海賊とよばれた男の紹介:2016年日本映画。百田尚樹のベストセラー小説「海賊とよばれた男」を岡田准一主演で実写映画化。明治~昭和にかけて幾多もの困難を乗り越え、石油事業に尽力した国岡鐡造(モデルは出光興産の創業者である出光佐三)の生き様を、実話をもとに戦後復興や世界市場を牛耳る石油会社との闘いを軸にストーリーが展開する。
監督:山崎貴 原作:百田尚樹 キャスト:岡田准一(国岡鐡造)、吉岡秀隆(東雲忠司)、染谷将太(長谷部喜雄)、鈴木亮平(武知甲太郎)、ピエール瀧(藤本壮平)、綾瀬はるか(ユキ)、堤真一(盛田辰郎)、近藤正臣(木田章太郎)、國村隼(鳥川卓巳)ほか
映画「海賊とよばれた男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「海賊とよばれた男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
海賊とよばれた男の予告編 動画
映画「海賊とよばれた男」解説
この解説記事には映画「海賊とよばれた男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
海賊とよばれた男のモデルとなった実話
CMや映画館の予告でさえも、一切、名前が出ませんでしたが、原作者は「永遠の0」の百田尚樹さんです。2012年本屋大賞をとり、420万部の売り上げがあるのに、原作者の名前を出さなかったのは、マスコミ各社や映画会社が、百田さんの名前を好ましく思わなかったそうで、百田さんは小説家を辞める宣言をこないだしました。そして、この映画のモデルになった出光興産は昭和シェル石油(メジャー)ともめています。きなくさい書きだしになりましたが、この映画は個人や中小企業が大企業や権力に立ち向かう話です。原作も「経済ノンフィクション作品」とか「歴史経済小説」というジャンルに区分されています。なので、名前こそ違えど、本当にあった歴史だし、現在も、その戦いは終わっていないという事を知って置いた方が、映画見て面白かったでなく、現実に目を向けやすいかもしれません。世界が変わって見えるかもしれません。主人公:国岡鐡三のモデルは出光興産の創業者:出光佐三さんです。映画的なことを描けば、原作:百田尚樹さん、監督:山崎貴さん、主演:岡田准一さんなので、「永遠の0」の製作チームの再結集です。そして、主演の岡田さんは20代~90代までを1人で演じています。CG製作は「シン・ゴジラ」でも活躍していた白組です。山崎監督もVFX(映像効果)を担当されているので「ALWAYS~三丁目の夕日」冒頭でゴジラを登場させているので、次のゴジラ監督を期待されていたりします。
詳細あらすじ
海賊とよばれた男の詳細ネタバレあらすじ1:敗戦
1945年、東京上空にはB29の編隊が飛んでいます。正面から、操縦者が見える角度で、画面は船底を写し、爆弾槽が開き、250kg(500ポンド)爆弾が各機から数十と落ち、それらの1つ1つが37のAM-N65焼夷弾として、東京の木造民家にゼリー状のナパームをバラまきながら、焼き尽くしていくのです。(これまでの映画では見た
ことがない構図です)
日本軍も、それを黙って見ているわけではありません。迎撃のためにパイロットたちが夜間戦闘機「月光」に乗り込むべく飛行場に駆けつけますが、2機しか整備されていませんでした。石油がないためです。(実際は、本土決戦に備えて、備蓄していたそうです)それでもないよりはマシです。2機のパイロットが40機のB29に対して出撃していきます。
東京大空襲は1945年3月10日が有名ですが、それ以外にも、1944年11月から玉音放送の行なわれた1945年8月15日当日にも行なわれ、分かっているだけでも11万人の人命が失われています。
