犬神家の一族(2006年)の紹介:2006年日本映画。犬神財閥の創始者であり、信州財界の大物である犬神佐兵衛が他界した。だが、残された莫大な財産の分配が記された遺言状の開封は、一族全員が揃ってから発表するようにと決められていた。佐兵衛の死後、佐兵衛の顧問弁護士の助手を務める男から金田一耕助の元に依頼が舞い込む。しかし金田一が信州に赴き会う前に、助手の男は何者かに殺されてしまった。
監督:市川崑 出演:石坂浩二(金田一耕助)、松嶋菜々子(野々宮珠世)、尾上菊之助(犬神佐清(すけきよ))、富司純子(犬神松子)、松坂慶子(犬神竹子)、萬田久子(犬神梅子)、葛山信吾(犬神佐武(すけたけ))、池内万作(犬神佐智(すけとも))、ほか
映画「犬神家の一族(2006年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「犬神家の一族(2006年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「犬神家の一族(2006年)」解説
この解説記事には映画「犬神家の一族(2006年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
犬神家の一族(2006年)のネタバレあらすじ:起
昭和22年2月、信州那須市にて、信州財閥の大物である犬神佐兵衛(仲代達矢)が親族に見守られる中、他界した。佐兵衛臨終の際、犬神家長女の松子(富司純子)は遺言を急かすが、佐兵衛は顧問弁護士の古館(中村敦夫)を指差すだけで何も言わなかった。古館は遺言書は預かっている、しかし開封は一族が揃った席でと告げた。
遺言状を開封するには犬神家長女の松子、次女の竹子、三女の梅子、松子の息子・佐清[すけきよ](尾上菊之助)、竹子の息子・佐武[すけたけ](葛山信吾)、竹子の娘・小夜子(奥菜恵)、梅子の息子・佐智[すけとも](池内万作)、竹子の夫・寅之助(岸部一徳)、梅子の夫・幸吉(螢雪次朗)の9人が揃わなければいけない。しかし、松子の息子・佐清は内地から復員しておらず、半月前に博多に戻ってきたばかりだった。
揉め事が起こるだろうと危惧した顧問弁護士・古館の助手・若林(嶋田豪)は犬神佐兵衛の遺言状が開封される前に、名探偵の金田一耕助(石坂浩二)を呼んでいた。そして依頼を受けた金田一は那須市に赴き、若林が用意した旅館にチェックインする。しかし若林は金田一に会う前に旅館で遺体で発見される。死因は毒物で、殺人事件だということで警察が捜査を開始する。依頼人が亡くなってしまった金田一だが、事情を知った古館が、遺言状が読まれた形跡があったこともあり、改めて金田一に依頼した。
犬神家の一族(2006年)のネタバレあらすじ:承
そして博多から佐清が帰ってくるが、佐清は黒い頭巾をかぶっていて本人なのか判別がつかなかった。一族の皆に頭巾を取るように言われ、実行した佐清の顔には白いゴム製の仮面がつけられており、どうやら戦争で火傷を負ったためということだった。疑心の晴れない一族たちに対し、佐清は仮面も取るが、その顔は上唇より上が黒くただれていた。声も火傷のせいか変わっていて佐清本人とは断言できなかった。
松子が佐清だと保障すると言うので、仕方なしに遺言状が開封される。遺言状の中身は犬神家の三種の家宝である斧(よき)、琴、菊を佐兵衛の恩人である野々村の孫娘・珠世(松嶋菜々子)に譲渡すること、しかし条件として珠世が佐清、佐武、佐智の誰かと三ヶ月以内に結婚する事だった。もし珠世が拒否したり、結婚相手が拒否、死亡したりした場合は相続権を放棄したものとして無効になる。珠世が三ヶ月以内に死亡した場合は全事業権は佐清に譲り、財産は五等分を佐清、佐武、佐智で、残りの五分の二は青沼菊乃(松本美奈子)の息子・静馬(尾上菊之助[二役])に与えるという内容だった。
青沼菊乃とは松子たち娘が成人してから佐兵衛が手を出した女工だった。しかし佐清が本人かどうかまだ疑う一同は、佐清が出征する前に神社に納めた奉納手形で確かめようと、珠世が持ち出すが、松子は断った。その夜、珠世は佐清に、佐清だけが直せる金時計を渡し、直して欲しいと頼むが「そのうち」と微妙な返答しか返ってこなかった。
犬神家の一族(2006年)のネタバレあらすじ:転
その頃、市の外れにある宿屋の柏屋に復員兵が一人泊まりに来ていた。翌朝、佐武が遺体で見つかる。遺体は花鋏で殺され、首部分が菊人形の首と替えられていた。第一発見者は珠世の使用人である猿蔵(永澤俊矢)で、犯行現場と思われる展望台で珠世のブローチが見つかった事もあり、珠世は疑われてしまう。珠世は昨晩の事を事細かに話し出す。珠世は展望台に佐武を呼び出し佐清の指紋がついた金時計を渡し、本人か確かめろと告げたという。しかし佐武は珠世に乱暴しようとし、それを猿蔵が止めたのだ。ブローチはその時に落ちたのだと珠世は説明した。
そして犬神家の近くの湖で血のついたボートが発見され、凶器もその中から発見される。その昼に佐清が掌紋鑑定をしようと言い出し、警察の元で鑑定が行われた結果、佐清は本人という事が証明された。その夜、佐清が誰かに殴られる。
翌日、佐智が珠世を拉致し、別荘で乱暴しようとするものの、そこへ復員兵が現れ乱闘となる。そして復員兵は猿蔵に珠世の居場所を電話で教えた。その翌日、屋根の上で佐智の遺体が発見される。琴糸で絞殺されたように見えたが、本当はもっと太い糸で殺されたようだった。これは犬神家三種の家宝に見立てた、見立て殺人だという見解がなされる。
犬神家の家宝は佐兵衛が青沼菊乃との間に生まれた子・静馬に与えたが、それを知った娘三人が菊乃に暴力を働き、家宝を取り上げた上、家から追い出していたのだ。そして菊乃の病で死んだという。金田一は家宝を犬神家に贈った神社で珠世が佐兵衛の孫娘である事を知る。
犬神家の一族(2006年)の結末
そしてその後、佐清が湖に上半身が突っ込んだ状態で発見される。頭部は斧で割られていた。金田一は死体となった佐清の掌紋を取るように言う。それは静馬ではないかと考えたからだ。その時、本物の火傷を負っていない佐清が現れる。やはり仮面を被っていたのは静馬であった。
佐清は戦争時、静馬と会ったという。静馬と会った後、佐清の部隊は全滅してしまい、これを知った静馬が背格好も同じだった佐清に成り代わり、松子の前に現れたのである。遅れて戻って来た佐清は、自分に成り代わっている者がいると知り、それが静馬だという事も知る。佐清は全ての殺人は自分が犯したと警察に出頭しようとするものの、金田一は事件の全貌を解明してみせる。
真犯人は松子であり、それを静馬と目撃した佐清は静馬に脅されていた事、松子に疑いが向かないために見立て殺人を装った事を一同の前で話す。死んだとばかり思っていた佐清が生きていた事を知った松子は珠世に「佐清の出所まで結婚を待っていてくれるか?」と確認した後、毒の入っていた煙草で自殺してしまう。佐清も殺人は犯していないが、事後共犯という事で捕まってしまったが、珠世に異存はなかった。
以上、映画「犬神家の一族(2006年)」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する