ジョゼと虎と魚たちの紹介:2020年日本映画。2003年に実写映画化された田辺聖子の同名短編小説をアニメーションとしてリメイクした作品です。足が不自由ながらも絵の才能がある勝気な女性と海外留学の夢を追い求め続ける大学生との純愛ストーリーを中川大志と清原果耶のダブル主演で描き、脇を『機界戦隊ゼンカイジャー』の宮本侑芽らが固めています。
監督:タムラコータロー 声優:中川大志(鈴川恒夫)、清原果耶(山村“ジョゼ”クミ子)、宮本侑芽(二ノ宮舞)、興津和幸(松浦隼人)、Lynn(岸本花菜)、松寺千恵美(山村チヅ)、河西健吾(諭吉)、尾花かんじ(近藤教授)、内田夕夜(水嶋)、浦山迅(藤田)、盛山晋太郎(西田店長)、リリー(駅員)、てらそままさき(医師)ほか
映画「ジョゼと虎と魚たち(アニメ版)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジョゼと虎と魚たち(アニメ版)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジョゼと虎と魚たちの予告編 動画
映画「ジョゼと虎と魚たち(アニメ版)」解説
この解説記事には映画「ジョゼと虎と魚たち(アニメ版)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジョゼと虎と魚たちのネタバレあらすじ:起
大阪に住む22歳の大学生・鈴川恒夫(中川大志)は大学で海洋生物学を専攻していました。恒夫の将来の夢はいつかメキシコの大学へ留学して、小学生時代に出会った幻の魚“クラリオンエンゼル”を見るというものであり、スペイン語を勉強する傍らで資金を貯めるためダイバーショップなどいくつかのアルバイトを掛け持ちしていました。
夏のある夜。下宿先のアパートへ帰宅途中の恒夫は、坂道を転げ落ちそうになった車椅子の女性を助けました。女性の名は山村クミ子、通称“ジョゼ”(清原果耶)といい、祖母のチヅ(松寺千恵美)と散歩に出かけた際に、何者かにいたずらで車椅子を押されたそうです。
恒夫は帰り道が同じ方向であることから、ジョゼやチヅに同行することにしました。ジョゼの足は生まれつき悪く、チヅは車椅子での散歩は人目が気になるので、いつも深夜に散歩しているのだと言いました。チヅは常に、外には悪い奴らがいっぱいだとジョゼに言い聞かせていました。
チヅは恒夫を家に招き、夕食をご馳走してくれました。しかし、ジョゼは助けてもらったにも関わらず、恒夫を変態呼ばわりしました。そんな恒夫に、チヅは時給の良いバイトを紹介すると持ちかけました。それはジョゼの面倒を見ることであり、恒夫は留学資金欲しさに引き受けることにしました。
ジョゼは幼少の頃から車椅子の生活を余儀なくされており、今ではすっかり引きこもりになって他人とコミュニケーションを取ることは苦手になっていました。チヅはジョゼを恒夫に任せて自分はパチンコを打ちに外に出ていき、恒夫はジョゼと二人きりになりました。
ジョゼは最初のうちは恒夫につらく当たり、恒夫に正座を強要しては何時間正座に耐えられるかを試してみたり、畳の目を数えさせたり、四つ葉のクローバーを探させたりと無理難題を押し付けてきました。恒夫はそれでも要求をこなしていきました。
恒夫が働くダイバーショップのバイト仲間・二ノ宮舞(宮本侑芽)は恒夫に想いを寄せていましたが、中々打ち明けられずにいました。同じバイト仲間で恒夫の親友・松浦隼人(興津和幸)は舞の気持ちに気付いていました。舞も隼人も恒夫の夢を応援していました。
ジョゼと虎と魚たちのネタバレあらすじ:承
ある日、恒夫は大学の近藤教授(尾花かんじ)から、恒夫の書いた論文がメキシコシティ大学の教授に絶賛されたことを知らされました。これで夢に一歩近づいたと感じた恒夫はジョゼのバイトを辞める決心をし、伝えようとしましたが家にはジョゼは不在でした。ジョゼの部屋はまるで海の中のように飾り立てられており、恒夫は海を知らないジョゼが海に憧れを抱いていることに気付きました。
恒夫はチヅに頼まれてジョゼを探しに行き、踏切のところでジョゼを発見しました。ジョゼは自分を海に連れて行くよう恒夫に命令し、恒夫はチヅに連絡するとジョゼを連れて電車に乗り、海へ向かいました。
