告白の紹介:2010年日本映画。湊かなえの同名ベストセラー小説を映画化したものです。愛娘を自分のクラスの生徒に殺された女性中学教師が、生徒たちを相手にその真相を告白、追究し、復讐するというミステリー学園映画です。キャッチコピーは「告白が、あなたの命につきささる。」で、その内容と描写には、少年犯罪、イジメ、家庭内暴力などの過激な部分があります。しかし、現代社会が抱える学校教育での問題点などを考えさせるシリアスな内容で、第34回日本アカデミー賞では4冠を受賞、他にも多数の映画賞を受賞した作品です。
監督:中島哲也 出演:松たか子(森口悠子)、木村佳乃(下村優子(直樹の母))、岡田将生(寺田良輝(ウェルテル))、西井幸人(渡辺修哉)、藤原薫(下村直樹)、橋本愛(北原美月)ほか
映画「告白」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「告白」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「告白」解説
この解説記事には映画「告白」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
告白のネタバレあらすじ:1.3月25日、終業式後の1年B組
舞台は「中高生乳製品促進運動」のモデル校に指定されていたとある中学校、3月25日終業式の日のことでした。式を終えた1年B組の生徒たちはホームルームで、いつものように学校から支給された牛乳を飲みながら、各自思い思いの行動をとり、教室は雑然としていました。このクラスの担任教師・森口悠子はそんな雑然とした教室の中、机間巡回しながら、生徒たちに向けて静かに語り出しました。ほとんどの生徒たちは、森口先生の話に耳を傾けていませんでした。しかし、森口は淡々と生徒に語りかけ、自身のすべき仕事をこなしていきました。森口は先月、家が電器屋を営んでいる渡辺修哉がモザイクを消し去り、神山聡がクラス全員に配ろうとしていたアダルトビデオを没収しました。森口はそれを神山に返しました。そして、森口は教壇に立ち、「私は今月いっぱいで教師を辞めます」と告白しました。その言葉を聞いた生徒たちは「やった~!」と言い、喜びました。しかし、森口の表情は変わらず、淡々としたままでした。
告白のネタバレあらすじ:2.森口の告白~HIV~
森口は生徒たちに桜宮正義先生について問いました。その桜宮先生の著書を持っている生徒が自慢げに立ち上がりました。森口はその生徒から桜宮先生の本を借り、彼の説明をし出しました。桜宮先生はいわゆる「熱血先生」で人一倍生徒一人ひとりに向き合い、熱心に取り組んだ立派な男性教師でした。森口は自身が最初に赴任した学校が、桜宮先生がいた学校だったことを打ち明けました。一部の生徒はそれを聞いて興奮しました。桜宮先生はスター的な教師でした。森口は教師として自身に2つのルールを課していました。それは「生徒を呼び捨てにしない」「できる限り生徒と同じ目線に立ち、丁寧な言葉で話す」でした。森口は生徒たちに「何より私はあなた達の言葉を100%信じたりできません」と言い放ちました。生徒達はその言葉を聞き、ヤジを飛ばし始めました。森口はその根拠を説明しました。それはかつて、同僚の男性教師がある女生徒から「死にたい」というメールを受け、急いで呼び出されたラブホテルに行くと、その女生徒にその現場を写真に撮られ、嘘をつかれ、学校を辞め指されたというものでした。それは授業中に注意されたその女生徒が、腹癒せに仕組んだ罠でした。まんまとその罠にはまってしまった男性教師を森口は「生徒を疑わなかった教師が甘い」と言い放ちました。そして、その事件以来、この学校では異性の生徒から呼び出しを受けた場合は、同性の先生が代わりに行く決まりになりました。生徒から「そんなの担任として無責任」という声があがってきました。騒然とする生徒たちに、森口は「あなたがたがもう二度と死にたいなどと口にしないよう、大事な話をします」と言うと、黒板に大きく「命」という字を書き、ある告白をし始めました。その話は驚くべき話でした。話が進むにつれ、教室は静まっていきました。森口はシングルマザーでした。森口は本来なら婚約者と結婚する予定でしたが、結婚式直前にその相手がHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に罹っていることが判明したのでした。しかし、森口は既に彼の子をお腹に宿していました。森口と婚約者は相談した結果、子供を産むが結婚はしないという道を選びました。それは産まれてくる子が、「父親はエイズ患者」と差別を受けることがないようにするためでした。この告白を聞いた生徒達は、机間巡回する森口との接触を避けようと、緊張し出しました。森口は自分が陰性であった事を告げると、教室内にホッとした安堵感に包まれました。森口は話を続けました。
