いなくなれ、群青の紹介:2019年日本映画。河野裕の青春ミステリー小説『階段島』シリーズの第1作を横浜流星と飯豊まりえのダブル主演で実写映画化した作品です。“捨てられた”人間が行き着く謎の孤島「階段島」を舞台に、主人公の男子高校生と幼馴染とのまさかの再会をきっかけに島の人々を巻き込んで繰り広げられるストーリーを描きます。
監督:柳明菜 出演者:横浜流星(七草)、飯豊まりえ(真辺由宇)、矢作穂香(堀)、松岡広大(佐々岡)、松本妃代(水谷)、中村里帆(豊川)、伊藤ゆみ(トクメ先生)、片山萌美(時任)、君沢ユウキ(野中)、岩井拳士朗(ハル)、黒羽麻璃央(ナド)ほか
映画「いなくなれ、群青」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「いなくなれ、群青」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
いなくなれ、群青の予告編 動画
映画「いなくなれ、群青」解説
この解説記事には映画「いなくなれ、群青」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
いなくなれ、群青のネタバレあらすじ:起
男子高校生の七草(横浜流星)は、いつの間にか見知らぬ場所にいました。七草はそばにいる少女から、ここは“捨てられた者”たちが集まる謎の孤島「階段島」であることを告げられました。島を出るためには“失くしたもの”を見つけることが必要だということで、それまでは島から出ることができないというのです。
階段島にどうやって辿り着いたのか全く記憶がない七草でしたが、島に住む人々もまた七草と同様に島に来た経緯の記憶を失っていました。この島には一応インターネットはあるもののメールの受信しかできず、外の世界との連絡手段は郵便しかありませんでした。しかし、ほとんどの島民たちはなぜかこの生活を受け入れており、この島の秘密を知っているのは“魔女”という謎の存在だというのです。
七草は普通に学生寮に寝泊まりし、普通に学校に通いました。先日まで普通に登校していた生徒が突然もう二度と来なくなるということはよくあることで、七草と仲良しの佐々岡(松岡広大)や、学級委員長の水谷(松本妃代)、口数の少ない堀(矢作穂香)といったクラスメートたちも誰もが特に気にする様子はありませんでした。
そんなある日、授業を終えた七草は海辺を歩いていると、ひとりの女子高生・真辺由宇(飯豊まりえ)の姿を見かけました。彼女もまた七草と同じく島に来る前の記憶を失っていました。
いなくなれ、群青のネタバレあらすじ:承
翌日、真辺が七草らの学校に転校してきました。真辺は自分がなぜこの島に送られたのか納得しておらず、教師やクラスメートに「島から出たい」と騒ぎ立てました。真辺とは実は小中学校時代からの仲良しだった七草は、ゆっくり島から出る方法を考えればいいじゃないかと彼女をなだめ、真辺は七草に一緒に島から脱出しようと誘いました。
ある日、佐々岡はバイオリンの弦が切れて困っている豊川(中村里帆)という女子を見かけました。豊川のことが気になった佐々岡は、彼女のために弦が売っている場所を探しに出かけました。
その頃、七草は真辺と共に島の紛失物を取り扱う灯台の遺失物係の元へ向かっていました。現地では係の代わりに島の郵便物を取り扱う配達員の時任(片山萌美)がおり、真辺は時任に島を出たいと相談してみると、時任はこの島を支配する“魔女”に手紙を出すことを勧めました。
“魔女”へと通じる郵便ポストは学校の裏の階段を上った先にあるというのですが、時任はこの階段は危険で誰も上がっていないと告げて真辺を止めました。その夜、七草は堀から「真辺は危険」だという手紙を受け取りました。
ある日、学校の裏の階段のところに「魔女はこの島に過去ばかりを閉じ込めた。 未来はどこにある?」というメッセージと星と拳銃のマークの落書きが描かれているのが発見されました。真辺は落書きの犯人は“魔女”を知っている人物だと考え、同級生らと共に犯人探しをしていたところ、この日休みで女子寮にいた豊川が、3日後に控える学校の音楽祭に母を招こうと招待状を送ろうとしていたことが明らかになりました。そのことを知った真辺はますます“魔女”に会って島から出たいという思いが強くなっていきました。
