遺体 明日への十日間の紹介:2012年日本映画。2011年3月11日午後2時46分31秒、東日本大震災で大津波が発生、東北の広範囲に多大な被害と多くの死者が出ました。岩手県釜石市も多くの人が亡くなり、ご遺体が公民館に集められました。そのご遺体の保存、送り出しのお世話に関わりあった人々の苦悩を通じて、自然の力の恐ろしさと人間の尊厳と儚さを現実的に描いたヒューマン映画です。
監督:君塚良一 出演:西田敏行(民生委員・相葉常夫)、緒形直人(葬儀社社員・土門健一)、勝地涼(釜石市職員・及川裕太)、國村隼(住職・芝田慈人)、酒井若菜(歯科助手・大下孝江)、佐藤浩市(医師・下泉道夫)、佐野史郎(市長・山口武司)、沢村一樹(釜石市職員・松田信次)、志田未来(釜石市職員・照井優子)、筒井道隆(釜石市職員・平賀大輔)、柳葉敏郎(歯科医師・正木明)、ほか
映画「遺体 明日への十日間」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「遺体 明日への十日間」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「遺体 明日への十日間」解説
この解説記事には映画「遺体 明日への十日間」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
遺体 明日への十日間のネタバレあらすじ:巨大地震
岩手県釜石市のいつもの午後、平和な日常が、最初に映し出されます。午後2時46分31秒に東日本を中心に巨大地震が発生します。東日本大震災です。そして、東北太平洋岸に最大40メートルの巨大津波が襲います。釜石市も壊滅的な被害が出て、多くの市民が亡くなり、その遺体安置所として小学校の体育館が使われました。釜石市役所職員の平賀(筒井道隆)と部下の照井(志田未来)と及川(勝地涼)は遺体安置所の管理を任されました。市内で共に被災を受けた、医師の下泉(佐藤浩市)は運ばれてくる多くの遺体の検死をすることに。同じく、歯科医の正木(柳葉敏郎)は歯型による遺体の身元特定のため、遺体安置所で働くことになります。
遺体 明日への十日間のネタバレあらすじ:遺体
下泉と正木はいずれも初めての体験で戸惑ってしまいます。安置所には、消防団、警察、自衛隊から次々と遺体が搬送されてきます。その数の多さは想像を絶するものでした。誰もが現実とは思えない光景に言葉を失います。その上、電気不足、物資不足で満足に遺体を保管出来ず、人々の精神は麻痺して荷物を運ぶかのように遺体を搬送します。行方不明の家族を探しに来て見つけた人々は、最愛の家族が泥まみれ、乱雑に置かれているのを見て、憤りを感じます。しかし、係員もどうしていいのか途方にくれていました。
遺体 明日への十日間のネタバレあらすじ:相葉の参加
民生委員の相葉(西田敏行)はそんな遺体安置所を訪れて、遺体が番号で呼ばれていることと、ぞんざいに扱われていることに心を痛めます。自分が葬儀社での勤務経験のあることを市長の山口(佐野史郎)に伝え、ボランティアとして安置所の運営に参加します。平賀たちに挨拶をして、これから遺体安置所の管理に加わることを伝えます。
遺体 明日への十日間のネタバレあらすじ:相葉の思い
自分たちに出来ることは、遺族の方の動揺を少しでも抑えてあげることと、遺体を安らかに葬ってあげることだと皆に伝えます。遺族は、なぜ助けられなかったのだろう、見つけられなかったのだろうか、と自分を責めて打ちひしがれた気持ちになっています。そんな気持ちを少しでも和らげてあげられるように、声を掛けてあげてくださいと話します。乱暴に運ばれる様子を見て、相葉はここに運ばれて来られるのは死体ではなく、遺体なんです。人間なんです、もっと尊厳を持って扱ってあげましょうと訴えます。相葉は遺体の死後硬直を手で揉むことで緩められることを自ら実行しながら、皆に教えます。そうしながら、遺体に優しく言葉をかけ続けます。硬直を緩めて、手を合唱する形にしてあげるだけで、探している家族が見た時に動揺が少ないと話します。
遺体 明日への十日間のネタバレあらすじ:遺族の思い
遺体を見つけた家族から、母親の顔が苦しそうなのでなんとかなりませんか?と言われます。生前はとても綺麗な母親だったと娘が言います。相葉は顔のマッサージをして表情を緩めてあげます。そして、娘から手元の化粧品を受け取って、顔の手入れをしてあげます。やさしい、綺麗な顔になった母を見て、娘は喜び、礼を言います。相葉は悲しんでいる遺族に優しい言葉をかけて、心の動揺が少しでも鎮まるように話しかけます。この悲惨な状態で、遺体一人づつに声をかけ、遺族を労う相葉に、戸惑っていた関係者でしたが、少しづつ相葉の声を聞くようになっていきました。
遺体 明日への十日間の結末:それぞれの悲しみ
医師の下泉は相葉の献身的な姿を見て、使命感を強くします。そんな時に運ばれて来る遺体の中に、自分が診ていた患者を見つけます。この患者の生前の様子を思い出し、さすがに沈んだ気持ちになるのです。歯科医の正木は親友が遺体で運ばれて来たことに強いショックを受けます、親友の妻と出会い、その時の様子を聞き、打ちひしがれます。歯科助手の大下はそんな正木を勇気づけますが、恩人の遺体が運ばれて来たことで、うつ状帯になってしまいます。照井は入り口に祭壇を作ってあげたら、遺族の気持ちが安らぐのではないかと意見を出します。そして、入り口に簡易的な焼香台を作ります。相葉から安置所のことを聞いた日蓮宗の住職・芝田慈人(國村隼)は、供養するために遺体安置所に来ますが、あまにの悲惨さに読経の最中に言葉に詰まらせてしまいます。
遺体 明日への十日間のネタバレあらすじ:人々の協力
釜石葬儀社は、市から1000個の棺桶を用意してほしいと依頼され、その数の多さから被害の大きさに驚きます。とうてい、市内で用意出来る数ではありません。土門健一(緒形直人)は、関係する人々の協力を得て、なんとか棺桶を用意します。そして、納棺・出棺を出来るだけ順調に進める努力をします。遺体安置所では、火葬場が被災にあった為にスムーズに遺体を送ることが出来ません。遺体を腐敗から守る為に努力が続きます。そして、他県の協力で少しづつ遺体を葬ることが出来るようになりました。相葉が吉田さんの遺体に「秋田県で家族に見送られていけますよ」と話しかけます。「津波が来るから水門を閉じに行ってくれたんですね、ありがとう」と涙ながらに感謝の言葉を伝えます。家族に対しても労います。そして子供の遺体に「まさこちゃん、これからお母さんと一緒に秋田に行くよ、お母さんを見ててあげてね」と話しかけます。遺族はそれぞれお礼を言って出棺しました。その後、青森県からも火葬の受け入れが出来るようになりました。火葬の終わった御骨で、身元不明の遺体は住職が保管してくれることになりました。皆は出来るだけ早く、遺体の鑑定をして葬ってあげようと話します。その間にも、次々と遺体が搬送されて来ます。それぞれの使命を果たすように、遺体の傍にいきます。震災から2ヶ月後の5月11日に遺体安置所はその役目を終えて閉鎖されるのでした。
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