告白のネタバレあらすじ:3.森口の告白~愛娘の死~
森口は愛娘・愛美(まなみ)が1歳になると、教師に復職しました。愛美は保育所に預けて、18時以降は学校の隣家の竹中さん宅で預かってもらっていました。その竹中さん宅にはムクという犬がいて、愛美はそのムクを可愛がり、いつもご飯をあげていました。ところが今年、竹中さんが体調を崩し入院となったので、森口はやむなく職員会議で遅くなる水曜日だけ、愛美を早めに引き取り、学校の保健室で会議が終わるまで待たせることにしました。愛美は「わたうさちゃん」というウサギのキャラクター物が大好きで、衣服やカバン、靴などすべて、そのキャラ物で統一していました。森口は愛美が持っていた「わたうさちゃん」のポシェットを徐に出しました。それはかつて、デパートで愛美が森口に「買ってよ~!」とお強請りしていたものでした。下村直樹はその光景をたまたま見ていました。そして、事件が起きました。2月13日のことでした。その日、愛美は保健室から行方不明となり、探し回った後、プールで水死体となって発見されました。警察は「誤ってプールに転落したことによる事故死」と判断しました。プールと隣接している竹中さん宅のムクの傍には、愛美が通っていた保育所のパンが落ちていたことで、愛美がいつもムクにご飯をやるためにプールに立ち寄っていたという物証もありました。森口は愛情のすべてを注いでいた娘の死を嘆きました。そして、森口は衝撃的な事を言いました。「愛美は事故死ではありません。このクラスの生徒に殺されたんです」と。教室は静まり返り、「犯人は誰だ」という雰囲気に包まれました。生徒達の間でメールが飛び交い始めました。森口は「あなたたちを守る頼もしい味方。それは少年法です」と言いました。森口はその事件当時、世間を騒がせていた中学生が起こした「ルナシー事件」の事を語り出しました。それはある女子中学生が、家族の食事に青酸カリを入れ続け、家族全員を殺したという凄惨な事件でした。しかし、この女子中学生も14歳未満で「少年法」に守られ保護観察処分で事実上無罪、世間の反動は彼女の担任の理科教師に向き、その教師は強いバッシングを受けたのでした。「あなたがたが人を殺しても罪に問われない」と森口は告げ、「私はその犯人の名を公表する気はありません」と興味津々の生徒達に言いました。生徒達はまた騒ぎ出しました。森口は「愛美の父親は桜宮正義先生です」と告げました。それを聞き、生徒達は静まり返りました。森口は愛美の葬式のときの桜宮先生の姿を語りました。そして、森口はエイズを発症して余命数か月の命と宣告された桜宮先生に、何も言えなかった自分を「愛美が死んだとき、私の心の大切な何かも死んでしまったのかもしれません」と語りました。森口は再び、愛美の遺品「わたうさちゃん」のポシェットを出しました。そして、森口は「犯人は二人、これからその二人を、A、Bと呼ぶことにします」と言いました。
告白のネタバレあらすじ:4.森口の告白~犯人への指導~
森口は犯人について語り出しました。A、Bという形で語りますが、生徒達が聞けばそれはすぐ分かるものでした。生徒達は犯人が分かると、直ぐにメールを飛ばし合いました。森口はまず犯人A(渡辺修哉)のことから語り出しました。Aは成績優秀で物静かだが、時々耳にする噂は不気味で、「処刑マシーン」を作って動物を虐待した様子を撮影、それを自作の「天才博士研究所」というサイトにアップしたりしている人物でした。ある日、Aは森口の部屋に現れ、財布のチャックを開けるよう森口に言いました。森口がチャックの金具に触れるとビリっと電気が通り、森口は思わず財布を落としました。Aは触ると感電する仕組みの財布を自作し、森口を実験台にしたのでした。