僕はイエス様が嫌いの紹介:2019年日本映画。是枝裕和監督や女優大竹しのぶさんなど、名だたる映画人から称賛のコメントが寄せられている『僕はイエス様が嫌い』。本作は22歳の奥山大史監督が、青山学院大学在学中に撮った長編デビュー作。サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を受賞し、フランス・スペイン・韓国でも既に劇場公開が決まっている話題作だ。オーディションで選ばれた主演・佐藤結良くんの自然体の演技と、撮影カメラマン出身の監督こだわりの映像が魅力の佳品である。
監督:奥山大史 キャスト: 佐藤結良(星野由来)、大熊理樹(大隈和馬)、チャド・マレーン(小さなイエス様)、木引優子(由来の母)、ただのあっ子(由来の祖母)、二瓶鮫一(由来の祖父)、秋山建一、大迫一平、北山雅康、佐伯日菜子(和馬の母:大隈理香子)ほか
映画「僕はイエス様が嫌い」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「僕はイエス様が嫌い」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
僕はイエス様が嫌いの予告編 動画
映画「僕はイエス様が嫌い」解説
この解説記事には映画「僕はイエス様が嫌い」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
僕はイエス様が嫌いのネタバレあらすじ:起
小学生の星野由来(ユラ)は、祖父が亡くなって独りになった祖母と同居するため、両親と共に東京から雪国の町へと引っ越してきました。
近所にあるクリスチャンの学校に通うことになったユラ。ホームルームで自己紹介したあと、クラスメートたちは皆MY聖書を持って礼拝堂へ向かいます。ユラは教室に置いてあった聖書を借りてついていきました。礼拝堂の厳かな雰囲気、わけのわからない聖書の言葉…、ユラは戸惑います。
晩ごはんのとき、家族から友だちできた?と聞かれ、ついユラは「うん」と嘘をついてしまいます。
翌日、教室でユラがうまくお祈りの言葉を唱えられないでいると、机の上に小さなイエス様が現われました。そのあと、休み時間にユラはひとりで礼拝堂に行き、そこで「友だちができますように。アーメン」とお祈りします。すると、再び現われたイエス様が光りながらすーっと浮かび上がり、ふっと消えるのでした。
礼拝堂から出たユラは、ニワトリを追いかける男の子に出会います。クラスメートの和馬でした。小屋にニワトリを戻すのを手伝いながら、「サッカー、好き?」と和馬に聞かれ、やがて二人は一緒にサッカーをするようになります。
僕はイエス様が嫌いのネタバレあらすじ:承
晩ごはんのとき、友だちの名前を聞かれ「和馬!」と答えると、お母さんもおばあちゃんもすごくうれしそうに反応し、今度家に連れていらっしゃいと言うのでした。
その後ユラはお風呂でイエス様と遊びながら、「お金をください」とダメもとでたのんでみました。するとイエス様はまたすーっと上がって消えました。お風呂からあがったユラが自分の布団を敷いていると、同じ部屋で寝るおばあちゃんがほめてくれました。そして、「おじいちゃんのへそくり見つけた」と言って、千円札をユラにくれたのでした。
翌日。どうやら夜に流星群が見られるらしいという話しを聞き、ユラと和馬は二人で見る約束をします。
その夜、校庭のブランコで待ち合わせをした二人は、校舎の中へ入り教室へ向かいます。窓を開けて外を見ますが流星群は見えません。すると教卓の上にイエス様が…。急にたくさんの流れ星が見え始め、二人は大喜びするのでした。
数日後、ユラの家に和馬が遊びに来ました。二人は“人生ゲーム”で遊び始め、和馬はラッキーカラーだという青のコマを使います。遊んでいるうちに、和馬の家には別荘があるということがわかり、ユラは興奮して「行きたい!」と和馬に懇願するのでした。
冬休みに入り、ユラは和馬の家の別荘に遊びにつれてきてもらいました。可愛らしい洋風の建物にはアスレチックのような遊び場があり、室内には和馬のお母さんによってクリスマスの飾り付けが施されていました。やさしくていつも笑顔の和馬のお母さんは、敬虔なクリスチャンらしく、和馬たちが食事の前のお祈りをきちんとしないとやり直しをさせるのでした。
僕はイエス様が嫌いのネタバレあらすじ:転
ある日、ユラと和馬は登校前に近くの神社にお参りにいきました。和馬は、サッカーでたくさん点がとれるように祈ったといいますが、ユラは「願い事は人にしゃべると叶わない」と言って教えませんでした。
サッカーの試合中、活躍する和馬に対し、ユラはうまくプレーすることができません。そして突然、ぷいっとユラは帰ってしまいます。ユラのことを気にする和馬。一方、家に帰ったユラは、おばあちゃんのとなりでひとり人生ゲームをしています。
サッカーボールを蹴りながら下校する和馬。坂道でボールが転がってしまい、追いかけて走っていったところへ横から車が…
翌日。教室は重苦しい雰囲気に包まれていました。和馬は事故に遭い、お見舞いに行けるような状態ではない、と。先生は「お祈りしましょう」と言い、クラス中で和馬の回復を祈りました。
ユラは居ても立ってもいられず、和馬のいる病院へ向かいます。小さなイエス様も一緒についてきています。そっと病室に入ったユラは、管のつながった動かない和馬に話しかけ、触れようとしますが、誰かが来る気配を感じて病室をあとにします。廊下ではあのいつも笑顔の和馬のお母さんが、怒鳴りながら電話をしています。たぶん相手は、すぐに駆けつけてこない和馬のお父さんなのでしょう。
ユラは病院を離れ、だんだん早足になり、やがて走っていました。家に帰ったユラは、今までとは違い、本気で祈り始めました。でもイエス様は現われません。学校の礼拝堂でも真剣に祈りましたがそれでもイエス様は出てきません。ユラは「お願いだから出てきて」と声に出すのですが…。
僕はイエス様が嫌いの結末
和馬は亡くなってしまいました。
朝早く学校へ行くと、担任の先生によって、和馬の机の上に白い花が飾られていました。そして先生に呼ばれたユラは、和馬のお別れの会で弔事をよんでほしいと言われます。和馬のお母さんが、ユラくんにやってほしいと言っているというのです。ユラはそれを承諾し、立ち去ろうとする先生に一言投げかけます。
「先生。お祈り、意味なかったね」
ユラは花屋へ行き、おばあちゃんからもらった千円で青い花を買いました。その花を教室に持っていき、飾ってあった白い花の代わりに、和馬の好きな青の花を飾るのでした。
いよいよお別れの会の日。
何度も消して書き直した原稿を淡々と読み上げるユラ。そこに現れる小さなイエス様。そしてユラの目には、最前列にくずれるようにひとり座る、憔悴しきった和馬のお母さんの姿が映りました。しばしの沈黙ののち、ドン!というすごい音をさせてユラは思いっきりイエス様をたたきつぶしました。
雪の校庭。
ひとりでサッカーボールを蹴るユラ。いえ、その姿はひとりではなく、かつてのように二人になっていました。
以上、映画「僕はイエス様が嫌い」のあらすじと結末でした。
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