この道の紹介:2018年日本映画。明治から昭和にかけて「この道」「雨ふり」「待ちぼうけ」「からたちの花」など数多くの童謡作品を詩人・北原白秋と音楽家・山田耕筰のコンビの数奇な友情を、大森南朋とAKIRA(EXILE)のダブル主演で描いた伝記ドラマです。
監督:佐々部清 出演者:大森南朋(北原白秋)、AKIRA(山田耕筰)、貫地谷しほり(菊子)、松本若菜(松下俊子)、小島藤子(記者)、津田寛治(菊池寛)、升毅(秦彦三郎)、柳沢慎吾(鈴木三重吉)、羽田美智子(与謝野晶子)、松重豊(与謝野鉄幹)、由紀さおり(歌手)、安田祥子(歌手)ほか
映画「この道」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「この道」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
この道の予告編 動画
映画「この道」解説
この解説記事には映画「この道」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
この道のネタバレあらすじ:起
昭和27年。小田原市では詩人・北原白秋の没後10周年記念コンサートが開かれ、これまで白秋と数々の童謡を生み出してきた音楽家の山田耕筰(AKIRA)は「この道」の指揮を執っていました。終演後、耕筰は記者(小島藤子)から白秋との思い出について訊ねられ、「彼のことは語りたくない」としながらもやがて静かに語り始めました。「彼はダメな奴でした…」
この道のネタバレあらすじ:承
時は日本が近代化に向かっていた頃の明治43年にさかのぼります。北原白秋(大森南朋)は詩人として絶頂期にありました。白秋は同時代の文豪や詩人と積極的に交流を持ち、何かと世話を焼いてくれる与謝野鉄幹(松重豊)・晶子(羽田美智子)夫妻のバックアップもあり文壇にて高い評価を受け続けていたのですが、私生活では結婚と離婚を繰り返しており、更には人妻の松下俊子(松本若菜)と不倫関係に陥っており、酒癖も悪いなど乱れ切っていました。しかし、白秋はその純粋さや愛嬌の良さから周囲の人々に愛される存在でした。やがて俊子の裏切りにより、不倫が発覚した白秋は姦通罪で逮捕されて投獄されてしまいますが、出所した後も懲りずに女遊びを続けていました。
そんな白秋も菊子(貫地谷しほり)と3度目の結婚を迎え、二人の間には子供も生まれ、白秋は穏やかな日々を過ごしていました。やがて白秋は、児童文芸誌「赤い鳥」を創刊した鈴木三重吉(柳沢慎吾)から童謡を書いてみないかと勧められ、更に三重吉から山田耕筰を紹介されました。ところが、初めて顔を合わせるなり、「音楽を付けることで詩に命を与える」と発言した耕筰に、白秋は「自分の詩は死んでいるのか!」と噛みつき、結局コンビを組むことなく喧嘩別れしてしまいます。
この道のネタバレあらすじ:転
大正12年、関東一帯を関東大震災が襲いました。被災した白秋は自分の詩では苦しむ人々の支えになれないと悲観しますが、心配になって駆け付けた耕筰はバイオリンを取り出してメロディを奏でると、周りにいた子供たちが勇気づけられたかのように口ずさみはじめました。音楽の力の強さを実感した白秋は改めて耕筰と手を組み、日本人の心に寄り添った童謡を作ろうと決意しました。
白秋は耕筰を伴って慣れ親しんだ小田原の林道を散策しながら交流を深め、白秋は耕筰の少年時代の思い出話を元に「からたちの花」の歌詞を書き、日本で初めてラジオが放送された日には「からたちの花」と共に「この道」が耕筰の指揮により生披露され、人々に大いに受け入れられていきました。それからも白秋と耕筰は時には方向性を巡ってぶつかり合いながらも、互いの才能を認め合ったうえで数多くの童謡を世に送り出していきました。やがて二人は童謡のみならず全国各地の学校の校歌を作ってほしいとの依頼が殺到するようになりました。
この道の結末
昭和に入ると、日本は泥沼の戦争へと突き進んでいきました。昭和16年に制定された治安維持法は文学者や音楽人などから自由な思想や発言を奪っていき、従わない者は容赦なく弾圧されていきました。白秋と耕筰の二人も例外ではなく、二人は軍部から軍歌を作って国民の意気高揚を図るよう依頼されました。白秋は頑なに断ったことで仕事を干されていくようになり、幼かった子供たちが次々と戦場に送り込まれていく現状に心を痛めた白秋は創作意欲も衰え、やがて病に伏せるようになっていきました。
ある日、耕筰は病で失明してしまった白秋を見舞い、この戦争は日本の敗北に終わるだろうとして音楽の自由を守るために戦う決意を明かし、いつかまた自由に好きな音楽を作れる日が来るからその時まで生き延びてくれるよう約束しました。しかし、白秋は終戦を待たずにこの世を去りました。
「奴が死んでから良い曲が書けていない・・・」全てを語り終えた耕筰の目からは涙がにじんでいました。
以上、映画「この道」のあらすじと結末でした。
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