Aはそれを『盗難防止びっくり財布』と名を付け、全国中高生科学工作展に出品し、全国大会中学生の部で優勝しました。Aは単に自分の才能を世間に認めさせたかったのでしたが、その翌日の新聞にはAの記事は小さく載った程度でした。偶々その日の新聞の第一面を飾ったのは、あの「ルナシー事件」でした。Aは悔しがりました。そして、Aに森口は「わたうさちゃん」のポシェットを見せて、愛美の死の真相を問い質すと、Aは急に窓から飛び降りるふりをして森口を驚かすと、「な~んてね」と言い、自分が殺したのが森口の愛娘であることを知りながらも、意気揚々と自分のした事を話しました。そんな罪悪感のないAを見た森口はその時、「殺してやりたい」と本気で思ったことを語りました。次に森口は犯人B(下村直樹)について語り出しました。Bは始め運動部に入部しましたが、気に入らずに辞め、塾に通いますが成績は上がりませんでした。そのうち、Bは塾をさぼりゲームセンターで遊んでいたところを、別の学校の不良達に因縁をつけられ、Bはやむなく交番に駆け込みました。その時、Bを迎えに行ったのは、先述した学校の決まりで、異性の森口の代わりに同性のA組担任の戸倉先生でした。Bはこれを非常に不満に思っていました。Bはゲームセンターへの出入り禁止の校則に違反したので、Bには2週間のプールサイドと更衣室の掃除という罰則が与えられました。Bは一人自分の殻にこもり、「死ね」という言葉を至るところに殴り書きするようになりました。2月始め、そんなBの姿を見ていたAは、恐ろしい計画を実行するためにBに声をかけました。Aはパワーアップした『盗難防止びっくり財布』を作ったので、それを誰かで実験しようとしていました。AはBに「誰でもいいけど、悪い奴をやっつけるために作った」と言いました。するとBは森口の娘を実験台に使うことを提案しました。Bは森口に不満を持っていたからでした。また、プールサイドの掃除をしていたBは、森口の娘がプールサイドから隣の竹中さん宅のムクにご飯を与えていたこと、また、森口が強請る娘に「わたうさちゃん」のポシェットを買い与えなかったことを知っていました。Bはその事をAに打ち明けました。AとBは標的を森口の娘にし、「わたうさちゃん」のポシェットにこの感電する細工を施し、実験することにしました。そして事件当日、AはBを連れて、ムクに餌をやっている愛美に近づき、ママに頼まれたと嘘をつき、愛美にそのポシェットをバレンタインプレゼントと称して与え、その中を開けさせようとしました。愛美はそれを素直に信じ、ポシェットを開けようとして感電して、その場に倒れてしまいました。Bは愛美が死んだと思い、驚きました。そんなBを余所に、Aは笑みを浮かべ「死んだんだ」と言い、Bに「僕(A)が殺したって、言いふらしていいよ」と囁き、その場を立ち去りました。しかし、自分が共犯者と知られるのが恐ろしくなったBは、愛美がプールに落ちた事故死に見せかけようと、愛美を抱き上げ、プールに投げ込んだのでした。ところが実は愛美はポシェットで気を失っていただけでした。森口はその証拠のポシェットを入念に調べた結果、それは4歳の子供を殺傷する能力を持たないお粗末な代物であることを明かしました。つまり皮肉にも、殺意があったAは愛美を殺せず、殺意がなかったBが結果的に愛美を殺したのでした。これが森口の娘の死の真相でした。森口は少年法に守られたAとBを今、警察に突き出しても、保護観察処分で事実上無実であると言いました。森口は「それでは不十分」と判断し、「誤った生徒を正しい道へ導く…二人に自らの罪を認めさせ、命の大切さを実感してほしい」と言い、ある事を打ち明けました。それは、今日のAとBの飲んだ牛乳に、HIV感染者の桜宮先生の血を混ぜておいたという事でした。AもBも牛乳を飲み干していました。二人は驚きました。また、生徒たちも驚き、渡辺と下村からできるだけ離れようと、教室は騒然としました。Aは口を押さえトイレへと駆け込み、Bは自席で愕然としていました。森口は最後にこう言って、学校を去りました。「2~3か月後にでも検査を受けてみてください。潜伏期間は5~10年。命の重さを実感し、犯した罪を反省するには十分な時間だと思います。…春は…すべての命が燃え上がる季節です。みなさん是非、有意義な春休みを過ごしてください」と。
