生きる街の紹介:2018年日本映画。東日本大震災の被災地である宮城県石巻市を舞台に、震災で夫を失ってから生活が一変してしまった女性と周囲の人々の交流を描いたヒューマンドラマです。石巻市でのロケを敢行した本作は『捨てがたき人々』の榊英雄監督がメガホンを執り、復興支援に尽力してきた夏木マリが約10年ぶりとなる映画主演を務め、主題歌は同じく復興支援に協力してきた人気ロックバンドのBRAHMANが提供しています。
監督:榊英雄 出演者:夏木マリ(佐藤千恵子)、佐津川愛美(野田香苗)、堀井新太(佐藤哲也)、イ・ジョンヒョン(CNBLUE)(カン・ドヒョン)、岡野真也(仲村みゆき)、吉沢悠(野田隆)、原日出子(池上晴子)、升毅(高橋耕三)ほか
映画「生きる街」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「生きる街」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
生きる街の予告編 動画
映画「生きる街」解説
この解説記事には映画「生きる街」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
生きる街のネタバレあらすじ:起
宮城県石巻市で民宿を営む佐藤千恵子(夏木マリ)は漁師の夫、娘の香苗(佐津川愛美)、息子の哲也(堀井新太)の4人で穏やかに暮らしていまた。しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災により夫と家を失い、それから5年経った今でも千恵子は、生まれ育ったこの街で夫の帰りを一人待ち続けていました。
震災後、香苗はトラック運転手の野田隆と復興支援をきっかけに結婚、今は名古屋で看護師として働いています。一方、有望な水泳選手だった哲也は震災で負った怪我がもとで五輪の強化選手から外されてしまい、今では市内で自堕落な生活を送っていました。千恵子は香苗から一緒に名古屋で住もうと度々持ちかけられていますが、千恵子はこの街を離れるつもりはありませんでした。
生きる街のネタバレあらすじ:承
震災のトラウマが未だに残る香苗は、隆との間に子供ができないことに悩んでいました。義父は子を望んでいるものの、隆は彼女の気持ちを第一に考えて決して急かすことはしませんでした。
一方、哲也は選手時代の先輩と久々に再会していましたが、強化選手枠から外された理由を誰にも明かしておらず、自分の選手生命を奪った震災の話になると不機嫌になって塞ぎ込んでしまいます。
その頃、千恵子が外に出かけている時に彼女の民宿に韓国人青年のカン・ドヒョン(イ・ジョンヒョン)が訪ねて来ました。しかし、明日の夜の便で帰国する予定のドヒョンは彼女に会えないまま夕暮れを待って引き上げていきました。
哲也の元に顔馴染みのホステスの仲村みゆき(岡野真也)が請求書を持って上がり込んできました。哲也は先輩と共にみゆきの店に行ったところ、トイレの鏡を叩き割ってしまったのです。みゆきに叱りつけられた哲也は震災がどれだけ自分の人生を大きく変えてしまったかを語り、千恵子と大喧嘩になった末に家を出た経緯を赤裸々に語りました。みゆきも哲也の話に涙をにじませ、哲也も本当は千恵子の元に帰りたいのだろうと心中を察しました。
その後、哲也はみゆきからドヒョンを紹介されました。ドヒョンは自分の父から哲也の父に宛てた手紙を持っており、哲也に千恵子へ届けるよう告げると家族の絆は喧嘩をした程度で切れることはないと諭しました。
生きる街のネタバレあらすじ:転
その頃、香苗は思い切って隆に本当に子供が欲しいか尋ねてみました。すると隆は、香苗は未だに震災を引きずって自分が幸せになってはいけないと思い込んでいるのではないかと指摘しました。香苗は震災当時の悲惨な状況を隆に語り始め、隆も香苗の力になりたいと強く思いました。
強風が吹き付ける夜、千恵子の家を突然停電が襲いました。千恵子は暗闇の中を何とか電灯を点けようとしましたが、被災したあの時の恐怖が蘇ってきました。その後ようやく電灯が点くも千恵子の恐怖は収まらず、ただ夜が明けるの見守るばかりでした。
翌日、香苗が震災以来久しぶりに帰省してきました。香苗はすっかりかつての面影を失った街を目の当たりにして涙が止まりませんでした。父の漁師の仲間だった高橋耕三(升毅)と再会した香苗は千恵子の民宿へ向かい、久々に母と一緒に料理を作り始めました。一方その頃、引き続き日本に留まることにしたドヒョンは哲也とみゆきを連れて千恵子の家に向かっていました。
生きる街の結末
ようやく千恵子と対面を果たしたドヒョンは千恵子の夫宛ての手紙を手渡しました。中には千恵子の夫とドヒョンの父が映った写真が入っており、千恵子は思わず涙を流しました。
かつて日本で料理店を開いていたドヒョンの父は、千恵子の夫が外国人を差別する人々から自分を守ってくれたことに恩義を感じており、体を壊して帰国した後に感謝の気持ちを伝えようと手紙を書いたものの震災の影響で千恵子の夫の元に届くことはなかったのです。
やがてドヒョンの父は亡くなり、息子のドヒョンは代わりに届けようと誓ったのです。写真の裏には「ケッパレ」と大きく書いてありました。その後、千恵子たちは近所の人々や漁師仲間たちを誘って大宴会を催し、大賑わいとなりました。その夜、千恵子はリビングから海を眺めて帰らぬ夫への想いを募らせ、香苗はそんな母を優しく抱きしめました。哲也は二人の様子を見つめていました。
翌朝。千恵子、香苗、哲也はかつて家があった場所に向かい、改めて思い出を振り返りました。やがて香苗は迎えに来た隆と共に帰路につき、千恵子は哲也、ドヒョン、みゆきを見送りました。千恵子は去り際に哲也にただ一言「ケッパレ!」と告げて送り出しました。
以上、映画「生きる街」のあらすじと結末でした。
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