夜明け告げるルーのうたの紹介:2017年日本映画。漁港の町に暮らす少年カイと音楽が大好きな人魚ルーのひと夏の出会いと別れを独創的なアニメーションで描いたファンタジー映画。2017年のアヌシー国際アニメーション映画祭において最高賞となる長編部門クリスタル賞(グランプリ)を受賞しました。
監督:湯浅政明 声優:下田翔大(足元カイ)、谷花音(ルー)、斉藤壮馬(国夫)、寿美菜子(海老名遊歩)、柄本明(カイの祖父)、鈴村健一(足元照夫)、ほか
映画「夜明け告げるルーのうた」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「夜明け告げるルーのうた」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
夜明け告げるルーのうたの予告編 動画
映画「夜明け告げるルーのうた」解説
この解説記事には映画「夜明け告げるルーのうた」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
夜明け告げるルーのうたのネタバレあらすじ:起
小さな漁港の町、日無し町。人魚伝説のあるこの町に暮らす足元カイは中学三年生の男の子です。音楽好きのカイの趣味は作った曲の打ち込みを動画にアップすることです。カイの才能にほれ込んだ同級生遊歩と国夫は一緒にバンドをやらないかと誘います。二人がバンドの練習をしているのは人魚が住んでいると言われている人魚島でした。人魚伝説に興味を抱いたカイは二人とともに小船で島を訪れます。湾にせり出た御陰岩に守られた人魚島にはかつて遊園地があったものの今ではすっかり寂れて、廃墟の島と化しています。国男がギターを演奏し、遊歩が歌を歌い始めますが、カイは遊歩の拙い歌を容赦なくけなします。遊歩は怒って演奏を放り出してしまいますが、その時どこからともなく不思議な歌声が聞こえてきます。それは今までに聴いたことのないような魅力的な歌声でカイは思わず音楽に合わせて踊り出してしまうほどなのでした。歌声の持ち主が誰だったのか分からないまま島を出た三人でしたが、密漁船に乗った青年二人と遭遇し、カイは持っていたスマートフォンを海に捨てられてしまいます。遊歩は密漁していることを言いつけると凄みますが、青年たちは悪びれる様子も見せません。その時海が荒れ始め、青年達の船は海水に押し上げられて転覆します。三人はその隙になんとか逃げることができました。
夜明け告げるルーのうたのネタバレあらすじ:承
家に帰ってきたカイは漁師だった祖父に人魚を見たことがあるか訪ねますが、祖父は海に近づいてはいけないとカイに告げます。夜カイが屋根裏部屋で音楽を作っていると、眼下の海で何かが勢いよく跳ね上がります。海を覗き込んだ瞬間少女の人魚が飛び込んできて、カイの部屋は瞬く間に海水で満たされていきます。そして音楽に合わせながらクルクルと回る人魚の身体に人間の足がにょきにょきと生えてきました。人魚はルーと名乗ると、カイがなくしたスマートフォンを手渡し、また海の中へと帰っていきました。カイは音楽を流すとルーの身体が人間へと変化することを知ります。夏休みがやってきました。カイは国男達のバンド「セイレーン」に加入し、人魚島で国男と遊歩とともに練習を開始します。音楽を流し始めるとルーが現れて歌い踊りはじめます。人魚を初めてみた国男と遊歩はびっくりしますが、ルーがスマートフォンを届けてくれたのだと話すと二人もルーを受け入れるようになるのでした。海水を自由に操れるルーはカイ達の船を浮上させて瞬く間に岸へと連れて行ってくれます。海に帰りたがらないルーを連れてカイは夜の町を彷徨います。カイは周囲に心を閉ざしてきましたが、父と母が離婚したこともルーには素直に話すことができました。やがて夜が明けはじめるとルーは人魚に変えた捨て犬達を連れて海へと帰っていくのでした。翌日国男の実家で人魚を祀っている神社を訪ねたカイは国男の祖父から人魚伝説についての話を聞きます。その昔人間が人魚を日に当てて燃やしたとところ、湾内の海水がせりあがり人魚の遺骸をさらっていったという言い伝えがありました。村人達はこれを御陰様の祟りだと怯え、人魚を祀るようになったと言います。カイは人間と人魚の間に深い因縁があったことを知るのでした。
夜明け告げるルーのうたのネタバレあらすじ:転
カイが部屋で音楽を流していると再びルーが現れ、カイは導かれるように海の中へと潜っていきます。ルーはカイに自分の父親を紹介しようとしたのでした。セイレーンは夏祭りで曲を演奏することになりました。カイはルーをクーラーボックスに入れて祭りに参加します。浜辺で演奏を開始しようとすると興奮したルーが音楽を奏で始め、町の人達も音楽に合わせて踊り出します。ルーも華麗なダンスを披露しますが、音楽が止まると人魚の身体に戻ってしまい、ルーが人魚だということがバレてしまうのでした。歌い踊る人魚が現れたという噂はたちまち広がり、観光の目玉としてルーを町のキャンペーンガールにしようと町内会の大人達が企て始めます。カイはルーのことを隠し通そうとしますが、国男や遊歩はルーならば町の人にも受け入れられるはずだと主張します。やがて人魚島には遊戯施設人魚ランドが開園することになり、国男と遊歩はランドで開催される人魚ライブにルーも参加させようと言い出します。その頃娘の様子を心配したルーの父親が人間に変装して陸へと上がってきていました。大人達にルーを利用されることが我慢できないカイはライブへの参加を拒否し、国男と遊歩そしてプロのミュージシャン達の演奏で人魚ライブは始まります。ステージに上がったルーは陽気に歌い踊りますが、バンドのメンバーにカイがいないことを知って怯え始めます。そしてスポットライトに驚いたルーは水を操る力を発動し、ステージを海水で満たしてしまうのでした。
夜明け告げるルーのうたの結末
人魚は恐ろしい力を持っていると町の人々は再び人魚を恐れるようになります。人魚に噛まれると動物もみな人魚に変えられ、人間が食い殺されるという噂が広まっていき、ルーは水産工場のプールの檻に閉じ込められてしまいます。これに怒ったルーの父親が全速力でルーを助けに来ます。ルーの父は怒りで瞬く間に工場を燃やし尽くしていきますが、ルーとともに窯の中に閉じ込められてしまうのでした。しかし人魚を閉じ込めたことで祟りが起き、町の水没が始まります。カイはルーを助け出すため遊歩とともにプールへと乗り込みます。そして遊歩の祖父とカイの父の力を借りて水門を開けることに成功します。カイがギターを使って演奏を始めるとルーの父親も目を覚ましました。窯から無事に脱出したルーと父親は海水に乗って空高く浮遊していきます。しかし町の浸水は依然として止まりません。ルーと父は海水の中で溺れる町の人々を次々と救っていきますが、力を使い果て疲れきってしまいます。人魚島に降り立ったカイはルー達を元気付けるため「歌うたいのバラッド」を歌い始めます。元気を取り戻したルーと父は力を振り絞って海水を鎮め始めます。人魚達や町人達の協力もあり海は静けさを取り戻しますが、人魚達を守ってきた御陰岩も崩壊してしまいました。カイはルーにありがとうと告げ、ずっとそばに居て欲しいと愛の告白をしました。しかし御陰岩が崩れたことで人魚達は住む場所を失い、ルーも姿を消してしまうのでした。遊歩は東京の高校に、カイは山向こうの高校に進学することになり、セイレーンは解散することになりました。一回り逞しくなったカイはいつか船でまだ見たことのない海を巡ってみたいと思っているのでした。
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