傷物語Ⅲ 冷血篇の紹介:2016年日本映画。物語シリーズ「傷物語」3部作の最終章。前々作の「Ⅰ鉄血篇」が64分。前作の「Ⅱ熱血篇」が69分に対し、今作は83分のボリューム。不死の吸血鬼同士の戦いなので、鮮血というレベルでなく、肉片が飛び散り、瞬時再生が行なわれる凄惨な物であり、精神的な描写ですが、ヒロインが全裸で疾走するシーンがあるので、色んな意味で見るのに困るかも。原作は、2017年1月に「結物語」が発売され、傷物語から5年経った阿良々木暦の物語が語られる。
監督:尾石達也 声の出演:神谷浩史(阿良々木暦)、坂本真綾(キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード)、堀江由衣(羽川翼)、櫻井孝宏(忍野メメ)、ほか
映画「傷物語Ⅲ 冷血篇」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「傷物語Ⅲ 冷血篇」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
傷物語Ⅲ 冷血篇の予告編 動画
映画「傷物語Ⅲ 冷血篇」解説
この解説記事には映画「傷物語Ⅲ 冷血篇」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
傷物語Ⅲ 冷血篇について
物語シリーズ「傷物語」3部作の最終章です。前々作の「Ⅰ鉄血篇」が64分。前作の「Ⅱ鉄血篇」が69分に対し、今作は83分のボリュームです。それでいて、登場するのは4人。シリーズファンとしては、いつもの少数人数と思えるけれど、見慣れてない人には舞台演劇を見てる気持ちになるかも。そして、シャフト特有のアート演出がされるので、時空間が果てしなく感じられるかも。今回はPG-12指定。エログロシーンがあります。不死の吸血鬼通しの戦いなので、鮮血というレベルでなく、肉片が飛び散り、瞬時再生が行なわれる凄惨な物であり、精神的な描写ですが、ヒロインが全裸で疾走するシーンがあるので、色んな意味で見るのに困るかも。ともあれ、本来2012年製作予定が、東日本大震災(311)を挟み、完成が遅れた作品。本来の公開時期ならもう少しヒットしたかもしれませんが、ファンとしては、クオリティ高い作品となり、満足。原作は、2017年1月に「結物語」が発売され、傷物語から5年経った阿良々木暦の物語が語られるらしいです。
詳細あらすじ解説
傷物語Ⅲ 冷血篇:前回までのあらすじ
阿良々木暦は、地下鉄で、四肢をなくした金髪女性を見つけ、彼女に血を吸われることで、絶命したが、吸血鬼の眷属として生き返りました。その弊害は日中に太陽光を浴びれないこと。また、3人のヴァンパイアハンターに狙われることになりました。困っていたところ、忍野メメの仲介によって、暦の主人:キスショット・アセロラ・ハートアンダーブレードの四肢を巡って1対1で争うことになりました。最初はドラマツルギー。両手を刃物に出来るヴァンパイア。近距離戦では不利なので、暦は遠距離から砲丸やローラーを投げ、1勝。2戦目はエピソード。全身が霧に変わるヴァンパイアハーフ。対戦中、羽川翼が助言をしようとして、巻き込まれ、内臓を切り裂かれ死亡。怒り狂った暦は、霧状になったエピソードに土砂をぶちまけ、首を折り砕こうと締めます。ですが、忍野に止められ、そして、忍野の助言で、羽川も蘇生します。暦の体液で細胞の修復に成功したのです。しかし3人目は、ギロチンカッター。人間ですが聖職者です。彼は羽川を人質にして、暦を殺す気でしたが、暦が回復能力を生かして、身体を木の枝のように伸ばし、ギロチンカッターを磔刑にすると同時に、羽川を救出しました。人間に戻る為の戦いで、吸血鬼化する自分に戦慄しながら。さて、ここからが本編です。
傷物語Ⅲ 冷血篇のネタバレあらすじ1:完全体
雨の中、学習塾跡に出向くと、忍野はボストンバックにキスショットの両腕を詰めて持ってきていました。羽川は学校に赤い傘をさして、出かけますが、すれ違いです。暦には、どうしても無視できない疑問があり、それを忍野にぶつけました。何故、妹と喧嘩したことくらいしかない自分が、吸血鬼退治の専門家3人に勝てたのか? 忍野の答えは、暦が強すぎ、彼らが弱すぎたというのです。だからこそ、暦には疑問がありました。暦が強いのは、キスショットの眷属だからです。なら、主人であるキスショットは、何故、眷属に負けたヴァンパイアハンタ-3人に負けたのか?忍野はあっさり答えました。左ポケットの中から赤い物体をだし、暦に投げました。それはキスショットの脈打つ心臓でした。