カノンの紹介:2016年日本映画。東京、富山、金沢で暮らす三姉妹は祖母の葬儀で死んだと聞かされてきた母が生きていることを知らされます。しかし19年ぶりに再会した母はアルコール性の認知症を患っていました…。母と三姉妹の絆を描くヒューマンドラマです。
監督:雑賀俊郎 出演者:比嘉愛未(岸本藍)、ミムラ(宮沢紫)、佐々木希(岸本茜)、桐山漣(聡)、長谷川朝晴(和彦)、古村比呂(小出妙子)、島田陽子(新井澄子)、多岐川裕美(岸本辰子)、鈴木保奈美(原島美津子)、ほか
映画「カノン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「カノン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
カノンの予告編 動画
映画「カノン」解説
この解説記事には映画「カノン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
カノンのネタバレあらすじ:起
舞台は石川県金沢市。祖母辰子の葬儀に出席した長女宮沢紫、次女岸本藍、三女岸本茜の三姉妹は顧問弁護士から辰子の遺書を渡されました。遺書には死んだと聞かされていた紫達の母親がまだ存命であることが綴られており、三姉妹は母原島美津子の暮らす病院を訪ねます。美津子は長年の飲酒によるアルコール性認知症を患っており、娘達の顔すら覚えていませんでした。三人は母の変わり果てた姿を見て絶句します。幼き三姉妹と母との暮らしは辛く過酷なものでした。アルコール中毒を患っていた美津子は夫を亡くしてからというもの事あるごとに子供達に当たり散らすようになり、長女紫は妹達を守るため必死で母の機嫌を取り続けていました。その後アパートの火事が原因で重傷を負った美津子はアルコール依存症の治療のため離れて暮らすことになり、三姉妹は辰子に引き取られ育てられました。三姉妹は母の迎えを待ち続けましたが、結局美津子が現れることはなく、娘達はそれぞれ母に棄てれたというトラウマを引きずって生きてきました。完璧主義の夫和彦の機嫌を損なわないよう怯えながら生きている紫、辰子の営んでいた料亭を引き継いだもののストレスから酒に溺れる茜、教師の次女藍は母を深く憎悪し、恋人聡との結婚にも踏み出せずにいました。
カノンのネタバレあらすじ:承
藍は聡を連れて美津子を見舞いに行きます。母の着替えを仕舞おうとタンスを開けると、中からオルゴールが見つかりました。オルゴールから流れてきたのは美津子が三姉妹に教えてくれた曲パッヘルベルのカノンでした。この曲を三人で合奏するといいハーモニーが生まれるわよと母から聞いていた三姉妹はカノンをピアノの発表会で合奏したことがありました。藍は当時離れて暮らしていた美津子の姿を発表会を見かけたような気がしてずっと気になっていたのだと聡に話します。藍は料亭を訪ね、母のことを詳しく教えてもらえないだろうかと顧問弁護士に頼みます。弁護士は辰子から預かったという二通目の遺書を藍に渡します。中には美津子が辿ってきた人生について綴られていました。藍は東京に住む紫を呼び出し、茜と三人で母が働いていた土地を訪ねます。
カノンのネタバレあらすじ:転
母美津子は料亭に仲居として働いていた時に辰子の息子と出会って恋に落ち、まもなく茜を身籠りました。辰子は絵描きになるという夢を捨てられない息子と貧しき生まれの美津子の結婚に当初反対していましたが、美津子が跡継ぎを産むという条件でなんとか結婚を許してもらいます。美津子は三人の娘を出産しましたが、やがて夫は画廊のオーナーと不倫の果てに自殺、ショックを受けた美津子は酒に溺れるようになっていきました。娘達と離れて暮らすようになってからの美津子は断酒をするも失敗し、その度に罪悪感に押しつぶされそうになりながらひとり病と戦っていたのでした。三姉妹は美津子の知人に連れられて満開のひまわり畑にやってきます。美津子が娘達に見せたいという思いで必死で耕し続けたひまわり畑だと知った三姉妹は母に愛されてきたことを実感します。藍は美津子にカノンの合奏を聞かせてあげたいと聡に相談すると、聡は僕達の結婚式で聞いてもらったらいいと返します。藍は聡のプロポーズを受け入れ、二人は結婚することになりました。一方和彦からの精神的暴力に耐えかねた紫は家を出て子供達とともに金沢で暮らすことを決意します。
カノンの結末
やがて藍の結婚式の日がやってきます。東京にやってきた茜は子供達は渡さないと凄む和彦から紫と子供達を救い出し、茜と紫はなんとか藍の結婚式に間に合いました。式に招かれた美津子は娘の結婚式であることは理解できず、ただうつむいているばかりです。式が進み、三姉妹は庭園に用意された三台のピアノの前に座り、美津子のためにカノンを演奏します。やがて演奏を聴いていた美津子の表情が次第に変わり始めました。目の前で演奏する娘達と発表会で演奏する幼き娘達の姿が重なり、美津子の心に娘達との思い出がよみがえってきたのでした。美津子は立ち上がり、三姉妹に優しく微笑みかけます。三姉妹は母への感謝を胸に演奏を続けるのでした。
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