さて、国岡商店本社「国岡館」は焼け残っていました。焼夷弾だったので石造りだったのが幸いしたのでしょう。(千代田区は空襲を受けてない地域もあるので、そのエリアだったのかもしれませんが)店員(従業員)は、敗戦により、倒産し、解雇されるのではないか、と口々に噂していました。しかし、そこに現れた国岡鐵三(60)は言いました。「日本人としての誇りを失わず、全員一致して社業を再興させよう」と、クビにしないと宣言したのです。
しかし、副社長の東雲忠司は反対します。石油の備蓄は一切なく、外国にある支店62社は、全部畳み、国内7社の社員合わせて千人の店員を養うことはとても無理です。でも、鐵三は言います。「仕事がなければ作るもの。とことんやってみよう。それでもダメなら全員で乞食でもしようや」
鐵三は早速、石統(石油統制配給会社)に乗り込んで、油を回してもらうように頼みますが、鳥川総裁は、戦時中の南方における国岡商店のやり口に腹を立てていましたし、「これから上陸してくるGHQを相手にしなければいけないので、失敬」と門前払いにされます。家に帰ると、妻や子供達が出迎えます。愛想よく相手にした後、自室にこもると鐵三は若い頃を思い出すのでした。
海賊とよばれた男の詳細ネタバレあらすじ2:海賊
1922年、27歳の鐵三は、機械油の代理店「国岡商店」を営んでいました。実は小説では、それ以前も一家離散になり、家族を集め直したり大変だったようです。鐵三が目を付けたのは石油でした。しかし、新規参入が許されない業界で、工場に営業をかけても袖の下がなければ、相手にもされず、また嫌がらせも受けていました。
しかし、「士魂商才」…侍の心で商売をすると誓った鐵三は今更、己の信念を曲げることはできません。とはいえ、後、数カ月で資金は尽きます。出資者の木田章太郎に謝りに行った時でした。「返済できない」ことを伝えると、木田は「あの金はアンタにやったんや」と突っぱねます。そして「さらに、京都の別荘を売って、7千円になるやろ」と言われます。鐵三は当然断りますが、「3年でダメなら5年、10年、とことんやってみろ。それでもダメなら共に乞食でもしよう」と激励されるのです。当時の1円の価値は3万円なので、2億1千万円の融資です。
何故、木田が鐵三をそこまで買っていたのかというと、「士魂商才」を掲げた高い志に惚れていたからでした。そこまでされては、鐵三もやらざるをえません。海のポンポン船を見ていた時、閃きました。
ポンポン船は灯油で動いていました。そこで、元売りの日邦石油内に売れずに、だぶついていた軽油を格安で売ることを思いついたのです。早速、焼き玉エンジンに軽油を入れて実験すると、爆発せず動きました。
これ、実は長期的に見ればエンジンに悪く、現在、韓国軍で問題になっていることです。灯油が4~8なら、軽油は6~10で、軽油の方が硫黄分が多いからです。とはいえ、当時は安い方が漁師にも喜ばれて、よく売れました。その代わり、臭かったようです。但し、商売は海の上です。陸には縄張りがあって、国岡商店は商売が出来なかったからです。
「国岡の者が、油持ってきたけー」と「KS国岡商店」の旗を立てて、社歌を歌いながら、商売をしていきます。その勢いを、世間は眉をひそめる一方で、そこに憧れる若者もいました。漁師の息子の長谷部と、日邦石油の社員だった東雲です。
東雲が中に入るのを躊躇っていると、長谷部が背中を押し、東雲も一緒に国岡商店の店員になることになります。そして、「海の上に線はない。そして売っているのは門司(福岡)じゃなく、下関(山口)の方じゃ」と啖呵を切り、成長していきいつしか鐵三と国岡商店は海賊と呼ばれるようになるのです。妨害はありましたが、小舟では大型船を手にした国岡商店を止めることが出来なくなっていました。
ある日、兄から見合いの話が舞い込みました。木田に相談すると、「夫も妻も共に苦労を理解できたら、その結婚は成功です」と言われたことで、ユキとの結婚を決めます。長谷部や東雲ほか数人の従業員も一緒に住み込む結婚生活が始まります。
祝言を上げた翌日、鐵三は写真屋を呼びました。従業員と一緒に10人で撮ります。でも、長谷部が言います。「鐵さん、ユキさんと一緒に撮らな」 鐵三は照れて断りますが、結局2人の写真も撮るのです。
