです。何の罪もない民は年貢を納める事に苦しんで城へ押しかけて苦情を言います。その事で見せしめの処刑対象となったのです。一方で三左ェ門は亡き妻と最後に過ごした日々を思い出していました。三左ェ門の軟禁が解かれました。里尾に面倒を見てもらいながら人と関わらず、散策するなどして穏やかに暮らしていましたが、元の役職である近習頭取への復帰が許され、再び、藩主である右京太夫の傍に仕えることになった三左ェ門。「自分の行いに意味はあったか?」、「処分が軽く済んだのは何か裏があるのではないか」と疑問を抱えながら右京太夫に仕える仕事をこなす日々。右京太夫は蓮子を殺した三ェ左門を疎ましく思い、「お前の面を見るだけで腹が立つ」と冷淡に接してきます。そんな環境の中で、自分の帰りを待って世話をしてくれる里尾が心の支えでした。
必死剣 鳥刺しのネタバレあらすじ:転
中老の津田から三左ェ門は剣の能力をかわれ、帯屋の隼人正の襲撃の協力に隼人正を殺してほしいと、三左ェ門に新しい仕事の話を持ち掛けます。三左ェ門は剣豪として腕があり、その必殺技は「必死剣鳥刺し」と言われている実力の持ち主だからです。三左ェ門は保科に里尾の結婚相手を探してくれるよう頼み、家に牧十兵衛を連れてきました。彼女は複雑な心境を抱えたまま、その日の夜、三左ェ門の背中を流しながら「おじさまの傍に置いてほしい」と告白します。その日を境に2人は気持ちが通じ合って一夜を共にしてしまいます。その事がお互いの為に良くないと考えた三左ェ門は里尾に鶴羽村へ行って自分と離れて暮らす事を進めました。そして「時期が経てば迎えに行く」と言葉を残して別家の帯屋、隼人正が大雨の荒れた天気の中、城を訪ねてきました。三左ェ門の帰りを女中達と待つ里尾。赤ちゃんの服を作る彼女は再び、幸せな暮らしが出来る事を望みながら祈るしかありませんでした。
必死剣 鳥刺しの結末
決戦の時です。隼人正もまた、直心流という技を持った剣に長けた人でした。三左ェ門は見事な剣捌きで彼を倒しますが、津田が「兼身が乱心して帯屋を斬った」とデマを流し、三左ェ門を裏切ったのです。最初から右京太夫と合作して三左ェ門を利用していたのでした。三左ェ門が仕えていた右京太夫の従弟である隼人正が問題を起こしたとなれば世間体が悪いからです。大勢の武士に囲まれながら、三左ェ門は怪我を負いながらも必死に闘い、裏切り者の津田に止めを刺そうと近づきます。耐え難い苦痛に耐えながら彼は必殺技、「必死剣 鳥刺し」を使って最後の力を振り絞り、近づく津田を座ったまま刺して倒した後、横からやってきた敵に不意打ちに遭って息絶えました。月日が流れ、もう二度と帰って来ることのない三左ェ門の帰りを理尾は一人息子の赤ちゃんを抱いてあやしながら村で待っていました。彼女は何も知りません。お腹の中にいた赤ちゃんはあの時、三左ェ門との間にできた赤ちゃんでした。空へ旅立った父の顔を知らない赤ちゃんと、母になった里尾の哀しき後ろ姿が何処か寂しげに映っていました。
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