家なき子の紹介:1994年日本映画。「同情するなら金をくれ!」が流行語になった、「家なき子」。日テレのドラマだったこの作品は、現在でも「女囚セブン」など女優として活躍している安達祐実さんの演技がインパクトある名作だ。可愛い顔をした大人びて知的な小学生、相沢すずが立ち向かい、出逢っていく人間達は世の大人達の心の歪みと人として「まとも」か「人を傷付けてまで自分が大切な人間か」を視聴者に問い掛けている。ドラマ「家なき子」の続編です。
監督:細野英延 出演者:安達祐実(相沢すず)、堂本光一(堀口稔)、桜井貴子(堀口恵)、斎藤洋介(磯貝誠一)、小柳ルミ子(園田京子)、古尾谷雅人(南条勝彦)、田中好子(相沢陽子)、ピュンピュン(リュウ)、京本正樹(黒崎)
映画「家なき子」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「家なき子」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「家なき子」解説
この解説記事には映画「家なき子」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
家なき子のネタバレあらすじ:起
相沢すずは母を心臓病で喪ってからリュウと二人で生きてきました。家を失っている彼女はまだ12歳。その日はクリスマスイヴで街中にはクリスマス気分に浮かれた大人や子ども達で賑わっていました。すずは年齢の割にはませていて、世の中の心の汚い大人を見てきた経験からひねくれて頭のいいところはありますが、根は真っ直ぐで優しい心の女の子です。愛犬であり、彼女の唯一の「家族」リュウが弱っているのを見てすずは心配し、彼を連れて公園の遊具内に入り、そして、お腹を空かせたリュウの為に店頭で売られているクリスマスケーキを盗みました。そのことで怒った店員はまだ幼い彼女の頬を殴りつけ、引きずり回して問い詰めます。すずは大人に屈せず、負けじと反抗するのです。「三角帽子被って浮かれやがって。同情するなら金をくれ!」。そんなとき、ケーキ代を弁償するから彼女を解放してやってほしいと言い出す不気味な背の高い男が現れます。彼は磯貝といい、居場所の無い子ども達の支援をしている者だといいます。彼に連れられてマイクロバスに乗り込むすずとリュウ。しかし、その男、磯貝はすずを親から見捨てられて行き場を失った子供たちを安く買い取って自分が経営しているサーカスで働かせる本性を持っていた。すずはすぐさま彼の異変と同じバスに乗った子ども達が親を恋しがって泣いているのを見て慌てて反撃します。しかし、大人の男の力に適わないすずはお腹を殴られて気絶し、そのままサーカスへと連れて行かれてしまいました。サーカスに到着し、バケツに入れられた水を掛けられて目が覚めたすず。リュウとも引き離されてしまい、一人だだっ広いサーカスのステージに倒れていると、彼女はかつて自分を引き取って娘と共に苛め抜いた伯母、京子と再会します。そこでもすずは京子から理不尽に扱われます。すずのサーカスでの生活はまさに地獄でした。物置小屋のような場所で寝かされ、サーカス団員として休む間もなく、一輪車乗りとしてこき使われます。それだけでなく、京子の娘で因縁のライバル、真弓とも再会してしまい、彼女が新しく出逢った「取り巻き」の女の子達によってトイレへ連れて行かれ、かつて味わされた「便所味のおにぎり」のいじめを受けます。敵ばかりの状況のなか、唯一真弓の暴走を止めた女の子がいました。堀口恵です。恵はこのサーカス団で兄と共に働かされているすずと同世代の子どもでした。恵は気弱で心優しい女の子で、すずの唯一の友達になります。その後、恵の「兄」、稔が2人の部屋に入って来て、新参者のすずに冷たく接します。
家なき子のネタバレあらすじ:承