海賊とよばれた男の詳細ネタバレあらすじ3:ラジオの修理
終戦後、まもなくして仕事のない国岡商店に、元海軍大佐の藤本が営業に来ました。GHQから請け負った200万台のラジオの修理をやらないか? というものでした。鐵三は藤本の靴を見ます。すりへり、くたびれた靴でした。余程、歩き回っているのでしょう。藤本を入社させ、反対した社員を補佐に着けます。とはいえ銀行の融資がないと、仕事は
できません。
「待ってる部下がいるんだろ? 熱意が足りない」と鐵三に怒られた藤本の真面目で不器用さ気に入った社員が助け舟を出します。次の日、「修理を15分でやってのけます」と融資先の銀行で実演修理をやってのけます。テスターで、壊れた真空管を探して、新品と交換するだけ。3分もかかりませんでした。信用を勝ち得たことで、融資が受けれ、ラジオ部が国岡商店内に出来、何とか倒産せずに済みました。
その頃、石統では、GHQに無理難題を言われて、弱っていました。国内に備蓄された2万トンの販売をしてから、石油の輸入を再開するというのです。ただ、その石油には問題がありました。誰も引き受けないでしょう。そこで鳥川総裁は、一計を思いつきました。その頃、東雲ほか3名が、内地に復員してきました。帰国早々、東雲は石油の仕事ができるということで、鳥川の仕事を引き受けるのです。
東雲は、航海します。石統に押しつけられた2万トンの石油は、泥と雨に混じった、ポンプでくみ上げられない代物でした。人足も逃げました。その日は早々に仕事をやめ、明日朝、鐵三に「無理です。撤退」と電話をすると啖呵を切って、その日は遅くまで飲みました。しかし、東雲が電話をかけると、態度が一変しました。この石油を片付けない限り、日本に石油は輸入されてこないのです。東雲は説得します。「ここには弾は飛んでこん。飯も食える。何より、これは石油だ」店員たちの心に火が付きました。
鐵三は石統の鳥川に馬鹿にされますが、反対に言い返します。「国岡商店が石油回収をしなければ、誰が一番困るのか」鳥川は顔を真っ赤にしながら、立ち去って行きます。そして、次の嫌がらせを思いつきます。
しかし、それは意外なところから鐵三に伝わります。2年かけて全国2万トンあった石油タンクの汚泥からの抽出作業は終わりそうになりました。それにより、石統は解散し、国岡商店も晴れて、国内での石油販売が出来るようになるのですがそこに罠がありました。ある日、武知という男が、国岡商店で勤めたいと鐵三に面談し、その場で採用が決まりました。
そして、戦時中は陸軍中野学校で、諜報活動をし、戦後はGHQで通訳をし、国岡商店の財政状況も、把握していた武知から恐るべき情報がもたらされました。石統はGHQに国内にしか事業社がない販売業者の排除を選定要項案に盛り込んでいたのです。その条件にあてはまるのは国岡商店だけでした。
鐵三は早速、武知に動くように頼み、GHQは、石統に選定要綱案のおかしな一文の削除を要求しました。実は、その司令官も日本のために石油タンクをさらう国岡の店員や鐵三の様子を視察で知っていたからでした。「美しい物を見た」。それが鐵三たちに肩入れする理由です。しかし、部下は言います。「国岡は上海でメジャーと衝突していて、メジャーは国岡の参入を歓迎しないでしょう」と。鐵三も満州でメジャーと競争した過去を思い出していました。
海賊とよばれた男の詳細ネタバレあらすじ4:北と南の戦い
1915年、鐵三(30歳)。ブツブツ文句を言う長谷部を連れて雪の中、南満州鉄道のある支店を目指していました。門前払いされかかりますが、長谷部が「わしら入れて貰えんかったら、帰れんし、ここで凍え死にじゃ。朝起きたら目覚め悪かろうのう」と脅かし、何とか中に入れて貰えます。そして、現場の作業員からメジャーの車軸用の潤滑油は
「-20度以下では凍る」という情報を得て、早速、帰国して、鐵三は早速、新しい潤滑油の開発をし始めます。
