火口のふたりの紹介:2019年日本映画。家庭も仕事も失った賢治が、かつての恋人直子の結婚式に出席するために帰郷する。賢治の前だと何も恥ずかしくないと言う直子。婚約者が出張から戻るまで、二人は昔と同じ快楽の生活に浸る。白石一文原作の官能ドラマの映画化。脚本家・荒井晴彦の三本目の監督作。声の出演とエキストラ以外の出演者は、「身体の言い分」に身を委ねる男女を演じる二人のみ。舞台は原作の福岡県から秋田県に原作の許可を得た上で変更されている。R18+指定。第93回キネマ旬報ベスト・テン、日本映画第1位・主演女優賞(瀧内公美)等受賞多数。直子のアルバムの写真は写真家野村佐紀子によるもの。
監督:荒井晴彦 出演:柄本佑(永原賢治)、瀧内公美(佐藤直子)、柄本明(賢治の父の声)、ほか
映画「火口のふたり」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「火口のふたり」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
火口のふたりの予告編 動画
映画「火口のふたり」解説
この解説記事には映画「火口のふたり」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
火口のふたりのネタバレあらすじ:起・故郷での再会
東京で川に釣り糸を垂らしていた賢治(柄本佑)の携帯に故郷の父(柄本明)から電話が来る。従妹の直子(瀧内公美)の結婚が決まり、直子から賢治に式の日程を連絡するように頼まれたということだった。
東日本大震災の影響で勤めていた印刷会社が倒産して以来、賢治は「プータロー」をしていた。
挙式まであと10日の直子は早朝、式に出るために秋田に帰省した賢治の実家に行く。賢治の母が死に、父が再婚し、ふだんその家には誰も住んでいなかった。
新居で使うテレビを家電量販店から運ぶのを手伝って直子の実家に行った賢治は、直子が大切にしていたアルバムを見る。そこにいるのは東京で保母の専門学校に通っていた20歳の直子と、25歳の賢治。二人が肉欲のままに体を重ねる姿を撮った何枚もの白黒写真だった。
「私の体を懐かしくなったことって本当に一度もないの?」と言う直子。500万円で買ったという新居にテレビを持って行った後、帰ろうとする賢治をつかまえ直子は「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」と、賢治の唇を、首を、胸を吸い、賢治もそれに応える。
防衛大卒の自衛官である婚約者ともセックスをしたことのない新居で、直子は賢治と久しぶりにセックスをした。なぜ結婚することにしたのかと尋ねる賢治に、直子は子供が欲しくなったと答える。
火口のふたりのネタバレあらすじ:承・二人だけの生活
一晩だけのつもりだった。だが翌日、賢治は直子の実家に行き、直子をテーブルに押し倒してセックスをする。婚約者が来週の水曜日に出張から帰ってくる。それまでの五日間、賢治と直子は昔の二人に戻ることにする。
夜、賢治は得意の料理の腕を振るう。食事をしながら賢治は直子が結婚する理由の話を蒸し返す。子供が欲しいから結婚したいというのは動機が不純では。直子は相手の男といっしょに暮らしたいからとも言うが、嘘くさい。
しかし賢治は直子から、自分だって子供がいるのにと突っ込まれる。賢治は直子と別れた直後にできちゃった婚で結婚したが、その後浮気をして、娘が1歳の時に離婚した。それ以来娘と会ったことはなかった。
火口のふたりのネタバレあらすじ:転・盆踊りの夜
食事とセックスの日々の後、最後の夜を過ごすべく、バスで西馬音内の盆踊りを見に行く。声を出さなければだいじょうぶと、バスの中で直子の下半身をまさぐる賢治。
ホテルの部屋に入ってもすぐセックス。踊り手が黒頭巾で顔を隠して踊る盆踊りはエロチックだった。
夜、ベッドの上で賢治は直子に、後で賢治と結婚することになる女とセックスしていることに、いつ気づいたか尋ねる。直子は最初から気づいていたと言う。その最初の夜、賢治は直子に一緒に死のうと言い、富士山の火口の写真のポスターを背景に交わっている、直子のお気に入りの写真を撮ったのだった。
直子は嫉妬で、東京で決まっていた就職先を蹴って帰郷してしまったが、身体の言い分に従えばよかったかもと後悔する。そして賢治の母が「賢治と直子がいっしょになればいいと思っていた」と話していたと言う。早く言ってくれればよかったのにと死んだ母への恨み言を言う賢治。従妹が相手であるのがうしろめたく、あえてビルの間やトイレなど普通でない場所で直子とセックスをしていたから。
翌朝、賢治が起きると、既に直子は「結婚式に来てね」と置手紙をしてホテルを出ていた。
火口のふたりの結末:噴火の日
結婚式を直前に控えた朝、賢治に父から電話が来る。自衛官の急な任務で結婚式が延期になったと言う。延期なのかドタキャンなのかと父は疑っている。直子に電話した賢治は新居に呼ばれる。そこで賢治は直子に、富士山の火口のポスターを見せられる。
昔東京の賢治の部屋に貼ってあったが、賢治が結婚した時に直子に送り、直子がそれ以来だいじに壁に飾っていたものだった。直子によると二日後に富士山が噴火することが発表される。突然の結婚式延期の理由をさぐるために直子が婚約者のコンピューターの極秘ファイルを見たことによって、それが分かったと言う。
延期によって婚約者から心が離れた直子。賢治と直子は期限なしに一緒の時間を過ごす。富士山の大噴火で東京は麻痺してしまうだろう。日本がたいへんなことになるのに、あなたは何も決めないままでいいの?と、海辺で直子に問われた賢治は、ただ自分の身体の言い分に従うと言う。したいように生き、したいように直子とセックスをするのだ。
やがて、テレビも富士山の状況を伝えるようになる。そして富士山がとうとう噴火するころ、賢治はベッドの上で直子に「中に出していいか」と聞くのだった。
以上、映画「火口のふたり」のあらすじと結末でした。
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