告白のネタバレあらすじ:5.新任教師・ウェルテルと2年B組
4月6日始業式、森口は教師を辞めて、学校を去りました。1年B組はクラス替えもなく2年B組へと進級しました。北原美月はおかしな違和感を持っていました。それは誰もが明るく振る舞い、そして、犯人Aの渡辺修哉がいつものように登校してきたからでした。犯人Bの下村直樹は登校してきませんでした。そして、このB組の担任として新たに赴任してきたのは、若くて気さくな男性教師・寺田良輝でした。寺田は自らを「良=ウェル:well、輝=テル」、「ウェルテル」と呼んでくれと生徒たちに馴れ馴れしく話しかけてきました。ウェルテルは桜宮先生に感化され教師の道を選んだのでした。ウェルテルがその事を話し出すと、生徒たちは大笑いし始めました。1年のときの事件を知らないウェルテルは、生徒たちにウケタと思い、舞い上がり、生徒たちの兄貴分気取りとなりました。生徒たちもそんなウェルテルを担ぎ、一緒に舞い上がっていました。そんなクラスの様子を冷静に見ていた美月は「突きつけられた現実から逃げ出したくて、バカになりすました」と思っていました。クラスに「森口先生の告白を外に漏らしたヤツは、少年Cとみなす」と差出人不明のメールが配信され、生徒たちは誰も1年の終業式での出来事を、ウェルテルに漏らしませんでした。生徒たちは、何も知らないウェルテルと共にハイテンションで学校生活を送っていました。一見、B組は何も問題のないクラスに見えました。しかし、実際はそうではありませんでした。何も知らないウェルテルは、直樹の不登校を治そうと、美月と共に週に1度、直樹の家に授業のノートを届けることにしました。美月はこの頃から小学生の頃に嫌なあだ名「みづきのアホ」で「ミズホ」というあだ名で呼ばれるようになりました。何も知らないウェルテルも、美月を「ミズホ」と呼びました。そして、ウェルテルは美月を連れ、毎週1度、直樹の家を訪ねました。ある日、ウェルテルは直樹に励ましの言葉を贈ろうと色紙を出し、提案しました。生徒達は始めは黙っていましたが、一人が何かを思いついたかのように手を挙げると、みんな手を挙げました。そして、その色紙は出来上がりましたが、それは励ましの色紙などではなく、犯人Bの直樹への「人殺し死ね」というフレーズを浮き上がらせる恐怖の制裁色紙となっていました。ウェルテルはそれを見抜けず、直樹の母にそれを渡しました。さて、登校している犯人Aの修哉に、クラスの生徒たちは容赦ないイジメを行いました。そして彼らは、それを制裁ポイント制として、競争し合い、集団で遊んでいました。6月のある日、ウェルテルは修哉がイジメを受けているという手紙を受け取りました。その真の理由を知らないウェルテルは「これはイジメじゃない、嫉みだ。…修哉が勉強ができるからといって自分が劣ってると思うな!」とまともに生徒達に説教しました。ピントが合っていない説教は、生徒達には馬耳東風でした。何も知らないウェルテルだけが、完全に浮いていました。
告白のネタバレあらすじ:6.犯人Bの直樹と母・優子
犯人Bの直樹は不登校となっていました。直樹は完全に自分がHIV感染者になったと思い、母・下村優子に感染させまいと、気が狂ったように奇声をあげて、自分が使ったり触れた物はすべて自分でゴシゴシと洗うのでした。しかし、自分は全く風呂に入らず、髪の毛も爪も切らず、自室に閉じこもっていました。そんな直樹を見かねた母・優子は、ある日、昼食に睡眠薬を混ぜ、直樹を寝かせつけました。優子は直樹の伸ばし放題の髪を切り、垢で汚れた身体を拭いました。すると夜、目が覚めた直樹はまた気が狂ったような奇声をあげ、優子を驚かせました。優子の夫は仕事で家におらず、長女は大学生で東京で独り暮らしでした。母・優子ひとりでこんな直樹の問題を抱え込んでいました。母・優子は、始めは毎週訪ねて来てくれるウェルテルを少し頼りにしていましたが、ウェルテルがくる度に直樹が怯えるのを見て、ウェルテルを疎ましく感じ始めました。ある日、ついに優子はウェルテルを「あのバカ教師…何の役にも立たない」と呟き、見限りました。優子は森口先生の娘の件で、直樹が悪いとは全く思っておらず、むしろ「悪い友達に唆されただけ」の「かわいそう」な被害者と思っていました。ある日、自暴自棄に陥った直樹は、逆に出来るだけ多くの人間を巻き添えにしようと、自分で掌を切り、血まみれにし、コンビニの食品をことごとく血まみれにしました。