あゝ、荒野 後篇の紹介:2017年日本映画。寺山修司の遺した唯一の同名長編小説を二部作として映画化した作品の後編です。時代設定を2021~22年とし、生まれも育ちも違う二人の若きボクサーの宿命の対決を軸に描いた青春ドラマです。主題歌を人気ロックバンド『BRAHMAN』が手掛けたことで話題を集めました。
監督:岸善幸 出演者:菅田将暉(沢村新次/新宿新次)、ヤン・イクチュン(二木建二/バリカン健二)、ユースケ・サンタマリア(片目(堀口))、木下あかり(曽根芳子)、山田裕貴(山本裕二)ほか
映画「あゝ、荒野 後篇」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「あゝ、荒野 後篇」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
あゝ、荒野 後篇の予告編 動画
映画「あゝ、荒野 後篇」解説
この解説記事には映画「あゝ、荒野 後篇」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
あゝ、荒野 後篇のネタバレあらすじ:起
父を亡くし、母にも捨てられ、孤児院で育った沢村新次(菅田将暉)、吃音と対人恐怖症そして粗暴な父・建夫(モロ師岡)の暴力に苦しめられてきた二木建二(ヤン・イクチュン)。生まれも育ちも異なる二人は、かつてボクシングで片目を失った堀口、通称“片目”(ユースケ・サンタマリア)に誘われて落ちぶれたボクシングジムに入門、共に切磋琢磨しながらプロボクサーへの道を歩もうとしていました。
時は2022年、新次の宿敵・山本裕二(山田裕貴)は一足早くプロボクサーとして台頭しており、新次はいつか決着をつける日を望んで日々トレーニングに励んでいました。ある日、建二は書店で身重の女性・西口恵子(今野杏南)が倒れているのを助けて病院に連れて行きました。恵子の命は助かったものの、お腹の子は手遅れでした。一方、介護福祉施設で働く新次のもとに、かつて彼を捨てた母・京子(木村多江)が現れ、『帰還兵たちの闇』なる本を置いていきました。自殺した新次の父の上司は建二の父・建夫であり、新次は建夫に会いに行くことにしました。
あゝ、荒野 後篇のネタバレあらすじ:承
建夫は既にガンに蝕まれており、生きているうちに建二に連絡を取ろうとする建夫に、新次は「自分で言えよ。バリカン(建二)は戦ってるんだよ」と告げました。その後、建夫は目を引っ掻いたことが原因で両目を失明しました。
ある日、新次の恋人・曽根芳子(木下あかり)の母・セツ(河井青葉)が東北から状況してきました。芳子の母は東日本大震災で夫や親戚、友人を失くしており、家出した芳子を探しに来たのです。やがて新次は因縁の裕二との対戦が決まり、より一層練習に熱を入れていきました。そんなある日、ジムに宮木社長(高橋和也)が『海洋拳闘ボクシングジム』の会長の息子・石井、通称“二代目”(川口覚)を連れてきました。実は水面下では落ちぶれていたジムを畳む話が動いており、二代目は建二の素質に目をつけていました。建二は順調に勝ち進む新次に対して憧れ以上の感情を抱くようになっていきました。
あゝ、荒野 後篇のネタバレあらすじ:転
遂に迎えた新次と裕二の試合の日。二人は序盤から白熱した試合運びを見せ、やがてほとんど殴り合いのケンカの様相を呈してきました。結果は僅差で新次の判定勝ちとなりましたが、新次の心は晴れませんでした。ジムに戻った新次は、建二が『山寺ジム』に移籍したとの知らせを聞きました。建二は新次に置き手紙を残しており、中には「新次と戦いたいというボクサーとしての目標ができた」と綴られていました。二代目のサポートを得た建二はボクサーとしての才能を開花させ、連戦連勝を重ねるなど急台頭していきました。一方の新次は裕二との対決を終えたこと、そしてボクシングのことしか考えない新次に愛想を尽かした芳子が自分の元を去っていったこと、そしていよいよジムも倒産が避けられなくなったことからすっかり目標を見失い、荒れた日々を送っていました。
あゝ、荒野 後篇の結末
建二が二代目にマッチメイキングを頼んだことにより、遂に新次と建二の試合が組まれることになりました。ポスターを見たマコト(萩原利久)は建夫を建二の試合に連れて行くことにしました。試合当日、京子も観戦に訪れ、遂に新次と建二の宿命の対決のゴングは鳴りました。試合は第1ラウンドから激しい応酬となり、二人は拳を交えることで“生きている”ことを実感していました。やがて建二はただ新次の拳を受けるのみとなり、タオルを投げ込もうとする二代目を宮木社長が制止するなどリング内外は大混乱に陥るなか、建二は新次の一撃の前に倒れました。そして試合終了を告げるゴングが鳴り響きました。
試合終了後の控室、白い布をかけられた人物が横たわっていました。医師は死亡診断書に「二木建…」の名前を書きかけたところで映画は幕を閉じます。
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