霧の子午線の紹介:1996年日本映画。芥川賞作家高樹のぶ子の同名小説を映画化した作品。無二の親友でありながら二度も同じ男性を好きになってしまった希代子と八重。友情と恋の間で揺れる二人の中年女性の愛憎を描いていきます。吉永小百合と岩下志麻の二大女優の競演が話題を呼びました。
監督:出目昌伸 出演者:岩下志麻(鳥飼希代子)、吉永小百合(沢田八重)、山本耕史(鳥飼光夫)、玉置浩二(高尾耕介)、 林隆三(淡路新一郎)、ほか
映画「霧の子午線」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「霧の子午線」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
霧の子午線の予告編 動画
映画「霧の子午線」解説
この解説記事には映画「霧の子午線」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
霧の子午線のネタバレあらすじ:起
クローン病を患うちぎり絵作家の沢田八重は大学時代の友人鳥飼希代子の勧めにより、彼女の暮らす函館へと引っ越してきました。天涯孤独の八重にとって希代子は家族同然の存在であり、二人は実の姉妹のように強い絆で結ばれています。新聞記者としてバリバリと働く希代子でしたが、女手一つで育ててきた息子の光夫は反抗期の真っ只中にありました。
ある晩、八重の家に希代子の息子光夫が訪ねてきて、自分の父親のことを知っているなら教えてほしいと言い出します。八重は希代子からきちんと話をする日が来るはずだからそれまで待っていてあげてほしいと優しく諭します。光夫は八重に淡い恋心を抱いていました。
ある日、希代子は取材の途中に部下で恋人でもある高尾耕介を連れて、八重の家に立ち寄ります。耕介は八重の儚げな美しさに目を奪われます。
霧の子午線のネタバレあらすじ:承
耕介は本を出版することになった八重に密着取材することになりました。八重の仕事場を訪ねた耕介は理性を押さえきれなくなり、八重を抱きすくめキスしてしまいます。そして二人はその夜一線を超えてしまいました。一方取材で東京を訪れた希代子は大学時代の先輩宮本に偶然再会、光夫の父淡路新一郎が今ノルウェーにいることを知らされます。新一郎は八重と希代子の愛した男でした。
函館に戻ってきた希代子は直感的に八重と耕介の間に何かがあったことを感じ取ります。嫉妬心に燃える希代子は耕介を独占しようと躍起になり、八重を慕う光夫にも辛く当たるようになります。八重の病状は一進一退を繰り返していましたが、性格は以前より明るくなり、前向きに物事を捉えるようになっていきます。希代子は輝いている八重を間近で見ているのが一層辛くなってしまうのでした。
霧の子午線のネタバレあらすじ:転
耕介が八重と母に二股をかけていることを知った光夫は耕介を呼び出して殴りつけます。さらに光夫は父親の名を明かそうとしない母への不満を募らせ、家を飛び出して八重の家を訪ねてきます。八重は自暴自棄になる光夫に自分の腹の手術跡を見せ、光夫のような子供が欲しかったと優しく抱きしめます。そして光夫の父について明かします。光夫の父淡路新一郎は八重と希代子とともに学生運動にのめり込んでいた医学生でした。元々新一郎は八重の恋人でしたが、やがて希代子と愛し合うようになります。
そして希代子は光夫を身籠りました。しかし学生運動に挫折した新一郎は何も告げずに希代子と八重の前から姿を消してしまったのでした。その夜光夫は八重の家で一夜を明かしますが、起きてみると八重の姿がありません。光夫から父について聞いたと知らされた希代子は許可なく新一郎のことを話した八重への憎悪をむき出しにします。一方耕介と旅に出た八重は束の間の幸福を噛みしめていました。光夫は嫉妬で我を失う希代子を必死になだめ、八重はもうそう長く生きられないのではないかと呟きます。
霧の子午線の結末
希代子は新一郎に会いためノルウェーにやってきました。再会した新一郎はそこで家族を築いていました。希代子が八重に支えられながら光夫を育ててきたことを話すと、新一郎は息子を産んでくれてありがとうと感謝の気持ちを伝えました。希代子がホテルに戻ってくると八重がロビーで待っていました。八重は耕介と別れてきたことを打ち明け、希代子にこれまでのことを謝ります。八重は自分の死期を悟っていました。
希代子は八重を許し、その夜二人はダンスホールで一緒にダンスを楽しみます。しかしその後八重は激しい痛みを訴えて倒れ込み、希代子の胸の中で静かに引き取るのでした。かけがえのない親友を失った希代子は八重の名前を叫びながら泣き崩れるのでした。
以上、映画「霧の子午線」のあらすじと結末でした。
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