車窓から海を見て感動するジョセの姿を見て、恒夫は少しジョゼの本質に触れたような気がしました。ジョゼは恒夫の前ではわがままで意地っ張りですが、内心は外の世界を見たことがないだけなのです。恒夫はジョゼの描いた絵を褒めると、ジョゼは照れながら恒夫のことを「管理人」と呼びました。実はジョゼは一度、幼少期に亡き父に連れられて海に行ったことがありました。その時、ジョゼは父から「海の水はどんな味がするか」というクイズを出されていたのですが、その時は波が怖くて海に近づけなかったので答えられなかったのです。
そのことを知った恒夫はジョゼを海辺までおんぶしていき、ジョゼに海の水の味を確かめさせてみました。ジョゼは生まれて初めて味わう海の水に「しょっぱい」と喜びを露わにしました。
恒夫は帰宅が遅くなったことをチヅに責められましたが、ジョゼにとっては恒夫と過ごした外の世界は楽しいものでした。それからというもの、恒夫はチヅが昼寝している午後1時から3時までの間を見計らってジョゼを外に連れ出すようになりました。二人は一緒にクレープを食べ、川べりを一緒に歩き、梅田の観覧車に乗り、海遊館に行き、一緒に映画を観たりするなどして楽しいひと時を過ごしました。
恒夫とジョゼはチヅには行動を悟られないよう気を遣っていましたが、実はチヅは二人の行動を把握していました。チヅは定期的に訪問してくれる地域の相談支援員・水嶋(内田夕夜)にジョゼが変わりつつあることを話しました。
一方、そうとも知らぬ恒夫とジョゼは一緒に図書館に行き、ジョゼは大ファンであるフランスの女流作家フランソワーズ・サガンの本を借りました。ジョゼというニックネームはサガンの小説の登場人物からつけた名であり、ジョゼは同じくサガンの作品のファンである図書館司書の岸本花菜(Lynn)と親交を持ちました。
その際、恒夫はジョゼが自分よりも年上の24歳であることを知りました。そして恒夫はジョゼをバイト先のダイバーショップまで連れて行きましたが、ジョゼにとっては恒夫が舞や隼人と楽しげにしている様が不愉快に映りました。そしてジョゼは恒夫と口論となり、「もう来るな」と言い放ってしまいました。
ジョゼと虎と魚たちのネタバレあらすじ:転
恒夫は翌年の3月からメキシコシティの大学への留学が決まりました。奨学金も支給されることになり、あくせく働く必要もなくなったことから、恒夫はいつしかジョゼの元に出向かなくなっていました。
ジョゼは恒夫の力を借りず、一人で図書館に通っていました。ある時、ジョゼは忙しい花菜に代わって子供たちに絵本「人魚姫」の読み聞かせをすることになりましたが、子供たちはジョゼの話に耳を傾けずに席を立っていきました。落ち込むジョゼでしたが、ひとりの少女から人魚姫の城について聞かれたジョゼはホワイトボードに城の絵を描いてみせました。この絵を見た花菜はジョゼの絵の才能を高く評価し、プロになれるとまで絶賛してくれましたが、当のジョゼはプロになる自信はありませんでした。
そんなある日、恒夫はダイバーショップで魚の置物を手に入れ、それをランプに改造して久々にジョゼの元を訪れました。これを機に恒夫とジョゼは和解を果たし、恒夫は再びジョゼの元を訪れるようになりました。ジョゼはいつしか恒夫のことを男として意識するようになっていました。
チヅはジョゼが恒夫との出会いを通じて外の世界に出歩くようになったことを喜んでいました。おめかしをしたジョゼは、自分が知りうる世界の中で最も怖い存在である“虎”をあえて見に行くため、恒夫に天王寺動物園に連れて行ってもらいました。アムール虎を見たジョゼは、恒夫となら怖くてもすがりつくことができると全面の信頼を寄せていました。
やがて秋になり、恒夫のおかげで自分に自信が持てるようになっていたジョゼは、恒夫に「絵を仕事にしたい」と打ち明けました。恒夫はジョゼが将来の夢を持ったことに喜びましたが、未だに彼女には自らの留学の話は切り出せていないままでした。そんな恒夫に、紅葉が鮮やかなこの川べりの道は春になると“桜の雨”が降ると言い、春に一緒に見に行こうと言い出しました。