コンビニから連絡を受けた優子は、ヘトヘトになりながら、土下座して謝罪し、その食品を全て買い占め、事を収めました。帰宅した直樹はその中のサンドイッチを食べながら、初めて、終業式に森口先生からHIV感染者の血が入った牛乳を飲まされたことを打ち明けました。それを聞いた優子は森口先生を「悪魔」と恨みました。しかし、直樹は、病院に行こうと言う母・優子に、驚くべき告白しました。直樹は愛美が感電死していなかったことを知っていたのでした。直樹は明確な殺意を持ち、愛美を殺したのでした。それは、友達だと思っていた修哉から、直樹が「できそこない」と蔑視されたからでした。これを契機に直樹は修哉への強い憤りと反感を持ちました。直樹は「修哉ができなかった殺人を、自分がやる」と思い、強い殺意のもと、愛美をプールに投げ込んだのでした。その事を聞いた優子は、絶句し、腰を抜かしました。1学期の終業式の前日、「直樹はもう直樹じゃない」と絶望に陥った優子は、日記に直樹と心中する事を書き、包丁を手に直樹のもとに行きました。優子は包丁で直樹を刺しますが、逆上した直樹によって返り討ちされ、殺されてしまいました。精神が完全に崩壊した直樹は、児童相談所に送られました。その翌日、学校では終業式は時間短縮され、午後の職員会議の後、直樹宅を度々訪問していたウェルテルと美月が校長室に呼び出されました。その席で美月は「こうなったのはすべてウェルテルのせいだ」と言い放ちました。この事件の責任を負ったウェルテルは、学校を辞めることになりました。
告白のネタバレあらすじ:7.犯人A・修哉と美月
犯人Aの渡辺修哉は、クラスメイト全員から毎日、陰湿なイジメに遭いながらも、学校を休むことなく通い続けていました。6月のある日、ウェルテルに修哉へのイジメをチクる手紙を送った容疑者として、美月がつるし上げられました。なぜなら、美月だけが修哉へのイジメ制裁ポイントが0だったからでした。美月は羽交い締めにされ、生徒達の目の前で、同じく羽交い締めにされた修哉と強引にキスをさせられました。生徒達はその瞬間を携帯電話のカメラで撮り、美月をもイジメ始めました。そんなある日の夜、修哉は美月を呼び出しました。修哉は美月に「HIV検査結果、陰性」と記された証明書を見せました。「そんなの分かってた」と全く驚かない美月に、修哉は「僕の命は軽いけど、君のは重いから」と言いました。二人はこの日から急速にその距離を縮めていきました。ある日、修哉はクラスメイトに逆襲しました。修哉は指先をカッターで切り、出てきた血を一人の男子生徒の頬に塗り、携帯をいじっていた女生徒の携帯を取り上げ、放り投げました。「君が変なメール流して、嫌がらせ煽ってるの、バレバレだよ」と修哉は言うと、星野祐介にキスをしました。星野は腰を抜かしました。修哉は俄然強気に星野たちを脅しました。もうクラスは大混乱となりました。その効果は覿面でした。7月から修哉へのイジメはなくなりました。修哉は次第に美月と共に過ごす時間が増えていきました。親密になった二人は、互いの心の内や情報を交換し合いました。美月は修哉に告白しました。「ルナシーはね。もう一人の私なの」と。美月はルナシーに憧れ、色々な薬品を集めていました。そんな美月に修哉は淡々と「ねえ、殺したい人いる?」と訊きました。その言葉に美月は何も言わず笑顔で応えました。修哉は自分の心の内を打ち明けました。修哉はただ誰かに、自分の才能を褒めてほしかったのでした。特に修哉は自分を置いて出て行った母親に褒めてほしかったのでした。修哉の母は、優秀な電子工学の研究者でした。ところが母は、修哉が言うところの「最低の凡人」の父と結婚し、優れたキャリアを捨て家庭に入り、修哉を産み、育てることになりました。修哉の母は、自分がキャリアを捨て分、修哉に自分と同じ優れた才能を求め、厳しく叱咤しました。ついに母は修哉に「あなたさえいなければ」と呟き、泣いて謝る修哉を虐待していくようになりました。そんな姿を見かねた父は母を止めました。母は父と離婚し、修哉を置いて、再び研究者としての道に戻りました。修哉の耳には、母の「あなたさえいなければ」、「あなたは賢い子」、「あなたは私と同じ才能を受け継いでいるの」という言葉と、母と別れたとき、耳元で聞こえたシャボン玉が割れる「パチン」という音が残りました。