一方、七草は真辺との中学生時代の出来事を思い出していました。2年前、七草の引っ越しが決まった時、真辺は理由を尋ねると七草はなぜか笑って教えてくれませんでした。真辺は今度また会った時には理由を聞かせてほしいとの約束を交わしていたのです。
いなくなれ、群青のネタバレあらすじ:転
数日後、学校に再び落書きがされているのが発見され、授業をサボっていた七草に疑いの目が向けられていました。そんな中、真辺はボートで海に漕ぎ出して島から脱け出そうとしていましたが、なぜか不思議な力によって島へと引き戻されてしまい、ボートが転覆して海に投げ出されてしまいます。
真辺は偶然通りがかった堀に助けられましたが、かねてから真辺のことを自分勝手だと思っていた堀は、これ以上七草を振り回すなとばかりに怒りをぶつけて去っていきました。その後、真辺は七草に引っ越した真相と、あの日なぜ笑ったのか尋ねてみましたが、七草は約束などしていないとして何も語りませんでした。
やがて音楽祭の当日となり、バイオリンの弦が切れたままの豊川は辞退をも考えていました。そんな中、佐々岡は時任から弦を受け取り、急いで豊川の待つ学校へ向かいました。佐々岡は弦を手に入れるため“魔女”に手紙を書き、それが聞き入れられたのです。
ところが、佐々岡の前に水谷が現れ、弦は豊川が自ら意図的に切ったこと、そして豊川は本当はバイオリンを弾きたくなかったということを伝えました。佐々岡は豊川に事情を聞くと、豊川はかつて人前でバイオリンを弾いていた時に弦が切れてしまい、その時に周りがざわついたことが今なおトラウマになっていたというのです。
それでも豊川は佐々岡の励ましを受けてステージに上がり、弦を張り替えたバイオリンを弾き始めました。途中で再びトラウマに苛まれる豊川でしたが、自ら進んでピアノを弾き出した真辺に助けられ、無事演奏を完走させることに成功しました。
その夜、豊川は忽然と姿を消しました。豊川を探していた七草は時任から「この島ではよくあること」と言われ、豊川はきっと“失くしたもの”を見つけたのだろうと無理やり自分自身を納得させました。
いなくなれ、群青の結末
落書きを書いていたのは七草でした。七草の無実を信じる真辺は、この日も授業をサボった七草を引き留めようとしましたが、七草は彼女を振り切ってタクシーで灯台の遺失物係に向かいました。実は七草は自分が“失くしたもの”について最初からわかっており、灯台の中にある電話を取り、受話器の向こうの“魔女”と語り合い出しました。七草はこの島の秘密を話し始めました。
人間誰しもが成長していく中で欠点となる部分や自身の嫌な部分がこの島に捨てられ、それが“魔女”の力で人の姿となって暮らしているのです。七草はこの島に自分の悲観的な性格を捨てており、島を出るには切り捨てた自分自身を見つけるしかないのです。
七草はこの島の居心地の良さにすっかり慣れきっていたのですが、真辺がこの島に来たことにより、七草は彼女を元の世界に戻すために動いていたのです。七草は落書きによって島の秘密を暴くと“魔女”を脅し、暴かない代わりに真辺を島から出してほしいと取引しました。
七草は真辺を連れて学校の裏の階段を上り始め、彼女にこの島から一人で出て行くよう促しました。七草は悲観的な性格を持つ自分と、理想主義の考えを持っている真辺とでは一緒にいても合わないと語り、2年前に笑った理由を「離れることができて安心したからだ」と言いましたが、真辺はそれが七草が自分を安心させるための嘘だということに気付いていました。真辺は七草と再会の約束を交わすと、静かに消滅していきました。
真辺がいなくなってからも、島民たちはいつもと変わらぬ日々を過ごしていました。七草にとって真辺がこの島に来た理由は今となっては分からないままでしたが、実は真辺は七草とこの島で会う前に元の世界でも再会していたのです。
七草は真辺のことを考えながら彼女と再会した浜辺を歩いていると、そこに見覚えのある一人の少女がいました。それはなんと元の世界に戻ったはずの真辺であり、驚く七草に「また会おうって約束したから。自分だけ戻っても意味がない」と答えました。真辺はありのままの七草で良いと手を差し伸べ、七草も彼女の手を握り返しました。
以上、映画「いなくなれ、群青」のあらすじと結末でした。
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