すずが他の子供たちに交じって練習をしていると、恵が倒れてしまいます。大丈夫だという恵を磯貝は無理矢理立たせて働かせようとし、すずの怒りを買います。すずは反撃し、彼女を休ませろと磯貝に反発します。サーカスで空中ブランコ乗りとして活躍する恵は生まれつきFALLOW四微症という心臓の難病を抱えていて手術しなければ命が危険な状態だったのです。すずは稔から実父だと母親から聞かされた南条勝彦という恵まれない子供たちの支援をしている県会議員である彼に恵の手術費のためにお金を貸してくれるよう頼みます。南条は稔の母が言うには稔と同じように左腕に先天性の痣があるというのです。しかし、南条は取り合ってくれず、彼がブラウスを捲ると痣すらありません。南条に適当にあしらわれた為、そこで、すずは黒崎というかつて母と自分の命を救おうとしてくれた医師免許を剥奪された男性医師を連れてくるよう、リュウに頼みます。その途中で、稔に恋心を抱いている真弓に捕まり、雨の中彼女と決闘しながらリュウの帰りを待つのでした。そして、すずは恵の代わりに空中ブランコの花形を務めることを決意します。稔の指導のもと、慣れない練習に一生懸命、励むすず。そのうち、稔とすずは淡い恋心を密かに抱き、土手で練習中に稔が寿々の額にそっと口づけをする場面も。一方、京子は色仕掛けで南条に近づき、磯貝から聞いた稔の身の上をネタとして旅館にて、南条を揺すっていました。しかし、南条は稔の存在を秘書を利用して消そうと目論んでいたのです。
家なき子のネタバレあらすじ:転
公演当日。恵の部屋に侵入して彼女を無理矢理ステージに出させようとする京子の反対を押し切ってすずは舞台に出ます。その間に、リュウが黒崎を連れてきて、至急、恵の手術が行われることになりました。恵はAB型で彼女と血液型が合うのは団長である磯貝でした。磯貝は自ら手術に協力し、恵の輸血に自分の血を提供することを承諾します。磯貝は顔にケロイドを追っていてその事で周囲から偏見の目を向けられて生きてきました。磯貝は黒崎に「あんたは俺を見ても怖くないのか?」と尋ねます。すると黒崎は「以前シャム双生児の手術をした事があった。結合した彼らの分離手術だった。彼らこそ奇形だ、しかし誰が彼らを化け物といえる?彼らこそ本当の美しい心を持っている」と磯貝を励まし、磯貝は心を打たれて涙しながら呟くのです。「頑張れ、恵」。彼の中で初めて人に対する優しさがほんの少し生まれたのでした。手術は無事、成功して恵は暫くの間病院へ入院することに。ところが、南条には裏の顔がありました。彼にとっては稔も恵も自分の地位を確立するにはのけ者でした。しかし、政治界のトップに立つ為に、彼は恵が入院している病院を訪れて医師を騙して恵の点滴に異質物を混入させて彼女の幼き命を奪ったのです。
家なき子の結末
すずは恵が死んだことで黒崎のミスだと思い、彼を責めますが、事実は違いました。黒崎が言うには誰かが恵の点滴にエアーエンポリズムという毒を入れて脳梗塞を起こさせたというのです。その頃、混乱する稔を南条が慰めつつも彼に鎮静剤と称して何かを打ち、秘書に任せて何処かへ連れ去ってしまいます。すずにはすぐに南条が思い当たりました。病院に一緒に付き添っていた南条が高級外車を停めて帰ろうとしていたので彼を問い詰めますが、すずもまた、南条に殴られて気を失い、稔と同じ場所へ誘拐されてしまいました。すずは稔と共にサーカスのテントに監禁され、事故死と見せかけて南条に殺される寸前です。すずは南条の本性を見抜いて毒舌に問い詰めて真意を知ります。「真っ赤な絨毯の上を歩くだと?!また議事堂の絨毯を赤く染める気かよ?議事堂の絨毯が赤いのはなお前みたいなハイエナに食いちぎられた人間の血がしみ込んでいるからさ」。炎が燃え盛り、絶体絶命のなか、磯貝がすずと稔を助けに向かいます。また、駆けつけたリュウに助けられ、閉じ込められていた檻から無事脱出を遂げます。一方で、南条と磯貝が格闘の末に、南条に刺されて磯貝は死亡します。南条を敵視するすずですが、彼はすずに言います。「私の息子を助けてくれ!」。南条はすずにかつて稔の母を愛していた事や稔を実子として育てられなかった真相を話しました。結婚を両親から反対された南条と稔の母は駆け落ちしようとしたが待ち合わせの駅のプラットホームに稔の母は来なかった。南条は稔の母が父親から手切れ金を受け取って自分との交際を絶った裏切り者と思い込んでいましたが、稔の母はその時、事故に遭い、半身不随になって後に亡くなった事、稔に「南条と親子の名乗りをしてはならない」と死ぬ前に遺言を残した事をすずは南条に伝えました。そして稔を支えながら息子を助けてほしいと訴えた南条の胸には稔と同じ先天性の痣がありました。南条は息絶え、稔とすずは命拾いします。稔は別のサーカス団で仕事をすることとなり、すずはまた元の「家なき子」としてリュウと共に逞しく自立してゆくのでした。
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