暦はギロチンカッターが抜き取ったのかと思いましたが、それを奪ったのは忍野でした。本来、4戦目をするつもりでしたが、忍野も一般人である羽川を巻き込んだことを反省し、暦にあっさり渡したのです。そして、暦+羽川の依頼料である500万円もチャラにするというのです。そして、忍野は去りました。去り際に一言添えて。「阿良々木くん、お腹はすかないかい?」学校に戻り、キスショットに事情を説明しますが、片腕と心臓を取り返し、完全体となった怪異の王は、ご満悦です。暦は機嫌がいいうちに、人間に戻るように頼みます。キスショットは真面目な顔をして、「話がしたい」と言って屋上に誘います。500年退屈してたというキスショットにとって暦は2人目の眷属でした。なので1人目の眷属の話をします。彼の形見の刀:心渡を腹から出したキスショットは、暦を一刀両断します。しかし、キスショットの剣技と、心渡の切れ味により、暦は瞬時に再生し、痛みすら感じていません。そんな刀を持っていた最初の眷属は数日間で自殺しました。太陽の光で焼身自殺したのです。だから、それ以来、眷属を作らなかったのですが、暦は何もかも変わっていたので、この2週間、退屈はしませんでした。でも、もうおしまいです。暦は、人間に戻る前に腹が減りました。だから、何か買って来ようとし、キスショットにも欲しい物を聞きます。すると「携帯食でも持ってくるのか? わしは好き嫌いはないぞ」
傷物語Ⅲ 冷血篇のネタバレあらすじ2:生と性
暦がセブンイレブンで、買い物を済ませて帰ると、キスショットは食事中でした。それは、ギロチンカッターの身体でした。キスショットが完全隊になったので、結界が効かず、襲ってきたそうです。だから、返り討ちにして、食べてるそうです。そう言いながらも、ギロチンカッターの顔にかぶりつき、その皮膚をズルっとはがし、飲みこみます。暦は吐きながら逃げます。キスショットは言いました。「なあ従僕よ。眼鏡でお下げの携帯食は持ってこなかったのか?」暦は体育倉庫に立てこもります。そして、跳び箱を蹴り押し、ハードルを投げて暴れます。そう。ヴァンパイアハンターの3人は人類を守るために戦っていたのです。暦が血を与えて、手足と心臓を取り戻したせいで、人類の滅亡の危機です。死んでお詫びをするしかない。でも、死ぬ前に羽川と会いたかったと思った時です。消したはずの羽川の電話番号が登録されていました。また、羽川が勝手に入力していたのです。思わず電話してしまいました。しばらくすると、羽川がやってきました。「女の子のお届けに上がりました。」羽川は暦がキスショットを復活させてしまい、忍野もどこかに行ってしまったから、死のうとするのを止めます。暦は聞きます。何故、そこまで暦に気をかけてくれるのかと、友達のために命を懸けて当たり前という羽川ですが、その向こう側の気持ちに暦は気づきません。ここで何故か全裸、疾走する羽川のシーンがインサートされます。PG-12のせいか、乳首はありません。暦は聖女か天使のように思っていますが、女の子の勇気を見誤ったのが、互いの気持ちのすれ違いを生み、悲劇となります。羽川は、唯一勝てる存在がいるとしたら、眷属の暦だけと説得します。暦も納得しますが、それでも、たとえ死なないにしてもまだ踏ん切りがつきません。だから、最後の勇気をもらうために羽川にお願いをしました。オッパイを揉ませてほしいと。暦は説得します。羽川は全盛期である27歳の肉体を維持した完全体のキスショットを見ていません。だから、オッパイに慣れておく必要があると、拝み頼みます。羽川は、しぶしぶ、後ろを向いて、制服のボタンを外しブラジャーをはずしました。暦はなおも、裁判になった時のために、「阿良々木くん、私のノーブラオッパイをモミモミしてください」と言質を取り、その後も言葉攻めて、羽川を辱めるのですが、いざ揉もうとすると、無理でした。だから、肩もみで許してもらいました。羽川は当然怒っています。「ああ、私のはじめては体育倉庫なんだ」とまで覚悟を決めていたからです。だから、羽川は言います。「私にここまでさせたんだから、まさか負けないでしょうね。」「続きはWebで。いや新学期に」暦は戦いに赴きます。夕方まで眠っていたキスショットも競技場まで飛んできました。(原作では運動場なのですが、映画の直江津高校は、スタジアムみたいになっています)着地した落下で競技場の地面がクレーターとなり、えぐれています。暦「わざわざ、そっちからきてくれるとはな」 キスショット「従僕よ。一度だけ頭を下げてやる。元人間のお前に対し、あまりに配慮がなかった。だから、わしの従僕として永遠を生きぬか?」 暦「断る。僕からも1つだけ聞きたい。キスショット、おまえにとって人間とは何だ」 キスショット「知れた事よ。食糧よ」 暦「そうか。それが聞けてよかった。死んでくれ、我が主人。」 キスショット「死ぬがよい、我が従僕よ」暦は、キスショットが弱っていたから助けただけでした。でも、それは人類にとって最悪の選択でした。その責任を取らなくてはいけません。