ユキは結婚から8年しても跡取りを産めない自分に悩んでいました。大連の本社に新しい潤滑油を持ち込みますが信じてもらえません。そして、メジャーの潤滑油が凍り、火災事故が発生し、チャンスは巡ってきました。メジャーと潤滑油を比べるテストをすることになったのです。結果、国岡商店のナフテン系で精製した潤滑油の圧勝で、メジャーの物は凍っていました。
しかし、国岡の商品を使うなら、メジャーが全取引を中止すると言いだし、鐵三へ認可は下りませんでした。失意のまま、帰国し、ユキと約束していた温泉旅行に行こうとしましたが、ユキがどこにいません。兄が預かっていた手紙を渡します。ユキからの手紙は「子供が産めないことと、鐵三がいつも仕事で構ってもらえず、いつも寂しく待つ生活に疲れたので離縁してください」という内容でした。その数カ月後、満鉄から国岡商店に依頼が舞い込みます。鐵三は、その後、再婚し、何人かの子供を持つことが出来ました。
さらに26年経過し、鐵三が56歳の時、1941年12月、真珠湾攻撃により太平洋戦争がはじまります。アメリカ、イギリス、中国、オランダによるABCD包囲陣により、日本は石油が輸入できなくなり、南アジアの石油基地の占領も、戦争に踏み切った理由でした。その翌年、鐵三が57歳の時、軍部に呼び出され、石統の計画書を見せられ、意見を求められます。石統の計画は「2千人を送り込み、戦後、居座る計画」と鐵三は看破し、「200人を1週間で送り込みます。残りは現地調達で」と同行した長谷部が説明したところ、国岡商店が南方基地の石油取扱業者に一任されました。鳥川総裁が欲を出し過ぎたのが原因ですが、戦後まで逆恨みすることになったのです。
3年が経過し、長谷部は少尉になっていました。そして、トンボ返りで南方基地へ向かう途中、米軍機の艦載機の機銃掃射で腹部を撃たれ、搭乗機も爆発炎上していました。火だるまになって落ちる機体を地上に迎えに来ていた東雲が目撃し、鐵三に連絡します。報告を受けた鐵三は、机を叩いて、その死を悼むのでした。
海賊とよばれた男の詳細ネタバレあらすじ5:対決メジャー
1949年、鐵三64歳の時、漸く、国岡商店は石油販売の権利をえます。そして、メジャーが提携を申し込んできますが、その条件は国岡商店の株券50%を譲るという物でした。それは買収です。鐵三は当然断りますが、男の顔を思い出します。それは大連で潤滑油競争をした男でした。そして、アメリカメジャー「セブンシスターズ」vs国岡商店の競争が始まるのです。
鳥川は、メジャーに喧嘩を売った馬鹿だと言いますが、鐵三は「石油は国の血液。全てをメジャーに渡すわけにはいかん」と吠えます。鳥川は去り際に「今のは忘れてくれ。アンタ、昔、海賊と呼ばれてたんだってな」
鐵三は、2万トンのタンカー「日承丸」を作り、直接買付に行くようになります。しかし、メジャーが国岡商店に売らないように圧力をかけていきます。そして、最後のインディアナ石油まで、次で取引を言って来ました。
八方ふさがりの中、木田や長谷部の遺影に対して、泣き言をこぼします。「どこにもポンポン船が見えんのじゃ」鳥川の言葉を思い出しました。「アンタ、昔、海賊と呼ばれてったんだってな」
鐵三の瞳に闘志が戻りました。イランに直接買い付けに行くのです。国岡が敵に回しているのはアメリカメジャーですが、イランもまた、イギリスメジャーから、自国の石油売買を制限されていました。そして、アメリカの銀行が国岡に融資をします。とはいえ、イギリスはイラン国王から正式に石油掘り出しや販売を認められていました。
独自に売買をしようとしたイタリアのタンカーが拿捕されたばかりです。それでも、アメリカも中東の石油を狙っています。そこに賭けました。
東雲は反対します。「また店員を戦場に送り込むのか。第2・第3の長谷部を作る気か。店主、あんた戦場いったことないじゃろ」他の店員が東雲を殴り倒します。店主がやると決めたら店員は一丸です。
かくして、鐵三は、日承丸に自ら乗り込み、船長の盛田に「アバダンに行ってくれ」と伝えました。盛田は「分かりました」とあっさり承諾します。鐵三が慌てて「イランのだぞ、分かってるのか?」と聞き返すと、盛田「店主は知らないかもしれませんが、私、この商売長いので、どーゆーところかよく知っております。それでも店主が行けと言うなら、黙って、その命令をこなす覚悟はいつでもできております」鐵三「そうか、すまん。頼んだぞ」