修哉はそんな母の言葉から「僕さえいなければ」という強い罪悪感を抱き、いつの間にか「命」というものを軽く考えるようになっていました。「殺人が悪だなんて、誰も僕には教えてくれなかった」と呟く修哉にとって、シャボン玉が消える「パチン」という音は、自分にとって大切なものが失われるときに聞こえるものとなりました。「凡人」の父は「凡人」の女性と再婚し、二人の間に子供が産まれました。修哉にとっては、義理の弟です。しかし、母と「同じ才能を受け継いでいる」修哉は、ここは自分の居場所ではないと思っていました。修哉は父の電器屋の古い倉庫を、自分の部屋として使っていました。そんな修哉の思いは、優秀な母へと向かっていきました。修哉がホームページを作ったのも、いつか母に自分を見つけてほしかったからでした。そして、感動的な再会を祈っていました。修哉は何とかして見つけてもらおうとホームページ上で工夫しますが、閲覧数は増えませんでした。修哉が別の方法を考えていたとき、母が尊敬していた教授が審査員をする科学工作展のポスターを見ました。修哉はこれに作品を応募すれば、母の目にとまるかもしれないと思いました。修哉は念願通り、その工作展で優勝し、新聞に顔写真入りで掲載されました。しかし、その日の新聞の第一面を飾ったのは女子中学生が起こしたルナシー事件でした。母に何とか気づいてもらおうと思った修哉は、過激な殺人という方向に向かい、直樹を誘い、森口の娘・愛美を殺害することにしたのでした。ところが直樹の計算外の行動で、事件は単なる事故死となりました。修哉は森口に事件の真相を話しましたが、森口が警察沙汰にしなかったことに落胆していました。そんな時、修哉は森口が復讐にHIV感染者の血を牛乳に混ぜたという告白を聞きました。修哉はむしろこれを好機ととらえました。修哉は「死に至る病…」と聞いた父が、母に連絡をとるだろう、そして母が会いに来ると思いました。しかし、検査結果は陰性でした。すべて妄想で終わりました。その後、美月とつきあっていたのは、タダの暇つぶしでした。そして、直樹の殺人事件がテレビで放送されたとき、修哉は「ママのこと好きだったんだ」という言葉を思わず呟きました。傍にいた美月は「修哉だって…」と言い、笑いました。それを聞いた修哉は逆上し、美月を殺しました。修哉は美月の遺体をバラバラにし、倉庫の冷蔵庫に隠しました。修哉は最後の手段として、始業式の日に、賞を取った「命」という自分の作文を読んだ後、リモート式の爆弾で、体育館を爆破、大量殺人をするという恐ろしい計画を考えました。「今度こそ」と確信した修哉は、計画を暴露する遺言めいたビデオメッセージを撮り、ホームページにアップしました。修哉は爆弾を作り、体育館に仕掛け、いよいよ計画を実行しようとしていました。
告白のネタバレあらすじ:8.森口の復讐
森口は学校を辞めてから、頻繁にウェルテルと会っていました。森口は熱狂的桜宮信者のウェルテルを指導するふりをし、巧みに彼を利用して、復讐をしようとしていたのでした。素直なウェルテルは森口の指導に従って動き、直樹が事件を起こすように追い詰めていっていたのでした。生徒達が修哉や美月を集団で虐めることも計算のうちでした。実は、森口は桜宮の血を牛乳に入れていませんでした。桜宮に止められたからでした。森口はHIVに感染しても、死には至らないことを知っていながら、終業式の日、嘘をつき、無知な生徒達を怖がらせたのでした。森口はある日、その事を偶然、出会った美月に告白しました。復讐の鬼と化した森口は、恐ろしく冷徹でした。少なくとも美月にはそう感じられました。心の傷が癒えない森口は、美月と出会ったその夜、家路の途中で、突然涙を流して嗚咽し、ひざまずきました。一時泣くと森口は立ち上がり、「バカバカしい」と呟き、家路を急ぎました。さて、修哉の爆破計画実行の3日前、修哉のホームページに母からの書き込みがありました。修哉は何の躊躇もなく、母の研究室・日本工科大学理工学部電子工学科第三研究室へ行き、母に会おうとしましたが、修哉は「僕が抱きしめてほしいのは、僕のこの肉体ではなく、僕の才能と、僕がこの世に残す偉業だ」と思い直して会わずに帰ったと、ビデオメッセージに撮り、ホームページ上にアップしました。そして修哉の爆破計画実行の日、始業式の日が来ました。