傷物語Ⅲ 冷血篇の結末:傷の物語
二人の戦いは凄惨を極めました。互いの手足が触れるだけで、首が飛び、身体の大きな部品が残っている方が再生し、飛んだ首は消失するのです。互いの破壊スピードが速すぎて、幾つもの首が転がっています。500年の戦闘経験のせいか、キスショットの方が押していましたが、暦の場合、空腹が進むたびに、吸血鬼のとしての能力が上がります。上半身と下半身が千切れようとも、立ち上がり、向かっていきます。流石の羽川も直視できず、しゃがみこんで、目と耳をふさぎ、終わるのを待っています。
そして、キスショットが火の塊になった時、暦は、スタジアムの壁を1周走りこんで、全身を矢と化しました。キスショットの胸に暦の頭が突き刺さっていました。流石のキスショットも心臓を焼かれては、再生能力に影響が出て、疲労を感じ始めていました。その時、羽川は気づいてしまいました。それは頭がいいからこそ、気づいた愚かな選択でした。
2人の戦いに羽川は飛び込んでいきます。暦は止めます。そして、口を挟まれたくないキスショットは、衝撃波を羽川に放ちました。暦が肉体を盾にして、血煙となって交わしたかと思うと、暦の頭が、キスショットの喉笛に噛みついていました。キスショットの力を奪う度に、暦は四肢を取り戻し、赤ん坊の姿から少年、青年へと成長し、キスショットはみるみる縮んでいきます。ここで何故か、昭和15年の幻の東京オリンピックを彷彿とさせるナレーションが入ります。その間、羽川はキスショットに質問をしていました。「どうやって、暦を人間に戻すつもりだったのか? ひょっとして、あなたは?」 キスショットは、何とか羽川を黙らせようとしましたが、無駄でした。暦も気づいてしまいます。だから、エナジードレイン。エネルギーを吸収するのをやめてしまったのです。キスショット「愚かな携帯食。我が従僕が人間に戻るためには、我を殺すしかない。優しいコヤツが、それに気づいて殺せると思うのか? だが、従僕よ、そなたが人間に戻るには、それしかない。我は、この500年死に場所を探していた。殺してくれ」暦は横たわるキスショットに背中を向けました。でも逃げるわけではありません。代わりに叫びます。「忍野メメ。どうせ、どこかで見てるんだろう。金なら払う。何とかしてくれ。」 メメ「聞こえてるよ、うるさい。元気いいな。何かいいことあったのかい?」そして言います。メメ「金の問題じゃない。バランスの問題さ。で、どうしたいんだい?」 暦「皆が幸せになれる方法を」メメ「そんなのあるわけないだろ。バカじゃないの? でも、皆が不幸せになる方法ならある。皆が少しずつ不利益を被る方法だ。報酬は、前回、チャラにした500万円。ある時払い。阿良々木くんは、キスショットをギリギリまで、名前も存在もなくなるくらいまで、吸血鬼として人間の血が吸えなくなるくらいまで、吸い。たまに、彼女が存在をなくならないように、血を吸わせるといい。だから、君もまた、人間に戻れない。そして、人間は、吸血鬼退治を諦めて、人類滅亡の危機を常におびえなければいけない」3方1両損。キスショット「小僧、貴様。従僕、ワシを助けると思って殺してくれ」 暦「ごめんキスショット、僕はお前を助けない。」 こうして、暦の2週間の春休みが終わりました。忍野は、この街に残り、学習塾跡で、キスショットの残骸となった少女を監視しています。そして、暦は時折、何も言わなくなった少女に血を与えるのです。メメ「かつて、吸血鬼のペットにされ君が、主人をペットにし返した。あまり、イイ結末とは言えないね。飽きたら、僕が始末するから、いつでも言ってくれ」暦「好きでやってるんだ。飽きるはずがない」 メメ「あ、そう」 暦は残骸の少女に笑いかけます。「お前が明日死ぬのなら僕の命は明日まででいい。お前が今日を生きてくれるのなら、僕もまた今日を生きていこう。」羽川に報告します。暦も太陽の光の下で新学期を登校します。限りなく人間に近いので、再生能力も歯を磨くと血が出にくくなった程度です。羽川は、キスショットの残骸と暦の関係で嫉妬します。その時、頭痛がした気がしました。誰もが、傷ついた、誰にも言えない春の物語。ここから、物語シリーズははじまるのです。
以上、映画 傷物語Ⅲ 冷血篇の詳細あらすじ解説でした。
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