1953年3月。日承丸が出港します。見送りの者は誰も、これが危険な航海であることを知りません。知ってるのは鐵三ほか重役、そして船長の盛田だけです。不意に長谷部の顔がよぎり、思わず、鐵三は日承丸を追いかけます。東雲も追いかけます。そして、桟橋の先で鐵三は言いました。「わしは日承丸が沈んだら生きていようとは思わぬ」
海賊とよばれた男の詳細ネタバレあらすじ6:イランへ
出港後、まもなくして、鐵三は、日承丸に電報を打ちます。「アバダンへ行け」です。盛田は船員に伝えます。流石に同様の声は上がりますが、すぐに船員たちは、漸く合点が行ったようです。今回の船員は海軍上がりの精鋭だらけだったからです。「一度死にかけた命。店主のために捧げよう」命知らずの男たちはイランに突入していきます。
イランでは人々が歓迎してくれていました。しかし、問題は帰りです。イギリス海軍がアチコチで拿捕しようと待ち構えています。盛田は裏をかいて、イギリス軍基地のあるシンガポール付近のマラッカ海峡を通らず、さらにインドネシア南のスンダ海峡を抜けようとしますが、英国所属のフリゲート艦「バンカーベイ」が待ち受けていました。
停戦勧告をしてきますが、盛田は「日本とイランは独立国である。イギリスにその自由貿易を妨げる権利はない」と真正面から突っ込みます。寸前でバンガーベイの方が右に避けました。(タンカーの方が大きいのもあるかもしれません)何故か、バンカーベイは回頭せず、そのまま漕ぎ去りました。川崎港ではたくさんのマスコミ関係者が日承丸の雄姿を見ようと待ち構えています。無事、到着した日承丸の甲板で盛田と鐵三が固く握手を交わしました。
「自信のほどは?」と聞かれますが、鐵三は盛田ほか乗組員を信じていたし、盛田は「店主に行けと言われたら、行くまでです」と船乗りらしい発言をします。マスコミは盛田の「店主」発言に首をかしげています。
鐵三が東雲たち重役の元に戻って来て、全員が声をそろえて言います。「「「「国岡の者が油もってきたけぇー」」」」
しかし、イギリスメジャー「アングロ・イラニアン」は諦めていませんでした。東京で裁判を起こしたのです。でも、日本も負けていません。イギリスの主張は却下され、敗訴になったのです。それでも、CIAが数カ月後にイランで、政権を瓦解させ、イランとの取引は中止になってしまいます。
海賊とよばれた男の結末:船出
さらに時は流れて、1981年、鐵三が96歳になった時、浜辺で看護婦に車椅子を押されて、海を眺めていると、1人の女性に声を掛けられました。彼女の大おばが亡くなり、その「遺品を鐵三に見てもらえれば供養になる」というのです。鐵三は言われるままに、スクラップブックを見ます。それは、全て、鐵三と国岡商店の新聞記事ばかりでした。鐵三は聞きます。「大おばさまの名前は?」 女性は答えます。
「ユキです。国岡さんがお子さんに恵まれたことも喜んでおられました。よく国岡さんの話を聞かされました。」鐵三「ユキ? おまえはわしを見限って、出て行ったんじゃ」 女性「国岡さんのお仕事には跡取りが必要です。だから、身を引いたんだと思います。」鐵三「ユキはどこで亡くなったので?」 女性「群馬です」 鐵三「そんな近くにいたのか。」 祝言を上げた時、2人だけで撮った写真が大事に挟んでありました。鐵三は、その写真を胸に押し当てて泣くのです。
数日後、たくさんの息子、その妻たち、孫たちの大家族に見守られながら、鐵三はベッドで眠っています。家族たちは病室を去り、鐵三は夢を見ます。国岡商店の初期の従業員、長谷部と東雲もいます。ユキも合わせて総勢10人。ポンポン船に乗り、海を征きます。全員が国岡商店の社歌を歌う中、鐵三は旗を振ります。
「国岡の者がー 油もってきたけぇー」
以上、映画「海賊とよばれた男」のあらすじ詳細解説でした。
この映画の感想を投稿する