壇上で命の尊さについての作文を読み終えた修哉は、「なーんてね」と呟き、爆弾の起爆ボタンとなっている携帯ボタンを押しました。しかし、何も起きませんでした。修哉は不思議に思いながら、何度も押しましたが、何も起きませんでした。修哉が呆然としていると、携帯の着信音がなりました。修哉が出ると、それは森口からでした。森口は自分が爆弾を預かった事を告げ、ホームページ上での修哉の動画での虚言を指摘しました。森口は自分の命など惜しくない修哉にどうすれば復讐できるかと思いつつ、ホームページをずっとチェックしていたのでした。森口は美月と会ったとき、修哉の最大の弱点が、生みの母だということを知りました。森口は修哉の母の居場所を突きとめ、3日前にその母を装い、書き込みをしたのでした。実際のところ、修哉は母に会うため、研究室には行きました。しかし、修哉はそこで母・八坂准教授が尊敬する教授と出来ちゃった婚で「瀬口」という苗字に変わり、新婚旅行中であることを知り、泣きながら帰ったのでした。森口はその一部始終を見ていました。森口は電話でその事を修哉に指摘し、辛辣な言葉で修哉を追い込んでいきました。森口は修哉の「もうやけだ。一思いに死んでしまおう。なるべくたくさんの人を道連れにして」という本心を完全に見抜いていました。森口は修哉に「バカですか。なぜ関係ない人が犠牲になるんです」と静かに冷徹に指摘しました。森口は修哉が仕掛けた爆弾を、新婚旅行から帰ってきた修哉の母の研究室を今朝訪ね、彼女の部屋に置いてきたことを告白しました。修哉は体育館の生徒達の中で、鼻血を出しながら、呆然と立ちすくみました。自分が作った爆弾で、自分が一番愛する母を爆破してしまったことに気づいたからでした。森口は言いました。「私にも聞こえましたよ。大切なものが消える音が…、パチン~じゃなく、“ドッカーン”って!」と。
告白の結末:「なーんてね」
修哉の爆弾は、愛する母の研究室で爆発したのでした。修哉は自分で愛するものの命を消し去ったのでした。修哉は携帯を落とし、ひざまずき、絶叫し、泣きじゃくりました。すると森口が修哉の前に現れました。森口は「これが私の復讐です。本当の地獄…ここから、あなたの更生の第一歩が始まるんです」と修哉に涙目で言いました。そして、森口は最後に言いました。「なーんてね」と。
「告白」感想・レビュー
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この映画、法で守られる少年がムカついてきます。子供を殺された教師が自分の子供を殺した少年たちをジワジワ追い詰めていくシーンに共感してしまう自分がいました。そもそも少年だからといって法で守られる必要があるのか、そんなよくあるテーマを考えさせられる映画です。
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小説も読みましたが、映画では小説で書かれたグロテスクな印象がそのまま表現されている感じでした。思わず、松たか子さんの演技にはゾッとしてしまいますし、子役の演技も凄すぎる!夢に出そうな怖さでしたが、また見たいです。
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原作も映画も見ました。命の尊さを復讐として学ばそうとしたのかな?
いくら子どもでも許されないこともありそれを痛みで分からせようとした作品だと感じました。グロさが引き立ちますが当時まだ10代の役者たちの演技力にもゾッとしました。教師が松たか子さんだからこそこの作品のミステリアスな部分が生きているのだと思います。 -
少年法とは何かを考えさせられる社会性のある映画でした。子どもを殺された母親の怒り、悲しみ。犯罪を犯してしまった生徒たちの心の闇が切ないほど伝わります。人を殺めることはいかなる理由であれ許されることではないのですが、生徒たちの生い立ちや境遇に心を痛めました。
教え子に自分の大切な娘の生命を奪われた教師の、壮絶な復讐劇に惹き込まれていきました。松たか子が演じている主人公の森口悠子の、全編を通しての無表情・冷血ぶりには鬼気迫るものがありました。教室内で生徒たちに亡き夫の血液を混ぜた牛乳を飲ませてしまうシーンには、あまりにもグロテスクで苦しくなってしまいました。