そんなある日、チヅが突然この世を去りました。常にジョゼの将来を心配し、自らの病のことをひた隠しにしていたチヅは、ジョゼが恒夫のおかげで未来に希望が持てるようになったのを見て安心したのでしょう。ジョゼはチヅ以外には身寄りはなく、恒夫はジョゼの行く末に不安を持ちました。水嶋は民生委員の藤田(浦山迅)と共にジョゼの元を訪れ、夢を持つことも大切だが現実を見るべきだと窘められてしまいました。
ジョゼは夢を叶えることの難しさに落ち込んでいると、そこに舞が隼人と共に現れ、恒夫がメキシコに留学することを告げてしまいました。舞から恒夫を自由にしてくれと言われたジョゼは追い打ちをかけられたかのようにショックを受け、自分は恒夫の足手まといになってしまっているのかと思い悩んでしまいました。
ジョゼは一人でも生きていけるよう、ヘルパーの力も借りて自立した暮らしを送ろうと決意しました。ジョゼは「最後の仕事」として恒夫に再び海に連れて行ってもらい、絵描きになる夢を諦めたことと事務員の仕事が見つかったことを報告しました。恒夫は夢を諦めてはいけないと諭しますが、ジョゼは健常者には自分の気持ちはわからないと応え、恒夫の留学の話を知ってしまったことを明かしました。ジョゼは一人で帰ることにし、彼女の後を追った恒夫は車に撥ねられてしまいました。
ジョゼと虎と魚たちの結末
病院に救急搬送された恒夫は一命を取り留めたものの、足を複雑骨折しており、緊急手術を受けたものの完治は難しいと告げられました。留学の話は立ち消えとなり、自由に歩き回ったりするどころか趣味のダイビングすらできなくなるかもしれないと知った恒夫は深く落ち込み、リハビリをする気力をも失ってしまいました。
舞は恒夫を見舞いに行き、そこで恒夫に想いを伝えましたが、舞は恒夫の気持ちが自分にはないことを悟りました。そこで舞はジョゼの元に向かい、ジョゼに恒夫を励ましてくれるよう頼みました。頼みを引き受けたジョゼは花菜の力を借りて絵本の執筆に取り掛かりました。
そしてジョゼは「にんぎょとかがやきのつばさ」と題した絵本を完成させ、隼人が恒夫を病院から連れ出して図書館に連れて行きました。そこではジョゼが子供たちを前に完成した絵本を読み聞かせており、恒夫は絵本の登場人物である翼を失った青年が夢を諦めずに旅立つ話を聞いて大いに励まされました。
ジョゼから勇気をもらった恒夫は困難なリハビリに立ち向かう決心を固め、懸命にリハビリに励みました。その甲斐あって恒夫は奇跡的な回復を見せ、クリスマスイブの日に退院することが決まりました。恒夫はジョゼに改めてメキシコに行くことを伝え、ジョゼも素直に喜びました。
退院の日、恒夫はジョゼに迎えに来てくれるよう頼みました。折しも大阪は珍しく雪が積り、恒夫はジョゼが来るのを待っていましたが、いつまで経ってもジョゼは姿を現しませんでした。恒夫は枩葉杖をついてジョゼの家に向かいましたが、既に家は引き払われた後でした。
恒夫は舞、隼人、花菜の協力を得てジョゼを探しに行きました。その時、恒夫はジョゼがあのアムール虎を見に行ったのではと感づき、冬の天王寺動物園へと向かいました。そこには車椅子の跡の轍がありましたが、いつしか轍は途中で途絶えていました。恒夫はジョゼが車椅子の力を借りず、自力で坂道を登ろうとしている姿を目の当たりにしました。
ジョゼの元へ駆け寄った恒夫は、自分はメキシコに行くけどジョゼのことが好きだと告白しました。ジョゼも働きながら絵本作家を目指すと伝え、自分も恒夫のことが好きだと告げると二人はキスをしました。その後、恒夫とジョゼは舞と隼人、花菜の元へ向かいました。隼人は舞に想いを寄せており、失恋した舞を慰めていました。
季節は移ろい、恒夫はメキシコへと旅立っていきました。ジョゼはスマホを買い、恒夫との遠距離恋愛を始めました。やがて春になり、ジョゼは満開の桜が咲き乱れるあの川べりの道に来ていました。ベンチに腰掛けるジョゼの元に現れたのは、春休みで一時帰国してきた恒夫の姿でした。まさかのサプライズにジョゼは大いに喜びました。
以上、映画「ジョゼと虎と魚たち」のあらすじと結末でした。
好き。なんかいい。空気感とかいい。