いちごの唄の紹介:2019年日本映画。『ビーチボーイズ』『いま、会いにゆきます』など数多くのヒット作を手掛ける脚本家の岡田惠和と「銀杏BOYZ」の峯田和伸が共同執筆した同名小説を映画化した青春ドラマです。中学時代に親友を亡くした男と女が10年ぶりに偶然再会を果たし、それから親友の命日である七夕の日だけに会うことにしたのですが…。
監督:菅原伸太郎 出演者:古舘佑太郎(笹沢コウタ)、石橋静河(天野千日)、和久井映見(コウタの母)、光石研(コウタの父)、小林喜日(伸二)、大西利空(中学時代の笹沢コウタ)、清原果耶(中学時代の天野千日)、しゅはまはるみ(涼子)、渡辺道子(さゆり)、ポール・マグサリン(ガブリエル)、蒔田彩珠(震災の女の子)、泉澤祐希(シゲ)、山﨑光(小学時代のシゲ)、恒松祐里(かずみ)、吉村界人(千日の恋人)、岸井ゆきの(アケミ)、宮本信子(園長先生)、峯田和伸(ラーメン屋)ほか
映画「いちごの唄」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「いちごの唄」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
いちごの唄の予告編 動画
映画「いちごの唄」解説
この解説記事には映画「いちごの唄」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
いちごの唄のネタバレあらすじ:起
笹沢コウタ(古舘佑太郎)は、冷凍食品の製造工場で働く心優しき青年です。コウタは父(光石研)や母(和久井映見)、弟のシゲ(泉澤祐希)とその恋人かずみ(恒松祐里)との関係は良好でしたが、不器用な性格から友達がいませんでした。
7月7日の七夕の日、いつものように高円寺の環七通りを出勤するコウタですが、この日はかつて唯一の親友だった伸二(小林喜日)の10年目の命日でした。仕事を終えたコウタは帰宅途中、高円寺の商店街で中学時代の同級生だった天野千日(石橋静河)と偶然にも再会しました。
千日とのまさかの再会に心を躍らせたコウタは、彼女を近くのラーメン屋(峯田和伸)に誘いました。最初は冷静を装う千日も、次第にコウタに話を合わせてくれるようになりました。そしてコウタと千日は日が暮れるまで環七通りを散歩し、別れ際にコウタは「来年のこの日も会えないかな?」と千日に持ちかけました。
千日は少し寂しげな表情を浮かべながらも約束を受け入れ、コウタは喜びながら帰路につきました。
いちごの唄のネタバレあらすじ:承
中学時代、コウタ(大西利空)と伸二は自転車で坂を駆け抜け、そのまま坂の下にあるキャベツ畑に落っこちて遊んでいました。両親の顔を知らずに育った伸二は児童養護施設「いちご園」で育ち、園長(宮本信子)の元で心優しい少年に成長していました。
伸二はコウタにいつも「“キャベツ畑”より“いちご畑”にしようよ。“ストロベリーフィールド”はジョン・レノンが育った場所なんだ」と語っていました。コウタと伸二はクラスのマドンナである“あーちゃん”こと千日(清原果耶)を“天の川の女神”と呼んで慕っていましたが、そんなある日、伸二は千日を交通事故から守り、身代わりとなって死んでいきました…。
…コウタが千日と再会した翌年の七夕、コウタは伸二の形見のTシャツを着て、約束通りに千日と再会しました。二人は去年と同じようにラーメン屋で楽しく語り合いましたが、また来年も会う約束をしたコウタは彼女のことをもっと知りたいと願うようになりました。
その翌年、2011年3月11日。日本列島を東日本大震災が襲いました。被災地にボランティアとして出向いたコウタは、家族を失ったひとりの少女(蒔田彩珠)と出会い、彼女を慰めるためアパートの隣人で元パンクロッカーだったアケミ(岸井ゆきの)からもらったウォークマンを贈りました。
いちごの唄のネタバレあらすじ:転
その年の七夕、約束通りに千日と再会したコウタは被災地での出来事を語りました。コウタはこの時、千日に恋心を抱いていましたが、千日は「私は君が思っているような女じゃないよ」と態度を豹変させ、今まで一度もコウタに打ち明けたことのなかった自らの秘密を打ち明けました。それは、千日もまた親に捨てられて「いちご園」で育てられたということでした。
千日と伸二はかつては「いちご園」で一緒に育った仲であり、伸二は寂しがる千日をいつも可愛がっており、「千日はお姫様なんだよ。いつか迎えの人が来て幸せになるんだ」と優しく励ましてくれていました。
その後、養子に貰われていった千日は伸二と疎遠になりましたが、中学で伸二と再会した時に後ろめたさを感じていた千日は知らないフリをしてしまいます。そんな彼女の気持ちを察した伸二はあえて彼女への想いをひた隠しにし、結局想いを口にすることなく死んでいったのです。
未だに自分のせいで伸二が死んだと自責の念に駆られ続けている千日は、コウタにもう会うのはやめようと告げ、その日以来コウタの前から姿を消してしまいました。すっかり落ち込んでしまったコウタでしたが、彼の元に被災地で知り合ったあの少女が訪れ、お礼が言いたいとウォークマンを返してくれました。
いちごの唄の結末
そんなある日、コウタは偶然にも千日の姿を見かけました。千日は恋人らしき男(吉村界人)との関係はうまくいっていない様子で、男の後を追ったコウタは「あんたはあーちゃんを命がけで守れるのかよ!」と怒りをぶつけますが返り討ちに遭ってボコボコにされてしまいました。
久しぶりに故郷に戻った千日は、かつてお世話になった「いちご園」の園長と再会、そこで自分につけられた“千日”という名の由来を聞くこととなりました。母がつけたというその名は“ずっとずっと”という意味が込められており、園長は思いつめた様子の千日に「幸せになってもいいんじゃない?」と励ましました。
千日はあの日以来ずっと避け続けていた自転車に乗り、かつて伸二とコウタが駆け下りていた坂の上に登りました。そこにはいつのまにかコウタの姿があり、千日は前歯が1本欠けたコウタの顔を見て思わず笑みをこぼしました。
それからコウタと千日は、コウタと伸二がそうしたように自転車で坂道を下り、坂の下の畑に飛び込みました。そこはかつてのキャベツ畑ではなく、いちご畑に代わっていました。そこには“ストロベリーフィールズ”の立て看板がありました。
伸二の好きだったストロベリーフィールズの日本名は「千日紅」、花言葉は「永遠の愛」であることを知った千日は、伸二が自分に愛のメッセージを遺していたことを知り、千日は心から幸せな笑顔を見せました。
コウタはいつものように工場で働いていました。工場のカレンダーには、コウタが千日と会う予定日を指し示す赤い丸が、七夕以外の日にも増えていました。
以上、映画「いちごの唄」のあらすじと結末でした。
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