百花の紹介:2022年日本映画。川村元気による同名小説を菅田将暉主演で映像化しました。認知症を患った母の面倒を見る主人公の泉が、過去にあった母がいない空白の一年の真実を知っていく…。日に日に記憶を失っていく母に寄り添う息子の姿が印象的です。
監督:川村元気 出演:菅田将暉(葛西泉)、原田美枝子(葛西百合子)、長澤まさみ(葛西香織)、北村有起哉(大澤哲也)、岡山天音(永井翔太郎)、河合優実(田名部美咲)、長塚圭史(佐藤雅之)、板谷由夏(関綾乃)、神野三鈴(工藤恵)、永瀬正敏
(浅葉洋平)、ほか
映画「百花」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「百花」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「百花」解説
この解説記事には映画「百花」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
百花のネタバレあらすじ:起
若くして音楽ディレクターとして活躍する葛西泉(菅田将暉)、妻の香織(長澤まさみ)と仲良く暮らし、やがて妊娠します。そんな中、泉の母である百合子(原田美枝子)の調子が良くないとの連絡が入り、泉は里帰りすることになりました。
百合子の誕生日に合わせて大晦日辺りに帰った泉。しかし、大晦日になると百合子が見当たりません。探し回った末、公園でブランコに乗っている百合子を見つけます。「何してるの?」と声をかけると、百合子は「買い物に行った」と話します。しかし、買い物をした形跡がありません。
その後も卵を買うということも忘れ、何度もスーパーに戻ろうとする百合子を泉はたしなめます。冷蔵庫は期限切れの食品でいっぱいでした。どこかおかしい百合子の様子に愕然とする泉は、とりあえず同業の仕事をし、臨月ながらもいまだ働く香織に連絡をし、状況を伝えました。
初めての出産に不安を覚える香織でしたが、そのことを泉に上手く伝えられず、泉との会話もギクシャクしてしまいます。しかし、香織は百合子の事で不安そうな泉を励ましました。そしてまた百合子が行方不明になり探していると、警察から連絡が入ります。百合子がスーパーで万引きしたため、引き取りに来て欲しいとのことでした。
泉は驚いてスーパーへと急ぎます。当の百合子は何が起こったかわからない様子。警察にも促されて泉は百合子を病院へ連れて行くことにしました。
百花のネタバレあらすじ:承
診断は進行性のアルツハイマー。現代の医学ではどうしようもない病にショックを受ける泉。百合子を休ませ掃除をしていると、台所から認知症に関する書籍が見つかりました。
どうやら百合子自身も自らの病に気づいていて、どうにかしようと動いていたようです。しかし、進行が進みそれすら忘れてしまっていたのです。日付を見ると、何度も百合子から連絡があったときで、忙しくて相手にできなかった時でした。泉は肝心な時に寄り添えなかったことを悔やみます。
泉は百合子が全て忘れてしまう前にと、香織の妊娠のことを百合子に告げます。それを聞いた百合子はとても喜びました。
ある程度百合子の事はデイヘルパーに任せることにした泉。仕事を少しセーブし、香織の代わりに家事をこなしながら週に何回かは百合子の様子を見に行きます。しかし、百合子の症状はさらに酷くなり、自分勝手な発言も増えていきます。
行方不明になることも増え、一人ではもう無理だと判断され、百合子を施設に入れることにしました。
百花のネタバレあらすじ:転
百合子のいない家を整理していた泉、ある小さなメモを見つけます。そこには他人に迷惑をかけないこと、きちんと覚えていること、そして泉との過去…。泉にはずっと心にしまっていた過去があったのです。その知らなかった過去の詳細が書かれていたのです。
「泉ごめんなさい…」と最後に綴られていたのを見た泉は、涙が止まりませんでした。
泉が中学2年生の頃に、百合子は朝食を作ったきりいなくなってしまったのです。そこから約一年ほど百合子は泉の前から消えてしまいました。家庭のある男性と駆け落ちした百合子は、泉を置いて神戸へ行ってしまったのです。
母を信じて待っていた泉、祖母に面倒を見てもらいながら過ごしていましたが、やがて自分は捨てられたのだと確信し、母の写真は全て捨ててしまいます。
しかし1年後、百合子はふらっと帰ってきました。百合子は懸命に泉との距離を埋めようとしましたが、泉の心の傷は深く心を閉ざしたまま何も変わりませんでした。1年間神戸にいた百合子はというと、阪神淡路大震災が起きて家族の大切さを思い出し、ちょうど疎遠になっていた不倫男性とは手を切り帰る決意をしたのでした。
百花の結末
「半分の花火が見たい」という百合子を連れ、花火大会に向かう泉。しかし、上がる花火は大輪の花火で、百合子は「これじゃない」と訴えます。目を離した隙にまたいなくなった百合子を探し、ようやく見つけると、呆けた顔で百合子は泉に言います。
「あなた誰?」百合子はついに泉の顔まで認識できなくなりました。泉のショックは計り知れないものになります。
その数日後、香織が子供を出産しました。ついに泉も父親になります。それと入れ替わるようにして百合子は亡くなってしまいます。葬儀中も泉は涙の1つも流すことはありませんでした。もう会えない…いなくなったわけじゃないんだ。泉はまだ母の死を受け入れられずにいます。
実家にいるときに花火大会の花火を偶然見た時に百合子が言っていた、半分の花火の意味を知りました。それは、実家の縁側から見る花火が周囲の建物のせいで半分しか見えない…。これこそが半分の花火だったのです。
泉が過去に触れたくなかったために消し去っていた記憶と、百合子が最後に見たかった景色が、最後に繋がりました。泉は大好きだった頃の母と見た大切な思い出だったことを思い出します。
その夜、泉は涙を潤ませて、じっと空を見ていました。
以上、映画「百花」のあらすじと結末でした。
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